使いどころがわからなかったジンバルを買った理由
最初のコーナーは、ガジェットレポートです。紹介されたのは、Insta360のFlow 2 Proというスマートフォン用のジンバルでした。
ジンバルとは、スマホを固定して手ブレを防ぎながら、滑らかな動画が撮れるスタビライザーのことです。歩きながら撮っても、映画のようにスムーズな映像になると説明されています。
神森さんはジンバル自体には以前から興味があったものの、使いどころがわからず、なかなか買えずにいました。購入したのは昨年5月ごろで、そのきっかけが少し変わっていたと話します。
きっかけは、GAAD Japanというイベントへの登壇でした。
登壇ではグループ会社の方と一緒に話す場面があり、切り替えの間が開かないよう、スライドを神森さんの1台のPCにまとめていました。そのため、1台のマシンで2人を撮る必要が出てきたのです。
PC内蔵カメラではなく、綺麗なiPhoneのカメラで映したい。さらに、話す人にあわせてカメラを手動で振り向けたい。そんな要望が生まれました。
グループ会社の方が話している時はそちらにカメラを向けて、私が話す番になったら私に向けるみたいな感じで、ジンバルの首振りをする機能を使いながら撮りたいという荒技をやりたかったんですよ
この用途こそがジンバルの使いどころだと感じ、映像を撮るためというより、この使い道で即決したと振り返っています。
DJIとInsta360、決め手になったDockKit対応
ただ、購入前にはかなり悩んだといいます。神森さんはすでにDJIのマイクミニを持っており、DJIにもOsmo Mobileというジンバルのシリーズがあったからです。
そこで、当時はChatGPTに相談しながら比較検討しました。候補は、Osmo Mobile 7PとInsta360 Flow 2 Proの2つです。
決め手になったのは、被写体を自動追尾する機能の実装方法でした。
当時、iPhone標準のDockKitを活用して自動追尾できるのはInsta360だけでした。Osmo Mobile側は付属のアタッチメントをつければ対応できるものの、なんとなくスマートではないと感じたそうです。
結果として、マイクミニとの親和性を抜きにしてもこちらがよいと判断し、Insta360を選びました。
iOS標準のDockKitを活用して自動追尾できる。神森さんが選んだ機種
付属のアタッチメントを付ければ自動追尾に対応。マイクミニとの親和性はあるが、そこはスマートでないと感じた
そして、当日の荒技は無事にうまくいきました。
自動追尾とコンパクトさ、使ってみて感じた実力
使ってみての感想として、まず自動追尾機能のすごさを挙げています。
それ以降、神森さんはデスクトップカメラの代わりとしても使うようになりました。自動追尾をオンにすると、常に自分をセンターに捉えるため、少し動いてもカメラがついてきてくれるのが便利だったといいます。
先日は、会社でヨガのイベントを行った際にも活躍しました。ジンバルのおかげで多少の揺れがあっても映像がぶれず、社員が講師を務めたヨガの映像を、オンライン参加者にもきれいに配信できたそうです。
iPhoneのカメラがやっぱりキーですからね。これがFaceTimeカメラだったらと思うと、やっぱりちょっと恐ろしくなります
コンパクトさも思った以上で、折りたたむとかなり小さくなり、持ちやすいと評価しています。
総合的には、思っていたよりも良かったと締めくくっています。ジンバルには大げさなイメージがあったものの、日常のいろんな場面で使えると感じているようです。
アクセシビリティは特別な人のためだけの話じゃない
続いてはワークトークのコーナーです。ガジェットレポートでGAAD Japanの話が出たこともあり、アクセシビリティについてもう少し話を進めていきます。
アクセシビリティと聞くと、障害のある人のための話、特別な配慮が必要な人のための話というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし神森さんは、実はそうではないと話します。
アクセシビリティを高めることは、誰もが使いやすくなることのほうが多いというのがその主張です。
わかりやすい例として挙げられたのが、駅のスロープです。元々は車椅子の方のために作られたものですが、実際にはベビーカーを使う人や、大きな荷物を持つ人、階段がつらい高齢者なども使っているのではないか、という指摘でした。
神森さん自身、東京への出張で大きなキャリーケースを持ち歩くことが多く、スロープのない駅の乗り換えは本当にしんどいと感じています。
スロープがあると本当に神って思ってたりするんですね
音が聞こえにくいからこそ実感する、ウェブアクセシビリティ
ここからは範囲を少し狭めて、ウェブアクセシビリティに焦点を当てていきます。
神森さんは自身をアラ還と表現し、高齢者に片足を突っ込んでいる年齢だと語ります。これまでと違って、思うようにできないことも増えてきたそうです。
目の調子だけでなく、実は音が聞きづらいという事情もあります。加齢というより元々耳が悪く、この十数年、特に高音が聞き取れないといいます。
ヒソヒソした話し声はまったくわからず、テレビの音を大きくしがちです。そこで日本語の字幕機能がありがたいと話します。これはウェブでも同じことが言えます。
ウェブをベースにしたサービスやサイトでも、アクセシビリティが高いものはありがたいと感じています。小さな字は読みづらいため、読みやすい大きさになっていたり、自分で文字サイズを変えられたりする状況は、とても助かるそうです。
発信して変わる、社内と地元制作会社の意識
神森さんは、GAAD Japanへの登壇を通じて、発信することで変わるものがあると感じたといいます。
