そもそも「持ち込まれる」ところから勝負は始まっている
番組「ボドゲの天下取り」ことボド天は、ボドゲで天下を取るためにビジネス的な視点を交えて考察するチャンネルです。今回のテーマは「ボドゲ会で選ばれるには?」です。
ボドゲ会は全国各地で有志の集まりのもと開催されていて、自作がそこで遊ばれると口コミが広がっていくとManaさんは話します。
ただし、作ったボードゲームが自動的にボドゲ会で遊ばれるわけではありません。一つの会で遊べる量には限界があり、いろんな人がゲームを持ち込む関係上、物理的な持ち込み量には制限がかかります。
ボードゲームって持ち込むっていうところがやっぱり一番重いというか、大変なんですね。
そんなに大量に持ち込む人はいないので、その中で「これを持っていこう」とまず思ってもらえるかどうか。そもそも持ち込まれないと絶対に遊べないという前提が、この回の出発点です。
ボドゲ会自体で何を遊ぶのかで選ばれるっていうのもそうなんですけども、そもそも持ち込まれないと絶対遊べれないですよね。
なお、ゲームマーケット直後などは新作をとりあえず持っていく傾向があります。ただ新作は一度遊ばれたら終わりになりがちなので、旧作でも常に持ち込みとして選ばれ続けることが望ましいと考えられています。
主催者と参加者、持ち込む理由はこう違う
ボドゲ会に関わる立場は、大きく2種類に分けられるとManaさんは整理します。1つは会を開催して人を呼び込む主催者、もう1つはその会に参加して持ち込む参加者です。
主催者は、参加してくれた人をおもてなしする必要があります。そのため「参加者が何も持ってこなくても遊べるように用意しておく」という観点で作品を選びがちです。
一方で参加者は見方が違います。いろんな人が持ち込む場なので、他の人と被らないかどうかが重要な要素になってきます。
参加者が何も持ってこなくても遊べるよう、おもてなしのために幅広く用意する
他の人と被らず、自分がインストしやすい作品を持ち込む
なお、みんなが遊んでみたい話題の新作は、主催者が代表して持っていくこともあります。ただしシーズン的に特殊なので、今回の考察からは外して考えています。
主催者に好まれるのは「定番」と「立ち回りのよさ」
新作を除いて考えたとき、主催者の持ち込みでまず重要になるのが「定番であること」だとManaさんは話します。
ボドゲ会では同時に何卓も立ったり、2人・3人・5人とプレイ人数がバラバラだったり、終わり時間もまちまちだったりします。主催者はそのすべてに対応する必要があります。
知らない作品ばかりだと「ちょっとの隙間で何を遊ぼうか」となったときに困るため、定番作品も重要です。
みんなが共通認識でこれやろうか、いいねってすぐなれるっていったようなところ、いわゆる立ち回りがいいっていったものも結構主催者は好むような印象がありますね。
共通認識ですぐ遊び始められる立ち回りのよさや、使い勝手のよさが、主催者の選ぶ基準になっていると考えられます。
なぜボブ辞典はボドゲ会で重宝されるのか
Manaさんが具体例として挙げるのが「ボブ辞典」です。いい意味で使い勝手がよく、ボドゲ会に持ち込む人がとても多く、しかも参加者よりも主催者側が持ち込むケースが多いと話します。
なぜ持ち込まれるのか。プレイ時間が調整しやすく、プレイ人数も調整しやすく、ルールが簡単でコミュニケーションが取れるタイプで、持ち運びも楽な小箱。1個持っていくだけで、いろんな状況に対応できる点がそろっています。
シチュエーションの面でも強みがあります。ボドゲ会には知らない人も参加し、その場で初めまして同士で遊ぶことも多いため、いきなりガッツリしたゲームは厳しい場面があります。
フランクなものですと、まず簡単な会話から始められて、ちょっとしたその意外性だとかでわっと盛り上がって、まずコミュニケーションをとるといった部分ではとても最適なんですね。
人数がバラバラだったり遅刻者がいたりする開始時に、自己紹介も兼ねてボブ辞典を遊ぶパターンが多いといいます。ルール説明が簡単で、軽く盛り上がれるのが利点です。
