海外の制作者はなぜ「作り方」まで発信するのか
この回でMana(マナ)さんが取り上げたのは、ボードゲーム制作者の情報発信というテーマです。きっかけは、最近よく見ているという海外のボードゲーム制作者のYouTubeでした。
海外のボードゲーム事情を知りたくて調べているうちに、Mana(マナ)さんは海外の制作者がしっかり情報発信をしていることに気づいたと話します。
その内容は、おすすめボードゲームの紹介にとどまりません。制作者自身がどうボードゲームを作るのかというノウハウや、ボードゲームとは何かを掘り下げる考察系の発信が多いといいます。
さらに、まだ実績のない人でも、どうやってボードゲームでのし上がっていくのか、その過程自体を発信しているケースも見かけたそうです。
こういうのを見ていて、すごく参考になるな、面白いなというふうに考えていました。
日本には「作る側」向けの発信がほとんどない
一方でMana(マナ)さんは、日本を見返すと情報発信をしている制作者がほとんど見当たらないと感じたと語ります。
日本でよくあるのは、インディーズやメジャーのボードゲームを紹介する発信や、ボードゲームカフェの人によるマナーの話などです。制作者自身がどんな思いで作っているのか、作り方はどうなのかといった発信は、ほとんど見ないといいます。
この差について、Mana(マナ)さんは需要の問題があると分析します。ボードゲームを作る人より、遊ぶ人のほうが絶対数が多いからです。
YouTubeとかで発信すると、興味があって見るっていう人たちは、やっぱりプレイヤーの人たちが多いと思います。
そのため紹介系のほうが人気は出やすい、とMana(マナ)さんは認めます。ただ、ボードゲームを作る人、あるいはこれから作ろうとしている人も一定数いるのに、その人たち向けのコンテンツが本当にないと指摘します。
むしろMana(マナ)さんは、ニッチだからこそ求められている情報でもあると考えていると話します。
作ろうとする人には「知る術」がない
紹介系の発信でも勉強にはなるものの、実際の制作の細部は学べない、とMana(マナ)さんは言います。
たとえば説明書をどう書けばいいのか、どんな段取りで作っていけばいいのか。こうした知識は、これから作ろうとする人にとって知る術がなかなかないというのが現状だといいます。
今ある手段は限られています。X(旧Twitter)での発信を見たり、テストプレイ会に足を運んで話を聞いたりする程度だとMana(マナ)さんは挙げます。
しかも作り始めたばかりの人には、制作者から話を聞く機会自体がありません。そもそもテストプレイ会があること自体を知らないユーザーも多いだろう、とMana(マナ)さんは指摘します。
発信が界隈全体を盛り上げる
こうした人たちに向けて発信していけば、ボードゲーム界隈全体が盛り上がっていくのではないか、とMana(マナ)さんは展望を語ります。
個々人に培われたノウハウをシェアすることで、参考にし合う関係が生まれます。Mana(マナ)さんは、そこに相互のいい相乗効果が生まれ、面白いゲームがどんどん出ていくと考えていると話します。
発信の目的は「インフルエンサー」ではない
Mana(マナ)さん自身も情報発信を続けていますが、その目的は数字を稼ぐことではないと明言します。
私はあくまでもボードゲームを作る人、ボードゲーム制作者であって、決してインフルエンサーではないかなというふうには思っております。
インプレッションやビューを稼いで広告収益を上げようとは、あまり思っていないとMana(マナ)さんは話します。認知や業界での知名度を得るための一つの方法だとは認めつつ、自分の狙いはそこではないと区別します。
Mana(マナ)さんが重視するのは、ボードゲームとはどういうものか、どういう思いで作っているのかを感じ取ってもらうことです。そして、あえて仲間と呼ぶ制作者たちと連携し合うことだといいます。
界隈全体が盛り上がることが、ひいては自分のボードゲームの知名度にもつながるというのが、Mana(マナ)さんの考える発信の狙いです。
何を発信するか──取り組み方と考え方
では何を発信すればいいのか。Mana(マナ)さんはまず、ボードゲームに対する取り組み方や考え方の部分を挙げます。
作り手はそれぞれ千差万別の思いで作っているのに、そのこだわりや考えはプレイヤーになかなか伝わらず、伝える機会もないとMana(マナ)さんは言います。
一方で、多くのプレイヤーも、その作品がどんな背景で作られたのかには興味があるはずだと指摘します。デザイナーズノートや制作過程には、実は需要があると考えていると話します。
クラシック音楽のように「作者を知って遊ぶ」
ここでMana(マナ)さんは、ボードゲーム特有の点として、作品に作者名が入ることを挙げます。
その上で、クラシック音楽を聴くように、作者の思いや狙いを知った上で遊ぶのと知らずに遊ぶのとでは、楽しみ方が違うのではないかと語ります。
知った上で遊んだ方が作者の意図とかも感じ取れて、楽しみ方といったものもさらに深いものになっていくのかなというふうに思っております。
