ネットプリントとは何か、なぜ選ばれるのか
ネットプリントとは、インターネット上の通販サイトのような形で、紙や印刷方法を選んで注文できるサービスを指します。データを入稿すると、印刷されたものが自宅に届く手軽さが特徴です。
最大の魅力は、とにかく安いという点です。ボードゲーム制作は費用がかさむため、原価を下げる目的でネットプリントを使う人は多いと、Manaさんは話します。
ただし、安さの裏にはボードゲームならではの注意点があります。この回では、その落とし穴と対処のしかたが整理されていきます。
同じデータでも色味が変わる、印刷所が固定されない仕組み
ネットプリントの特徴の一つが、印刷する工場や機械が固定されないという点です。これが、増版や拡張版のときに問題になりやすいと指摘されています。
そもそも印刷は難しい技術で、印刷時の気温、インクの状態、機械のコンディションによって色味は変わります。同じ工場でも統一は難しく、工場が変わればなおさらです。
Manaさんによれば、大手で安いサービスほど、注文を各地の印刷所に分散させている場合があります。今日は神奈川の工場、拡張版は北海道の工場、というように刷るタイミングで工場が変わることもあります。
神奈川と北海道では気温もインクも機械も違うため、色味の統一は難しくなります。これがネットプリントで色ズレが起きやすい根本的な理由です。
同じデータを入稿
増版・拡張版で再注文する
空いている工場に発注
刷るタイミングで工場が変わる
気温・インク・機械が違う
色味の統一が難しくなる
ボードゲームだからこそ色ズレが致命的になる理由
色味の違いがどれだけ目立つかは、デザイン次第でもあるとManaさんは言います。ベタ塗りは色の差が明確に出るため、避けるのが基本です。
対策として、カードの裏面を複雑な柄にして色味の違いを軽減する、といった工夫が挙げられます。ベタ塗りを避けることで、ズレを目立たなくできます。
ボードゲームでは、手札が見えないように、どのカードかバレないようにという要件があります。カードごとの色味の違いは、この点で致命的になりやすいと説明されています。
ちなみにベタ塗りだと一番バレちゃうのって緑らしいですね。
Manaさんは豆知識として、人間は緑の濃淡や色違いに敏感だと紹介します。大自然で生きてきたDNAの影響かもしれない、という言い方をしています。
そのため、緑のベタ塗りは避けようという話が巷でも言われているそうです。こうした配慮は、ボードゲーム特有の考え方だと位置づけられています。
良くも悪くも指示通り、ネットプリントは中身を判断しない
おたクラブやグラフィックなど、多くの人が使う印刷サービスもネットプリントに含まれます。どれも安く利用しやすいのが強みです。
ただし、どの会社もボードゲーム専門ではありません。ボードゲーム特有の注意点は基本的に知らず、入稿されたデータをそのまま印刷するのが仕事になります。
つまり、ボードゲームとして微妙な点や入稿ミスがあっても、そのまま出てきます。色味が危険な状態でも、気にせず刷られてしまいます。
この性質は、裏を返せばボードゲーム作りの勘所を熟知した人にとっては賢く使える、ということでもあります。データやデザインの微妙さを見抜ける人ほど、ネットプリントを賢く使えると整理されています。
上下逆・両面表、そのまま刷られる入稿ミスの怖さ
そのまま出てくるがゆえの失敗例も紹介されています。カードの上下が逆の状態で入稿すると、上下逆のまま印刷されて届きます。
面付けのミスも同様です。表面と裏面を取り違えると、両面が裏面だけ、両面が表面だけ、といったカードが刷り上がってくることもあるそうです。
人の手でデータチェックをして「ボードゲームとしてこんなデータはありえない」と気づいてくれれば別ですが、そのまま印刷するのが仕事である以上、基本的には自己責任になります。
ゲームマーケットなどのイベント前に合わせて印刷する人も多く、ギリギリでミスに気づく事態も起こり得ます。「ゲームマーケットに出られない」という阿鼻叫喚の声もたまに聞くと、Manaさんは注意を促します。
