答えのないテーマにあえて向き合う理由
この回のテーマは「ボードゲームは商品なのか、作品なのか」という問いです。Manaさんは、これに明確な答えはないという前提を最初に置いています。
きっかけは、Xでこの話題が出ていたことでした。いろいろな人の投稿を見ても、制作者ごとに考え方はバラバラだったといいます。
Manaさんは、この違いはボードゲームへの向き合い方、つまりスタンスの話だと捉えています。何のために作るのか、作ったものをどうしたいのかが人によって違うためです。
いわゆる作品といったものはどう作っていくのかですし、商品といったものはいわゆる売り物ですね。
そのため、この回では「これが正解」という結論は出しません。あくまでManaさん自身の考えとして、スタンスを話していく形をとります。
「作るのは作品、売るのは商品」という軸
Manaさんの考えは、端的に言うと作るのは作品、売るのは商品というものです。言葉通りの整理ですが、この軸で全体を捉えています。
前提として、ボードゲームは1つの要素だけで完成するものではありません。いくつかの要素が組み合わさって成り立っている、とManaさんは説明します。
その中でゲームの根幹にあるのが、ゲームシステムです。Manaさんは、ルールにあたるこの部分が最も重要だと考えています。
ゲームシステムに感じる「芸術性」
Manaさんは、ゲームシステムを緻密に考えながら、何度も試行錯誤して作っていると話します。自分が面白いと思えるものを追求していく活動だといいます。
自分が面白いと思えるようなものを、ある意味探求していくというか、追求していくっていうような活動だと思うんですよ。
Manaさんは、これを自分の感性をどう表現するかの問題だと捉えています。その表現の手法が、たまたまゲームシステムだったという見方です。
だからこそ、ゲームシステムには芸術性のようなものを強く感じるといいます。この点で、ボードゲームは作品と言ってもいいのではないか、というのがManaさんの立場です。
アートワークも「元々作品」だという見方
もう1つの重要な要素として、Manaさんはアートワークを挙げます。ゲームシステムだけでは遊びにくく、ボードゲームと呼ぶのも難しいためです。
アートワークには、イラストやグラフィックデザイン、プロダクトデザインが含まれます。Manaさんは、これらがゲームシステムを最大限に高めてくれると考えています。
さらにManaさんは、イラストやデザインはそもそも著作物であり、著作権が関わるものだと指摘します。つまり元々が芸術作品だという見方です。
イラストとかデザイン自体は、そもそもが元々芸術作品じゃないのかなっていうふうに思っております。
ゲームシステムに芸術性があり、アートワークも元々作品である。この2つから、Manaさんは、ボードゲームを作る活動自体が作品作りだと捉えています。
遊んでもらって初めて完成するという考え
一方でManaさんは、ボードゲームは作ったら終わりではないと言います。作っただけの状態を、完成品と思えるかどうかは別だという感覚です。
自分以外の誰か知らない人が遊んでくれて、面白いなって思ってもらえて、初めてボードゲームといったものが完成する。
つまり、遊んでもらわないと(ボードゲームは)完成しない、とManaさんは考えています。だからこそ、なんとかして遊んでもらいたいという思いが出てきます。
そして遊んでもらうためには、現実的に買ってもらう必要があります。ここで、商品としてのアプローチが必要になってくる、とManaさんは説明します。
「作品」と「商品」が重なるデザインの工夫
商品としてのアプローチでは、作品としての素晴らしさはもとより、商品としての素晴らしさに重きを置くべきだ、とManaさんは話します。どれだけ買って遊んでもらえるかが焦点です。
Manaさんは、具体例としてカードのデザインを挙げます。絵的には数字を別の場所に置きたくても、遊びやすさを考えると左上に置いた方がいい、といった場面があるといいます。
しっかりしたイラストを描くのは作品作りですが、数字を左上に置くような判断は遊びやすさのためのものです。Manaさんは、これを商品作りに近いと捉えています。
その辺からちょっとクロスオーバー的に重なってくるんだなというふうに捉えておりますね。
このように、Manaさんは作品作りと商品作りが完全に分かれるものではなく、デザインの工夫の中で重なり合ってくると考えています。
作品と商品は「矢印の向き」が違う
Manaさんは、作品と商品の違いを「矢印の向き」で説明します。作品は自分自身の感性と向き合い、それを表現することに重きを置くものです。
一方で商品になると、自分自身よりも、多くの人に届くことを意識します。市場のニーズや差別化、ターゲット層に合った世界観を考える必要が出てくるといいます。
自分に向いて自分を表現しようなのか、他者は何が求めているのか、そのためにどういったことができるのか。
自分自身の感性と向き合い、面白いと思えるものを表現することに重きを置く
遊ぶ人が何を求めているかを意識し、市場のニーズや差別化を考える
Manaさんは、どちらか一方ではなく、両方が必要だと強調します。作品も商品も作らなければならず、それが合わさって初めてボードゲームが完成するという考えです。
チームだからバランスが取れる、一人なら自分のスタンス
Manaさんは、作品作りと商品作りが役割分担できていると、チームとしてバランスが良くなると話します。互いに意見をぶつけ合いながら作ることが、強いチームにつながるという見方です。
ただ、チームでボードゲームを作っている人はそこまで多くないとも言います。多くの場合、自分一人でそのバランスを取っていくことになります。
一人だと、どちらに重きを置くかは自分の感性やスタンスに委ねられます。作品作り70パーセント、商品作り30パーセントの人もいれば、その逆の人もいるといいます。
Manaさんは、こうした違いがあるからこそ、Xでも作品だという意見と商品だという意見の議論が盛んになっていたのだろうと捉えています。
Manaさん自身は、娘さんと2人でボードゲーム制作をしています。作り手としては作品というイメージがありつつ、しっかり売るなら商品の意識も大事だ、と娘さんと話したそうです。
なぜ「売り方」を発信するのか
Manaさんは、自分がどう作ったかという制作論は、自分との向き合いなので言葉にしにくい部分があると話します。デザイナーズノートとして興味を持ってもらえたら嬉しい、というくらいの位置づけです。
一方でManaさんは、制作論だけでは誰かの価値提供につながるか疑問だと考えています。そこで、どう売るか、どうアプローチするかを情報として発信することに意義を感じているといいます。
これが、番組「ボドゲの天下取り」で何を話すかを考えたときの動機にもなっています。ボードゲームの考察に加えて、ビジネス的な視点を届けたいという思いです。
もう売っていくってなった時点で、もうビジネスだと思いますから、そういったアプローチはどうしていったらいいのか。
最後にManaさんは、このテーマ自体が良い機会だったと振り返ります。ふんわり思っていたものを言語化し、自分のスタンスを整理できたことを、良いテーマだったと話していました。
まとめ
Manaさんは「作るのは作品、売るのは商品」という軸で、ボードゲームは一方だけでは完成しないと整理しました。作品と商品は対立ではなく、矢印の向きが違うだけで、両方が合わさって初めて完成するという考えです。
- Manaさんのスタンスは「作るのは作品、売るのは商品」
- ゲームシステムには芸術性があり、アートワークも元々作品だと捉えている
- ボードゲームは遊んでもらって初めて完成し、そのために買ってもらう商品の視点が必要になる
- 作品は自分に向き、商品は他者に向く。矢印の向きが違うだけで、どちらも必要
- 一人で作る場合は作品と商品のバランスを自分のスタンスで決めることになる



