番組の裏にある「Shobery」とは何か
この回のテーマは、番組冒頭のジングルで流れる「Shobery」の紹介です。Shoberyは、片山さんの会社シードアシストと株式会社セイが共同で開発した、企業向けのポッドキャスト制作・配信サービスだと説明されています。
片山さんはShoberyを一言で表現しています。声で価値を翻訳するという考え方が、このサービスの核になっています。
一言で言うと、声で価値を翻訳する企業向けポッドキャスト制作運用サービスってことなんですよね。
重要なのは、喋るのが苦手な人も喋りすぎる人も、プロのMCが入ることで伝えたいことが綺麗に伝わる設計にする、という機能価値です。MCは所属事務所ごと手配できるため、サービスとしてオールインワンで提供できると片山さんは話します。
MCが果たす3つの機能
MCが入ることで伝えたいことがどう伝わるのか。片山さんは大きく3つの機能があると整理しています。
1つ目は「交通整理」です。話の入り口、要点、出口を決めて、脱線を優しく戻す役割だと説明されています。
MCってめちゃくちゃ頭使いながら、いかにこう話を元に戻していくかって考えながら喋るから。
2つ目は「翻訳」です。専門用語を、リスナーにわかりやすい言い方へ置き換えていくことで、聞き手の理解の解像度が上がると片山さんは話します。
3つ目は「温度調整」です。喋りすぎる人には要約してまとめ、口下手な人には質問で話したいことを引き出す。さらに間をうまく取ることで、音声コンテンツとして聞きやすく整えるという役割です。
この3つがそろうことで、番組自体の聞きやすさが劇的に上がる。それが7年ほどポッドキャストを研究してきた片山さんの実感だと語られています。
交通整理
話の入り口・要点・出口を決めて、脱線を優しく戻す
翻訳
専門用語をリスナーにわかりやすい言葉へ置き換える
温度調整
喋りすぎは要約し、口下手には質問で引き出し、間を整える
セイにはラジオで活躍するプロのパーソナリティが多数所属しており、彼らと一緒に番組を作ることがShoberyの強みの一つだと片山さんは話します。
なぜ「Shobery」という名前なのか
Shoberyという名前は、片山さんたちが作った造語です。「おしゃべり」の喋りと、見せるという意味の「ショー」を合体させた言葉だと説明されています。
おしゃべりの喋りっていう言葉と、あの、ショー、見せるっていう意味のショーの合体語。
保呂田さんは、このコンセプトを「面白くなき話を面白く」というニュアンスで受け止めています。BtoBのように専門的で難しいビジネスをしている人ほど、その知識を伝える場として音声コンテンツが向いていると片山さんは考えています。
動画でチャラけてやるのも違うし、じっくり動画付きで喋っても面白くない。そこでMCが話を引き出し、心を掴める番組を作ることがShoberyの目指すところだと語られています。
サービスの具体的な流れとしては、月に4本ほど企業のポッドキャストをまとめ撮りし、企画・構成・台本作成から編集、配信までを一括で行えると保呂田さんが整理しています。
MCなしで運用する「実験室」としての本番組
今放送している「ポジティブランディングラボ」は、片山さんも保呂田さんも経営者でありながら、あえてMCなしで運用しています。
わざとやってます。MCなしバージョンを今わざとやってます。
これは番組が「実験室」であることに由来しています。今後はセイからMCを迎え、MC付きバージョンの本番組もやっていく予定だと片山さんは話します。
MCの有無で聞きやすさがどれだけ変わるかを、リスナー自身に体感してもらいたい。そんな狙いが語られています。
保呂田さんは、お風呂やインテリアを買いに行くときにショールームがあるように、この番組がShoberyのショールームやショーケースになればいいのではないかと提案しています。MC以外にも、番組作りそのものをいろいろ実験していきたいと二人は話します。
ポッドキャストは売上に直結する?「補助魔法」という位置づけ
ポッドキャストを始めればブランディングが成功して売上がドンと上がるのか。この問いに、片山さんははっきりと答えています。
あのポッドキャストっていうのは、補助魔法です。
片山さんはこれをゲームにたとえて説明しますが、保呂田さんが「ゲームをやらないリスナーにはわからない」とMC役として翻訳を入れます。広告のような攻めの手段に対して、声のブランディングは防御的・補助的にソフトなイメージを埋めていく役割だ、という整理です。
ただし、長期的に続けていけば必ず効いてくる。片山さんは音声配信がブランディングに効く理由は3つあると続けます。
音声がブランディングに効く理由1|親密さ
1つ目の理由は「親密さ」です。声は耳元で語りかけるため、究極の一対一のメディアになると片山さんは説明します。
心理学でいう「パラソーシャル関係」により、継続的に声を聞くと、まるで友人のような親近感が形成される。これが信頼と説得力を格段に高めると語られています。
具体的な数字はないとしつつ、片山さんは配信を始めてからの体感を語ります。
実際に会った人と接すると、なんか向こうフレンドリーさ上がってるんですよ。
さらに、視覚情報がないぶん聞き手の想像力が全開になり、声色や間、話すリズムから語り手の人格が伝わっていくと片山さんは話します。これが脳に直接語りかけるような深い共感と信頼を生むと考えられています。
音声は「ながら聞き」ができるメディアであることも親密さにつながります。通勤中や家事の途中、散歩や運転中など、生活の一部になりやすく、心の距離がグッと近くなる。保呂田さん自身も、配信済みのエピソードを運転中に聞いて、一緒にトークしている感覚になったと話しています。
音声がブランディングに効く理由2|継続接触
