どこかで戦い方が変わる「ゲームチェンジ」とは
この回のテーマは「ボドゲ販売のゲームチェンジ」です。ボードゲームをどう売っていくかは、ある一定のラインから販売の作法や注力するポイント、そもそも戦うルールが変わってくると語られています。
何が変わるのかというと、まず売る量です。そしてそれ以上に、大きくターゲットの層が異なってくるとされています。
ターゲットは「コア層」と「一般層」に分かれる
Manaさんは、ボードゲームのユーザーを大きく分けて捉えています。1つは、ゲームマーケットに来てインディーズのボードゲームを自ら探して買うようなコアなユーザーです。
もう1つは、普段ボードゲームで遊ぶけれど、インディーズを積極的に探すよりも、一般に流通しているものや海外のものを遊ぶボードゲームファン。さらに、普段ボードゲームで遊ばない一般層も、ここでは流通商品を遊ぶユーザーとしてまとめて分類しています。
ゲームマーケットの作品はよく同人ゲームと言われる形です。ボードゲームが本当に好きで、個人作家の尖った作品から掘り出し物を見つけて楽しむ人たち。ここでターゲットが分かれると指摘されています。
ゲームマーケットに足を運び、インディーズ作品を自ら探して買う熱心な層。掘り出し物を楽しむ。
普段はメジャーな流通商品や海外作品を遊ぶ層。自らインディーズを探しには来ない。
何個刷るかで市場の大きさが見えてくる
どうアプローチするかは、一般層向けなのかボードゲーマー向けなのか、そして何個刷ってどんな販路にするかで異なってきます。
たくさん作っても、コアファン向けだと市場の限界があります。ゲームマーケットの来場者は今2万3000ぐらいとされ、その全員に売るのは難しいと語られています。(※ゲームマーケット2026春では3万2千人の来場が記録されました)
例えば5000だったとしても、5人に1人は買ってくれるとか、結構これも大変だったりする。
5000ぐらいまではいけるかもしれないものの、1万、2万と売ろうとすると、ゲームマーケットに足を運ぶユーザーだけでは市場が小さすぎます。そうなると、より広い一般層をターゲットにする必要が出てきます。
そのために、問屋を通して全国の流通に乗せるイメージになると説明されています。
コア層向けは「コミュニケーションの質」で売る
コアな人たちに評価されて売るなら、主流はゲームマーケットのようなイベントの即売会です。通販ならBOOTHやボドゲーマといったところが中心になるとされています。
こうした層は熱心で、自ら情報を探しに来てくれる特徴があります。彼らが多くいるのは、SNSで言えばXだと語られています。
さらに同人ゲームの界隈は、ボードゲーム会やテストプレイ会など横のつながりが強いのが特徴です。そのためオンラインだけでなく、試遊会を含めたオフラインの活動も重要になると強調されています。
Xのようなオンラインだけでの活動ではなくて、オフラインでの試遊会とかも含めて、そういったものが重要になってくる。
ここでポイントになるのが、説明の仕方やリアルでのコミュニケーションです。オンラインでも、キャッチコピーなどのテキスト表現に加え、バナー画像や商品写真をいかに魅力的に見せるかが重要とされています。
つまり5000個以内などインディーズ向けを狙うなら、コミュニケーションの質と、宣伝バナーやオンラインマーケティングに注力するのがよいと語られています。
一般層向けは「手放しでどれだけ興味を持ってもらえるか」
もっと一般層に売りたい、ゲームマーケットに来ないユーザーに届けたいとなると、これまでの話はそこまで重要でなくなると転換します。手で売るわけではないからです。
作者が会えない人たちに対して、どれくらい商品を手に取っていただけるかが勝負になってくる。
自らインストや商品説明はできず、試遊会などで会える人数も限られます。だからこそ、手放しでどれだけ興味を持ってもらえるかが重要になると語られています。
動画も「コア向け」と「一般向け」で中身が違う
一般層向けには動画が効果的とされていますが、その中身はターゲットで変わります。ゲームマーケット向けの層には、ルール説明やプレイ動画といった、ルールを知った上で楽しむための動画が受けると語られています。
一方で一般層は自ら探すことをそこまでしないため、ショート動画や、普段見ている芸能人・大手インフルエンサーのプレイ動画が入り口になるとされています。
一般層向けの動画で重要なのは、自ら調べて内容を理解してもらうことではなく、傍から見て楽しそうと思ってもらえるかどうかだと語られています。
ルール説明やプレイ動画。自ら調べ、ルールを知った上で楽しみたい人が見る。
ショート動画やインフルエンサーのプレイ動画。傍から見て「楽しそう」と感じてもらう。
一般層向けは「箱裏」が最後の勝負どころ
一般層向けでは、宣伝画像やバナーを見る機会がそもそもありません。インフルエンサーやショート動画で見て、店頭で手に取って購入を検討するパターンが多いとされています。
すると、どんなゲームかを最終的に伝えられる機会は箱裏しかありません。一般層向けに頑張っているボードゲームは、箱裏にキャッチコピーやゲーム説明を置き、そこに力を入れている印象があると語られています。