さらに、遅刻してきた人も途中から参加しやすく、人数がそろったら別のゲームに切り替えることも簡単です。隙間時間を埋める役割も果たせます。
同じように使い勝手がいいものとして、Manaさんは「なんじゃもんじゃ」や「音速飯店」も挙げています。人数の幅があり、やめたいときにすぐやめられ、ルールが簡単で、難しいことを考えなくても盛り上がれる作品です。
主催者が見る3つのスペック情報
主催者はおもてなしのため、いろんな条件に対応する必要があります。特に重要になるのがボードゲームのスペック情報だとManaさんは話します。
Manaさんの言うスペック情報は大きく3つ。プレイ人数、プレイ時間、対象年齢です。
2人用から大人数向けまで、誰が来ても対応できるよう幅を持たせる
軽ゲーから重量級まで、卓の回転や合流に合わせて調整する
小さな子から大人まで、幅広い年齢層に対応できるようにする
ボドゲ会は年齢層も幅広く、誰が来ても立ち回れるよう用意しておく必要があります。たとえば最初に1人だけ来てその後みんなが遅れてくると2人きりの時間ができるため、大人数の会でも2人用ゲームは持っておくべきだといいます。
人数がそろえば大人数向けが必要になり、卓が合流する場面もあります。そのため2人・3人・4人・5人、多いものだと8人と、網羅的に持っていく傾向があります。3人から8人まで対応など、プレイ人数の幅がある作品も好まれます。
プレイ時間も重要です。何卓も同時に回すと、どこでゲームが終わるかによって参加者のシャッフルや合流を調整しやすくなります。サクッと終わる軽ゲーと、じっくり遊ぶ中量級・重量級のバランスが必要だと考えられています。
短い時間だと回転が多くなるため、重めは少なめ、軽めは多めに持っていくパターンになるといいます。
対象年齢も同様です。表記より小さい子でも遊べる場合があるなど実際のイメージも大事で、漢字だらけで難しかったり点数計算が複雑すぎたりするゲームは、主催者としては敬遠しがちだとManaさんは話します。
同じ枠の中で選ばれるカギは「インストの簡単さ」
スペック情報で振り分けられた後、その枠の中でさらに選ばれるにはどうするか。ここでManaさんが最重要級に挙げるのが、ルール説明、いわゆるインストの簡単さです。
主催者が用意した未プレイの作品を遊ぶとき、インストに時間がかかるとボドゲ会自体がダレてしまいます。参加者のルール理解度もバラバラで、経験者と未経験者の格差をサクッとなくさないと楽しめません。
これは軽ゲーだから簡単なのか、重ゲーだから難しいのかっていうような違いではないです。同じような重さのものであっても、やっぱりルールの説明のしやすさ、しにくさといったものはやっぱりあると思います。
ルールが複雑に絡み合っていたり点数計算が複雑だったりする作品は、腰を据えて遊ぶ仲間内には向いても、不特定多数が参加するボドゲ会では選ばれにくいと考えられます。
面白いゲームを作るのはもちろんですが、インストのしやすさや説明書の簡単さも意識するとよいのかもしれない、とManaさんは話します。
他と被らない「圧倒的な差別化」が持ち込みを決める
全部を持っていくことはできないため、主催者は目的やシチュエーションごとに1つずつ作品を割り当てて考えます。同じ目的・シチュエーションのゲームを複数持っていくことは、まずありません。
そうなると、ゲームシステムやジャンルでもバリエーションを持たせたくなります。ゴーアウト系、アブストラクトなど、系統違いで持っていこうと考えるわけです。
人数・スペック情報・シチュエーション・ゲームシステムがそろったうえで、いかにユニークか。ここでManaさんが挙げるのが、他との違い、つまり差別化です。
何かの亜種や劣化版のような作品は、メインの作品を持っていけば事足りてしまうため、ボドゲ会では持ち込みとして選ばれにくいといいます。
