否定的な意見が来ることは、なぜ「いい傾向」なのか
この回のテーマは、否定的な意見をどう捉えるかです。ボードゲーム制作でも、ビジネス的なチャレンジをするときでも、この受け止め方はとても重要になるとManaさんは話します。
Manaさんは、思いついたアイデアを友人やXで惜しげもなく発信するタイプだといいます。アイデアだけでは価値がないと考えているため、止めておかずにどんどん話してしまうそうです。
そうすると、当然ながら否定的な意見もたくさん返ってきます。「こういう理由でできない」「うまくいかないんじゃないか」といった声です。
多くの人はそうした意見を聞くと、微妙なのかなと感じて動くのをやめてしまう。けれどManaさんは、これはかなりいい傾向だと捉えています。
この否定されるっていったことって、めちゃめちゃ実は重要なんですね。
「誰かが思いつくレベル」で終わらせないための逆張り
否定されるということは、いわゆる「できないこと」「できないと思われていること」だとManaさんは説明します。
普通に考えたらできないよね、というものが多いほど、そのアイデアは今の世の中にまだ存在していない可能性が高いといいます。
逆に、少し話しただけで「良さそうだね」とすぐ理解されるアイデアは要注意です。詳細を説明しなくても伝わるということは、誰かしら思いつくレベルだからです。
私が思いつくレベルであれば、本当世の中の誰かは思いつくと。
だからこそ、みんなが否定する、良くないねと思っているものこそ、世の中になかったり、実現している人が少なかったりするのだとManaさんは考えています。
否定的な意見は「課題リスト」であり、参入障壁になる
Manaさんは、否定的な意見を逆に捉えています。できない理由や課題が示されているということは、それを解決できたらどうなるかという問いが立てられるからです。
無理難題であればあるほど超えられない壁になっていますが、それを超えられたら唯一無二になり、ちゃんと特徴として現れるといいます。
それを超えられたとしたら、ほんと唯一無二にもなりますし、ちゃんとそれが特徴っていう形で現れる。
否定的な意見が多いアイデアは、参入障壁がとても高いとも言えます。やろうと思ってもなかなかできない、簡単に真似されないという点が、そのまま差別化になるのです。
反対に、誰でも真似できて世の中にすでにあるものは、価格競争や我慢のし合いに陥りがちです。これはビジネスの世界では当たり前のことだとManaさんは話します。
ボードゲームでも同じで、みんながやっているジャンルで「普通に面白いよね」という程度のものなら、そのゲームである必要はありません。昔から遊ばれているものや知名度のあるもので十分になってしまうからです。
すぐ理解される=誰かも思いつくレベル。真似されやすく差別化しにくい
できないと思われている=まだ世にない。解決できれば参入障壁と特徴になる
否定こそストック。絶賛されると逆に不安になる理由
Manaさんは、否定的な意見が来るほど「これを解決したら面白いことになりそうだ」と、自分の中にストックしていくといいます。
難易度が高いぶん実現までのハードルも高く、時間もかかります。そこですぐに解決しようとするのではなく、アイデアが降りてくるタイミングや、資金ができたタイミングで解決していくそうです。
だから、すごく否定的な意見が来ても全然へこまない。これは自分でも「ぶっ壊れている点」「変だね」とよく言われるところだと語ります。
逆にこんなに話してみんながそれいいね、やろうよってなってたものが全然動かないなみたいな、そういう風な方が微妙だなとは常日頃思っていますね。
この姿勢はボードゲーム制作の現場でも同じです。テストプレイで一発目から大絶賛されると、嬉しい反面、Manaさんは少し心配になるといいます。
すぐに楽しめるわかりやすさは重要ですが、大絶賛されるとそこから進化させにくい。だからこそ、何かしら否定的な意見は欲しいと考えています。
絶賛されたテストプレイほど、別メンバーで試すべき
否定的な意見が出たとき、それをそのまま鵜呑みにして改善するかどうかは別の考えどころだとManaさんは言います。
大事なのは、そう思う人が実際にいるという事実です。それを解決すべきなのか、それとも自分の狙うターゲット層とは違うと割り切るのか、その思考は一度は巡らせた方がいいと話します。