だからこそMana(マナ)さんは、制作者向けに発信していても、間接的にプレイヤーへ深い理解を届けられるはずだと考えていると話します。
制作過程の発信が期待感と購買につながる
もう一つ発信すべきものとして、Mana(マナ)さんは制作過程を挙げます。
完成品をいきなり出して「面白いですよ」と見せるよりも、どんな苦悩があり、どう作っていったのかという途中経過を発信するほうがいい、というのがMana(マナ)さんの考えです。
そうすることで、あの作品がようやく出来上がるのか、という期待感が高まります。Mana(マナ)さんは、これが認知に加えて購買促進にも寄与できると話します。
ただし、プレイヤー向けに特化させすぎると自分の作品の宣伝チックになってしまう、とMana(マナ)さんは注意します。制作者向けの考え方やノウハウを伝えつつ、間接的にプレイヤーにも届く形がいいと語ります。
考え方やノウハウが軸。宣伝色が薄く、間接的にプレイヤーへも理解が届く
自分の作品の紹介が軸になり、宣伝チックになりやすい
反対意見はブラッシュアップの材料になる
発信をすれば、自分とは違う意見を持つ人も当然出てきます。それぞれがこだわりを持って作っている以上、考え方の違いは当然あるとMana(マナ)さんは受け止めます。
Mana(マナ)さん自身も、そうじゃないと思う、といったコメントや意見をもらうことがよくあるといいます。
しかしそれでへこむのではなく、そういう意見もあるのかと新しい視点を取り入れ、自分の考えをブラッシュアップしていくと語ります。
そうすることが間接的に自分のためになり、自分の作るボードゲームのクオリティも上がっていくというのがMana(マナ)さんの見立てです。
無名でも発信すべき──「実績がないからこそ好き勝手言える」
Mana(マナ)さんは、有名で実績のある人だけでなく、まだ無名の人こそ発信すべきだと強調します。
ここで挙げるのが、炎上を遠慮しがちな日本人の傾向です。自分が言っていいのか、有名な人に反対されたら、と考えて発信をやめてしまうケースもあるだろうと話します。
しかしMana(マナ)さんは、誰しも最初は実績がないと指摘します。むしろ実績がない人の話は正直あまり聞かれないし、興味を持たれることも少ないと率直に述べます。
その時に感じたこと、考えていることを、どんどん発信していい。近い考え方や立場の人には参考にしてもらえるし、むしろそういう人に届けばいい、とMana(マナ)さんは語ります。
発信のストックが、後から効いてくる
今は実績がなくても、徐々に実績はついていくものだ、とMana(マナ)さんは話します。
そして実績がついた時に、これまで発信してきた内容やストックしたコンテンツが効いてくるといいます。
この人(制作者)良さそうだ、興味が出たっていう時に、過去の配信内容とかをどんどん聞くと、どういう思いでボードゲーム作りに取り組んでいるのかがわかる。
後から知った人にも読んでもらえる、聞いてもらえるコンテンツになる。Mana(マナ)さんは、これによって深い理解とともにファン化が進んでいくはずだと語ります。
だからこそ、今は誰が聴いているかわからなくても、気軽に自分の考えを発信していっていい、というのがMana(マナ)さんのメッセージです。
発信を続ける
無名のうちから考えや制作過程をストックしていく
実績がつく
作品や活動で少しずつ実績が積み上がる
過去のコンテンツが見られる
興味を持った人が過去の発信をさかのぼる
ファン化が進む
深い理解とともに「この人が好き」という感覚が生まれる
時間がなくても、まずメモ書きから
最後にMana(マナ)さんは、発信のハードルにも触れます。兼業の人も、専業で次々と作品を出している人も、発信の時間はなかなか取れないだろうと理解を示します。
それでも、時間がない中でもやってみる価値はあると語ります。初めはメモ書きでいい。作っていく過程で自分の考えは必ず出てくるからです。
そういったものをちょっとずつまとめて発信していくっていうのを少しずつでもいいからやってもらえると、何せ私がとても聞きたいし、知りたいしっていうのがあります。
企業秘密もあるかもしれないが、公開できる範囲でどんどん発信してもらえたら、とても楽しい世界が待っているのではないか。Mana(マナ)さんはそう締めくくりました。
まとめ
Mana(マナ)さんは、海外との差を起点に、ボードゲーム制作者こそ考え方や制作過程を発信すべきだと語りました。それは界隈全体を盛り上げ、ひいては自分の作品の知名度やファンにもつながるという考えです。
- 海外の制作者は作り方やノウハウ、考察系まで発信しているが、日本には作る側向けの発信がほとんどない
- 発信の目的はインフルエンサーになることではなく、制作者同士で連携し界隈全体を盛り上げること
- 制作者向けの発信でも、作者の思いや制作過程を通じて間接的にプレイヤーへ深い理解が届く
- 反対意見はへこむ材料ではなく、考えをブラッシュアップして作品のクオリティを上げる材料になる
- 無名でも実績がないからこそ好き勝手発信でき、ストックは実績がついた時にファン化へと効いてくる




