何度もお世話になった先輩のこと
お笑いトリオ『我が家』の杉山さんが、都内のスーパーで食料品を万引きした疑いで書類送検されたことがわかりました。
報道によると、先月、目黒区のスーパーでウィンナーなど食料品7点を、セルフレジでバーコードを通さずに袋に入れたそうです。その様子が防犯カメラに映っていたということです。
杉山さんは調べに対して「最近収入が少なくなって不安になってお金を残したい気持ちがあった」という感じで、容疑を認めているそうです。
杉山さんは、お仕事で僕が何度もお世話になった先輩です。個人的には、もう「何しとんねん」という気持ちがあります。
そこまで追い込まれる前に、周りに相談してくださいよとも思います。
ただ、芸人がメンツの生き物で、そういう相談ができない生き物だということも知っているんです。それに杉山さんは酒癖がちょっと悪かったから、もしかすると頼れる人がもう近くにいなかったのかもしれません。
アホだなと思うけれど、好きな先輩なので胸が痛いです。芸人なんて、僕を含めてどいつもこいつもアホなので、ぜひこれを反面教師にしていただきたいんです。
見てほしいのは「動機」です
杉山さんは別に「スーパーで働く人を困らせてやろう」と思ったわけじゃなくて、お金の不安が引き金となって犯行に及んだ訳です。
もちろん、擁護する余地は一切ありません。
一方で、杉山さんにお金を作る選択肢や、お金を守る選択肢がもっとあれば、このようなことにはなっていなかったのではないか。お金の不安を減らせていたのではないかと思うんです。
このニュースを耳にしたとき、『夢と金』という本を書いたときの気持ちが蘇ってきました。怒り、いや、悲しみに近い感情です。
お金の不安は、自分で命を絶つ原因にもなるし、犯罪者になるきっかけにもなります。
それなのに、この期に及んで子供にお金の教育をしない。真面目にお金の話をしている人を吊し上げて、金の亡者だの銭ゲバだのと腐す。
そんな日本の風潮は、もう常軌を逸しているとしか言いようがないなと思います。
最近は、移民を受け入れると治安が悪くなる、とあちこちで声が上がっていますよね。
でも、日本人の賃金は一切上がらないまま、コンビニのおむすびの値段は100円から200円に上がった訳でしょう。数年前に比べると日本人は明らかに貧しくなっていて、実質賃金は下がっています。
この貧困や経済的困窮が、犯罪のリスクを高める可能性だってあるわけです。
「金をかけなくても夢は見れる」への返事
この話をXに投稿したところ、あるラッパーさんから熱い投稿がありました。
その投稿は「キンコン西野が『夢を見るには金がいる』とか『金が尽きた瞬間に夢も尽きる』とか抜かしてましたが、別に金賭けなくても夢は見れるよ。金の代わりに命かけることになるけど。俺はクソ貧乏人だけど、俺の夢までは尽きんよ。俺の夢が尽きるのは、死ぬか二度とラップができない体になるかだけ」というものでした。
僕は、こういうのがまさに日本の教育の弊害だなと思います。
おそらくこのラッパーさんは、お金持ちになることと、活動を続けるための経費を維持することが、ごっちゃになっているんだと思います。
お金がなくても、夢を見ることはできるんです。
ただ、生活費が確保できなければ、食事、睡眠、健康を維持することが難しくなる。そうなれば、夢を追い続けるための体そのものが損なわれていく可能性があります。
つまり、この方の言う「死ぬか二度とラップができない体になるか」に、結果的に向かってしまうんです。そこは地続きなんです。
お金の教育は早ければ早いほどいい
僕は『キングコング西野の親子で通うお金の学校』というものを毎年やっています。
お金の教育は、もう早ければ早いほどいいんです。
先日は、うちのスクールの12、3歳の子供たちが、クラウドファンディングで60万以上集めてイベントを行っていました。
彼らは、何かを始めるにはお金が必要だということも、何かを守り続けるにもお金が必要だということも理解しています。これは、きちんと勉強すれば確実に身につく技術なんです。
だから、ラップでウェイウェイやる前に、大切な人を守る強さを手に入れてください。
「俺はクソ貧乏人だけど」とか「俺の夢は尽きない」とか、全然かっこよくないから。ラッパーのくせにダサいのやめとけ、本当に。
ちゃんと大切な人を守る強さ、そして自分を守る強さを手に入れていただきたいなと思います。
杉山さんへの独り言
最後に、杉山さんがこれを読むかはわからないので、僕の独り言です。
今回、杉山さんにはおそらく前科はつかないと思います。だけど、どういう結果であれ、今回のことがプラスに働くわけがなくて、活動再開は少し先になると思います。
アホだなと思うし、かっこ悪いことすんなよとも思う。もし頼れる人がいなかったのであれば、それもあんたの素行の悪さが原因だからなとも思います。
が、杉山さんのツッコミは好きだったし、今も好きです。杉山さん、面白いしね。
しっかり反省して、必ず帰ってきてほしいなと思います。僕はTKOの木下さんと仲いいぐらいなので、社会の敵を受け入れるのは得意ですから、帰ってきてください。
オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』で、毎日2、3000文字の記事を投稿しています。興味がある方はぜひ覗いてみてください。
それでは素敵な一日をお過ごしください。じゃあまたね。
まとめ
杉山さんの万引きは擁護できませんが、引き金はお金の不安でした。お金を作る・守る選択肢を持つためのお金の教育が、僕は必要だと考えています。
- 杉山さんの動機は「収入が減ってお金を残したかった」というお金の不安だった
- お金の不安は命を絶つ原因にも犯罪のきっかけにもなるのに、日本はお金の話を腐す風潮がある
- 夢を見るのにお金はいらないが、生活費がなければ夢を追う体そのものが損なわれる
- お金の教育は早いほどよく、きちんと学べば確実に身につく技術






