インディーズを支えるインフルエンサーの影響力
今回のテーマは、ボードゲームのインフルエンサーです。
商業的な大手や海外のゲームを紹介するインフルエンサーも多くいますが、今回焦点を当てるのは、ゲームマーケットに出るようなインディーズのボードゲームを紹介してくれる人たちです。
Manaさんは、このインフルエンサーの影響力はバカにならないと話します。
どれだけ紹介してもらえるかが、ボードゲームの知名度や売れ行きに直結するといいます。
説明書だけでは補えないニュアンスやルールの解釈も、動画で把握してから遊ぶ人が増えてきているのではないか、と語られています。
なぜ動画マーケティングが効くのか
インフルエンサーにもいろんなタイプがいますが、まずイメージされるのはYouTubeです。
ボードゲームは遊んでみないと良さがわからない商品です。だからこそ、実際に遊んでいるところを見せるマーケティングがとても効果的だといいます。
内容物がどういうものか伝わり、楽しげに遊んでいる様子を見るだけで「自分もこの体験を得たい」と感じてもらえる。それだけで認知や評価が一気に変わると話されています。
一方で、これを制作者が自分でやろうとすると、拡散力が低いという壁があります。
見られる数が絶対的に少ないので、作ったはいいけど見られないみたいなことに陥りがちです。
自分のECサイトやゲームマーケットのページに動画を載せておくのは、購入を考えている人には効果的です。
ただし、そもそも知らない人や興味を持っていない人に情報を届けるには、インフルエンサーの力なくしてはなかなかできないと考えられています。
長尺動画で固定ファンを持つ紹介者たち
動画の世界でも、得意分野の棲み分けが進んでいるといいます。
長尺の横動画をしっかりやる人、ショート動画が得意な人、ライブ配信を中心にする人と、タイプが分かれてきているそうです。
横動画は10分や20分ほどの尺で撮られるもので、固定のファンがついているインフルエンサーが多いといいます。
Manaさんは具体的な名前を挙げます。ムーブさん、ノンタボードゲームチャンネルさん、HAL99さん、マーマン遊びチャンネルさんなどが、長尺動画をしっかり作っている印象だと話します。
これらのチャンネルは、単に「こういうのがあるよ」という紹介にとどまりません。ルール説明から実際に遊んでいる様子までを配信しているのが特徴です。
ノンタボードゲームチャンネルさんはボードゲームカフェの運営者で、最新のゲームやあるある、カフェ運営ならではの「ボードゲーム何選」といった切り口を配信しているといいます。
HAL99さんは海外のメーカーものが中心で、プレイ動画というよりも商品紹介やルール説明が得意な印象だと語られています。
バーストオブマナはどう紹介されたか
Manaさん自身の商品「バーストオブマナ」は、ムーブさんとマーマンさんに紹介してもらったといいます。
その動画は、まずルールの説明、いわゆるインストを行い、その後に実際に遊ぶという構成になっていたそうです。
いろんなゲームを紹介しているだけあってルール説明がとても上手で、「むしろこれを見て遊んでくれ」と思うほど分かりやすいと話します。
さらに実際に遊ぶ姿を見せることで、インストだけでは分からなかった点や、面白みのポイントまで伝わるといいます。
同じ紹介でも、二人の色は違います。マーマンさんはしっかり戦うゲーマー向けの遊び方、ムーブさんは楽しそうに遊ぶ様子で「こう遊びたい」という気持ちが伝わってくる、と語られています。
ショート動画の圧倒的な拡散力
長尺をやる人でも、ムーブさんはショート動画のほうが再生数の面で強い印象があるといいます。
ショート動画は1分以内のもので、YouTubeやInstagram、TikTokにも配信されます。遊んでいるところのハイライトや簡単なルール説明など、内容はさまざまです。
ここで、ショートと長尺の役割の違いが整理されます。
拡散力が半端なく、まず知ってもらう・気になってもらう入り口として強い
ゲームへの理解を深め、購入するかどうかを決める深い突き刺さり方になる
理想は、ショート動画で知ってもらい、長尺でしっかり内容を見て購入するというルートです。
YouTubeで見たやつだ、と駆け寄る子ども
ショート動画の拡散力を、Manaさんは自身の体験で実感したといいます。
ショート動画が得意な人として、まずせとさんの名前が挙がります。ルールのポイントをショート動画でまとめてくれる人で、「バーストオブマナ」や「パロパロ」というゲームの紹介を依頼したことがあるそうです。
そのパロパロを前回のゲームマーケットで出していたとき、印象的な出来事がありました。日曜出店で家族連れが多いなか、遠くから子どもが駆け寄ってきたといいます。
パロパロの商品をバーッと触りだして、「これYouTubeで見たやつだ、YouTubeで見たやつだよママ」みたいな、そんな感じで遊んでくれた時がありました。
ママのほうは知らなかったようで、子どもがショート動画で見たことを伝えていたそうです。小さい子にまで情報が届いていることに、Manaさんは力強さを感じたと話します。
ショート動画の配信が強い人として、わたなべさんも挙げられます。単なる紹介ではなく、自分が感じた世界観をもとに魅力的にまとめてくれる点がすごいといいます。
