予約完売・当日頒布なし、X上の議論で何が問われた?
この回のテーマは、ゲームマーケットなどのイベントで予約を受け付けた結果、持っている在庫がすべて予約で埋まってしまう「予約完売・当日頒布なし」の状態です。
予約完売になると、イベントに出展しても予約者に商品を渡すだけの場になってしまいます。Manaさんによると、実際にそうなっている出展者も少なくありません。
X上ではこの状態がアリかナシかという議論が起きていて、Manaさんはそれを興味深く感じ、自分なりの考えを残しておこうとこの回を収録しています。
まずはじめに言ってしまうと、予約で全部完売してしまって、当日の頒布なしといったものは、アリかナシかでいうと、私はなしだと思います。
X上の議論では、なし派は「イベントはみんなで盛り上げるもの」という立場で、予約していない人が当日楽しめないのは微妙だと主張していました。
一方のアリ派は、製造数を少なくして予約で売り切れば在庫も赤字も残らず、ちょうどいいのではないかと主張しています。Manaさんはどちらの気持ちもわかるとしています。
イベントはみんなで盛り上げるもの。当日来た人が買えない状況が多発するのは微妙
製造数を絞って予約で売り切れば、在庫や赤字が残らずちょうどいい
「なし」の一番の理由は盛り上がりではなく完売そのもの
Manaさんもイベントを盛り上げたいとは考えていますが、予約完売をなしとする一番の理由はそこではないといいます。
Manaさんが一番気にしているのは「完売」、しかも予約の時点での完売です。完売は機会損失になるうえ、自分のボードゲームを欲しいと思ってくれた人に申し訳ない気持ちが出てくるからです。
当日販売であっても、完売しちゃった時にですね、ありますか?みたいな、そういった話を聞いた時に、すいません、売り切れちゃったんですみたいに断るのってとても申し訳ないなとも思っております。
断った相手が1人でもいれば、その全員に遊んでもらえる可能性があったはずだ、というのがManaさんの見方です。
「売り切れた、やった~!」は製造数の見誤りでは?
ゲームマーケットで売り切れて嬉しい、という声はよく見聞きします。Manaさんは、たくさん売れたこと自体は素晴らしいとしつつ、売り切れたことは製造数の見定めを誤った結果ではないかと考えています。
ボードゲームは初期製造費がかさむため、資金的にたくさん作れない人がいるのは仕方がないとManaさんは認めています。ただ、一切在庫を残したくない、イベントで完売させたいという考えはよくわからないといいます。
Manaさんの考えでは、もっと多く刷っていれば断った人たちにも販売でき、その人たちが遊ぶことで口コミが広がり、その後の通販の伸びにもつながります。
当日の販売
売り切れで断っていた人にも販売できる
プレイと口コミ
買った人が遊び、口コミが広がる
その後の販売
イベント後の通販などの伸びが良くなる
さらに、イベントで売り切ってしまえば、その後の通販はどうするのかという問題も残ります。長期的に販売するなら、イベント後の販売用の在庫は必要だとManaさんは強調しています。
早々に撤収する完売ブースは「負けて退散」に近い?
Manaさんは、イベントでの完売とは、イベント後の販売分すらなくなってしまう状態だと捉えています。遠方からの出展で持ち込み数に限界がある場合も、もう少し持ってきたほうがよかったのではと考えています。
以前の配信でゲームマーケットに初めて行ったときの印象を話した際にも触れたように、早々に完売した出展者はすぐにブースを撤収していなくなります。空席だらけになると会場は閑散とし、Manaさんはそれを面白くないと感じています。
この点では、ボードゲーム界隈の盛り上げを重視するなし派の意見に共感するとManaさんは話します。
(完売して退散するのは)負けて退散をするみたいな、そういったものにも結構近いような、もう退場ですね。
Manaさんにとって出展者の務めは、欲しいと言う人全員に限界まで届け、まだ自分のゲームを知らない人にも情報を届けて遊んでもらうことです。それが途中でできなくなった時点で「退場」だという考えです。
私はもうイベントとかでも最後まで立っていたいようなタイプなんです。
そのためManaさんは、完売してしまうと逆にショックを受け、「やっちまったな」と思うタイプだといいます。
予約数の3倍は在庫が要る?予約完売の機会損失
イベント当日の完売でさえ惜しいのに、その前段階である予約で在庫がなくなるのは、さらに大きな機会損失だとManaさんは考えます。予約はまだ伸びる可能性があり、当日に買う人もいるからです。
よく言われるのは「予約数の3倍の在庫があるとイベントではちょうどいい」という目安で、予約が100なら300ほど売れるポテンシャルがあるという話です。
ただManaさんの体感では、最近は出展者も増えているため3倍は難しく、2.5倍ほどで着地することが多いといいます。そのうえで通販分も考え、それ以上の在庫を常に持つように製造数や持ち込み数を決めています。
予約を早く締め切って当日分を残すのは解決になる?
