家族旅行、行きたいのに行きたくないのはなぜ?
体験シリーズ第二弾のテーマは「旅」です。まずヒヤマさんが、ばたこさんに家族旅行に行くか尋ねるところから話が始まります。
ばたこさんは、長女が小学校に入ったことで気軽に旅行に行けなくなったと話します。特に最初の1学期は学校に慣れることを親子でサポートしていたそうです。
(長女が小学校に入って)気軽に行けなくなったんですよね、やっぱり。
(平日は忙しいので)土日はなるべくゆっくりしようみたいな日もどうしても多くて。
幼稚園なら平日に休みを持ってきやすかったけれど、小学校になると調整が難しくなる。そんな変化を2人とも実感しています。
一方で、家族旅行そのものが嫌なわけではありません。ばたこさんは2年ほど前に行ったスキーがとても良かったと、また行きたい気持ちも話しています。
ただ、行きたい気持ちの裏側には「行きたくない」気持ちもあります。ばたこさんは準備の大変さや、旅から帰ってきた後に日常へ戻すタイミングの難しさを挙げます。
非日常から日常に返すタイミングも難しかったりするからさ。もうちょっと気軽に行けるようになりたいなと思ってはいるんだけど。
そこでヒヤマさんが紹介するのが、尾石晴さんの著書『旅をすればするほど子育ては楽になる』です。この本で紹介されている「親子ふたり旅」が、この回の中心テーマになります。
家族旅行が「大変」になる理由を分解してみる
ヒヤマさんは、家族旅行に行きたいけど行きたくない気持ちの正体を、いくつかの要素に分けて整理していきます。まず挙がるのが段取りの大変さです。
大人の仕事に加えて、子どもの学校のカレンダー調整も難しい。さらにお金の問題もあると2人は話します。
子供2人いるとさ、めちゃくちゃかかんない?急に増えた感じある。下の子が3歳になった途端にかかんのよ。
飛行機や宿泊の料金は、子どもの年齢で変わります。国内線はおおむね3歳から料金がかかり、家族の人数が増えると部屋数も増えてしまう、という具体的な話も出ました。
さらに、旅先ではハプニングが起こりがちで、子連れだといろいろあった結果、最後は夫婦喧嘩に落ち着くこともある、とヒヤマさんは笑います。
ヒヤマさんが今いちばん悩ましいと話すのが、年の差きょうだいの楽しみ方の違いです。下の子が0歳の今、上の子と下の子のどちらに合わせるか難しいと言います。
上の子に合わせると下の子が振り回されて疲れるし、下の子に合わせるとどこも行けんくて、上の子がせっかく旅行やのにみたいになっちゃって。
ばたこさんも深く共感します。1歳くらいの子はどこへ行っても目の前のもので楽しむけれど、4歳くらいになると「あれしたい、これしたい」と目的が出てくる。結局、行った先で2つに分かれてしまう、という話です。
0歳児がいると、ベビーカーや抱っこ紐、離乳食、オムツなど準備が増える割に、行ける場所の制約は強くなります。ヒヤマさんは、こうした準備や片付けの負担が「行きたくない気持ち」を生むと整理します。
そもそも「旅行」と「旅」は何が違う?
ここでヒヤマさんが、いきなりクイズを出します。「旅行」と「旅」の違いは何か、というものです。
旅行と旅って違いなんやと思います?
