初参加で気づいた「素人だからこそ見える」困りごと
この回のテーマは、ゲームマーケットに感じた問題点です。ただし、運営やイベント自体への批判ではありません。
Manaさんが初めて遊びに行った際に感じた、来場者としての困りごとを時系列で振り返る内容です。
素人ながら参加した時にしか気づけないものが結構あった、とManaさんは話します。初参加者は同じように感じる人が多いのではないか、という問題意識が出発点になっています。
ゲームマーケットには、事前調査や前準備をせずに参加したそうです。イベント自体も初めてで、まずは様子を見てみようという軽い気持ちで、荷物も軽装で向かいました。
見えない・読めないブース、話しかけられない売り子
最初に驚いたのは、オープン前からの長蛇の列でした。会場の外までずらりと並ぶ様子に期待感が膨らんだといいます。
入場後は会場の熱気に圧倒されつつ、広い会場をできる限り多く見て回ろうと、カタログを見ながらルートを考えました。
ところが最初に困ったのが、人が多すぎてブースが見えないことでした。何か売っていそう、やっていそうとはわかるものの、それが何なのかが見えなかったのです。
なんか売ってそうっていうのはわかります。なんかやってそうっていうのもわかります。ですけれども、それが一体何なのか、はたから見てわからないわけですよ。
大きな旗を掲げるブースもありましたが、人で下が隠れて上しか見えません。誰もいない時に一番きれいに見えるデザインが、混雑時には人で覆われてしまう、とManaさんは分析します。
見えなくなるのを避けようと、高い位置にチラシやPOPを貼るブースもありました。しかし高い位置では大きく印刷できないのか、文字が小さくて結局読めなかったといいます。
気になったブースをしっかり見ようと考えていたのに、気になる要素そのものが見えない。前半はひたすら人混みを避けて歩くだけになってしまいました。
この体験から、人混みの中で売り子が立っている状況でどうアピールするかは、出展する上で考えなければならない点だと今は感じている、と振り返ります。
人が多くても少なくても話しかけにくい
歩くだけでは進まないため、人が多いブースは人気で失敗がないだろうと考え、頑張って近づきました。
しかし売り子も来場者も忙しそうで、話を聞ける雰囲気ではなかったといいます。話を聞くにも並ぶ必要があり、どんな商品かわからないものに限られた時間で並ぶのはためらわれ、退散してしまいました。
今度は逆に、人が少ないブースを見て回ることにしました。ところが人が少ないところはスタッフも少なく、いわゆるワンオペのような状態が多かったそうです。
近づいても、他の客と試遊していたり、スタッフ同士で話していたり、時にはスタッフ同士でゲームをプレイしていたり、座ってスマホをいじっていたりしました。話しかけたら邪魔になりそうだと感じ、ここでも退散してしまいます。
がっつりスタッフ同士が向かい合って深く話し込んでいるとか、そういったものってやっぱりちょっと話しかけにくいなっていうふうに思いました。
いつでも話しかけていいというオーラがあれば別ですが、深く話し込んでいると、来場者は声をかけにくいのだといいます。
説明書が入っていない試遊卓と、誰がスタッフか問題
個々のブースではなく、試遊卓がたくさん並ぶ大きなエリアに行けば、いろいろ吟味できると考えました。試遊卓は、売っている商品が置かれ、自由に遊んでいい形式だったといいます。
ようやく空いた試遊卓に座り、箱を開けてみると、説明書が入っていませんでした。
じゃあよし遊んでみようって思って箱を開けたんですね。そしたら説明書入ってなくてですね。どうしようっていう風に思いまして。
ルールを聞こうにも、そのエリアでは共通のTシャツを着ているわけでもなく、誰がスタッフなのかもわからなかったといいます。
スタッフらしい動きをしている人は忙しそうで声をかけにくく、ネットで説明書やプレイ動画を探しても見つかりませんでした。結局、遊び方がわからないまま、ここでも退散することになります。
行けば買えると思っていたのに、次々と売り切れ
そうこうするうちに混雑が和らぎ、各ブースの様子が見えるようになってきました。面白そうな旗を見つけて話を聞きに行こうとしたところ、面白そうなものはことごとく売り切れていました。
初めて行った人からすると、行けば買えると思ってたんですよ。売ってるしみたいな。
こんなに早く売り切れるとは思っていなかった、とManaさんは振り返ります。製造費や在庫リスクを考えれば売り切る量が最適なのかもしれない、とも理解を示します。
一方で、現場で売り切れることは機会損失につながると指摘します。売り切れている時点で、もっと売れるポテンシャルはあったはずだからです。
現場では十分戦える量を作り、余ったら通販に回すのが今は多い動きではないか、とManaさんは話します。売り切れたら成功と考える出展者もいるかもしれませんが、見定めをしっかりしたいと自身の教訓として語りました。
さらに、Manaさんが行ったのは日曜日でした。土曜に多く売れて残ったものを売っていた面もあるのかもしれない、と推測しています。
袋がない、個包装もない。両手がふさがる絶望
ようやく購入できたものの、次の困りごとが待っていました。商品を買えば袋がついてくると思い込んでいたのに、生身のまま渡されたのです。
袋があるか尋ねても、袋はないと言われました。すでにチラシで手がいっぱいで、袋が欲しくて購入したという面もあっただけに、商品とチラシで両手が完全にふさがってしまったといいます。
