ゲムマ3回の壁とは何か
番組「ボドゲの天下取り」のこの回のテーマは「ゲムマ3回の壁」です。ボードゲーム制作者の多くが、ゲームマーケット3回目に出展するまでにドロップアウトしてしまう、という話が語られています。
ゲームマーケットの出展者は年々増えていると聞くものの、その増え方は徐々にとどまっているといいます。新規参入が多い一方で、途中でやめてしまう人もそれなりにいるためだと考えられます。
みんながみんな毎回ちゃんと出続けるという形なら、出展者はもっともっと増えていくと思うんですね。
最初に思いつく作品は、だいたい3つで尽きる
3回が壁と言われる背景として、まず「最初に思いつく作品数」の問題が挙げられています。多くの人は一つの作品を思いついて、どうせなら出してみようという形で活動を始めるといいます。
ほとんどの人が、一つの作品が思いついて、これを一旦作ってみよう、どうせ作るならゲームマーケットに出してみよう、そういうふうに活動を始めた人がほとんどなのかなと思います。
大抵はメインの作品が一つあって、あとは「これも面白いよね」というものが2〜3個ある程度だといいます。いきなり10個も20個も思いついて出していく人は稀だという指摘です。
問題は、その初期に思いついたネタが3つほどで尽きてしまう点にあります。作りたかったものを3つ出し切ると、4つ目、5つ目を追加で生み出していくのが難しくなるといいます。
もう作りたいと思っていたものが3つで全部完了してしまうと、4つ目、5つ目という風に作っていくのがなかなか難しい。
ゲームマーケットごとに新作を出すと考えると、初期に思いつく3つが一つの仕切り、一つの壁になっていると語られています。
1回目と2回目は、作品さえあれば出やすい
1回目の出展は、記念や思い出、自分が面白いと思うから作りたい、どうせ作ったなら出してみよう、といった動機で踏み出せるといいます。むしろ3回のうち1回目が一番の壁で、1回出してやめてしまう人も多いという指摘もあります。
2回目については、すでに2つ目の作品を思いついているかどうかが分かれ目になります。次の作品があれば、1回目の結果が思ったほどでなくても、それを無視して挑戦しやすいといいます。
(次の作品が)思いついているのであれば、2回目は結構比較的出ると思います。
つまり1回目で終わるか2回目まで行くかは、実績の良し悪しよりも「すでに作りたい作品があるかどうか」がポイントになると語られています。
1作品目
記念や思い出、面白いと思う気持ちで出しやすい
2作品目
すでに思いついていれば、1回目の結果に関係なく出やすい
3作品目
1回目・2回目の結果を意識せざるを得ず、壁になる
3回目が最大の壁になる理由
1回目、2回目は作品さえあれば出やすい一方、2回目も思ったような結果が出なかったときに、3回目を出すハードルが一気に高くなるといいます。「2回だめなら3回目も一緒だろう」と考える人が多いためです。
さらに、ゲームマーケットは年2回あるため、2回出るとちょうど1年になります。秋・春と出て、次の秋をどうするかを考えるときに、それまでの実績を振り返ることになるといいます。
自分が思ってたものと違うよねという風になると、ちょっとそこで見送ろうかな、まだ在庫残ってるしな、そういった考えに至ると思います。
3回目を出せる人は、毎回連続でなくても間を開けて出したりと、長期的に続けられる人が多いといいます。3回目を出せるか出せないかで、制作を続ける人がふるいにかけられると語られています。
1年で変わる生活環境という壁
最初は連続で出すぞ、制作で食っていくぞと勢いがあっても、1年も経つと生活環境が大きく変わることがある、と指摘されています。
忙しさのバロメーターとして、学校や職場が忙しくなることが挙げられます。加えて、結婚した、彼女ができた、新しい趣味ができた、引っ越した、転職したなど、さまざまなライフイベントが起こりうるといいます。
プライベートの環境が変わっても創作活動を続けるかどうか、その節目としても1年、つまり2回の出展というタイミングが効いてくると考えられます。
楽しかったはずの創作を、なぜやめてしまうのか
そもそもボードゲームを作ろうと思ったときは、とてもワクワクしていたはずだと語られます。実際に作り、初めて出展してお客様に買ってもらう体験は、非常に楽しいものだといいます。
自分が思っていたものを最大表現して、それでいいなって思ってもらえる人たちに買っていただいて、フィードバックも得る。これってとっても楽しいものだと僕自身も思っております。
楽しかったはずなのにやめてしまう根本的な原因として挙げられるのが、自分のペースや趣味の範囲で創作できていなかった、頑張りすぎてしまった人だという見立てです。
創作活動は仕事ではなく、自分のお金とプライベートの時間を投じて行うものです。そこで無理をすると、趣味として楽しんで続けることが難しくなってくると語られています。
製造原価と「作りすぎ」がリスクになる
無理をしてしまう典型が資金面です。たくさん売ろうと思うきっかけの一つに、ボードゲームの製造原価の構造があると指摘されています。
