シーズン5開幕、ミニマリストの角田さんが買い替えたもの
頭がととのうラジオは、今回からシーズン5が始まりました。角田さんと江川さんの2人だけで収録するのは久しぶりで、角田さんは「ただいま」という感覚があると話します。
江川さんが休止期間中の変化を尋ねると、角田さんは「買い替え」を挙げました。ミニマリストの角田さんにとって、物を新しく買うのは珍しいことだといいます。
僕はっていうと、買い替えを結構しました。物の。
角田さんが新しくしたのは、もともと持っていなかった机の引き出し、お財布、そして収録に使っているマイクです。マイクはアームで机の横に取り付けたため、以前より音が安定するだろうと話しています。
江川さんは、自分は特に新しく始めたことを考えていなかったと笑います。そのうえで、休止中も角田さんとは会っていて、一緒に新しい取り組みをしていたので充実していたと振り返りました。
価値観年表まで載せた、midnight sun新聞の中身とは
角田さんが経営するmidnight sunは、2月に5周年を迎えました。角田さんは、会社のことを周りにきちんと知ってもらう取り組みをこれまであまりしてこなかったと感じていたといいます。
そこで角田さんは、休止期間中に自社の新聞を作りました。midnight sunは企業新聞の制作を事業にしていますが、今回は依頼を受けたものではなく、自分の会社の新聞です。
midnight sun新聞は8ページあります。事業の説明だけでなく、角田さんの価値観や、その価値観からなぜ今の事業をしているのかを、直接語るのではなく、いろいろな角度から知ってもらう構成にしたそうです。
江川さんが特に面白かったと話すのが「価値観年表」です。何をしたかを並べる年表はよくありますが、価値観の形成をたどる年表は珍しく、角田さんの記憶の細かさにも驚いたといいます。
結構僕、記憶力がなんか凄まじくて、そういう昔の出来事をすごい覚えてるんですよ。
クライアント取材の相手は、ハウスメーカーのiHomeさんです。この企業は家づくりで出る端材を活用し、木材のベンチを作るなどのプロジェクトを進めています。
端材活用のプロジェクトのきっかけは居酒屋でした。魚の骨を使ったせんべいを食べて、魚は骨まで活用できると知ります。その場で店の人に端材のことを聞かれ、活用していないことを恥ずかしいと感じたそうです。
角田さんは、木材とはまったく違う話から発想をつなげてプロジェクトにしていく思考のプロセスに、自分が大事にしている編集思考 ── 物事を別の角度から捉え直し、要素を組み合わせて新しい意味や価値をつくる考え方。角田さんは「ものごとの編集者」を名乗り、この考え方を軸に活動していますがよく表れていたと話します。江川さんも、インタビューだけでなく思考に焦点を当てた点が他の企業新聞と違うところだと受け止めています。
座談会では、江川さんとデザイナーの工藤さんが、角田さんと仕事をしてみて実際どうかを語りました。江川さんは普段から、アイデアマンという意味で角田さんを「変な人」と呼んでいます。
(工藤さんも)隅田さんのアイデアとかユニークさを楽しみながらやってるっていうのがわかって、すごい楽しかったですね。
新聞全体のデザインも工藤さんが手がけました。紙面の一部は角田さんのInstagramやnoteで公開されていて、角田さんは希望する人には紙でも渡したいと話しています。
5周年×35歳のお祝いイベントに仕込んだ、人をつなぐ仕掛け
角田さんは6月1日に35歳の誕生日を迎えました。会社の5周年と重なり区切りがよいと感じ、日頃お世話になっている人を招いてお祝いのイベントを開きました。
角田さんが声をかけたのは、自分が好きな人たちです。お祝いの場でありながら、角田さんだからこそできる「人つなぎ」の場にしたかったといいます。
角田さんはイベントに細かな仕掛けをいくつも用意しました。たとえば会社のことは自分では話さず、来場したクライアントに紹介してもらいました。
ベーグル屋の修業中の友人には試食会という形でベーグルを提供してもらい、参加者からアドバイスをもらえる機会を作りました。カメラマンは呼ばず、写ルンです ── 富士フイルムが販売するレンズ付きフィルム。撮った写真は現像するまで確認できず、手軽に使えることから近年も人気がありますを参加者同士で撮り合う形にしています。
江川さんはイベントの司会を務めました。江川さんは、自社の事業を語る会ではなく、来てくれた人に楽しんでほしいという角田さんのおもてなしが伝わる、あたたかい空間だったと振り返ります。
