化粧箱は高い。そこから始まる印刷の工夫
ボードゲームを作るとき、多くの人はボードゲーム専門の印刷会社にまとめて依頼します。コンポーネントやチラシ、説明書などを別の印刷会社に頼むパターンもあります。
今回のテーマは、そうした専門印刷以外の印刷サービスを、ボードゲームにどう活用するかというものです。
Mana(マナ)さんがこの話を取り上げたきっかけは、前回配信の内容にあります。前回は百均グッズを使って安く済ませたり、小ロットに対応したりする話をしたそうです。
その中で「化粧箱は高い」という話題も出たため、パッケージ部分を別の印刷会社で安く済ませる方法を考えていたと振り返っています。
チャック袋がダサく見えない、たった一つの違い
カードを使うゲームのパッケージは、化粧箱やキャラメル箱などいろいろありますが、安く済ませるならチャック袋に入れるのも手だとMana(マナ)さんは言います。
チャック袋とは、透明のパッケージの上部が、横にスライドさせると閉じる仕組みになっている袋のことです。カードならそのまま入れられます。
ただ、袋に入れるだけではデザインが一切入りません。従来はカードとは別に、袋のサイズに合わせた紙を印刷して中に入れるパターンが多かったそうです。
何がこれダサいかっていうとですね、あのジップ袋の止めるところ、ピーってやるところがもう見えてるっていうのが、もう安っぽく見えるわけなんですよ。
中に紙を入れてカードが見えないようにしても、袋の口の部分が見えるため「チャック袋だ」とわかってしまい、そこが安っぽく見えるという指摘です。
一方で、チャック袋で売られている一般的な商品は、そこまで安っぽく見えません。その違いをMana(マナ)さんは次のように説明します。
(違いは)その上のジップ袋で止めるところにちゃんとパッケージっていうか、デザインの乗った紙がしっかりと留められていて、ホチキスでとかですね、留められていて。
袋の口をデザインの入った紙で挟み込み、ホチキスで留め、穴を開けて店頭のフックにかけて売る。上の口を隠すように紙で挟み込むだけで、見た目は大きく変わるというのがポイントです。
衝立の口を隠す紙は、名刺印刷で作れる
袋の口を隠す紙は、特注サイズで印刷して自分で折る手もありますが、ここで活用できるのが名刺印刷だとMana(マナ)さんは紹介します。
使うのは普通の名刺ではなく、二つ折り名刺やポイントカードのような、長辺側で折れているタイプです。こうした印刷はとても安くできると言います。
用途としては挟み込むだけなので、両面ではなく片面印刷でよく、印刷費用をさらに抑えられます。
具体的な手順としては、二つ折り名刺を印刷し、折り目のところに穴あけパンチで穴を開け、チャック袋の口に挟み込むようにホチキスで留めます。
もうそしたらもう全然商品になるわけなんですよ。実際にそういう風に売られている方もいらっしゃったので、これどういうふうにやってたんだろうなというふうに思っていて。
実際にこの方法で売っている人に話を聞いたところ、名刺印刷を使っていたとわかり、なるほどと感じたとMana(マナ)さんは話しています。
衝立は「厚手の三つ折りパンフレット」で作れる
リッチなコンポーネントとして、手元を隠すための衝立を付けるボードゲームもあります。持っているチップやコインの量、得点、配置などを見えなくするためのものです。
衝立には、三つ折りのポイントカードや名刺のようなものも使えますが、高さが足りず、覗こうとすると見えてしまうという難点があるとMana(マナ)さんは指摘します。
そこで別の印刷で衝立を作るなら、厚手のパンフレットが使えると言います。パンフレットには縦長、横長、正方形に近いものなど、さまざまなサイズがあります。
本のように綴じたパンフレットではなく、折るタイプのパンフレットを印刷するところがあり、厚手の三つ折りパンフレットを印刷すれば、開けばそのまま衝立になります。
しかも規定のサイズであったりしますし、もうほんとパンフレットなんて大量に印刷するものですから、もう結構安く、それも印刷して済ませることもできると。
規定サイズで大量印刷が前提のパンフレットは安く作れるため、いろいろな印刷を組み合わせて、安く高クオリティに仕上げられるとまとめています。
ポストカード印刷で、ボードやカードまでまかなう
