ブランディング成功例として挙がる国内メーカーたち
番組「ボードゲームの天下取り」の今回のテーマは、ボードゲームのブランディングです。改めてブランディングとはどういうもので、どう進めればいいのかを掘り下げていきます。
Manaさんは、国内でブランディングに成功していると個人的に感じるメーカーとして、OinkさんとITTENさんを挙げます。
以前の配信では、ブランドのアイコンとなるようなものを作ると、ブランディングは構築しやすいという話をしていました。その具体例として、この2社の箱の特徴が語られます。
Oinkさんは、他ではなかなかない絶妙な箱のサイズ感と、ビニールっぽい箱が特徴です。ITTENさんは細長い箱が特徴だと説明されます。
箱の統一はあくまで「手段の一つ」
箱のサイズや体裁を統一するとブランドは作りやすい、という以前の話について、Manaさんはそれがあくまで手段の一つだと念を押します。
そういうふうにやっていくと、ブランドって作っていきやすいよねっていうような、本当やり方、仕方の部分の一つでしかないわけなんです。
その例として、Hey!さんが挙げられます。マッチ売りの大富豪、国旗王、ニューオールドなどを出しているサークル、今は会社かもしれないとManaさんは話します。
Hey!さんの場合、箱のサイズはだいたい一緒で、確かスーパーファミコンのサイズだといいます。ただし、どのゲームもデザインが結構違うと指摘されます。
イラストを描いている人は一緒だったりもするものの、それぞれのゲームの雰囲気は全然違います。OinkさんやITTENさんに比べて、パッケージの統一感はそこまでしていないという見立てです。
それでも、Hey!さんはブランドをちゃんと作り上げていっているとManaさんは感じています。つまり、統一感だけがブランドを作っているわけではない、という話につながっていきます。
ブランドの本質は「信頼感の積み重ね」
見せ方やイラスト、箱のサイズを一緒にすることは手段の一つではあるものの、本質ではないとManaさんは述べます。では本質は何か、という問いに移ります。
ブランドってそもそもお客様との信頼感の積み重ねでやっと構築されていくものなんですね。
その信頼感の中でも一番強いのが、ちゃんと面白いものを作り続けられるか、提供し続けてきたか、だとManaさんは話します。原点に返るような話だと自ら添えています。
その信頼が積み重なると、サークル名だけでなくパッケージからも「この会社のものは絶対面白い」と感じられるようになります。
だってOinkさんの箱とかはですね、ほんと新作って知らなかったとしても、そして知らないような旧作だったとしても、箱を見れば、あれ、これOinkかなって思うと思うんですね。
つまり、信頼感の積み重ねがあったからこそ、箱のサイズや見た目の統一が生きてくるという順番になります。面白さの信頼がないまま小手先だけをやっても意味がない、というのがManaさんの考えです。
だからこそ、元も子もないようでいて、ボードゲーム作者が面白いものに真摯に向き合って作っていくことが、ブランディングへの一番の近道になるとまとめられます。
一貫したコンセプトが「お客様への約束」になる
ただし、何でもいいからとにかくゲームを作ればいいわけではない、とManaさんは続けます。ポイントとなるのが、一貫したコンセプトがあるかどうかです。
これは得意な分野やジャンル、ゲームシステムの話ではありません。そこにどういう特徴があり、どういう体験を与えられるのかが問われます。
Manaさんは再びOinkさんを例に挙げます。裏側のコンセプトはわからないとしつつ、見ている限りの特徴を挙げます。
小さい箱にリッチなコンポーネントがザクザクッと入っていて、そしてゲーム性も深い、そういったものが特徴ではあるのかなっていうふうに思っております。
そのコンセプトは、小箱・軽ゲーでもボードゲームらしい楽しみを提供できる、ということかもしれないとManaさんは推測します。ただし実際のところは作者自身が決めればいいことだ、とも添えます。
さらに重要なのは、そのコンセプトがブレないことです。ブレると、ユーザーは何を信じ、何に信頼を向けていいのかわからなくなってしまうと指摘されます。
Oinkさんについては、小さい箱・リッチなコンポーネント・深いゲーム性という要素を、あの箱のサイズになってから統一感を持って履行しているといいます。
その結果、世界的にはスモールボックスゲームと呼ばれているそうで、日本だけでなく世界に対してもブランディングができているのではないか、とManaさんは見ています。
面白いものを作り続ける
お客様との信頼感を積み重ねる、ブランドの大前提
一貫したコンセプトを持つ
何を約束するのかを明確にし、それをブレずに履行する
見た目・箱を統一する
信頼が乗った目印として機能し、ひと目で見分けられるようになる
目印にブランド価値が乗らなければ意味がない
お客様に何を約束するのかは明確に持つべきだ、とManaさんは重ねます。そのうえで、手法にばかり気を取られないよう注意を促します。
自分も手法の話はよくするものの、そればかりに目移りせず、初心に立ち返って面白いものを作り続けることがいい、と自戒を込めて語ります。