もう絶望ですね。今日ここからどうしよう、何しよう、もう何もできないじゃんみたいな感じでしたと。
この経験から、Manaさん自身のブースでは手提げ袋を用意しているそうです。全商品を袋に入れて渡すわけではないものの、袋が欲しいと言われたら断らずに渡せるよう、常備しておこうと考えているといいます。
両手がふさがったため、その後のミッションは面白いボードゲームを探すことではなく、袋を手に入れることになってしまいました。ビジネスの展示会のようにパンフレットを袋で配るブースを探し、なんとか袋を入手したそうです。
裸で渡される商品と、包装がないことへの衝撃
袋を手に入れて周回を続ける中で、もう一つの衝撃がありました。個包装が当たり前ではなかったことです。
シュリンク包装 ── 商品を薄いフィルムで包み、熱で収縮させて密着させる包装方法。開封前の状態を保ち、汚れや傷から守る役割があるやOPP袋 ── 透明で光沢のあるフィルム製の袋。商品を1つずつ入れる個包装によく使われるに包まれておらず、蓋がパカパカのまま渡された商品もあったといいます。
袋の中で内容物が混ざり、崩れてしまったそうです。この経験から、Manaさんは自作品を少なくともOPP袋で個包装し、全商品を袋入りで用意していると話します。
終了1時間前、買おうとしたブースにもう誰もいない
予算に余裕がなかったため、途中からは面白いと思っても即購入せず、一旦検討して厳選する方針に切り替えました。
休憩室で買うものを決め、終了の1時間ほど前に、いよいよ買おうとブースへ向かいました。ところが、そこにはもう誰もおらず、机だけが残っていたのです。
僕的には、現場の終了時間まではみんな開いてるもんだと思っていたんですね。ちゃんとお店っていうようなイメージでしたから。
周りを見ると、片付けを始めている人たちがいました。急いで買いたいブースを回っても、いない、売り切れ、話し込んでいて声をかけられない、という状況が続き、思うように買えませんでした。
この経験からManaさんは、多少の整理は始めても、完全に終了となるまではブースに立っていようと心がけているといいます。前半に話を聞いて後で戻ってくる来場者は実際にいるからです。
外は土砂降り。包装がないことが致命傷になる
現場が終わり外に出ると、土砂降りでした。ボードゲームは基本的に紙製で、個包装されていない商品を袋に入れて大荷物で持っている状態です。濡れたら最悪だと、抱きかかえて帰ったといいます。
この体験からも、せめて個包装があれば全然違ったと振り返ります。完全なシュリンクでなくても、チャック袋でもいいので、濡れても傷んでもいいような包装が欲しいという結論です。
家に帰るとチラシはただのゴミになる
帰宅すると、あんなに楽しげに集めたチラシに、もう興味がなくなっていたといいます。疲れ切って、買いたいものを買った後では、チラシはただのゴミになってしまったのです。
会場では検討や参考のために持ち帰ろうと思ったチラシも、家に帰る頃には作品名もブース名も忘れていました。買えなかった商品を後で調べたり通販を探したりもしなかったそうです。
後日SNSで見かけて「あの時買えなかったやつだ」と思い出すことはあっても、その時は通販を待つ動きまではしなかった、と振り返ります。チラシはその場のコミュニケーションツールとしては有効でも、使い勝手は難しいと考えました。
そこでManaさんは、現場でどれだけ通販に誘導できるかを工夫したいといいます。買えなかった人に、通販の日程やQRコードを渡していれば取っておこうと思えるからです。
売り切っちゃった後は次に売るための施策みたいな、そういった形でいいからブースに立っていると、やっぱりファンや遊んでくれる方は増えていくんじゃないか
初参加者が増える今、来場者目線のケアを
Manaさんは、当時カタログやゲームサイトも見たものの、参考にならなかったと振り返ります。カタログのブースカットではどんなゲームかわからず、サイトも全作品が載っているわけではなく、内容も出展者によってばらつきがあったからです。
結局、その場で見て考えようという方針になり、予約もせず、大きなカバンも持たず、身軽で参加しました。
来場者数が増えている今、初めて参加する人も増えていくはずだ、とManaさんは指摘します。当時の自分と同じ感覚を得る人は少なくないだろう、と考えています。
特に日曜日はファミリー層が多いと聞くため、初参加の人が多いのではないかと推測しています。
強固なボードゲーマーだけをターゲットにするなら今の形でもよいかもしれません。ただ、広く楽しく遊んでほしいと考えるなら、初参加者のことも考えたい、というのがManaさんの立場です。
まとめ
ゲームマーケット初参加で困った体験を時系列で振り返り、出展側が見落としがちな来場者目線を掘り下げた回でした。見せ方、話しかけやすさ、売り切れ、包装、撤収のタイミングなど、慣れた人には当たり前でも初参加者には壁になる点が具体的に語られています。
- 混雑時はブースが見えず読めない。売り子が立った状態でのアピール方法を考える必要がある
- 人が多くても少なくても話しかけにくく、いつでも話しかけていい雰囲気づくりが鍵になる
- 売り切れは成功にも見えるが、機会損失にもなりうる。量の見定めと通販誘導を意識したい
- 袋や個包装がないと来場者は困る。雨や持ち運びに備えた最低限の準備が体験を左右する
- 来場者が増え初参加者も増える今、広く遊んでほしいなら来場者目線のケアが重要になる