予約が埋まったときの対応としてManaさんは、在庫がなければ増版分の予約券を出すなど、何らかの手段で予約を受け付け続けることを挙げています。増版分を割引にする案は、ほかで予約した人に申し訳ないので微妙だとしています。
一方で、予約を早めに締め切って当日分の在庫を確保するやり方についても、Manaさんは正直微妙だと考えています。予約したかった人が予約できず、当日ダッシュで取り合いになるからです。
Manaさんが理想とするのは、楽しそうなボードゲームをウィンドウショッピングのように巡る人と、一期一会の出会いで販売することです。予約を早期に締め切ると、開場直後に人が殺到して12時頃に完売し、その後やることがなくなる状態になると考えています。
潔くはある。当日は試遊や増版予約への誘導で努められる
予約したい人ができず、当日は取り合い。昼頃に完売して手が空く
それならまだ予約段階で売り切ったほうが潔いとManaさんはいいます。その場合も当日は、売るものがなくても試遊を回したり、増版予約を案内して通販に促したりと、やりようはあると話しています。
在庫管理のミスは、イベント全体の損失にもなる
予約分を渡し終えたらすぐ帰るような対応は微妙だとして、Manaさんは改めて予約完売・当日頒布なしは「なし」だと結論づけます。
その一番の理由は、在庫管理をミスっているだけではないかという点です。在庫管理のミスは機会損失になり、自分だけでなくイベントの盛り上がりにも影響します。
それでもManaさんは、初期ロットを多く作るのはリスキーで初期投資もかかるため、まず完売を目標にし、小ロットでリスクなく進めたい気持ちは十分わかるとしています。
一度完売したら次は攻めてもいい?利益を次の在庫へ
予約完売のような状況になったということは、その作品は面白く、売れるということだとManaさんは考えます。一度でもそうなったら、次はもう少し攻めてもいいのではないかといいます。
完売したなら、利益率を計算していれば原価はペイでき、利益も残っているはずです。その利益を次の作品に充てれば、在庫を増やせるとManaさんは話します。
50個完売で喜ぶのは早い?売れたかもしれない数
Manaさんによると、完売した時点で、本当はどれくらい売れたのかは未知数になります。
例えば50個しか作っていません。50個完売しました。よっしゃ!やった!って喜んでいたとしてもですね、もしこれが200個作っていたら200個完売してたかもしれないですし、
今回のゲームマーケットでも予約が700入ったという話があり、最終的に5000個、1万個売れることもある世界だとManaさんは指摘します。しかもそれが知名度のあるサークルではなく、新人の作品であることもあります。
試遊会などで面白いと評判になり口コミで広がるなど、噛み合い方はさまざまですが、それだけのポテンシャルがあったかもしれない作品を50個で終わらせて喜ぶことは、Manaさんには到底できないといいます。
完売してもいいと思っていればそこで止まってしまうため、次はチャレンジし、製造数をチューニングしていくべきだというのがManaさんの考えです。そうすればボードゲーム界隈も盛り上がり、市場も広がっていくとしています。
「無理しない範囲で無理をしてください」
ただしManaさんは、ボードゲーム制作にはお金がかかるので無理だけはしないでほしいと念を押しています。無理をして界隈から退場してしまうことが、一番あってはならないことだからです。
無理しない範囲で無理をしてください。うん、もうちょっとめちゃくちゃですけどね。
在庫を増やすのが難しい場合は、どうすれば実現できるかを考え、やり方を工夫することを勧めています。具体策はケースバイケースとしつつ、できる限り完売させないことを意識して動いたほうがいいというのが、この回のメッセージです。
最後にManaさんは、ボードゲーム界隈の議論を見聞きしながら「自分ならどうするか」を考えて発信していると語り、共感でも反対でもコメントを残してほしいと呼びかけています。そうしたやりとり自体が、周りの人の知見やヒントになると考えているためです。
まとめ
Manaさんは予約完売・当日頒布なしを「なし」と考えています。その理由はイベントの盛り上がり以上に、完売が製造数の見誤りによる機会損失であり、欲しい人に届けられない状態だからです。
- 予約完売・当日頒布なしは、在庫管理のミスによる機会損失だとManaさんは考える
- 在庫の目安として予約数の3倍とよく言われ、Manaさんの体感では最近は2.5倍ほどで着地する
- 予約の早期締め切りで当日分を残すやり方も、取り合いや早期完売を生むため微妙だとしている
- 一度完売したら利益を次の製造に回し、少しずつ在庫を増やして攻めることを勧めている
- ただし資金面で無理をして界隈から退場することは避けるべきだと念を押している