コンセプトと言うと抽象的に聞こえるため、自分はみんなに何を提供できるのかを徹底的に考え、できるだけ言語化して明確にしていく必要があると述べます。
自分が明確でないと、そういった遊んでくれる人に対しても伝わらないのかなというふうに思っております。
そこを明確にできれば、作者の色が出来上がってくるのではないか、とManaさんは考えています。
キャッチコピーに悩む、Mana自身の試行錯誤
ここでManaさんは、自分自身もまだ答えが出せていないと正直に打ち明けます。以前配信で話したホームページも、作ってはいるものの、トップに載せるキャッチコピーに永遠と悩まされているといいます。
私自身もなかなか自分が提供できるものってこうだよね、特色がこうだよねみたいなことがまだ明確にしきれていないっていうのが実情ではあります。
自分のゲームを見つめ直し、今まさにコンセプトを構築している段階だと語られます。答えが出せない配信になっていると断りつつ、現時点で考えている自分のゲーム像へと話が進みます。
Manaさんにとって、考えるということはとても楽しいことです。ワイワイガヤガヤのパーティーゲームも好きな一方で、考え込む・ジレンマがある・悩む・相手の心を読む、といった体験を味わってほしいといいます。
そのイメージは、子供向けというより大人な遊びです。お酒やタバコ、香水のような嗜好品、大人のラグジュアリーで知的な、高貴な遊びのようなものだと表現されます。
ボードゲームは相手の奥底まで考える「高貴な遊び」
Manaさんは、ボードゲームでは時間の使い方も相手との関係性も濃密になると語ります。心と心、頭脳と頭脳の会話のようなものだといいます。
ボードゲームやっているとですね、普段の日常会話では見えてこないような、ほんと相手の本性というか、相手の奥底みたいなものまで考えてプレイするんですね。
アブストラクトゲームでも、相手が何を考えているのかを読みながらプレイします。日常では相手が何を考え、どう感じているかをそこまで深く観察することはない、とManaさんは指摘します。
日常ですと、ほんと考えるのってめんどくさいじゃないですか。僕も考えること結構嫌いです。
それでもボードゲームでは、考えることそのものが楽しさになり、美しい遊びになる、とManaさんはいいます。だからこそ「考えるって楽しいんだよ」という体験を、子供だけでなく大人にも真剣に向き合ってほしいと願います。
ジャンルは統一しない、でも「Manaのゲーム」と感じるポイント
そのため、押し付けるのではなく、面白いと思ってもらえるものを作り続けることが、ブランドを培う上で重要だとManaさんは話します。
一方で、ゲームジャンルを統一しようとは考えていません。ジャンルによって刺さる層は千差万別なので、むしろ幅広くいろんなシステムやジャンルに手を出したいといいます。
それでも「Manaのボードゲームだ」と感じられるポイントは、ジレンマや中毒性、いわゆるスルメ系だと語られます。
何回も何回もプレイしていくと、どんどん新しい発見があって、どんどんどんどん深く、そこにはまっていけるみたいな。そういったものを作っていきたい。
Manaさん自身、ブランディングについても「こうなんじゃないか」と試行錯誤しながら進めていると振り返り、現時点での考えを整理します。
ブランドの目印として機能し、ひと目で見分けられる。ただし目印自体に興味を持ってもらう必要がある
面白さへの信頼とコンセプトの積み重ね。これが目印に乗って初めて、統一が意味を持つ
依頼を受ける作家にとってのブランディングと「強み」
Manaさんは、ここまでの話は自分がインディーズのメーカーやボードゲーム作家として活動する場合に重要だと整理します。
一方で、商業的に依頼を受けてボードゲームを作る人は少し毛色が違うとしつつ、それでも「あなたにお願いしたい」と思われるかどうかもブランディングだと述べます。
突き詰めると、それは自分の強みになるのかもしれない、とManaさんは考えます。はじめはコンセプトや約束できるものであっても、あなたにしか約束できないもの、あなたが履行することが素晴らしいと思われれば、それが強みになるという筋道です。
Manaさん自身も、そこを目指して日々精進していきたいと語ります。
最後にManaさんは、番組「ボードゲームの天下取り」では、自分がどう考え、どう悩んでいるかという試行錯誤の経緯も惜しみなく発信していきたいと話します。体験を提供すると言うだけでなく、なぜその考えに至ったのかという背景も知ってほしい、という思いが語られました。
まとめ
Manaさんの結論は、ブランディングの本質は箱やデザインの統一という手法ではなく、面白いものを作り続ける信頼と、ブレない一貫したコンセプトにある、という一点です。手法はあくまで、その信頼を見分けるための目印にすぎません。
- 箱のサイズやデザインの統一は、ブランディングの手段の一つであって本質ではない
- ブランドはお客様との信頼感の積み重ねで作られ、面白いものを提供し続けることが大前提
- 何を約束するのかという一貫したコンセプトを持ち、ブレずに履行することがブランドにつながる
- 見た目の統一は目印として機能するが、そこにブランド価値が乗って初めて意味を持つ
- 突き詰めると「あなたにしかできない」という強みが差別化となり、ブランディングに近づく



