合言葉で裏から渡す頒布はアリかナシか
Manaさんが今回取り上げたのは、Xで見かけた投稿です。ゲームマーケットやコミケなどの即売会で、展示していない物を頒布してよいのかが話題になっていました。
具体的には、合言葉を言った人にだけ裏側から展示外の物を出したり、事前にDMで受け付けた物を当日こっそり渡したりする方法です。正式に頒布物として展示して販売するのとは別の、いわば裏ルートでの頒布を指しています。
Manaさんは、こうした頒布は個人的には全然問題ないと思っていたそうです。だからこそ、トラブルになりうるという投稿を見て驚いたといいます。
個人的にはこれ全然問題ないと思っていたんですね。ですけれども、ちょっとトラブルになる可能性があるよっていうような投稿を見かけたので、個人的にはびっくりしております。
出展者の立場からすると、人とのつながりで渡したい物があったり、謎めいた催しとして面白がってもらいたかったりと、こっそり頒布にはいろいろな動機があります。Manaさん自身は実際にやったことはないものの、やっている人を見かけていたため、問題はないと考えていました。
主催者が頒布物の中身を気にする理由とは
一方で、Manaさんが見かけたのは、ゲームマーケットに限らずボードゲーム以外のイベントでも、こっそり頒布はリスクだからやめてほしいという主催者側の意見でした。Manaさんにとって、この視点はとても新鮮だったそうです。
やり取りを追うと、イベント運営者は、即売会で頒布される物が安全か、公序良俗 ── 「公の秩序または善良の風俗」の略。社会の一般的な秩序や道徳観念を指す法律用語で、これに反する行為や契約は認められないとされますに反していないかをかなり気にしているといいます。ある物が売られたことで市の条例に引っかかり、イベント自体が今後開催できなくなるリスクもあるそうです。
例としてManaさんが挙げたのが、ゲームマーケットのゾーニングエリアです。少し性的な表現を含む物は、周りから見えない専用エリアに隔離して扱うといった工夫がされています。
Manaさんは、一般の店のアダルトコーナーが重いカーテンの奥にあるのも、中にいる人が恥ずかしいからだと思っていたそうです。けれど今回の話を聞いて、誰でも見られる場所に裸のポスターが貼られるような事態を防ぐ意味合いがあるのだろうと考え直しています。
こっそり頒布で実際に起きたトラブルの例
主催者は、何をどう頒布しているかを把握しようとしています。それなのに裏側でこっそり頒布されると、それが公になったときに問題になるリスクがある、というのが投稿の論点でした。
たとえば運営に申告せず、ブースカット ── 即売会のカタログやWebサイトに掲載される、各出展ブースの紹介画像。頒布物の内容や雰囲気を来場者に伝える役割がありますにも載っていない物を、来た人に裏から出して売るケースです。そこでアダルト系の物が出てきたらどうなるのか、という問題があります。
投稿のやり取りで挙がっていた例は、もう少し巧妙なものでした。普通のイラストのボードゲームを買った人にプロモカードを渡し、そのQRコードから同じイラストの規制がかかっていないバージョンを見られるようにしていた、というケースです。
ほかにも違法な物が実際に頒布され、そのイベントで出回っているのではないかとトラブルになったケースもあったそうです。裏でこっそり行われる頒布は管理ができないという理由から、禁止しているイベントもあるといいます。
申告外の頒布
運営に知らせず、ブースカットにも出ていない物を裏から渡す
問題物の流出
アダルト系や違法な物が混ざっても運営は把握できない
表面化
公になり、そのイベントで頒布されていたとトラブルになる
開催への影響
条例に引っかかり、イベント自体が今後開催できなくなるおそれがある
規約にあっても気づかないルールと主催者ごとの線引き
Manaさんは、こうしたルールがあることを知らなかったといいます。細かく規約を読めば載っているのかもしれないものの、実際にはそこまで読み込めていないのが正直なところだそうです。
これ、そういうのがあるっていうのはちょっと私知らなかったですね。実際に細かく規約とかを読めば載っているのかもしれないですけれども、まあ実際そこまで細かく読まないですよね。
ゲームマーケットでどう扱われているかは、まだ調べきれていないとManaさんは断っています。ただ、他のイベントでは禁止しているところが結構あるそうです。
また、こっそり頒布への考え方は主催者ごとに違うだろう、とManaさんは見ています。リスクを考えれば全面禁止という判断になりがちですが、口に出さず黙認しているイベントもあるのではないか、と推測しています。