ヒヤマユウタロウ さんからの質問
ばたこさんは、旅の方がぶっきらぼうで、旅行は行程を楽しむ感じがすると答えます。本では広辞苑が引かれていて、旅行は「主に観光、慰安などの目的で他の地方に行くこと」、旅は「住む土地を離れて一時的に他の土地に行くこと」と説明されているそうです。
つまり、旅行は目的が強くあるもの、旅はある意味で気軽でアグレッシブなもの、という違いです。この本の主張は、旅行じゃなくて旅に、家族旅行じゃなくて親子ふたり旅に出かけようという2点にあります。
主に観光や慰安などの目的で他の地方に行くこと。目的が強くあり、行程を楽しむイメージ
住む土地を離れて一時的に他の土地に行くこと。目的が緩く、気軽でアグレッシブなイメージ
ばたこさん自身は、長女と2人で飛行機に乗り、ヒヤマさんの家がある福岡を訪れた経験があります。ただ、2人で宿泊するのはその福岡くらいで、頻度が高いわけではないそうです。
本の中の尾石さんは、母と子、父と子でしょっちゅうふたり旅に出かけています。子どもが大きくなるほどアグレッシブになり、母と子ども2人で海外に5泊7日、という例も紹介されました。
気軽・成長実感・自分の時間。ふたり旅の4つの利点
ヒヤマさんは、自分でも実家に子どもと2人で帰った経験をふまえ、ふたり旅の利点を4つ紹介します。まず1つ目は「気軽さ」です。荷物が少なく、4人分のスケジュールをしっかり組む必要がありません。
ここでばたこさんの旅支度スタイルも明かされます。家族旅行のときは、Notionで準備リストを作り、さらに「しおり」まで作るそうです。
(家族旅行のときは)むしろしおり作ります、私。
これは長女が「この先何があるのか」がわからないと不安なタイプだから。子どもによっては見通しが立っている方が安心できる、という話です。ある程度大きくなれば、ふたり旅はもっと気軽に行けます。
2つ目の利点は、行きたいところをしっかり楽しめること。4人だと4つの希望を叶えないといけませんが、2人ならお互い1つずつでよく、時間的にも回りやすくなります。
3つ目は、子どもの成長を実感しやすいこと。4人だと「家族という集合体」の中にいる感覚があり、子ども1人に注目しにくくなります。非日常の空間で1人に目が向くからこそ、成長に気づけるとヒヤマさんは話します。
こんなにこの子こういうふうに周り見れるようになったんだなとか。
4つ目は、子どもが寝た後の夜の時間です。宿泊先で大人が1人になり、外にも出かけられないからこそ、非日常の空間で自分の内面と向き合える。ヒヤマさんは、これを味わうには宿泊の旅がおすすめだと言います。
わが家のふたり旅・お出かけスタイル
ヒヤマさん一家は、この本を読む前からふたり旅に積極的です。最初は上の子との実家への帰省で、1〜2歳の頃から2人で行ってみることを試してきました。
今年は5歳になったので、いつもの新幹線ではなくフェリーで帰省してみようと計画中だそうです。毎年、子どもの成長とともにできることやプランが変わり、成長を感じやすいと話します。
去年は、妻が2人目を妊娠中だったため、妻には自宅で休んでもらい、上の子と東京へ1泊2日の旅行に行ったそうです。人の多い東京での移動を通して、体力がついたり見えるものが増えたのを実感したと言います。
割と帰ってきた時にちょっと一皮剥けてるなっていう感じしたりとか。
一方、ばたこさん一家は、旅というより「2人でのお出かけ」をよくするスタイルです。ただし、そこには工夫が必要でした。
というのも、姉妹がとても仲が良く、一方だけを連れて行くと、もう一方が「私も行きたかった」となってしまうから。だから「今日はあなただけ、内緒です」という形にしているそうです。
自慢したがるし、帰ってきたら。「ねー、行ったかった」ってなるから。
ややこしいのは、行きたいところは別々なのに、姉妹で一緒にいたいと言うところです。公園に行きたい子と買い物に行きたい子が、それでも一緒にいたがる。着地点は「順番に行く」か「親が決める」だと言います。
各々やりたいこと違うのに、それなのに姉妹で一緒にいたいというのよ。
この話を聞いたヒヤマさんは、下の子に自我や言葉が出てくると難しくなると気づき、下の子に自我が出てくる前に、行けるだけ行っといた方がいいという気持ちになったと話しました。
福岡ふたり旅を振り返る。夜のホテルは物思いにふけれた?
