そもそもなぜ値引きをするのか
この回のテーマは、販売しているボードゲームの値段を下げて売る「値引き」です。元値に対してどれくらい下げるべきか、値引きにどんな効果があるのかを考えていきます。
Mana(マナ)さんは、値引きをする理由はまず販促のためだと整理します。購入者の負担を下げて売りやすくする狙いです。
そのうえで、意図的に販促のために値引く場合と、余計なコストをカットした結果として値引きになる場合があると補足します。
コストカットが結果的に生む「値引き」
コストカット型の値引きを理解するために、最終的にお客様に届く販売価格を通販で考えてみます。
BOOTHやボドゲーマーといった通販プラットフォームで販売すると、決済手数料や送料がかかります。作者の取分がそのまま販売価格分もらえるわけではありません。
そのため、間のマージンや配送料がどうしてもかかります。逆に通販を使わず手売りにすれば、その分はコストカットできます。
手数料や送料をなくした価格にするだけで、通販価格より結果的に安くなるというわけです。
店舗流通の場合も、問屋への卸や小売店の取分といった中間マージンがあります。それを抜くと作者の元に届くお金は減ります。
つまり、中間マージンを削減した価格設定にしても、作者に入る金額は変わりません。その分だけ価格を抑えられる、というのがコストカット型の値引きです。
イベント特価と予約で販促を積み上げる
一方で、値引きを販促として上手く使うパターンもあります。ただ「安いよ」と言うだけでは、なぜ安いのか、安物ではないのかと不信感を持たれてしまいます。
安くするには、それだけの理由や大義名分が必要だとMana(マナ)さんは話します。
イベントであれば、「手売りだから中間コストがない」という理由が使えます。一般販売価格を示したうえで、現場特価としていくらで買えるかを訴求する方法です。
一般販売価格と比べて現場特価を見せれば、かなり安くなった印象になり、会場で買うほうがお得だと思ってもらえます。これが販促につながります。
さらにもう一段階、予約を組み込む人もいます。通販価格、イベント会場価格、事前予約価格と差をつける方法です。
こうすると予約が伸びやすく、「どうせ買うなら予約しよう」「どうせ行くなら今買っておこう」という行動が連鎖します。Mana(マナ)さんはこれを頭の良いやり方だと評価しています。
ゲムマ終盤のタイムセールが良くない理由
逆に、あまり良くない値引きの例も挙げられます。それがタイムセール的なものや「残り何個だから」という売り方です。
スーパーの閉店間際の値引きシールのように、ゲームマーケットでも終了間際に価格を下げて売り子が叫んでいる光景を見かけると言います。
売り切るためのやり方として世の中では一般的ですが、Mana(マナ)さんはこれをマイナスな行動だと捉えています。
ゲームマーケットだけで売り切り、もう次はボードゲームを作らないというくらいなら問題ないとも話します。ただ、多くの出展者はそうではありません。
定価で買った人の気分を害するという本質
この売り方の本質的な問題は2つあると整理されます。買った人の気分を害することと、値下げのタイミングを待つ人が生まれることです。
イベント前半に定価で買ったお客さんは、会場を回るうちに同じ商品が安くなっているのを目にします。
2500円で買った後に「1000円です」という表示を見かけたらどう感じるか。良い気分ではありません。
売り手が完売させたい気持ちはわかるものの、前半に買った人にとっては「あの時買って失敗だった」という体験になってしまいます。
値引きの癖づけが次につながらない
一度そのタイミングで下げると分かると、安くなるのを待つ人が出てきます。スーパーでシールが貼られるのを待つ人のような状態です。
これが癖づくと、同じサークルで前半に買おうという人はどんどん減っていきます。気分を害した人は、次にそこで買おうとは思わなくなります。
ゲームマーケット内で安さによって完売できたとしても、その安いタイミングで買った人が次も早めに買ってくれるかは怪しい、とMana(マナ)さんは指摘します。