Manaさんはこの状況を、二次創作 ── 既存の漫画やアニメ、ゲームなどの作品をもとに、ファンが独自に創作した作品。同人誌即売会で多く頒布されていますになぞらえます。ガイドラインがある作品もあるものの、多くは原作者が見て見ぬふりをしている状態で、問い合わせればダメと言われてしまうだろうと話します。
許されているとも言えないですね。ほんと黙認されている、気づかないふりをしていただいているみたいな、そういった状況なのが多いんじゃないのかなと思います。
だからこそ、なぜダメなのかと運営に直接迫るのはどうかと思う一方、実際にこっそりやるのもどうかと感じる、とManaさんは揺れる胸の内を語ります。投稿を見なければ面白そうだとやっていたかもしれないものの、知ってしまったからには個人的にはこっそり頒布はできない、というのがManaさんの立場です。
予約特典や手作りクッキーはどこまで許されるのか
Manaさんが難しいと感じているのは、どこまでがこっそり頒布にあたるのかという範囲です。たとえば予約特典のプレゼントは、ブースカットを出したり頒布物を申請したりした段階では、まだ決まっていないこともあります。
ギリギリになって予約特典を付けようと決めるケースもありますが、運営に聞いたらダメと言われそうで迷う、とManaさんは率直に話しています。
もう1つの例が食品です。食品の販売を禁止しているイベントは結構ありますが、販売がダメならプレゼントならよいのかは微妙だとManaさんは指摘します。
仮に、予約してくれた人にXのポストやDMで声をかけ、当日手作りクッキーを渡していたとします。Manaさんは、特定の誰かがやっているという話ではないと念を押したうえで、その場合のリスクを挙げています。
Manaさんは、こうした事態は「めんどくさいことになりそう」だと表現しています。善意のプレゼントであっても、イベント側に責任が及ぶ可能性があるということです。
一律禁止は妥当か、出展者はどう判断するか
こうした検討を踏まえたManaさんの結論は、まずダメな物をこっそり売るのは間違いなくダメということです。一方で、規約上まったく問題のない物をこっそり頒布するのは、大丈夫なのではないかとも感じています。
それでも主催者の一律禁止には理解を示しています。運営がすべての頒布物をチェックするのは手間がかかり、漏れがあればリスクになり、個別の可否を潰していってもいたちごっこになってしまうからです。
当然やってはいけない。規約違反で出禁にもなり、運営や来場者に迷惑をかけるおそれがある
頒布して大丈夫な物なら自己判断・自己責任。ただし申告すれば止められ、こっそりやれば大変なことになる可能性もある
Manaさんは、頒布してはいけない物をこっそり頒布すれば、そのイベントの出禁になるだけでなく、運営や楽しみに来た来場者にも嫌な思いや迷惑をかけるため、やらないほうがよいと考えています。
「やっていいとは言えない」配信者としての立場
Manaさんは、この配信が広く一般に向けた発信である以上、こっそり頒布を「やっていいよ」とはとても言えないと強調しています。自分はイベント主催者でも当事者の出展者でもないため、責任を持った発言はできないと断りを入れています。
こういうふうに私もこの配信、広く大衆に向けてっていうような形で発信しているので、やっていいよとはとてもじゃないけど言えないです。
それでも、こうした主催者側の事情は知っておいたほうがよい情報だ、というのが今回の配信の動機です。Manaさん自身が投稿を見て衝撃を受けたので、知らなかった人にも「そういうこともある」と覚えておいてほしいと話しています。
最後にManaさんは、この番組は自作ボードゲームの売り方だけでなく、業界の事情も扱っていると紹介します。オリジナル作品を作ってイベントや即売会で売ることは、ボードゲームに限らずいろいろな分野に通じる話だとして、配信を締めくくりました。
まとめ
展示していない物を裏でこっそり頒布する行為は、出展者にとっては遊び心や人とのつながりの延長でも、主催者にとっては管理できないリスクになります。Manaさんは、規約で禁止されていればやらない、禁止されていなくても自己責任であることを意識する、という慎重な立場を示しました。
- 即売会の主催者は、頒布物の安全性や公序良俗、市の条例への抵触を気にしている
- 裏でのこっそり頒布は運営が把握できず、アダルト系や違法な物の流出につながるおそれがある
- 食品のプレゼントでも、食中毒が起きればイベントの許可まで問われる可能性がある
- 一律禁止は、チェックの手間やいたちごっこを避けるための理解できる判断とされる
- 禁止されているなら当然やらず、禁止されていなくても自己判断・自己責任で考える必要がある