ここで重要になってくるのが圧倒的な差別化ですね。このゲームはこういった場合にはもうドンピシャですみたいな、それが刺さる層が世の中的に少なかったとしても、ボドゲ会には持っていかれるっていったところもあります。
何かに特化したものや他とは違うものは、好きな人がいるかもしれず、遊んだことがない人も多いため、比較的選ばれやすい面があると考えられています。
参加者が持ち込むのは「個人にズバッと刺さる」作品
差別化は主催者側だけの話ではありません。ボドゲ会に参加する人の持ち込みでも重要になります。いろんな人の持ち込みが被るともったいなく、現場で「誰のものか」がわからなくなる恐れもあるからです。
参加者は自分でインストする必要があるため、他と被らないことと、自分がインストしやすいことの2点が重要になるとManaさんは話します。
広くみんなに刺さる作品っていうよりも、やっぱりその人にドバッとズバッと刺さっている作品、個人個人に刺さっているものですね。
刺さった人は、いろんな人と遊びたい、布教したいという欲があり、自分が好きなのでインストもしやすくなります。持っていって他人に刺さらなくても、自分が遊びたいから持っていくパターンもあります。
そのため参加者向けに考えると、市場の大多数を狙うのではなく、ハマる人にはとてもハマる作品が持ち込まれやすいといえます。
広く一般的に、誰が来ても対応できる作品を用意する
個人個人の刺さり具合と、自分のインストのしやすさを重視する
まとめると「面白さ+インスト+差別化」に行き着く
ボドゲ会で遊ばれるには、ゲーム自体が面白いことが大前提です。箱のサイズなどはシチュエーションによって変わるので、そこまで重要ではないとManaさんは整理します。
主催者と参加者に共通して言えるのが、インストが簡単でルールが簡単なこと。そして、他の類似作品と絶対的に違う差別化。これが、まず持っていかれる・選ばれる点になると考えられます。
現場で実際に遊ばれるかどうかは、並べたときのパッケージや事前の話題性など別軸の話で、店頭販売を狙う考え方に近いといいます。そこに行く前の「持っていかれるか」の段階では、インストのしやすさと差別化が重要です。
戦略的に作れるなら、主催者向けか参加者向けかを考えて作るのも一つのテクニックだとManaさんは話します。
作者としての狙いと、「作品だけでボドゲ会」の夢
Manaさん自身も、こうした点をある程度意識していると明かします。同じジャンルに特化すると専門サークルのように認知されますが、Manaさんはできる限りいろんなジャンルを手がけたいと考えています。
アブストラクト、記憶系・メモリー系、心理戦、トリックテイキング、じゃんけん系など、さまざまなジャンルに手を出しているといいます。どこかで刺さった人が、そのジャンルとして持っていってくれることを目指しています。
遊んだ人が作者に気づき、別の会で別ジャンルとして持ち込まれたときに「同じ作者さんだった」と知ってもらえたら嬉しいと話します。
本当私の作品たちだけでボードゲ会ができるぐらいなものになったら面白いなっていうふうにちょっと考えております。
この夢が、今回のテーマを話そうと思ったきっかけの一つにもなっていると明かしています。
なお今回はボードゲーム作者側からの考察のため、主催者や参加者の立場から補足や異論があればコメントやXへの反応がほしいと、Manaさんは呼びかけています。
まとめ
ボドゲ会で選ばれるには、まず「持ち込まれる」段階を突破する必要があります。主催者は幅広い対応力、参加者は個人への刺さりを重視しますが、共通するのはインストの簡単さと差別化です。
- 自作は自動的には遊ばれず、まず「持ち込みとして選ばれる」ことが前提になる
- 主催者はプレイ人数・時間・対象年齢のスペックと立ち回りのよさで幅広く用意する
- ボブ辞典やなんじゃもんじゃなど、状況に対応しやすい作品が主催者に重宝される
- インストが簡単でルールが簡単なことが、選ばれるうえで最重要級の要素になる
- 参加者向けには、他と被らず個人にズバッと刺さる差別化された作品が持ち込まれやすい