一方で、テストプレイで面白いと言われても、限られたターゲットにしか刺さっていなかったり、たまたまその人たちだから面白かったという可能性も十分あります。
もう大絶賛だ、みんなからOKだみたいに言われたとしたら結構不安になる。
そのため、絶賛されたときこそ、別のメンバーでテストプレイをしてみた方がいいのではないか、というのがManaさんの考えです。
アイデアを発信し、混ぜ合わせて新しいものへ昇華させる
ゲーム作りだけでなく、Manaさんはボードゲーム界隈を盛り上げるビジネスアイデアも常に考えています。Xに投稿すると、面白いねと言われることもあれば、フルボッコに遭うこともあるといいます。
個人的にはもうフルボッコ大歓迎というか。
ただし歓迎するのは中身のある否定です。的外れな否定や人格否定は別で、「過去に同じことを考えたが、こういう理由でうまくいかなかった」といった意見こそ、めちゃめちゃ参考になると話します。
アイデアを発信し続けると、課題が少しずつ解決されていきます。単発では全部を解決できなくても、解決してきたものたちが組み合わさって、まったく別のアイデアに昇華することがあるといいます。
Manaさんはこれをアイデアの「合成」と表現します。世にアイデアを放ってフィードバックを得て、改善し、混ぜ合わせていくと、思考も整理され、より良いものができていくと考えています。
発信する
アイデアだけでもどんどん世に放つ
否定・課題を得る
できない理由や過去の失敗例が集まる
ストックする
課題リストとして頭の中に貯めておく
解決・合成する
解決したものが組み合わさり別のアイデアに昇華する
没作は化ける。ダメなものこそ課題を明確にして残す
ボードゲーム制作でも、一本のアイデアで勝負するのもいいが、アイデアの粒を常に出していく方がいいとManaさんは話します。特に「没作が化ける」パターンがあるといいます。
テストプレイでフルボッコになっても、そのままお蔵入りにして忘れるのではなく、何が問題で、何が解決すべき課題なのかを明確にしてリストにしておくことが大切だと語ります。
そうすると、ある日別のゲームを作っているときにその考え方が役立ったり、急に解決手法を思いついたりすることがあるそうです。
ダメなものこそ否定的なものこそ可能性があるよっていうものは、ほんとビジネスの世界もボードゲーム作りも一緒なんじゃないのかな。
ボードゲーム界隈を「横串」で貫く発想が足りない
Manaさんは、ボードゲーム界隈はまだ市場も小さいと指摘します。制作者、広めるインフルエンサー、ボードゲームカフェ、卸問屋や流通など、それぞれの分野が切磋琢磨しているのが現状です。
しかし、それらすべての要素を巻き込み、横串で貫いたような取り組みは、俯瞰して考えないとアイデアが出てこないといいます。
そうした大局観をもとにしたスキームが作られていかないと、ボードゲーム市場は広がらず、成熟もしていかないのではないかとManaさんは考えています。
一人三役でも回る。ボドゲカフェ×制作×発信の相乗効果
ボードゲーム制作者もインフルエンサーも、それ一本だけで食べていくのは難しいとManaさんは言います。ただ、関連する副業的な食い扶持があれば、メインの活動にも相乗効果が生まれると考えています。
例として挙げるのが、ボードゲームカフェの人が、さまざまなボードゲームを紹介しつつ、自分でもボードゲームを作るというケースです。
この場合、インフルエンサーとしての広告収益が得られ、知名度が上がってカフェの売上も伸び、さらにカフェの客に自作ゲームを宣伝でき、告知力で自作を売ることもできます。この三要素をまとめるだけで、すごく相乗効果が出るとManaさんは話します。
しかし現実には、みんなバラバラにやっていて、自分の専業をどう伸ばすかに集中している。もちろん専業を伸ばすだけでも人生をかけるほど大変ですが、他の要素と組み合わせれば、より良い方向に動くのではないかというのがManaさんの見立てです。
来店客への宣伝と実店舗の売上
広告収益と告知力、知名度アップ
円安を追い風に。日本のボードゲームを海外へ
Manaさん自身のメインはボードゲーム作家ですが、販売に寄与できるものとして、最近は海外との連携を考えているといいます。
