まだ買っていないのに語る、国産スマートグラスSABERA
最初のコーナー「ガジェットレポート」で取り上げたのは、まだ買っていないというガジェットでした。それが国産スマートグラスのSABERAです。
その前に、神森さんが元々持っていたEven G2の近況が語られます。エピソード16で左ディスプレイが映らなくなったと話していましたが、その代替品が動き出したそうです。
Even Realitiesの方で代替品を製造していただきまして、先週の土曜日に、製造先からこちらの沖縄まで発送しましたという通知が来ました。
届いたら手元の故障品と入れ替える流れで、1週間ほどで到着しそうだといいます。
そんな状況のなか、よく交流しているウェブディレクションのラジオを配信するナムラさんがSABERAをシェアしているのを見て、神森さんは初めてこのスマートグラスを知ったそうです。
Makuakeでクラウドファンディング的に募集されているページを見てみると、ボストンクラブ ── 福井県鯖江市を拠点とする眼鏡メーカー。「JAPONISM(ジャポニズム)」などのブランドで知られる監修と書かれていて、日本製だと分かって一気に気になり始めたと話します。
ボストンクラブ監修という言葉にテンションが上がる理由
神森さんがSABERAに強く反応したのには理由がありました。かつて長く愛用していた眼鏡ブランドが、このボストンクラブから出ていたのです。
ジャポニズムというブランドで、2000年代半ばから十数年、コロナ禍前まで愛用していたといいます。フレームは3万から4万ほどとやや高めで、眼鏡の聖地とされる福井県鯖江市で作られていたそうです。
最後に買ったのは総チタン製のフレームで、フレームだけで10万ほど。当時はプログレッシブレンズが今ほど豊富でなく、ツァイスのPC専用レンズに4〜5万かかったと振り返ります。
本当にかけやすくて、本当におすすめだったというブランドが監修していることと、日本製であることが、神森さんのテンションを大きく押し上げました。
翻訳もカメラなしも。SABERAの特徴と気になる一点
SABERAの特徴も改めて紹介されます。翻訳、議事録、原稿表示、AIアシスタントといった機能がレンズ内に表示されるARグラスで、見た目は普通の眼鏡とほぼ変わらないといいます。
さらにカメラが搭載されていません。神森さんはEven G2もカメラがないことに触れつつ、スマートグラスにカメラはいらないと考えていると話します。
プライバシーの配慮という意味でも、理にかなった設計なんじゃないかなというふうに思っております。
AIアシスタントはGoogleが開発した最新のAIを使っているとされます。具体的に何が使われているかは明記されていませんが、それでも信頼感があると神森さんは受け止めています。
その背景には、Even G2への物足りなさもあります。Even G2は専用のAIが入っていて、ChatGPTやPerplexityなど使い慣れた生成AIを自由に使えるわけではないためです。
もう一つ大きいのが、度入りレンズに対応している点です。神森さんはEven G2の故障対応で、この重要さを痛感したといいます。
度が入っていない単なるスマートグラスなら交換品を差し替えるだけで済みますが、度入りだと生産に時間がかかり、しかも英語でのやりとりが本当にしんどかったと振り返ります。
国産であれば、日本語でやりとりできるっていうだけでも気が楽になるのかなというふうに思っております。
Makuakeのページを見て気になったのはフォントだといいます。Even G2は「日本語フォントっぽいもの」を使っていて、生成AIが作った微妙な日本語のような印象があるのに対し、SABERAはちゃんとしていそうだと感じたそうです。
Makuakeでの支援総額は1億円を超え、注目度の高さがうかがえます。
一方で、神森さんが気になった点も一つあります。SABERAはスクリーンが片側だけのようだという点です。Even G2は両目対応で設計されていました。
片目側だけを見続けてると結構目が疲れるんじゃないかなってちょっと思ってます。あくまでも主観なので、実際どうかはわかんないです。
神森さん自身が買うかどうかは、まだ保留です。Even G2に約12万を出して買ったこともあり、先行販売の割引で7万円ちょっとで買える点は気になるものの、今はまだ手が出せそうにないといいます。
もしSABERAが両目対応になったときは買うかもしれない、というのが現時点の結論です。
店舗で気づいた「聴覚障害のある方が注目するデバイス」という視点
続く「ワークトーク」では、スマートグラスとアクセシビリティという文脈で話が展開します。
きっかけは、Even G2を銀座のジュンク堂ではなくジュン銀座の店舗で試したときの出来事でした。Even G2には歩行と自転車向けのナビ機能があります。
神森さんが「車に乗ってると注視されちゃうしダメだよな」とつぶやいたところ、店員から思いがけない話を聞いたそうです。夜は緑の光が外から見えることもあり、ナビ以外の通知目的でも運転中に警察に止められる可能性があるという説明でした。
これによって困っちゃう方が聴覚障害の方なんですよ。車に乗る時はこの機能オフにしてくださいね、なんて言われたんです。
この一言で、神森さんはスマートグラスが聴覚障害のある方が注目しているデバイスであることに気づき、ハッとしたと話します。
相手の顔を見ながら会話できる。会話サポート機能が変えること
SABERAにもEven G2にも会話サポート機能があります。相手が話している内容をリアルタイムで文字に起こし、レンズ内に表示してくれる機能です。
神森さんは打ち合わせで試すことがあり、最後に要約もしてくれる点が地味にいいと評価します。自身も聞き取りが苦手な場面があり、この機能に助けられているといいます。