江川さんが印象的だったのは、司会が盛り上げなくても参加者が自然に動いたことです。参加者が自ら声を出して盛り上げ、「シャッターチャンス」と言って写ルンですで角田さんを撮り、ベーグル屋の修業中の人に挙手してアドバイスをしていたといいます。
なんかそういう仕掛けをするのが僕は好きなんだなっていうのはまた気づきましたね。
会場には、角田さんが本物の巻物に描いた妖怪の巻物や、日本全国で撮りためた日の出の写真も展示されました。日の出の写真は、社名のmidnight sunにちなんだプチ写真展として飾られています。
ラジオ発の企画「ニッチあるある選手権」をリアルで開催
イベントの目玉企画は、この番組の中で生まれた「ニッチあるある」を、参加者みんなで作るものでした。ニッチあるあるは、特定の職業や趣味、境遇の人にしかわからない「あるある」のことです。
これまでラジオだけでやっていた企画を、「第1回ニッチあるある選手権」としてリアルで開きました。参加者を4つのグループに分け、グループごとに発表してもらい、表彰まで行っています。
本当に盛り上がりました。これだけでイベントできるぐらい盛り上がりましたよ。
表彰の選び方は、グループごとに運営メンバーが1人ずつ、「一番好きなもの」を選ぶというものです。江川さんは、本当に好みに合うかどうかという独断と偏見の基準で選んだと説明しています。
受賞作品は「ワタナベ」「焼肉」「エリンギ」、4つのニッチあるある
各グループから選ばれた4つの受賞作品を、江川さんが紹介しました。
| 賞 | 受賞者とテーマ | ニッチあるある |
|---|---|---|
| 理子賞(チームフェニックス) | ナバちゃんさん・珍しい苗字 | 飲食店の受付で本名の「ナバタメ」を「ワタナベ」と書き、スムーズに呼ばれる感覚を得たいときがある |
| スミ賞(チーム右腕) | アズさん・CEOの右腕 | CEOの言うことだけを信じるとうまくいかない |
| キッチー賞(チーム新体制) | 亀山さん・漁師 | 懇親会はだいたい焼肉 |
| みどり賞(チーム過剰移動) | 上野さん・ノマド | 料理は基本、手でちぎる |
理子賞は、番組でもおなじみの亀山理子さんが審査員として選びました。「ナバタメ」と「ワタナベ」は音が少し似ていて、受付で書く名前は呼ばれればよいので、2人とも「うまい」と感心しています。
スミ賞は角田さん自身が選びました。角田さんはこれまで右腕的な役割を多く担ってきたため、強く共感したといいます。
トップの人ってすごい熱量高くて、こっちだっていう風にガガガガッていきますけど、僕らは結構何て言うか俯瞰してるんですよ。
そっちじゃないんだけどなーみたいなのを割と常に思ってるんですけど、一回それで従ってやったらやっぱ違ったなみたいなことを結構やってきてるので。
キッチー賞の漁師のニッチあるあるは、日頃から海鮮を食べているので懇親会では焼肉になる、という一言の強さが魅力です。亀山さんは追加で、養殖の牡蠣の家の人は小さいころから食べすぎて、むしろ牡蠣が嫌いになりがちだとも教えてくれました。
みどり賞は江川さんが選んだノマドのニッチあるあるで、話が3段階で展開します。
道具がない
移動先に調理器具がなく、包丁も持ち運びにくいので、料理は手でちぎることが多くなる
エリンギに行き着く
最もちぎりやすい食材がエリンギで、生ゴミも出にくく、すべての料理にエリンギが入りがちになる
肉の筋が読める
肉もだんだん筋が読めるようになり、筋を見極めて手でちぎる
最後は包丁
結局なんだかんだ手こずって諦め、包丁を使う
江川さんのグループは、海外や日本全国を飛び回る移動の多い人ばかりでした。江川さんは、チームの性格にもぴったりな内容だったことが選んだ理由だと話しています。
これがなんかさけるチーズとかだったらあれですけど、エリンギなんだっていう。
2人は、ニッチあるあるの面白さを「わからないのにわかる」ところにあると話します。角田さんはイメージはなんとなくつくけれど詳しくはわからない感覚だと言い、江川さんはイメージはつくけれど自分からは絶対に出てこないところが面白いと応じました。
羽虫は「食べる」、エレベーターは「閉」から押す、あふれる日常あるある
受賞作品のほかにも、たくさんのニッチあるあるが集まりました。アーメロさんのテーマは羽虫で、堤防の川辺を飛ぶ羽虫の集団にランニング中に遭遇したら食べる、田んぼのあぜ道を原付で走っていて向かってきたら食べる、というものです。角田さんは思わず「避けねえんかい」とツッコんでいます。
和歌唱さんのテーマは「せっかち」です。エレベーターで1人のときは階数ボタンより先に閉まるボタンを押す、自動ドアが開く前に手をかざして開ける、という2つが紹介されました。