ここで、ばたこさんが長女と福岡を訪れたときのことを振り返ります。当時ばたこさんは育休中で、下の子は0歳。復職前に長女と2人の時間を持ちたくて、飛行機で福岡へ向かったそうです。
ヒヤマさんが紹介した利点に照らすと、ばたこさんも「子どもをしっかり観察できる」は本当にその通りだと言います。0歳児を連れると昼寝や離乳食が大変ですが、当時の長女は3〜4歳前で昼寝もなく、アクティブに動けたそうです。
もういろいろアクティブに連れて行くのに、とても親としても楽しめた。行きたいところに一緒に行ってもらえた。
家族旅行だと、下の子に合わせて上の子が我慢しがちになる。ふたり旅なら、上の子と伸び伸び楽しめるのがいい、と2人は話します。
福岡では1泊し、アンパンマンミュージアムに行き、ヒヤマさん親子とも会ったそうです。では、ヒヤマさんが力説していた「夜のホテルで物思いにふける」時間はどうだったのでしょうか。
いや、すごい暇でさ。(略)暇苦手なんだよ私。
暇な時間は本を読んで過ごしたそうです。ヒヤマさんも、物思いにふけると言いつつ、実際は半分くらい疲れて子どもと一緒に寝てしまうパターンだと正直に打ち明けます。
父親にこそすすめたい、親子ふたり旅
ばたこさんの家では、夫と長女のふたり旅はまだ経験がないそうです。行こうとしたけれど、子どもの熱で行けなかった「幻の回」があったと振り返ります。
(レゴランドとか全部予約したのに)熱出ちゃって。全部キャンセルになって、レゴランドのチケットとか浮いた記憶があります。
ヒヤマさんは、この親子ふたり旅は特に父親にこそすすめたいと話します。主観だと前置きしつつ、一緒に行って帰ってくると、親子の絆が生まれる感覚があると言います。
その理由は2つあります。1つは、24時間以上子どもと付きっきりで過ごすことが、父親自身がひと皮むける機会になること。もう1つは、母親の側に時間や気持ちのゆとりが生まれることです。
難しく考えず、実家や日帰り旅だけでもやってみると得られるものは多い。ヒヤマさんは友達にもこれをすすめていると話します。
ここで、女の子と父親という組み合わせの難しさも話題になります。ばたこさんは、父親が女の子を連れるとトイレなどが大変かもしれないと指摘します。
ヒヤマさんは、母と男の子、母と女の子は想像しやすい一方で、父と娘が2人で出かけられる時間は意外と短いのかもしれない、と娘を持つ父の気持ちを想像します。
ずっと大好きって言ってくれるといいよね。(笑)わからんからな、こればっかりは。
子育ては人生二周目。追体験でひろがる世界
ばたこさんは、noteやXでも書いた「子育ては人生二周目」という感覚を語ります。昔やったことを子どもと一緒にやると、さらに世界が広がっていくというのです。
大人だけで行く旅行と子供二人と行く旅行と、なんか全然見える景色が違うというか、あ、こんなとこ気がつくんだみたいな。
一方で、きょうだいの戯れは家族旅行でしか得られない良さでもあります。ばたこさんは、2人がキャッキャしているだけで最高だと話します。
さらにばたこさんは、上の子とは今行っておいて、下の子とは上の子が友達と出かけるようになった頃に別で行く、というタイミングの考え方も提案します。
ここで2人は、自分が子どもだった頃の記憶をたどります。ばたこさんは、普段は父と遊んだ記憶が少ない一方、年1回のキャンプではよく遊んでもらった、と振り返ります。
私はその夏の旅行のタイミングだけがその父と遊ぶ場。一緒に釣りとかした記憶もあるし。
ヒヤマさんも、父とは釣り、母とは別の場所、というように、父母それぞれに紐づく記憶があると気づきます。今しておくことが、子どもの記憶にも残っていくのかもしれない、という話です。
そこでヒヤマさんが疑問を投げます。子どもの記憶がどれくらい残るかわからないなら、旅行の効果はどれほどあるのか、というものです。これに対し、ばたこさんには持論がありました。
