今回の予約は何が「これまでと違った」のか
今回のテーマは、ゲームマーケットから海外へ、です。きっかけは、Manaさんの新作トリックテイキング「ザ・セント・オブ・ジェラシー」の予約傾向でした。
今回はこれまで以上に、海外からの予約がとても多かったといいます。これって何でなんだろうという問いが、この回の出発点です。
なんか今回、今まで以上に海外からの予約といったものがとても多いですね。これって何でなんだろうっていうところをちょっと考えております。
そもそもゲームマーケットには、出展したり遊びに行ったりするとわかる通り、海外からの来場者が結構多いそうです。その理由を考えるには、まずゲームマーケットが世界の中でどんな立ち位置にあるのかを見る必要があります。
世界の中でゲームマーケットはどんなイベントなのか
ボードゲームの祭典は世界中で開かれています。大規模なものではドイツのシュピールエッセンがあり、アジアも欧米も各地でイベントが活発です。
来場人数やイベント規模でいうと、ゲームマーケットは世界の大手に比べるとやや見劣りするかもしれません。ただ、他国のイベントと決定的に違う強みがあります。
それは、同人・インディーズの即売会に特化しているという点です。海外のイベントは出版社による企業出展がメインで、新作を発表する場という意味合いが強いといいます。
そのため海外のボードゲーム作家は、インディーズで販売するより、出版社に売り込んで発売してもらう動きが盛んだそうです。売る場所そのものが少なく、大規模になるほど企業出展中心になるからだと説明されています。
企業出展がメイン。作家は出版社への売り込みを目指す動きが盛ん
個人が制作したものをその場で売るインディーズがメイン
この同人即売会という見方をすると、ゲームマーケットは世界最大級だといいます。ボードゲームの世界では、一番大きい同人即売会と言われているそうです。
海外で評価される「日本のスモールパッケージ」
日本のボードゲーム市場は、インディーズが強いというイメージを持たれています。さらに、海外で賞を取る日本の作家の力もあって、日本のボードゲームは海外で評価されているそうです。
その特徴は、いわゆるスモールパッケージと呼ばれる作りです。海外のゲームは箱が大きく内容量も多い一方、日本は小さな箱にコンポーネントをみっちり詰めて遊べるものが多いといいます。
海外では住宅事情や店頭スペースの都合もあり、中身が少なくても箱だけは大きく派手に見せる傾向があると話されています。対して日本のゲームは、コンパクトで安価ながら、ルールやプレイ感が洗練されているという評価があるようです。
日本のゲームってコンパクトで安価で、だけれども、プレイ感、ゲームのルールですとか、そういったものはすごく洗練されている、そんなイメージがあるようです。
出版社だけでなく、まだ見ぬ新しいボードゲームがインディーズとして盛んに発表される場であること。これがゲームマーケットが世界から注目される理由の一つとして挙げられています。
予約が伸びた要因1「ジャンル」と「英語説明書」
ここからは、今回なぜこれまで以上に海外予約が入ったのかを、Manaさんが具体的に振り返っていきます。
一つ目の要因はゲームジャンルです。今回の新作はトリックテイキングでした。世界的には人気が落ち着いてきたという声もあるものの、コアなファンは多く、特に海外にはトリテ好きが多い印象だといいます。
ただし、以前もトリックテイキングを出したことはあり、その時は海外の人にも買ってもらえたものの、予約段階でここまで多いという印象はなかったそうです。つまりジャンルだけが理由ではありません。
二つ目の要因は、しっかりとした英語の説明書を準備したことです。翻訳が進化した今でも、英語にきちんと対応しているかはよく見られる部分だと考えられています。
ただし、英語説明書を用意すれば必ず売れるわけでもない、とも話されています。要因は一つではなく、複数が組み合わさっていると考えられます。
予約が伸びた要因2「早い掲載」と「早い予約開始」
三つ目の要因は、ゲムマサイトへの掲載をかなり早く行ったことです。掲載した時点では、まだサイトに100件も登録されていなかったといいます。
その狙いは、海外客の行動パターンにあります。日本の人は開催日前の週にギリギリで決めることもありますが、海外から来る人は旅行も兼ねて、かなり前から計画を立てていると想像されるからです。
期待感とかもやっぱり旅行も兼ねてだと思うので、ドキドキドキドキ、早く来ないかな、ゲームマーケットまだかなみたいな形でよく見に来られてるんじゃないのかな。