これまで、耳が聞こえにくい方への対応は専用アプリを使ったり、相手のスマホ画面を向けてもらう方法が多かったと神森さんは指摘します。レンズ内に表示されると、その状況が変わります。
相手の顔を見ながら話がそのままできる。目の前には文字が出てくるので、相手が何を言ってるのかがわかるみたいな感じですね。
少し前までスマートグラスはキワモノっぽいイメージがあったものの、こうしてテクノロジーがうまく活用されるようになると本当にいいと神森さんは話します。
点字新聞に頼っていたニュースが今はリアルタイムで音声で聞けるようになった例なども挙げながら、アクセシビリティの解決方法が多様になってきたことを語ります。
狭い表示エリアに何を出すか。オートフォーカスへの期待
神森さんは、スマートグラスやウォッチのように表示エリアの狭いデバイスに、どんな情報を出すべきかを考えるようになったといいます。
かつてマイクロフォーマット ── HTMLの既存要素を使い、ウェブ上の情報を機械が読み取りやすい形で構造化するための記述方式という、情報を構造化する話があったことに触れつつ、そこまで落とし込むかは別として、情報を端的にまとめたりAIが齟齬なく整理したりする方向に進むと見ています。
そのうえで、神森さんが個人的にスマートグラスに最も求めているのはオートフォーカスだと語ります。老眼と遠くの見えにくさを両方抱え、1枚のレンズで遠・中・近を使い分ける生活を続けてきたためです。
度数が変わるたびにレンズ交換が必要になり、老眼は進み、遠くも見えなくなっていきます。オートフォーカスが搭載されれば、この悩みがまるごと解決すると期待を寄せます。
最初は近くを見るときにタップ、遠くを見るときにダブルタップといった操作が必要かもしれませんが、いずれ操作すらなくオートフォーカスできるようになれば理想的だといいます。
スマートグラスってまだまだ発展途上のデバイスだと思いますが、まだまだ可能性のあるデバイスだというふうには思っています。
夏のインスト第一弾。スチールパンにたどり着くまでの試行錯誤
最後のコーナー「Suno AI Lab」では、Suno AIで作成した楽曲を披露します。今回は久しぶりのインストゥルメンタルで、夏用インスト集の第一弾という位置づけです。
今回はビーチ系の曲がテーマ。今後は和風の花火や「ザ・夏」といった、さまざまな夏の表情を集めていきたいと神森さんは話します。
最初のコンセプトは、椰子の木の下で寝転んで波の音を聞きながらぼーっとする避暑感のある曲でした。梅雨真っ最中の沖縄から、耳で涼んでもらいたいという気持ちで作ったといいます。
ところが制作は難航します。トロピカルのチル系で試すとよくあるインストになり、面白くなかったそうです。そこでClaudeに楽器や雰囲気の候補を出してもらいました。
候補に挙がった楽器と方向性を整理すると、次のようなものでした。
- スチールパン、マリンバ、ウクレレとフルートの組み合わせ、ヴィブラフォン
- ミニマル系とジャジーな和音の方向性
- エレクトロニカの有機的な質感
ヴィブラフォンとエレクトロニカを組み合わせてみたところ、アンビエントの指示が入ってしまい、ヒーリング系になってしまいます。アンビエントを外してシティポップ調にすると、今度はセブンスコードを試した段階で完全に夜のバーの雰囲気になってしまったそうです。
BPMや楽器の組み合わせを変えても、どうしてもヴィブラフォンのイメージが強く残り、ピンときませんでした。
そこで、最初に候補として挙がっていたスチールパンを試します。ベタすぎるかと避けていた楽器でしたが、これがドンピシャでハマったといいます。
最初はマリンバみたいな音で始まるんですが、サビでスチールパンに変わったんです。二番ではボンゴみたいな小太鼓も入ってきて、勝手に展開が生まれました。
Sunoは作り始めてから途中でいろいろ変えていくと、いい感じにハマることがあると神森さんは語ります。今回はまさにそのパターンでした。
出来上がった曲のイメージは、椰子の木の下というより海沿いのビーチで寝転ぶ感じに。狙いから方向性は変わったものの、いい感じになったといいます。
曲名は「An Afternoon With No Plans」。直訳すると「予定のない午後」で、スチールパン多めのフュージョン系インストです。
インスト制作のコツと、この回のまとめ
曲を披露したあと、神森さんはインスト制作のちょっとしたコツを共有します。
イントロ、バース、プレコーラス、コーラスみたいな形で、それぞれのセクションの始まりに多少なりとも楽器の指示を入れると、いい感じで曲を作ることができるので試してみてください。
ガジェットレポートで紹介した国産スマートグラスSABERAについては、まだ買ってもいないと断りつつ、Makuakeでの支援総額が1億円を超えたことにスマートグラスへの注目度の高さを感じたと振り返ります。
Even G2の代替品が届いたら、また継続してレポートしていきたいと話しました。
ワークトークで扱ったアクセシビリティについても、改めて感想を語ります。
テクノロジーの進化によっていろんな可能性が広がっているなということを、改めて感じました。
まとめ
第18回は、故障中のEven G2を待つ間に出会った国産スマートグラスSABERAを入り口に、日本製ならではの安心感、聴覚障害のある方への活用、そして夏のインスト制作の試行錯誤までを一つの流れで語る回でした。
- Even G2の故障をきっかけに、日本製・度入り対応・ボストンクラブ監修のSABERAへ関心が向かった
- SABERAは片側スクリーンとみられ、両目対応になれば購入を検討したいというのが現時点の判断
- 店舗での一言から、スマートグラスが聴覚障害のある方に注目されるデバイスだと気づいた
- 会話サポートやオートフォーカスへの期待を通じ、アクセシビリティの可能性を前向きに捉えている
- 夏のインスト第一弾は、ヴィブラフォンや夜のバー調を経て、スチールパン中心のフュージョンに着地した