アクセシビリティの話をすると、どうしても高齢者や障害者の話に近づき、「うちのサービスは関係ない」と言われがちだと指摘します。
しかし実際には、登壇をきっかけに自社サービスのアクセシビリティへの意識が変わってきました。以前は後付けのような扱いだったのが、最近はメンバーのほうから変化が出てきたといいます。
これってアクセシビリティ的にどうなんだろうっていうのを、逆に私の方に質問をしてくれたりとか、自然とさらっと出てくるようになってきました
後付けではなく、最初から考えられるようになってきたことを、大きな変化として喜んでいます。
社外については、神森さんが去年と一昨年に運営したGAAD Japan Public Viewing沖縄について触れました。2年連続で来てくれた地元の制作会社の方々へ、この場で改めてお礼を伝えています。
沖縄から発信されるウェブサービスが少しでもアクセシブルになってほしいという思いで開催してきたため、地元の制作会社が関心を持ってくれたことが一番嬉しかったと話します。
なお、今年のGAAD Japanは5月21日の木曜日に開催予定で、GAAD.JPというドメインで情報が発信されているとの案内がありました。Public Viewing沖縄の開催は調整中とのことです。
100曲以上ガチャして生まれた新曲「For Everyone」
最後はSunoのAI Labのコーナーです。今回は新曲「For Everyone」が披露されました。
ワークトークで話したアクセシビリティのテーマをそのまま曲にしたいと考え、日本語詞で力強いアンセム系の曲に仕上げたといいます。
神森さんはこの曲を、番組のテーマ曲にもしたいと感じたそうです。特定の誰かではなく、いろんな人に聴いてほしいというT-STUDIO.Voiceの姿勢と、「For Everyone」というタイトルが重なるからです。
今回はSuno 5.5の新機能も試しました。自分の歌声を登録し、AIが生成した曲を自分の声で歌わせられるボイスという機能です。
ただ試してみると、キーが上がると別人のような声になり、それはそれで面白かったと振り返ります。自分の声を使うと、音域が自分に合わせて制御されるようだという発見もありました。
声の登録は難しく、神森さんは5回録り直しました。最初は低音の多い曲を歌ったところ、地声との差が広がりすぎ、高音部分がハイトーンボイスのようになってしまったそうです。
その後、少し高音気味に歌うなど工夫を重ね、最終的に5つの声を登録しました。1分間しか録れないため、低音からサビの高音までカバーするのが難しかったといいます。
「配慮」を「工夫」に変えた、歌詞に込めた未来への投資
歌詞はAIに相談しながら作りました。途中で「配慮」という言葉が出てきた際、その言葉が正直好きではないため、「工夫」という言葉に変えてもらったといいます。
ただ、その後ガチャで生成された曲では「小さな工夫が」の「工夫」を読んでくれなかったため、あえてひらがなに変え、正しく読ませるようにしたそうです。
そして神森さんは、アクセシビリティは自分の未来への投資だと語ります。アクセシブルになっていくからこそ、歳を重ねることが怖くないという考え方です。
今この瞬間、多くの制作をしている皆さんがウェブをアクセシブルにしていこうっていう活動をしてくれているおかげで、この先自分が年を取っても多分ウェブを使うことに困らないんじゃないかな
「取り残さない未来」や、不安なく歳を重ねられる感覚を歌詞のベースにしたと説明しています。
借用和音とシティポップ、自分の好みに気づいた曲づくり
今回は何回ガチャしたかわからないほどで、100曲ほど作ったのではないかと話します。自分の声やAIボイスを使い分け、声も5回録り直しました。
多くの曲がサビで半オクターブ以上上がってしまい、歌うのが難しいものばかりだったそうです。最終的に選んだのは、比較的自分の地声の音域に近い一曲でした。
コードもAIで解析しました。サビのコード進行を見ていると、途中で一瞬暗くなる感じがあり、「For Everyone 取り残さない未来へ」という歌詞のあたりにグッとくる感覚があったといいます。
調べてみると、それは借用和音というテクニックによるものでした。
音楽に詳しくないという神森さんですが、聴いていて好きだと感じる部分に、こうしたテクニックが使われていると改めて気づいたそうです。
このスーのAIラボをやって、いろんな曲を作っていて、なんか自分の曲の好みが分かってきた気がしました
曲を披露した後には、ピアノ、ストリングスとシティポップが自分は大好きだと改めて気づいたと語り、今回もAIに指定して最終的にシティポップ系に仕上げたと明かしています。
歌詞はnoteに公開されており、聴いた人にも自分なりの「For Everyone」を作ってみてほしいと呼びかけています。
まとめ
第11回は、使いどころを見つけて買ったジンバルの話から、誰のためのアクセシビリティかという問い、そして歳を重ねる未来への視点を込めた新曲まで、一本の線でつながる回でした。
- ジンバルは映像用というより、セミナーでの首振り撮影という具体的な用途で使いどころが見つかり、自動追尾やコンパクトさで日常でも活躍している
- Insta360 Flow 2 Proを選んだ決め手は、iOS標準のDockKitを活用した自動追尾への対応だった
- アクセシビリティは特別な人のためだけでなく、駅のスロープのように誰もが使いやすくなる話であり、発信することで社内や地元の意識が変わってきた
- 新曲「For Everyone」はアクセシビリティをテーマにした日本語アンセムで、Suno 5.5のボイス機能を試しながら100曲以上ガチャして生まれた
- アクセシビリティを未来への投資と捉えることで、歳を重ねることが怖くなくなるという視点が、歌詞にも通底している