早い段階で英語説明書つきの情報が公開されていれば、面白そうだと思ってもらえて予約につながりやすい、という読みです。
四つ目の要因は、予約受付そのものを早めたことです。普段はブース番号が出てから受付を始めますが、今回はブース番号が決まる前から予約を開始し、ゲムマサイトから予約へのリンクも置きました。
せっかく気に入っても買えなければがっかりさせてしまう。だからこそ早めに予約を用意した、という判断です。結果として前半は、日本の人よりも海外からの予約のほうが多い印象だったといいます。
同じ人が何度も予約?海外客ならではの動き
予約の動きで特徴的だったのが、早めに一度予約した人が、しばらく経ってまた予約し、さらにまた予約する、という繰り返しでした。しかもそれが一人二人ではなかったといいます。
その背景として、ゲームマーケットに行くと自国のボードゲーム仲間に話し、何を買うかを相談しているのではないか、と推測されています。
やっぱり行く人に行けない人ってお願いすると思うんですよ。これ良さそうだからちょっと行くなら買ってきてよみたいな、そういったものが働いてるんじゃないのかな。
つまり、この人も欲しい、この人も欲しいと買い付けを頼まれて、同じ人が何度も予約する動きが生まれているのではないか、という見立てです。
もう一つ特徴的だったのが、出展日との関係です。Manaさんは今回も日曜出展で、一般に日曜は土曜より売れにくいと言われます。
そこでX上でアンケートを取ったところ、7割以上が土曜だけ行くという回答でした。フォロワーの多くは日曜に来ない計算になりますが、海外客は土曜だけ来てすぐ帰るとは考えにくく、来るなら土日両方来る人が多いのではないかと想像されています。
そのため、日曜出展かつ海外客という条件に、今回の予約がうまく刺さった面もあるのではないかとまとめられています。
海外Youtuberの紹介と自動翻訳という追い風
早めに海外へ情報発信した影響か、海外のボードゲーム系Youtuberに新作を紹介してもらえたといいます。依頼したわけではなく、気になっている作品として取り上げられていたそうです。
しかも実際に聞くとルールをきちんと把握していて、英語版の説明書を読んだ上で紹介してくれているとわかったといいます。早めのプロモーションが海外に向けて重要だと実感できた出来事でした。
早めのプロモーションをやっていくっていうものも、やっぱり海外に向けてはとても重要になってくるのかなというふうに思います。
さらに、SNSの投稿が自動的に翻訳される仕様に変わったことも影響しているかもしれない、と話されています。日本語で投稿しても、海外の人には自国の言葉でボードゲームの話が見えているのではないかという想定です。
ゲムマは海外デビューへのチャンスになるか
Manaさんは、日本のボードゲームを海外へ展開していきたいと常々考えているといいます。今回を教訓に、今後の新作も英語説明書を作り込み、早めのプロモーションを行っていく方針です。
ゲームマーケットまではまだ半月以上あり、日本の人の予約も入り始めています。ここからは日本の人がメインになっていくのではと、期待を込めて待っている状況だと語られました。
海外からゲームマーケットに来る人はボードゲームへの熱量が高く、業界関係者も少なくないと考えられています。海外イベントへの出展は難しくても、来場した関係者に自分の作品を届けられれば、海外での出版デビューを狙える可能性があるといいます。
その点では大阪のBGBEが特に強いとしつつ、ゲームマーケットも規模が大きく世界中からファンや関係者が集まるため、海外へのチャンスは十分あると考えられています。
最後に重要な条件として挙げられたのが、ゲームに言語依存がないことです。できるだけアイコンで示し、日本語のテキスト情報をコンポーネントに使わないようにすると、海外にチャンスが広がると話されています。
まとめ
新作トリテの予約が海外に偏ったという一つの気づきから、ゲームマーケットの立ち位置と、海外に届けるための具体的な打ち手が語られた回でした。ジャンル選び、英語対応、早い情報公開が組み合わさったことが要因として整理されています。
- ゲームマーケットは同人・インディーズ即売会として世界最大級で、海外からの注目度が高い
- 日本のスモールパッケージは、コンパクトで安価ながら洗練されていると海外で評価されている
- 今回の予約増は、トリテというジャンル、英語説明書、早期掲載、早期予約受付の組み合わせが要因と考えられる
- 海外客は前もって計画・相談するため、同じ人が繰り返し買い付け予約する動きが見られた
- 英語対応と早めのプロモーション、言語依存のないデザインが、海外展開や出版デビューへの鍵になる





