いつもと違う緊張、扉の前で一発で見抜かれた
今回のガジェットリポートはお休みし、神森さんは前週の土曜日の出来事から話を始めます。9月12日、東京・原宿で開かれたWeb Creator Podcast Day 2026に、この番組も13番組のうちの1本として出演したそうです。
最初に語られたのは、思っていた以上に緊張したという話です。人前で話すことは10何年もやってきて慣れているつもりだったのに、あの日に限っていつになく緊張していたと振り返ります。
一番来たのは出番待ちの時間でした。スタジオの中には入れないため、神森さんは1人で扉の前で待っていて、どんどん緊張が高まっていったといいます。
前の出番だったIDIDラジオの放送が終わり、扉が開いたとき、中からイベント主催者の名村さんが出てきました。名村さんは神森さんと20数年来の付き合いで、誰よりもよく神森さんを知る1人だといいます。
めちゃくちゃ緊張してません?あはは
一発で見抜かれた神森さんは、隠してもしょうがないと素直に認めながら席に座りました。
なぜ緊張したのかを後から考えると、理由ははっきりしていたそうです。前年のWeb Creator Podcast Day 2025では全然余裕だったのに、今年は違ったといいます。
あの時と今日と今回との違いは、トークパートナーがいなかったんですね。
今年は1人での出演だったこと、そして他の配信者たちの上手さや面白さに触れて気後れしたことが、緊張につながったのではないかと神森さんは話しています。
本番中にテレプロンプターが止まった
ここからが本題です。神森さんは当日、スマートグラスのEven G2を使って話していました。この番組でも何度も取り上げているスマートグラスです。
Even G2にはテレプロンプター機能があるため、神森さんは台本を仕込み、それを読みながら話せたといいます。右上には経過時間が表示され、持ち時間の24分に対して今どのあたりかを見ながら話せたそうです。
そのおかげで、神森さんは時間を押すことなく話し終えることができました。金曜朝の配信という設定に合わせ、経過時間から逆算して「ただ今の時間は」と時刻に触れる余裕もあったといいます。
ところが、最大の問題がこの先にありました。ちょうど自己紹介をしていたあたりで、テレプロンプターがうまく動かなくなってしまったのです。
原稿の続きが追えなくなりまして、マジで焦りました。
当日の朝、ホテルをチェックアウトして電車で移動中まで、他の出演者の話を聞きながらグラスで練習していたほど、完璧に動いていたはずだったといいます。それがなぜか本番で動かなくなりました。
左手の人差し指にはめたEven R1の側面を親指でスワイプすると原稿が送れる仕組みでしたが、それが突然効かなくなったそうです。神森さんは机の下に手を置き、右手の親指でなんとか動かしたと振り返ります。乾燥か汗か、原因ははっきりしないままでした。
本来なら耳の後ろのツルの先をスワイプする逃げ道もあったのですが、ヘッドホンで隠れていて使えず、逃げ道が塞がれていたといいます。
その焦りはずっと続き、また突然スワイプできなくなる心配から、神森さんは机の下に手を置いたまま話し続けることになりました。
その様子は、次の出番で配信を手伝っていたよかった探しラジオのりこさんの目にも留まっていたそうです。神森さんが直立不動で、いつもと違って固まっているように見えたといいます。
本当にね、もうマジでそのスワイプをしなきゃいけないって。
直立不動に見えたのは固まっていたからではなく、スワイプ操作にとらわれ、グラスのテレプロンプターを見続けていたからだと神森さんは説明しています。
初めて届いた2通のお葉書
嬉しかった話として、神森さんはお葉書のことを挙げます。番組宛にお葉書をいただいたのは、これが初めてだったそうです。
いつもは「お葉書ください」と言っても届くわけがないと感じていたなか、イベント出演をきっかけに2通のお手紙が届き、本当に嬉しかったと振り返ります。
1通目はゆるおじさんという方から。ジェネチャット時代からのリスナーだというお便りでした。ジェネチャットは2025年のこのイベントで神森さんが出演していた番組で、卒業に合わせて終了した番組です。その頃から続けて聞いてくれていることに、神森さんは感謝を伝えています。
2通目はやんとなさんから。折りたたみのiPhoneが発売されたが、折りたたみスマホで表示するWebサイトやWebアプリで気をつけた方がいいことはあるか、という質問でした。
神森さんは事前に内容を読んでいたため、東京に行く前に確認を済ませていたそうです。相方用のnubia Foldで、アウターディスプレイとインナーディスプレイでの表示の違いを見ていたといいます。
さらにイベントから帰ってきた後、気になることがあり、ディスプレイサイズを確認するための「Viewport Lens」というサイトを作ったと紹介しました。T-STUDIO.tokyoに置いてあるそうです。
新コーナー「Accessibility News Morning」がスタート
後半のワークトークでは、前週のイベントで紹介した新コーナー「Accessibility News Morning」の第1回をお届けします。月に1回、第三金曜日のワークトークの枠でお話しするコーナーです。