自信がないうちは専門印刷所、オペレーターが指摘してくれる
入稿データやボードゲーム特有のデザインに自信がないうちは、ボードゲーム専門の印刷所に頼むのが一番安心だとManaさんは勧めます。
専門でない印刷所では、両面が同じカードでも良し悪しの判断がつきません。一方、ボードゲームを多く手がける印刷所なら、そうした点に気づいてくれると説明されています。
ちょっとここおかしいと思うんだけど、合ってるの?みたいな、そういったのがちゃんと教えてくれるそうです。
指摘の対象は単純なミスだけではありません。カードの枚数、たとえば「1が1枚、2が2枚」という構成についても、本当にそれで合っているのかを確認してくれるそうです。
安く手軽。入稿データを指示通りに印刷し、ミスや色味の危険は判断しない
値は張るが、オペレーターがボードゲーム視点でデータをチェックし、気になる点を教えてくれる
何の指摘も出なくなってきたら、入稿データの作り方が成長し、ボードゲームとしておかしな点も潰せている証拠です。そこから初めてネットプリントの活用を考えるのがよい、という順序が示されています。
品質保証の基準は印刷所ごと、自分の合格ラインと合うか
専門印刷所に頼んでも、データ由来の問題はやはり自己責任です。一方で、印刷範囲の大きなズレやひどい汚れなどは、印刷所ごとの品質保証の基準に照らして対応されます。
不合格品質であれば刷り直しなどに応じてもらえますが、注意したいのは合格基準のずれです。自分が悪いと感じても、印刷所が合格と判断すれば、そもそも求める基準が食い違っていることになります。
その場合は、自分の求める品質を満たす印刷所を別途探すことになります。ただ、ネットプリントにそこまでの品質を求めてもという面もあると、Manaさんは補足します。
グラフィックなどは品質が良いとされ、それ自体は問題ないとしつつ、自分でのデータチェックは重々した方がよいと繰り返します。プレビュー機能があれば、しっかり確認することが必要です。
塗り足しと裁断ズレ、トランプに学ぶ強いデザイン
裁断のズレはどうしても起きるため、トンボをつけて塗り足しをしっかり行うのが基本です。ただ、デザインがギリギリだと塗り足しがうまく機能しないこともあります。
その結果、重要な要素が裁断で切れたり、変な余白が出たりします。専門印刷所なら「ここが切れる恐れがある」と教えてくれますが、ネットプリントは規約の許容範囲内なら容赦なく切れた状態で上がってきます。
だからこそ、裁断のズレに依存しないデザインにしておくことが大切です。これも結局は自己責任だと位置づけられています。
その観点で見ると、トランプはよくできたデザインだとManaさんは言います。表面は白ベースで、スートやランクが角から少し内側に入っています。
裏面も、印刷所やタイミングで色味の差が出にくいよう複雑な絵柄になっており、透けにくくもなっています。白枠のカードが多いのも、裁断が少しずれても目立ちにくくするための工夫です。
さまざまなカードゲームをこうした目で見ると面白いとManaさんは話します。ボードゲーム特有のデザインの作法を、少しずつ意識しながら入稿していくことが大切だとまとめています。
まとめ
ネットプリントは安く手軽で柔軟ですが、入稿データを指示通りに刷るだけで中身は判断しません。自信がないうちはボードゲーム専門の印刷所に相談しながら進め、指摘が出なくなってから活用を考えるのが安心だと語られました。
- ネットプリントは工場が固定されず、増版や拡張版で色味がばらつきやすい
- ベタ塗り、特に緑は色差が目立つため避け、複雑な柄で軽減するのがボードゲーム特有の工夫
- 入稿ミスや微妙なデザインもそのまま刷られ、基本は自己責任になる
- 自信がないうちは、オペレーターがチェックしてくれる専門印刷所から始めるのが安心
- トランプのように裁断ズレや色ズレに強いデザインを意識して入稿することが大切