逆にゲームマーケット向けでは、そもそも裏面が見られる機会が少なく、裏面を見て買う前に作者から聞いた方が早いという状況になります。
むしろ作者から聞いちゃった方が早いしみたいな、そういったところになる。
だからこそ、一般層向けなら箱の裏をしっかりこだわるべきで、箱裏が最終的なお客様との接点であり説明の場だと位置づけられています。あわせて、手に取ってみたいと思わせるパッケージのプロダクトデザインも勝負になります。
一方でゲームマーケット向けなら、箱裏にそこまでこだわらず、バナーやプロモーションに力を入れた方が効果的とされています。両方こだわれれば、それはそれで強いとも語られています。
通販で狙う場所も層で変わる
通販はインディーズでも一般でも使われますが、狙う場所が変わります。インディーズ向けならBOOTHやボドゲーマがメインです。イエサブやスルガヤ、ヨドバシは一般と交差しつつ、まだインディーズ寄りとされています。
一方でAmazonは一般向けの要素が強いと語られています。ショート動画やインフルエンサーの動画で見た一般層が買おうとして探すと、行き着く先はAmazonになりやすいからです。
イベント会場には行かず、トイザらスでは見つからず、TSUTAYAで売っていることも知られていない。そうなると基本はインターネットで調べるため、Amazonに商品が出ていることが強みになると説明されています。
販路と流通、問屋を通す目安
販路も層で分かれます。イベント中心なら、即売会だけでなく親善会などにもとにかく顔を出し、オフラインでの接点を増やすことが重要とされています。自分が出ないと商品が届けられないからです。
一般向けの大多数を狙うなら、自分だけでは全員に会えないため、問屋を通して全国の流通に乗せることになります。イエサブ、TSUTAYA、ハンズ、ロフト、ドン・キホーテなどに置かれる形です。
問屋を通さずに何万個も売るのは厳しいとされ、流通に乗せる目安が示されています。
悩ましい「ボードゲームカフェ」でのアプローチ
Manaさんが悩ましいと語るのが、ボードゲームカフェでのアプローチです。コアファンもいれば、ちょっと興味があって来たライト層もいるためです。
箱裏は手に取る点で重要ですが、ライト層は自分で箱裏を吟味するより、店長のおすすめやインストで遊ぶことが多いのではないかとされています。一方でボードゲームファンは事前に調べ、遊びたいものが決まっていることも多いと語られています。
そのためカフェ向けでは、箱裏やライト層・一般層の区別はそこまで明確でないと感じられています。ただし、どんな人向けかはきちんと訴求しておく必要があるとされています。
カフェで効く「スペック情報」と置かれ方
カフェで重要になるのがスペック情報です。2人用かパーティーか、どのくらいの時間で終わるか、対象年齢といった情報が挙げられています。
ボードゲームカフェでは本棚のように横向きに並ぶことが多く、箱の表や裏だけに情報があると埋もれてしまいます。だから箱の横にもプレイ人数や時間を明記しておくべきだと語られています。
書いてなければ、それは2人用だったとしても2人用だと認識はされない。
カップルは2人用以外は見ようとせず、あと30分しかないから30分でできるものを探す、といった見方をします。並んだ状態でも遊ぶ対象に入るかどうかを判断できる情報を出しておく必要があるとされています。
- プレイ人数(2人用など)
- プレイ時間(残り時間に合わせて選ばれる)
- 対象年齢
一般店頭やゲームマーケットでは表向きで売られることも多く、記載位置はそこまで気にしなくてよいとされます。スペック情報は特にボードゲームカフェ向けの工夫として語られています。
どの分野で売るかを決めれば、迷いのない宣伝ができる
最後にManaさんは、一体どの分野で売りたいのかを定める重要性を語ります。ゲームマーケットに出店せずライト層向けに販売する会社もあれば、問屋を通さず海外界隈で人気のサークルもいます。どちらが良い悪いではなく、どっち向きの商品なのかが問われます。
自分のプロモーションがどちらを向いているかを意識しないと、無駄な動きが増え、効果がないと感じることにつながると指摘されています。
逆に方向を明確に定めれば、効率のいいアプローチと、迷いのない宣伝ができると語られています。今後はプロモーションに特化して、それぞれの違いややり方を発信していく予定だとも述べられています。
まとめ
ボドゲ販売は、狙うターゲットと販売数によって戦い方が変わります。コア層はコミュニケーションと宣伝、一般層は箱裏や流通が鍵になり、まずどの分野で売るかを決めることが効率的な販売につながると語られました。
- ユーザーはコア層(ボードゲーマー)と一般層(流通商品ユーザー)に分かれ、アプローチが異なる
- コア層向けはコミュニケーションの質と、Xでの宣伝バナーやオフラインの試遊会が中心
- 一般層向けは手放しで興味を持たせる工夫が必要で、動画は「傍から見て楽しそう」が重要
- 一般層向けは箱裏が最後の接点で、パッケージや箱裏の作り込み、Amazonでの露出が効く
- 1000個超で流通を検討、5000個ぐらいなら問屋を通すのが目安。まずどの分野で売るかを定めることが迷いのない宣伝につながる