角田さんは、せっかちのあるあるが特に好きだと話します。江川さんも新卒で勤めた会社がビルの上の階にあり、朝の混雑で間に合わないときにこそ閉まるボタンを強く押していて、先輩に「力強いんだね」と言われた思い出を語りました。
ナバちゃんさんの珍しい苗字シリーズにはもう1つあり、病院で受付の人が名前を呼ぶときに口ごもっていたら「私ですよね」と名乗り出る、というものでした。角田さんは「優しいですね」と受け止めています。
このほか、テラス好きのメラちゃんさんは、街歩きで素敵なテラスを見つけるとすぐマップにピン留めし、上を見ながら歩きがちだといいます。ノマドのアズさんからは、よくある「絶景を見ながら外で仕事」は秒で室内に移りがち、というあるあるも出ました。
てっぺいさんの野球のニッチあるあるは、ニュースを「オリックス」で絞り込むと、大谷選手のけがなど他チームの記事が出てくるというものです。野球好きの角田さんが補足しました。
オリックス記事とか出てても、例えばオリックスと戦ったほにゃららとか、そんな感じの記事がほとんどというか。
オリックスが主語っていうのが少ないっていう話です、これは。
江川さんは、絶景の中で仕事をするあるあるに共感しました。角田さんが日焼けやまぶしさ、風を挙げると、江川さんは絶景は過酷な環境で、絶景は絶景だけを見に行くほうが楽しめると話しています。
「50歳で神様になる」に「サバ嫌い」、わからなくていいあるある
ナコさんのテーマは「フレンドリーさの裏側」です。25歳で商売を始めてから、最終的に何を目指しているのかと聞かれるたびに「50歳で神様になる」と答えていて、働く理由はすべて神様になるための修行だといいます。
江川さんは、テーマの「裏側」という言葉が怖いと笑います。角田さんは、フレンドリーに振る舞っているのは神様を目指すための練習という意味だろうと、あくまで推測として解釈しました。
わかんなくていいんです。
ベーグル店を営む正人さんは、相方のアーメロさんのあるあるとして、予定通りになることはない、会うたびに違うことをしている、という2つを挙げました。江川さんは、相方を信頼しているからこそ出てきたあるあるだろうと話します。
番組で一緒に活動している深澤さんは、釣りのニッチあるあるとして、釣ったポイントの座標をメモしがち、サバが嫌いになりがち、という2つを出しました。
サバってめちゃくちゃ釣れるんですよ。どこ行っても釣れるんですけど、めっちゃ釣れちゃうんで。
釣りをしない江川さんは、サバがそれほど釣れることを初めて知ったといいます。ニッチあるあるは新しい知識を得られるという面白さにも気づいたと話しています。
力士スカウトに骨格スキャン、仕事と趣味がにじむあるある
ノリさんは、インバウンド事業の中でも相撲に関わる事業をしています。そのニッチあるあるは、体の大きな人を見ると力士に挑戦してほしくなる、というスカウト欲でした。
もーりーさんは横浜DeNAベイスターズのファンで、本拠地の横浜スタジアムではなく横須賀スタジアムで、入来コーチがバットを持って過ごしている姿を見るのを楽しみにしているといいます。
江川さんは、もーりーさんのあるあるを「わからないけど、わかった」と表現しました。好きなアーティストを見に行きながら、名物司会者や名物スタッフのチェックまでしてしまうのが本当のオタク、という感覚に近いと考え、角田さんも「めっちゃそういうことです」と同意しています。
レイナさんは「怖いもの見たさ」のニッチあるあるとして、インド滞在中に狂犬病が怖くてワクチンを打ったのに、窓から犬を確認してしまうという話を紹介しました。
宇宙さんのテーマは「名前ではなく骨格」です。人を覚えるときは名前ではなく骨格で覚え、一度骨格をスキャンすると忘れないといいます。
僕の骨格とかね、多分ね、スキャンしてるっていうことですよね、おそらくね。
宇宙さんは番組にゲスト出演したことがあり、江川さんはこのイベントで初めて対面して、感謝を伝えたといいます。そのときも骨格スキャンをされていたかもしれない、と2人は盛り上がりました。
蛙化現象はオタマジャクシ?言葉遊び好きに刺さった一作
最後のグループでは、亀山さんが漁師のニッチあるあるを追加しました。漁師のおじさんたちは「あ」「う」「お」だけでコミュニケーションを取っていて、手袋は左手だけがたくさん余るといいます。
東峰さんの公共空間好きのニッチあるあるは、公園や川を見ると「こう使いたい」と妄想して興奮してしまう、というものでした。