前半に買った人は値引きを見て気分を害し、次につながらない。安い時に買った人は次も安くなるのを待つ。「このサークルは後半安くなる」という印象になってしまいます。
そもそも値引きで売り切れる見込みが立つなら、在庫はあと数個から数十個程度のはずです。その量なら次のゲームマーケットや通販に回すという選択もできます。
ボードゲームに賞味期限はないという指摘
Mana(マナ)さんは、スーパーや閉店セールの値引きとボードゲームの値引きは根本的に違うと言います。
スーパーには賞味期限があり、破棄するくらいなら安くする理由が明確です。閉店セールも、廃棄するくらいなら安く売り切りたいという事情が伝わります。
一方でボードゲームは、残っても粗大ゴミや燃えるゴミで捨てるわけではありません。その場で売りたい、送り返す送料が大変といった事情はあっても、値引きの大義名分としては弱いという見方です。
これは効果的だからもうやり続けるんだ、全然問題ないんだっていうような出展者さんとかがいたら、どういう思いでやってるのかを純粋に教えてほしいです
Mana(マナ)さんは、こうした値引きにはマイナスしか感じないと率直に語ります。特に初出店の人の終盤の立ち回りでは、この話を参考にしてほしいと呼びかけます。
中途半端な値下げは効果がない
話題は、イベントではなく販売後の在庫が動かなくなったときの値下げに移ります。1年、2年と在庫が減らないと、売りやすさを考え始める場面です。
利益を残したい気持ちから、中途半端な値下げになってしまうことがあります。しかし理由のない値下げは、多少下げても購入意欲につながりません。
100円200円下がった程度では「よし買おう」とはならない、とMana(マナ)さんは言います。だからこそ、下げるならとことん下げてインパクトを出すべきだと主張します。
じわじわと少しずつ下げると、インパクトのないまま利益だけが失われていきます。下げるなら一気に、利益なしの原価分まで下げるくらいでよいという考えです。
100円200円程度では買いたいと思わせられず、じわじわ下げて利益だけ失う
原価分まで一気に下げ、「これなら買いだ」と思わせる
値下げは最終手段。在庫は次の投資へ
ただしMana(マナ)さん自身は、長期的に在庫が動かなくなっても値引きは最終手段だと考えています。
理由は、「待っていればそのうち値段が下がる」という印象を持たれてしまうからです。それも大きなマイナスだと捉えています。
原価が安くなるわけでもないため、安くなるという印象を持たれたくない。だからMana(マナ)さんは基本的に値下げをしていません。
その代わり、どうしても在庫が動かず終売にする場合は、次の投資に使いたいと考えています。極論として配ってしまう発想です。
具体的には、Xでのプレゼントキャンペーンでインパクトのある人数を対象に配る、全国のボードゲームカフェに連絡して置いてもらう、新作購入者へのおまけにするといった方法を挙げます。
- Xでのプレゼントキャンペーンで大々的に配る
- 全国各地のボードゲームカフェに連絡して置いてもらう
- 新作を買った人へのおまけとして付ける
安易な値下げは避け、値下げをするなら理由をもとにインパクトを高めるか、いっそ無料にして次の投資に使う。そう考えないと、不信感やブランドの毀損、悪循環につながる恐れがあると締めくくります。
値引きは諸刃の剣ですので、気を付けてやったほうがいいですね
まとめ
ボードゲームの値引きは、販促にもブランド毀損にもなり得る諸刃の剣です。安さの理由を明確にし、戦略的に扱うことが大切だとMana(マナ)さんは語りました。
- コストカットや現場特価、予約割引など、理由が明確な値引きは販促につながる
- 終盤のタイムセールは、前半に定価で買った人の気分を害し、値下げを待つ癖を生む
- ボードゲームには賞味期限がなく、時間が経っても価値や原価は変わらない
- 下げるなら中途半端にせず一気に、原価分までインパクトを出すのが効果的
- 在庫が動かないときは値下げより、プレゼントやおまけなど次の投資に活用する