どういうコーナーかというと、ここ1ヶ月ほどのアクセシビリティに関わるニュースから、神森さんが気になったものを3つほど取り上げて語るというものです。
始めた理由として、神森さんはこの番組を聴いている人に、少しでもアクセシビリティに興味を持ってもらいたい、理解してもらいたいという思いを挙げています。
実は神森さんは、毎朝アクセシビリティ関連のニュースを自動で集めてくる仕組みを回しているそうです。1ヶ月分でおよそ20本ほどあり、そこから3つを取り上げるといいます。
WCAG 3.0の新ドラフトで変わりそうな3つのこと
1本目は、WCAG 3.0の2026年9月版ワーキングドラフトが公開されたというニュースです。9月10日のことでした。
今回のドラフトで大きなポイントを、神森さんは3つ挙げます。1つ目は適合の考え方が変わりそうだという点です。
現在はA、AA、AAAという3段階で適合の状態を示していますが、単一の適合レベルを置き、その上下に報告階層を設ける形になるといいます。合格か不合格かではなく、どこまでできているかを報告する形へ向かう方向です。
要はもうここまでをやろうとしてるんだよ、あと足りてないところはここは頑張るよっていうのを言いたいじゃない。
2つ目は対象の範囲が広がることです。Webコンテンツだけでなく、アプリ、出版、新興技術まで視野に入っているといいます。名前はWeb Content Accessibility Guidelinesのままですが、中身はWebに限らなくなってきていると神森さんは説明します。
電子書籍のようにWebの技術を使うものも含め、より広く見ていくのではないかと神森さんは見ています。
3つ目は、適合セクションと報告に関するセクションが新設された点です。これが今回のドラフトで追加された部分だといいます。勧告になるのはまだ当分先とされていますが、要注目であることは伝えておきたいと神森さんは話しています。
アクセシビリティカンファレンスCHIBA2026と「秋のアクセシビリティ祭り」構想
2本目は、アクセシビリティカンファレンスCHIBA2026が開催されたというニュースです。9月5日、幕張メッセ国際展示場でオンラインとオフラインの同時開催でした。
YouTube配信は通常版と情報保障版が同時に出されていたそうです。テーマは「変わるものと変わらないもの」でした。
神森さんはオンラインで参加しました。自宅のテレビでYouTubeを見つつ、移動中は車の中で音声で聞いていたといいます。会場には行けなかったものの、熱気はオンラインからも伝わってきたと振り返ります。
前日まで東京にいたものの、前職の退職手続きと新しい会社の入社手続きが重なっていたことや、早く家に帰りたい気持ちもあり、CHIBAはオンライン参加になったそうです。
印象に残ったのは、ライトニングトークのかのんさんによる「わたしの一歩一歩」というテーマの話でした。とても若い方でしっかりしていたことに驚いたといいます。
CHIBAの様子を見て神森さんが決めたのは、来年の沖縄版開催です。9月に千葉、11月か12月に福岡があることから、その間の10月に沖縄でやりたいと考えているそうです。
千葉、沖縄、福岡。これでもう要は秋のアクセシビリティ祭りみたいな感じになるといいな。
WordPress「Accessibility Lab」プラグインの中身と思うところ
最後の3本目は、WordPressのアクセシビリティチームが「Accessibility Lab」というプラグインのプロトタイプを公開したというニュースです。8月21日のことで、WordPressを使う人には関係のある話だといいます。
作っているのはAutomattic社のアン・マッカーシーさんという方で、位置づけとしては本体に機能を取り込む前に実装を試す実験場だといいます。パフォーマンスチームのパフォーマンスラボやAIチームのAIプラグインと同じ枠組みです。
神森さんが面白いと感じたのは、マッカーシーさん自身が「これはアクセシビリティ対応の代わりではないし、本体の修正を肩代わりするものではない」とはっきり言っている点でした。
背景として、2025年5月に最初に提案された際、長年の貢献者から「プラグインにしてしまうとアクセシビリティが一部の人だけに必要な機能に見えてしまう」という懸念が出ていたそうです。今回の発表はそれに応える形での再スタートだといいます。
現在入っている機能は3つあります。神森さんはそれぞれを紹介していきました。
1つ目のブロックのアクセシビリティチェックについて、神森さんは試してみたいと話しています。2つ目の見出しレベルの検証も、知らず知らずのうちに階層が飛んでしまうことがあるため、警告してくれるのはありがたいといいます。
3つ目のメディアライブラリの表示オプションには経緯がありました。WordPress 7.1でメディアライブラリの無限スクロールがデフォルトで有効になったものの、無効にする操作はプロフィール画面からしかできなかったそうです。
これにコミュニティから、アクセシビリティ対応が突然オプトイン扱いになるのはおかしい、プロフィール設定に埋もれていて気づけない、といった異論が出ました。数千点規模のメディアを扱う大きなサイトでは無限スクロール自体が非効率だという運用面の指摘もあったといいます。