ショートにすればInstagramやTikTokといった他のSNSまでリーチをかけられるのも良い点だと語られています。
VTuberとライブ配信という新しい波
次に挙げられるのが、ライブ配信者です。実写のほか、VTuberも該当します。
特に最近はVTuberが勢いに乗っているといいます。例として、ボードゲームVTuberの集団であるボドぶいの皆さんが紹介されます。
企業とのタイアップや大会の運営なども手がけており、「バーストオブマナ」も遊んでもらえたと、お世話になっていることが語られています。
ゲームマーケット前の風物詩、きたこしさんの配信
ゲームマーケットに参加する人が特に参考にしているのが、きたこしさんだといいます。Manaさん自身も先日配信してもらったそうです。
きたこしさんは毎回何百っていう応募が来て、それをライブ配信で連日紹介するという、すごい状態です。
そんなにたくさんあると見られるのか、効果があるのかと思われがちですが、効果はあるといいます。みんなが注目しているうえに、見やすさが工夫されているからです。
映すもののテンプレートが事前に配布され、そこに記載する形で募集しているため、購入に必要な情報が分かりやすく載っていることが担保されています。視聴者はシーンごとにキャプチャを撮って後で調べることもできます。
ただし、何百もの応募があり、4日間ほぼ喋りっぱなしになることもあります。そのため、最後のほうは見られているのかとManaさんは疑問視していて、前半に紹介されたほうが露出が多く有利ではないかと考えています。
その順序も重要だときたこしさん自身が認識しているのか、紹介はランダムではなく応募順だといいます。
そのため、みんな募集開始のタイミングを待ち構え、始まった瞬間に一斉に応募します。
僕はこの間5番目の紹介だったんですけど、応募完了が応募開始予定時刻の1、2分後とかだったんですよ。それなのに5番目という形になって。
10分も経てば何十人と埋まってしまうほどで、「きたこしRTA」と言われるほどの勝負になっているそうです。
それでも、紹介されればコメントで盛り上がり、アーカイブにも残って見直しやすくなるといいます。きたこしさんの配信が始まると「ゲムマが近づいてきた」と感じられる、風物詩のような存在だと語られています。
Xにもいる、一投稿で何十万インプレの紹介者
こうしたさまざまなインフルエンサーに、インディーズのボードゲームは支えられているとManaさんは実感しています。
自分でXやYouTubeをやるだけでは限界があり、作って売るとなっても宣伝や認知の部分が弱くなりがちだといいます。まず知ってもらわないと、面白さも伝えられず、興味も持ってもらえません。
動画だけでなく、Xにもインフルエンサーはいます。例として、フォロワーが7万人ほどいるという「ボドゲの紹介屋さん」が挙げられます。
写真とともに一言で端的に紹介するスタイルですが、1投稿で何万、何十万インプレッションにも届くといいます。Xでボードゲーム情報を集めている人にはとてもリーチできると考えられています。
ただし、案件として依頼すると案件料がかかるため、依頼のハードルは高い面もあります。一方で、こうしたインフルエンサーが自分で気になったゲームを紹介してくれることもあり、そこで紹介されればラッキーで勢いに乗れる、と語られています。
いいものを作るだけでは足りない、作者ができること
以前、他者の評価や実績が口コミとして強いという話をしましたが、インフルエンサーからの評価や口コミも非常に大きいとManaさんは話します。自身も恩恵を受けているとして、感謝を述べています。
自分がインフルエンサーになるのも一つの道ですが、それはまた違う努力が必要になるため、悩ましいと話します。
そこでManaさんが選んだのは、多くの作品をどんどん紹介してバズを狙う方向ではなく、自分にできる形として、深いコミュニケーションや信頼感の積み重ねを試すことでした。ポッドキャストを始めたのもその思いからだといいます。
ポッドキャストは何千万再生といった規模にはなりにくく、気に入った人が聞き続けてくれるメディアです。だからこそ、作者としてコミュニケーションを深めていけたら、と語られています。
今はこういう考え方だが、ゆくゆく変わるかもしれないと前置きしつつ、それぞれのインフルエンサーの強みを活かして協力関係を築き、ボードゲーム全体も自分のボードゲームも盛り上げていきたいと締めくくられました。
まとめ
インディーズのボードゲームは、知ってもらえなければ遊んでもらえません。長尺動画、ショート動画、ライブ配信、Xと、それぞれ強みの違うインフルエンサーの力を借りることが、認知を広げる大きな支えになっていることが語られた回でした。
- インディーズのボードゲームは、紹介してくれるインフルエンサーの影響力に大きく支えられている
- ショート動画は拡散して知ってもらう入り口、長尺動画は理解を深め購入につなげる役割と、使い分けがある
- ゲームマーケット前の北越さんの配信は応募順で、応募のタイミングを競う「北越RTA」と呼ばれる風物詩になっている
- Xの紹介者は一投稿で何十万インプレに届くこともあり、SNSでのリーチに強い
- いいものを作るだけでは足りず、知ってもらう・遊んでもらう努力が欠かせない