活用例として多いのがポストカード、つまりはがきの印刷です。チラシ印刷とは比べ物にならないほど紙が厚く、硬くて折り目がつきにくいのが特徴だとMana(マナ)さんは言います。
ポストカードにもいろいろなサイズがあり、個人ボードや、ボードを使うゲームのボード部分に活用できます。チラシ印刷だと折り目がついてしまう部分も、ポストカードなら安心です。
余裕がある人は大きめのポストカードを印刷し、そこにカードやパーツ類を並べて印刷しておき、自分で裁断する方法もあります。厚さが欲しいカードやチップも、安く済ませられます。
さらに、1枚のポストカードに絵柄をいくつ載せるかで、必要な枚数を調整できるのも利点です。多く必要なカードは複数、少なくてよいものは1つだけ載せる、といった具合です。
一方で難点もあります。角が直角になってしまうため、角丸加工は自分でハサミで行う必要があります。
また、自分で裁断するとばらつきが出るため、カードには向かないとも話しています。特に、相手にバレてはいけない秘匿性のあるカードは、自分で裁断・角丸加工するのは危険だとしています。
そのため、どんなカードか見えてもよいタイプのゲームであれば、ポストカードの活用がよいとまとめています。
名刺印刷でカードを作るときの、ロットの注意点
カード系で使えるのが名刺印刷です。薄いものは透けて見えてしまうため、厚いものを利用したほうがよいとMana(マナ)さんは言います。
名刺印刷でも角丸加工をしてくれるところがあり、トレーディングカードサイズやポーカーサイズなど、ゲームでよく使われるサイズで印刷できる会社もあります。
とても安く済ませられますが、難点は同じ絵柄を複数枚印刷することが前提になっている点です。
例えばオールユニークのカードゲームで52種類あると、52回入稿することになります。ボリュームディスカウントが効くため、まとめて注文したほうが安くなります。
最小ロットでも100枚ずつが目安で、100枚の名刺を52種類なら52個発注する形になります。つまり最低ロットが100個からという扱いになります。
なので五十個で売りたいんだとかいう人にはちょっと微妙であったりします。
一方で、同じデザインのカードが大量に必要な場合には向いています。例えば5のカードが10枚、4のカードが4枚といった構成でも、1種類が大量に必要なら名刺印刷で安く済むこともあると話しています。
同じデザインのカードが大量に必要な構成。1種類をまとめて発注でき、単価を抑えられる
全て異なるデザインのオールユニーク。種類ごとに入稿・最低100個からとなり、少部数だと割高になる
使い分けの原則と、作家たちの試行錯誤
ボードゲームを作り始めのころは、一つの印刷会社にまとめて依頼したほうが安心だとMana(マナ)さんは言います。何かおかしい点があれば印刷会社側から指摘してくれるため、ミスも起こりにくいからです。
一方で、ある程度慣れてきたり原価を抑えたりしたい場合は、複数の印刷会社を活用し、どうすれば安く、ミスなく、品質高くできるかを考えながら集める、と述べています。
そのうえで自分で調和させて一つの商品にまとめていくと、原価を抑えつつ、見た目も素晴らしいものにできるというのが結論です。
結構これはほんとテクニックの見せどころみたいですね。
ボードゲーム作家はそれぞれ多くのやり方を知っていて、この用途ならこの印刷、これなら輸入してしまおう、といった知見を持っているそうです。
Mana(マナ)さん自身も、人に聞いた話やX上で見かけたもの、自分で考えたものを試しながら、試行錯誤を続けていると語っています。
まとめ
専門の印刷所以外にも、身近な印刷サービスを組み合わせることで、ボードゲームのコンポーネントを安く高クオリティに仕上げられます。用途ごとに向き不向きを見極め、慣れてきたら自分で調和させていくのが原価を抑える鍵です。
- チャック袋の口を、名刺印刷の紙で挟んでホチキス留めすると商品らしく見える
- 衝立は厚手の三つ折りパンフレットを印刷すれば、開くだけで使える
- ポストカード印刷は紙が厚く、ボードや厚みのあるパーツに向くが、角丸は自作が必要
- 名刺印刷は同一デザインを大量に使うカードに向き、オールユニークだと割高になる
- 作り始めは1社にまとめて安心を優先し、慣れたら複数社を使い分けて原価を抑える