その指摘を受けての表示オプションだそうですが、ここで神森さんは自身の意見をはっきり述べています。本来こういう機能は標準で残しておいてほしいというものです。
なんでそんなところに隠すんだっていう話。
一覧の表示方法を自分でオプトイン・アウトできるようにするべきで、それをあえてプロフィール側に持っていくのはおかしいのではないか、と神森さんは苦言を呈しています。
今回取り上げた3本を並べると、規格の話、イベントの話、ツールの話とバラバラなようでいて、どれもこれからどうなっていくのかが気になる話題だと神森さんはまとめています。
全ポッドキャスターに捧ぐ新曲「Keep Talking」ができるまで
最後のコーナーはSuno AI Labです。今回は新曲「Keep Talking」ができたと神森さんは報告します。
この曲は、すべてのポッドキャスターに捧げたいという思いから作り始めたそうです。前週のイベントで13組のパーソナリティが代わる代わるスタジオに入っていく光景を思い出したことがきっかけでした。
世の中にはね、本当にたくさんの人がそれぞれの場所で誰かに向かって話してる、その人たちみんなに向けた曲を作りたいなーなんて思ったんです。
いろんな配信者が代わる代わる出てきて情報発信の素晴らしさを歌い合うイメージで作ったため、番組名や場所は出てこないといいます。ポッドキャストをやっているすべての人の歌というイメージです。
今回はSunoのバージョン6が出たタイミングで作ったそうですが、なかなか思ったものにはならなかったといいます。合唱も含めたショークワイア風のものを作りたかったのに、どうやってもゴスペルに寄ってしまったそうです。
以前「My Own Sky」を作った際も、ゴスペルを入れたら完全にゴスペルに寄ってしまい、ショークワイアに変えたらうまくいった経験があったといいます。ところが今回はショークワイアを入れても合唱団になってしまったそうです。
結局ショークワイアを外したところ、集団でポップを歌うような雰囲気になってきたと神森さんは振り返ります。
ここからが長かったといいます。オーケストラが強く出たので抜くと音がスカスカになり、厚みを足すと70年代っぽい古い感じになってしまう。1つ直すとまた別のところが崩れる状態でした。
一番苦労したのはサビでした。サビの前半で音が減って後半で戻ってくる構成ですが、走り抜けたいところで途中で楽器の音が減り、手拍子だけのような雰囲気になってしまったといいます。
歌詞の書き方が原因かと思い、行数を変えたり演奏の指示を変えたりして試したものの、演奏の指示はあまり効いていないことがよくわかったそうです。
静かに始めて段階的に盛り上げるみたいな方が多分いわゆる学習してるんでしょうね。
神森さんは、Sunoの中でアンセム風の曲は静かに始めて段階的に盛り上げる形を学習しているのではないかと推測します。こちらがどう指示しても、そちらが優先されてしまうのだろうといいます。
最終的に神森さんが取った手は、ジャンルごと変えることでした。ショークワイアをやめてパワーポップやポップパンク風の指示にしたところ、なんとかそれっぽいものが出来上がったといいます。
出来上がったのはアップテンポなポップロック風の曲で、神森さんは結構気に入っているといいます。ノリや歌詞の乗り方、少し影が入るプレコーラスも良いそうです。
一番気に入っているのはピアノでした。和音がジャンジャンと鳴って曲を引っ張っていく感じがとても良いと神森さんは話しています。
実はもう1曲候補があり、そちらはサビで音を削って話すように歌うところがかっこよかったそうです。ただ、全体のまとまりで今回の曲のほうが良かったため、こちらを選んだといいます。
歌詞がとても良いので、日本語訳をつけてnoteに載せる予定だと神森さんは案内しました。
曲を聴いた後、神森さんは改めてこの曲のテーマを語ります。小さな部屋で1人、誰が聴いているかもわからないままマイクに向かっているが、向こう側には誰かが待っている。そういうことを歌っているそうです。
最後に神森さんは、イベントスタッフから当日の音源をもらったため、来週は当日お届けしたものをそのまま配信すると予告しました。「Keep Talking」も改めて流し、あの日あの場にいたポッドキャストの皆さんに捧げたいと結んでいます。
まとめ
EP35は、緊張とテレプロンプターの不調に見舞われたイベント出演のアフタートーク、アクセシビリティ最新ニュースを扱う新コーナー、そして全ポッドキャスターに捧ぐ新曲まで、神森さんが1人で語り尽くした回でした。
- トークパートナーがいない1人での本番で、テレプロンプターが自己紹介の途中で止まり、机の下でスワイプし続けることになった
- 新コーナー「Accessibility News Morning」が始動。第1回はWCAG 3.0の新ドラフト、CHIBA2026、WordPressのAccessibility Labを紹介した
- WCAG 3.0は合格・不合格ではなく「どこまでできているか」を報告する方向へ、対象範囲もアプリや出版まで広がりつつある
- 新曲「Keep Talking」はショークワイア狙いがうまくいかず、最終的にジャンルをパワーポップに変えて完成した
- 来週はWeb Creator Podcast Day 2026当日の音源をそのまま配信予定で、「Keep Talking」も改めて流される