小ロットで作れば原価が高くなり、利益が出にくくなります。逆に単価を抑えようと初期ロットを多めに刷ると、作れば作るほど原価は下がりますが、そのぶん投資額が大きくなります。
どうせ売るんだし、これって面白いはずだし、長期的に売っていくんだし、ちょっと多めに作った方が全然いいんじゃないのか。そういったところで無理してしまう人がいるのかなと思います。
無理をすると、否が応でも販売数を意識せざるを得なくなります。初期投資が高いほど、回収できなければ次の作品を出すときの負担も大きくなるといいます。
さらに、売れ残った在庫の山は数値以上に物理的に効いてくると語られます。最初は「全部売るぞ」と気合が入っても、期待した結果が出ないと家に在庫が残り、メンタルにこたえるといいます。
こんだけ売れ残っちゃったみたいな、この在庫の山どうしようとか。で、そのうち邪魔だなみたいな、そういう風になってきてしまう。
その状態で在庫をさばくために2回目も同じだけ製造すると、使えるお金や余剰資金を使い切ってしまうといいます。ボードゲームの初期製造費は高く、余裕で何百万と飛んでいくこともあると語られています。
プロモーションの頑張りすぎと燃え尽き
無理をしないという話は、プロモーションや宣伝活動にも当てはまります。初めての出展では気合が入り、X上の宣伝、自薦他薦への応募、インフルエンサーの募集企画への応募など、オンラインの活動を頑張りがちだといいます。
さらに試遊会に出たり、イベント前の宣伝やチラシ作りなど、販促活動に時間をどんどん奪われていきます。その結果、燃え尽き症候群になってしまう場合もあると指摘されています。
頑張った分だけ期待値が上がるので、思った結果じゃなかった時に、こんなに頑張ったのにとか、時間に対してリターンが合わないなとか、考えていってしまうんですね。
もともとは作るだけで楽しい、遊んでもらえて楽しい活動だったはずが、数字を追いかけ始めると一気に義務感や辛さに変わっていくといいます。
見てしまう数字には、初期費用のほか、Xのフォロワー数、実際の頒布数などがあります。これらを追うと、多くの人がつらくなってしまうのではないかと語られています。
小ロットで繰り返す——無理なく続けるコツ
ヒット作が3回以内に出たらすごいことで、初出展から大ヒットを飛ばすのはレアケースだといいます。初めて作ったものや2〜3回目でヒットを狙う時点でおこがましいのではないか、という自省的な見方も示されています。
だからこそ、はなから大ヒットは無理だと考え、自分が作って楽しい範囲でやり、実際の結果を見ながら初期の製造数を調整していくのがよいと語られています。
利益率がそれほど高くなくても、小ロットにこだわるべきだという主張です。小ロットで繰り返し出す方が長く続けられ、市場の反応を見て追加製造をコントロールできるためです。
原価は下がるが投資が大きく、在庫や資金面のリスクが高まる。完売前提で儲けを見込みがち。
利益率は下がるが、市場の反応を見ながら追加製造を調整でき、長く続けやすい。
赤字が続くと続けられなくなるため、販売する以上ある程度の利益率は確保すべきだとしつつ、「たくさん売れたらたくさん儲かる」という水準まで初めから狙う必要はないと語られています。
押し売りしない宣伝と、楽しさを守るという結論
プロモーションも過度に結果を期待せず、「面白いものを作りました、欲しいと思ってくれる人を探しています」くらいの感覚でよいといいます。求めていない人にまで押し売りしようとすると、ハードルが一気に高くなるという指摘です。
求めていない人にまで押し売りをしよう、なんとか広めていこうと考えると、一気にハードルも高くなってきてしまいますし、難しいのかなというところですね。
ごり押しをすると変な反応を受けることも増え、そこで心をやられてしまう人もいるといいます。だからこそ、せっかく楽しい創作活動を、無理せず楽しいままできるだけ維持することが、続けられるコツだと結論づけられています。
ゲームマーケット3回目に出るかどうかは、こうした姿勢で進められているかの一つのポイントになります。その壁を越えると、別の視点での創作の楽しさや市場からの評価も得られてくると語られています。
まとめ
ゲムマ3回の壁の背景には、初期に思いつく作品が3つほどで尽きること、2回で1年が経ち生活環境や実績を意識せざるを得なくなることがあります。根本の原因は「無理をしてしまう」ことで、小ロットで繰り返しながら楽しさを守ることが続けるコツだと語られました。
- 初期に思いつく作品はだいたい3つで尽き、3回目の出展が最大の壁になる
- 1回目・2回目は作品さえあれば出やすいが、思った結果が出ないと3回目のハードルが上がる
- 2回で約1年が経ち、生活環境の変化や実績が続行の判断に影響する
- 製造原価を下げようと作りすぎると、在庫と資金面のリスクで無理が生じやすい
- 利益率が下がっても小ロットで繰り返し、押し売りせず楽しさを維持することが続けるコツ



