「安い版」とは何を指すのか
この回のテーマは「安い版を先に出すのもあり」です。まず前提として、Manaさんは安い版を通常の製品版と対比して定義しています。
製品版は、コンポーネントの素材や質にこだわった正規版のことです。それに対して安い版は、コンポーネントの質を落としたり、ものを小さくしたり、外箱をチャック袋のような簡易的な包装にしたりして、製品版より安くしたものだと説明されています。
製品版のあとに安い版、という王道の流れ
一般的な流れとして、ゲームマーケットなどでしっかりした製品版を先に出し、人気が出たら安い版や持ち運びに便利なサイズを作る、という展開が挙げられます。
もう一つのきっかけとして、大量にロット製造すると端数や余りが出るため、その有効活用として安い版を出すパターンもあると話されています。
こうした安い版は、製品版として人気が出たうえで、その価格ならどうかと考えるユーザーに安く届け、裾野を広げる戦略だとManaさんは整理しています。
初期ロットの重さと「逆」の発想
この王道に対して、Manaさんは最近、逆のパターンもありなのではないかと考えていると述べます。
背景にあるのは、ゲームマーケットでよく話題になる悩みです。初期ロットの製造費が重い、どれくらい作ればいいかわからない、売れるかどうかは結局運でガチャ要素がある、といった声が挙げられています。
売れるか売れないかって結局運だよね、結局ガチャ要素あるよねみたいな、そんな話とかも結構あったりする
だからこそ、安い版を先に出すのも十分ありなのではないか、というのがこの回の中心的な問いかけです。
安い版でテストマーケティングをするという狙い
安い版を先に出す最大のメリットとして挙げられているのが、テストマーケティングです。
Manaさんによれば、パッケージが簡素でも買ってくれるのは、ボードゲームファンや制作サークルのファンといった、熱量の高いユーザーだといいます。
一方で一般層は、ちゃんとした製品でないと刺さりにくいと指摘します。まだファンでない人も、自信を持って出せる本ちゃんの製品でないと届きにくいという整理です。
そこでまず、簡易なものでも買ってくれる近しいユーザーに安く提供し、そこでテストマーケティングを図るというやり方が提案されています。
こうしたユーザーは、ゲームルールやシステム、ゲーム本来の面白さに注力している層でもあるため、まずそこで試す意味があると話されています。
製品版と安い版でコストはどう変わるか
コスト面でも、安い版を先に出す発想には合理性があるとManaさんは説明します。しっかりした製品版を小ロットで作ると、単価が高くなってしまうためです。
例としてアブストラクトゲームが挙げられます。製品版なら、ボードを厚紙でしっかり作り、コマもできればオリジナルで用意し、大きめの化粧箱に入れる、といった形になり、製造費もロットも増えていきます。
これに対して安い版は、ゲームとして遊べればいいレベルでよいという考え方です。厚紙のボードをポストカードなどの安い印刷に切り替えれば、サイズも小さくなります。
コマは既製品を寄せ集め、外箱は最低限入るチャック袋を活用するといった具合です。こうすれば小ロットでも作りやすいと話されています。
厚紙のボード、オリジナルのコマ、大きめの化粧箱。質は高いが製造費が重く、小ロットだと単価が上がる
ポストカードなどの安い印刷、既製品のコマ、チャック袋の包装。遊べればよいレベルで、小ロットでも作りやすい
価格の目安として、製品版が3000円するものでも、簡易版なら1000円や500円で売れるパターンもあるのではないか、とManaさんは述べています。
先に売ると製品版の売上は食われるのか
安い版を先に出すと、ファンがすでに買ってしまい、あとから製品版を出しても売上が伸びないのではないか、という懸念が想定されます。
これに対してManaさんは、熱量の高いファンなら、簡易版で遊んで面白ければ、厚紙のボードなどちゃんとしたものが欲しくなっていくと考えています。
ポストカードのもので遊んで面白かったってなったら、厚紙のボードですとか、ちゃんとしたもの欲しくなっていくと思います
さらに製品版では、バリアントルールを足したり、拡張版的な位置づけにしてもよいと補足されています。
むしろ逆のリスクも指摘されています。いきなり製品版を買わせて一度遊んで終わりになると、割高感を味わわせてしまい、次を買ってもらえなくなる恐れがあるという見方です。
だからこそ、簡易版を安く数量限定で先行発売するのは、買う側にとってもメリットになり、双方winwinではないかとまとめられています。
モックやプロトの段階から売ってみる
Manaさんは、しっかり製品版を作ってゲームマーケットで勝負するやり方も当然ありとしたうえで、さらに前段階からの販売にも触れます。
たとえばテストプレイ途中のモック版を超激安で売る、テストプレイ会に持っていくだけでなく、その段階で欲しい人に軽く販売してみる、といった発想です。
これはManaさん自身もまだ試していないと断ったうえで、そこで市場調査をして、いけるかどうか、だめなら何が悪かったのかを改善してから製品化に挑む流れが語られます。
反響が良ければ製造ロットを多めにするなど、どれくらい作ればいいかが見えてくる点も利点として挙げられています。
安い版を出す
ポストカードやチャック袋の簡易版を小ロットで安く販売する
反応を見る
ファンやボードゲームファンの評価・売れ行き・口コミを確かめる
改善する
だめなら何が悪かったかを見直し、良ければ製造ロットの見当をつける
製品版を出す
リッチなコンポーネントの製品版を一般ユーザー向けに正規価格で販売する
誰に向いた戦略で、ブースでどう活かすか
一方でManaさんは、この戦略が向く人を限定してもいます。チャック袋だけの商品をゲームマーケットに出しても、人通りが少なくなってしまう面があるためです。
そのため、すでに製品版をいくつか出し、固定のファンがある程度ついている人向けの話かもしれない、と補足されています。しっかりした製品が並んだうえで、次回作の簡易版や先行版を同じブースで売るのがよいという整理です。
ブース運営の観点も語られます。試遊して買ってもらう流れに重きを置くと回転率が悪くなり、限られた時間で多くの商品を売るゲームマーケットでは難しくなるという指摘です。
そこでManaさんは、当日は販売に特化し、試遊では次のゲームマーケットに出すプロトタイプを遊んでもらう、という使い分けを提案します。
ゲームマーケットとかは当日よりもそれよりも前のプロモーションが重要だよねっていう話よくある
先に遊んで面白ければ次に買ってもらえ、簡易版が売れれば先に口コミも広がります。試遊会に来ない一般ユーザーのリアルな反応を見られる点も、メリットとして挙げられています。
製造数が重い、売れるかわからないと悩む人や、安定的に売って幅を広げたい人に、この戦略を参考にしてほしいと呼びかけられています。Manaさん自身もいつか試して結果をレポートしたいと締めくくっています。
まとめ
この回は、製品版のあとに安い版を出す王道の逆に、安い版を先に出す発想を提案する内容でした。テストマーケティング、初期ロットの軽さ、ブース運営という観点から、簡易版から始める合理性が語られています。
- 安い版は、質を落としたり包装を簡素にしたりして製品版より安くしたもの
- 熱量の高いファンに安い版を先に出せば、低コストでテストマーケティングができる
- 簡易版で満足させず、面白ければファンは製品版や拡張版を欲しくなると考えられる
- モックやプロトの段階で売れば、反応から製造ロットの見当もつけられる
- すでに製品版とファンがいる人向けで、当日は販売、試遊は次回作のプロトという使い分けも提案されている