全然覚えてないんだけど、記憶って。でもその記憶がさらにその次の経験を作るわけじゃない。
5歳の記憶がなくても、6歳7歳のときには5歳の記憶が多少あり、その経験が次の自分を作っている。だから全部意味があります、というのがばたこさんの考えです。
前回話した体験の本にもあった通り、大事なのは「旅行に連れて行くこと」自体ではなく、その過程での会話や、それに紐づいた時間です。旅行することがゴールではない、と2人は確認します。
道端に落ちてる石をずっと見てる旅行でも別にいいと思ってて。
ばたこさんは、去年家族でUSJに行ったとき、次女はほとんど乗り物に乗れなかったけれど、小さなキノコの椅子に一緒に座っているだけで楽しかったと話します。乗り物に何個乗るか、ではないと実感したそうです。
ヒヤマさんも、東京でのふたり旅で思い出すのは、金のオブジェを見ながらデイリーヤマザキで買った朝ごはんや、水族館まで肩車で歩いた道中だと振り返ります。有名な場所そのものより、途中の何気ない瞬間に思い出が宿る、という話です。
今後行きたい旅。海外・北海道・そしてお金と時間
最後に、今後行きたいところの話になります。ばたこさんは、長女が4歳のときにハワイへ行ったので、次女が4歳になるタイミングでも海外へ連れて行ってあげたいと話します。家では「公平」を売りにしているそうです。
ヒヤマさんは、モデルでYouTubeもする尾石紗代子さんが、子ども3人を連れてしょっちゅう海外に行っている例を紹介します。ハプニングはあっても「行ってよかった」と言っているそうです。
2人は、海外に行くには「思い切り」が必要だと話します。えいっと行けば価値観が変わり、行ってよかったと思える。あとはお金と時間をどう確保するか、という現実的な課題です。
海外行こうと思うとね、1週間ぐらい休み欲しいもんね。
子ども視点でも、行きたい場所は生まれています。長女は、多国籍の友人がいることから「その子の国に行きたい」とよく言うそうです。聞いた話と実際に目で見るものがつながる体験は、とても大事だと2人は話します。
ヒヤマさんは、卒業旅行で行ったフランスで、本当に人々が紙袋からフランスパンを出して歩いているのを見て驚いた経験を語ります。行かないとわからないことがある、まさに体験だと言います。
ヒヤマさんの実家はキャンピングカーだったそうで、日常では不便なことも多かったものの、キャンプのときはまさに「旅」という感覚で良かったと振り返ります。
マクドナルドのドライブスルーの時、屋根があるから入れなくて、親父いつも反対側に車止めて取りに行くっていうのしてたけど。
そんな体験から、息子が10歳くらいの夏休みに、車で北海道を一周したいという夢も出てきました。行き着くのは、やはりお金と時間の割り振りというテーマです。
何にお金割くかよね。
まとめ
家族旅行が「行きたいけど行きたくない」のは、準備やお金、きょうだいの楽しみ方の違いなど、いくつもの理由が重なっているから。その悩みへの答えとして、この回では気軽で成長を実感しやすい「親子ふたり旅」という選択肢が紹介されました。行けるうちに、無理のない形で旅の思い出と体験を積み重ねていきたいですね。
- 家族旅行が大変な理由は、準備・お金・きょうだいの楽しみ方の違いなどに分解できる
- 親子ふたり旅は、気軽さ・希望を叶えやすさ・子どもの成長実感・大人の1人時間という利点がある
- 父親にこそふたり旅はおすすめで、親子の絆づくりと、母親のゆとりの両方につながる
- 大事なのは旅行すること自体ではなく、その過程での会話や何気ない瞬間。記憶に残らなくても経験は次の自分を作る
- 小学校に入ると気軽に行きづらくなるので、旅は行けるうちにいっぱい行っておきたい




