逆転要素がないとゲームはどうなるのか
今回のテーマは「逆転要素はどこまで入れるべきか」です。逆転要素は使い方次第でゲーム展開を大きく盛り上げますが、変に入れると理不尽な大ブーイングを受けるゲームになってしまうとManaさんは話します。
ここで言う逆転要素は、終盤のデッドヒートでギリギリ勝つようなものではありません。すでに負け始めていた人が一気に勝利をさらう、いわゆる大逆転要素の使い方が今回の話題です。
まず逆転要素が「ない」場合を考えます。ゲームによって差はあるものの、序盤で「これは勝ち確だ」「もう負け確だ」と決まってしまうパターンがあると指摘します。
序盤で勝敗が決まると、その後の展開はつまらなくなります。もう勝てないと思いながらプレイし続けるのも微妙ですし、勝ち確定になった側にとっては消化試合のようになってしまいます。
もう勝ち確負け確になった時点で、もうゲーム自体を終わらせてもいいぐらいになってしまう。
こうした状態は、何かをコツコツ積み上げていくタイプのゲームで起こりやすいとManaさんは整理します。
一発逆転を安易に入れると起きる失敗
では勝ち確・負け確を防ぐために、後半で大逆転できる要素を入れればよいかというと、入れ方を間違えると別の問題が起きます。これまでやってきたことは何だったのか、時間が無駄だったのか、という感覚を生んでしまうのです。
Manaさんが例に挙げるのは、昔のクイズ番組でよくあった演出です。みんながコツコツ問題に答えてポイントを貯めていくのに、最終問題だけが極端な高得点になっているパターンです。
最終問題、これ解いた人は1億ポイントみたいな、そういう展開が結構テレビ番組でよくあった。
むちゃくちゃな逆転要素を入れると、それまでの時間が無駄になります。序盤は何もせず、最後の勝負にだけ懸ければいいという考え方を招いてしまうからです。
ただし、最後の勝負に向けて何かを準備していくタイプは別だとManaさんは補足します。準備しながら勝敗の期待値を調整していくスタイルは面白いものの、それは今回話している「逆転」とは違うとして、今回の話からは除外しています。
一番最後にドカンと逆転要素を入れよう、そうすると負け確、勝ち確がなくなるよね、みたいな安易な入れ方をすると結構微妙。
そして、こうした失敗が起きやすいのは、ポイントを積み重ねる、カード枚数を減らす、前のアクションが後のアクションに影響するといった、コツコツ積み上げるタイプのゲームだと述べています。
ゴールは1つでも、そこへ向かうルートを複数用意する
この問題を解決する考え方として、Manaさんはゴールとルートを分けて考えます。ゴールは1つでもよいとしています。たくさんポイントを持っていた人が勝ち、先にカードを全部なくした人が勝ち、といった形です。
重要なのは、そのゴールへ向かうルート、つまり戦略の選択肢を複数用意することだとManaさんは言います。ゴールは1つでも、そこへ向かうルートを複数用意するというのがこの回の核心です。
コツコツ積み上げたものが大逆転で無に帰す事態が起きるのは、みんなが同じルートで同じゴールに向かうからだと分析します。全員が同じ道を歩むと、誰が勝っていて誰が負けているかが一目瞭然になってしまいます。
カードを見ると、あ、あいつは何枚持ってんな、私は何枚しか持ってないな、そういう形で明確になってしまう。
差が明確になると勝ち確・負け確が生まれ、大逆転要素も「努力を無しにするもの」と感じられてしまうという流れです。
全員が同じルート
同じ道で同じゴールを目指す
差が可視化
勝ち負けの距離が一目瞭然になる
勝ち確・負け確
もう勝てない、もう勝ったと感じる
大逆転が理不尽に
一発逆転が努力を無にするものに見える
カードを「まとめて出す」戦法に見る、逆転をルート化する発想
Manaさんは、カードを全部なくすゲームを例に、逆転をルートとして組み込む方法を説明します。複数出しや、数字が揃っていればまとめて出せるといったルールがある場合の話です。
この場合、一見カードをたくさん持っているように見えても、それは同じ数字を集めているだけで、後半に一気に出して逆転する戦法を取っているのかもしれません。1枚ずつ消費するのではなく、まとめて消費するというルート選択です。
コツコツしたものを無に帰す大逆転ではなくて、一発逆転狙いの戦略ルートをたどっていくのか、それとも地道にコツコツやっていくのか。
ポイント制のゲームでも同じ発想が使えると言います。何かをするたびに得点していくのか、特定の条件を達成したら特大ポイントを得るのか、といった選択肢を用意する形です。
Manaさんはこの特大ポイントを、賞金のようなものだと表現します。特定条件を満たすと大きく得点できる仕組みをゲームに追加するだけで、戦略の選択肢が増えると述べています。
1枚ずつ消費する、こまめに得点を積み上げる。序盤からリードしやすい
まとめて出す、特定条件で特大ポイントを狙う。序盤は不利でも後半にブレイクスルーを狙う
最後まで結果がわからない展開をどう生むか
ルートを複数用意すると、それぞれのプレイヤーの動き方も変わってきます。コツコツ型の人は一発逆転ルートを潰そう、逃げ切ろうと考えるようになります。
一方、一発逆転を狙う人は、序盤はリードされていると感じつつ、最後にブレイクスルーできるよう綿密に計算するようになります。歩んでいるルートが違うため、勝ち負けの距離だけでは結果が読めなくなるのです。
もう勝てないやだとか、もう勝ってるわだけじゃなくて、ヒリヒリハラハラが最後まで続く、結果が最後までわからない。
こうした展開を演出できるなら、一発逆転要素はあった方がよいとManaさんは考えています。特定条件で一発逆転できる「ずるっこ」のようなルールを足すことも、その一例として挙げています。
注意点として、ゴールを複数用意する手もあるものの、それはゲームが複雑になり、何をしているのか分からなくなりやすいと述べます。ゴールは1つに絞り、そこへ行くルートを増やすほうが扱いやすい、高度だが有効なテクニックだとしています。
ゲームエンジン完成後の調整として取り入れる
最後に、この考え方をどの段階で使うかが語られます。得点を取りやすくする・取りにくくするという難易度調整ではなく、得点を取る手法そのものを増やすという発想がポイントです。
すでに一発逆転を入れたものの、これまでの積み上げが無意味になってしまっている場合も、選択肢を増やすことでうまくゲームとしてまとまっていくとManaさんは話します。
ゲームエンジンが出来上がった後に、よりゲームを面白くしていくためにどうやっていったらいいのか、そういう時に必要な考え方。
この調整は、ゲームの土台となる仕組みが完成した後、より面白くするためにゲーム展開を考える段階で必要になる考え方だとして、締めくくっています。
まとめ
逆転要素は、あれば盛り上がる一方で、安易に入れると積み上げを無にして理不尽になります。Manaさんの解決策は、ゴールを1つに保ちつつ、そこへ向かうルートと得点手法を複数用意することでした。
- 序盤で勝ち確・負け確が決まるゲームは、その後が消化試合になりつまらなくなる
- 最終問題だけ極端に高得点にするような大逆転は、それまでの時間を無駄にしてしまう
- 全員が同じルートを進むと勝ち負けが可視化され、逆転が理不尽に感じられる
- ゴールは1つでも、そこへ向かうルートや得点手法を複数用意すると最後まで結果が読めなくなる
- この調整は難易度いじりではなく、ゲームエンジン完成後に面白さを高める段階で使う考え方