2人がそろって最も好きだと話したのが、進次郎さんの言葉の語源のニッチあるあるです。自分が言った言葉が本人に当てはまることを「UNOのリバース」と表現してしまう、そして蛙化現象 ── 好意を寄せていた相手が自分に好意を向けた途端、急に嫌悪感を抱いてしまう心理現象。近年は相手の些細な言動で冷めることを指す使い方も広まっていますは蛙ではなくオタマジャクシなのではないかと思うときがある、という2つです。
個人的にはオタマジャクシ好きですね。確かにその視点、その視点初めてだったと思って。
江川さんは、蛙化現象はおとぎ話の蛙の王子様から来ている言葉だと考えたうえで、進次郎さんはそれをさらにさかのぼってオタマジャクシまで戻した、と面白がります。言葉遊びが大好きな2人のツボに強く刺さったようです。
大前提我々言葉遊び大好きだから、このこんなラジオもやってるぐらいなんですけど、なんかもうそこのツボに激刺さりしてます。
江川さんは進次郎さんとしっかり話せていなかったと悔やみ、ゲストに呼んでほしいと角田さんに頼んでいました。紹介したのは一部で、実際にはもっと多くのニッチあるあるが集まったそうです。
ニッチあるあるは「新しい自己紹介」になる
第1回ニッチあるある選手権を終えて、角田さんは、参加者1人ひとりがしていることや好きなことの解像度が上がったと話します。どんな視点で取り組んでいるから好きなのかが、具体的にわかったといいます。
角田さんがもう1つよかったと挙げたのが、グループ形式にしたことです。それぞれが書き出したあるあるを持ち寄ったところ、話が弾んで止まらず、江川さんが「ストップ」と言っても止まらなかったといいます。
なんかこれやっぱ人と人が繋がるところで距離感がめっちゃ近づくんだなっていうのがわかって。いや、おもれって思いましたね。
江川さんは、ニッチあるあるが自己紹介として機能していると気づきました。あるあるを紹介するには、なぜそれを見つけたのかを自然と話すことになるからです。
書き出す
自分の職業や趣味、境遇からニッチあるあるを書き出す
持ち寄る
グループで発表し合う
理由を話す
「漁師の皆さんとよく仕事をするので」「すごく移動するので」と、見つけた理由を自然に語る
自己紹介になる
理由がその人の自己紹介になり、初対面同士でもゲーム感覚で盛り上がれる
これってだから初対面の人とも盛り上がれるんだと思って。なんか新しい可能性を感じました。
ニッチあるあると聞いて最初は戸惑う人も多いものの、例を出したり「職業病のようなもの」と説明したりすると、参加者はすらすら書いていたそうです。カードもサイコロもいらず、何もなくてもできる点も、2人はいろいろなイベントで試してほしい理由に挙げています。
2人は、第2回をどこかで開くことや、ニッチあるあるだけのイベントを開くことにも前向きです。今回紹介したニッチあるあるは、角田さんが作ったポータルサイト「ニッチあるある図鑑」で一覧を見られます。
シーズン5のテーマは「練習」シリーズ
締めくくりに江川さんが、シーズン5で何を話していくかを角田さんに尋ねました。角田さんは、これまで生まれた企画をまたやりつつ、新たに「練習」をいろいろやっていきたいと答えています。
角田さんが例に挙げた練習は、次の3つです。
- ハードルを低くしていく練習
- ふわっとした言葉を具体化していく練習
- 主語を小さくしていく練習
具体的にどうやるかはまだイメージができてはいないんですが、とにかくなんかそのプロセスを皆さんと一緒に作っていきたいとか、楽しんでいきたいなと思っていて。
江川さんは、練習シリーズからまたリアル開催の企画が生まれそうだと期待を寄せます。まずはラジオで2人やゲストと楽しんでみて、面白ければリスナーとも一緒に楽しめる「練習会」にできるかもしれない、と2人は話していました。
まとめ
シーズン5の初回は、midnight sunの5周年と角田さんの35歳の誕生日を祝うイベントの振り返りから、ニッチあるあるが人と人の距離を縮める自己紹介になるという発見へとつながる回でした。
- 角田さんは休止中に、価値観年表やクライアント取材を載せた8ページのmidnight sun新聞を制作した
- お祝いイベントでは、クライアントによる会社紹介や写ルンですでの撮り合いなど、参加者同士がつながる仕掛けを用意した
- 第1回ニッチあるある選手権では、「ワタナベと書く」「懇親会は焼肉」「エリンギをちぎる」など、わからないのにわかる作品が多数生まれた
- ニッチあるあるは見つけた理由を話すことで自然な自己紹介になり、初対面同士でも盛り上がれる
- シーズン5では、ハードルを下げる、言葉を具体化する、主語を小さくするといった「練習」シリーズに取り組む