日本のボードゲームは海外から注目され始めています。加えて円安なので、日本人には厳しい状況でも、海外の人からすれば日本のボードゲームは今「安い」と映ります。
海外の人からしたら今日本のボードゲームって安いわけなんですよ。
海外の人は安く買えて、日本の作り手はちゃんと真っ当な利益を得られる。だからこそ、日本のボードゲームを海外に発信していくのは当面やっていった方がいいのではないかとManaさんは話します。
日本を中心地に。海外作家×国内印刷×ゲムマ出展の構想
ここからManaさんは、Xでもまだ話していないという構想を語ります。カギになるのは円安と、日本のインディーズシーンの強さです。
大量生産では中国など海外印刷が使われがちですが、日本の印刷会社は小ロット対応の会社が多いといいます。そして日本のゲームマーケットは、企業出展ではなくインディーズ出展がメインの、世界最大規模のイベントだと説明します。
海外のボードゲーム作家は活動の機会を求めていますが、自国では企業出展が中心で、出版契約を取れるかどうかに左右されがちです。インディーズシーンが強い日本のゲームマーケットに出展したい海外作家は多いはずだとManaさんは見ています。
ただ、海外から出展するには郵送料や国をまたぐ遠征費が高く、ハードルが高い。そこで、円安と地の利を活かし、海外の作家こそ日本の印刷会社を活用したらいいという発想が出てきます。
海外の作家が日本の印刷会社に発注し、刷り上がった品をゲームマーケットに直送する。作家本人が来られなくても、日本のエージェントが世界各国の作品を販売する、という流れです。
売れ残りの返送とエージェントで回すウィンウィンの仕組み
この構想では、日本を「インディーズボードゲームの中心地」に据えます。海外から良いアイデアを集結させ、日本で販売するという考え方です。
売れ残った在庫は、ゲームマーケットなどのイベントを起点にまとめて海外へ返送します。個別にどんどん送ると海外発送は非常に高くつくためです。
具体策として、国ごとにエージェントを配置する案を挙げます。日本とやり取りするエージェントが、返品分を国ごと・エージェントごとにまとめて配送し、届いた先で各作家に返品する形です。
これなら輸送コストを抑えられます。ただし、販売収益の扱いや海外送金の面倒さも含めて、スキームをうまく組めるかが課題だとManaさんは付け加えます。
翻訳・マージン・信頼。残る課題こそ面白さの源泉
この一連の構想も、最初はかなり否定的な意見ばかりだったとManaさんは振り返ります。むしろ、ここまで発展したのは初めにフルボッコを受けたからだと語ります。
これもここまで伸びていったのもですね、初めのアイデアでバンバン否定的な意見を言われたからなんですよ。
大枠は固まってきた一方で、細部には課題が残っています。翻訳言語の問題、海外の作家ごとのマージンのコントロール、エージェントとの信頼関係などです。
契約を結んでも守られるのか、何かあったときどうするのか。そうした課題が全部解決できたら、ほんとに面白いことができるとManaさんは考えています。
否定的な意見は可能性の入口
最後にManaさんは、今日の話をあらためてまとめます。否定的な意見こそ参考になり、可能性を秘めているということです。
初めのアイデアで否定されても、それを課題リストとして捉え、解決やアイデアの合成を重ねていく。その先に、海外連携のような大きな構想も育っていくのだと語られました。
まとめ
この回は、否定的な意見を「できないことの証」ととらえ、そこを解決すべき課題としてストックしていくManaさんの思考法を軸に進みました。その姿勢が、円安と日本のインディーズシーンを活かした世界的なボードゲーム流通構想へとつながっていきます。
- 否定的な意見が多いアイデアは、まだ世にない証。解決できれば参入障壁と差別化になる
- 絶賛だけで終わるアイデアは誰かも思いつくレベル。テストプレイの大絶賛はむしろ別メンバーで検証する
- 没作やダメ出しは捨てず、課題を明確にリスト化しておくと、別の場面で化けることがある
- 制作・発信・カフェなど複数の要素を横串で組み合わせると、相乗効果で雪だるま式に伸びる
- 円安と日本のインディーズシーンを活かし、海外作家の国内印刷・ゲムマ出展・返送までを回す構想を検討中