2つ目の理由は「継続接触」です。音声配信は、リスナーの時間を着実に積み重ねて占有できるという特性があります。
1配信は一般的に15分から20分が適切とされ、それを毎週習慣化してもらえると、その人の時間を着実に独占できると片山さんは説明します。これは心理学でいう「単純接触効果」につながる話です。
音声は途中で止めにくく、最後まで聞いてもらいやすいコンテンツだとも語られています。片山さんたちが制作するコンテンツの平均完聴率は、今おおよそ80〜86%だといいます。
実際に別で制作している番組では、リスナーから「この番組を聞くことでモチベーションを上げている」といったコメントも届いているそうです。こうして感情的な結びつきが積み重なっていくと片山さんは実感を語ります。
音声がブランディングに効く理由3|語彙の固定とサウンドロゴ
3つ目の理由は「語彙の固定」です。特定の言葉を繰り返し使うことで、ブランド連想を自動化していくという考え方です。
この番組では毎回、連想できる3つの言葉「連想三語」を必ず入れていると片山さんは明かします。それが難しくない、ポジティブ、実験室という3語です。
毎回の配信で僕たちもやってるんだけども、連想三語、連想できるこう三つの言葉っていうのを使って、必ず話していますと。
保呂田さんは、これをショート動画で重視される「フック」や、昔からCMやラジオで使われてきた「サウンドロゴ」と重ねて説明します。「やっちゃえ日産」のように、繰り返されることで声のトーンやブランドの色が耳から脳へ潜在的に刻まれていく、というわけです。
人間の脳は、繰り返し入力される情報を重要なものと認識し、特定のキーワードとブランドを自動的に結びつける特性がある。だからこそポッドキャストを通じて語彙の固定ができると片山さんは話しています。
機能・情緒・自己実現の3層で見る音声の価値
片山さんは、前回の配信で扱った「機能・情緒・自己実現」という3つのベネフィットに当てはめて、音声配信の戦略的価値を整理します。
機能的ベネフィットは、ながら聞きで情報収集ができる効率性です。情緒的ベネフィットは、毎週同じ人の声を聞くことで生まれる安心感や親近感で、これがファン化の入り口になると語られています。
3つ目の自己実現・自己表現のベネフィットは、聞き手がその人の考え方を支持する自分にアイデンティティを感じるようになることです。保呂田さんは、番組のコンセプトに賛同したリスナーが「私もこういうのを考えたかった」と思えたら、それはすでに自己表現的なベネフィットだと解釈します。
聞き手からコメントとか感想が送られてきて、双方向のコミュニケーションが生まれたら、もうこれコミュニティじゃないですか。
アメリカの事例と、日本の音声メディアの現在地
音声メディアの可能性を語るうえで、保呂田さんはアメリカの事例を持ち出します。ポッドキャストが選挙の当落に大きく関わったという話です。
対抗馬がとあるポッドキャストに出なかった一方、トランプ大統領は出演した。それが当選に大きく関わったという話を聞いたとき、日本ではまだありえないと感じたと保呂田さんは振り返ります。ただ、今後そうなる可能性は十分あると考えています。
日本では、トークだけの専門的な番組は実は少なかったのではないかと二人は話します。ラジオはエンターテインメント寄りの番組が多く、専門的な話はニッチでマスには難しい。だからこそ、専門的な話を自由にできる環境は今後どんどん整っていくと片山さんは見ています。
これから始める人へのアドバイスと「型」
保呂田さんが、ポッドキャストを始めたい人へのアドバイスを尋ねます。片山さんの答えはまず「とりあえずやる」ですが、そのうえで7年の研究に基づく「型」があると話します。
1話の長さは15分から20分が目安。配信頻度は週1がよく、ベストは週2だが負担が大きいのでまずは週1を目指す。収録は月1で最低4本分をまとめ撮りすると効率がよいと説明されています。
構成については、この番組を例に、オープニング30秒のあとに本題を3ブロックほどに分け、できればミニワークを挟んでまとめに向かう流れが聞きやすいと語られます。編集は、最初はノイズ取りと間の調整だけでよく、映像編集より手間がかからないとのことです。
ただし、一人で続けるのは難しいという現実も共有されます。臨機応変力とコツコツやる力がないと厳しく、10話続かない番組が7〜8割にのぼるというデータも紹介されました。
七、八割は十話続かないんですよ。
だからこそ、勝手に喋ってしまう人のためにMCがいるShoberyがある、と保呂田さんは締めくくります。
海外とつないで撮りたい|これからの実験
最後に、二人がこれからやってみたい実験が語られます。東京と大阪をリモートでつないで収録している現状から、さらに一歩進めたいアイデアです。
片山さんが挙げたのは、海外と日本をつないで、現地の空気感をそのまま収録することです。保呂田さんが良いマイクでなくても大丈夫かと尋ねると、収録状況までは変えられないものの、エンジニアの技術である程度は整音できると説明されます。
保呂田さんは、エンジニアの技術があるバージョンとないバージョンを比べて見せるなど、制作の裏側を見せていくことも提案します。音声コンテンツは映像以上に気軽に遠隔で作れるからこそ、海外とつないだ収録に挑戦したいと語られました。
海外と日本つないでやって、で、現地の空気感をそのまま収録したい。
まとめ
この回は、AI時代にあえて声で伝える意味を、音声ブランディングサービスShoberyを軸に解きほぐす内容でした。MCの役割、音声がブランディングに効く3つの理由、そして始めるための型まで、実践者の体感を交えて語られています。
- Shoberyは「声で価値を翻訳する」企業向けポッドキャスト制作運用サービスで、プロのMCが交通整理・翻訳・温度調整の3つの機能を担う
- 音声配信は売上を直接押し上げる施策というより、長期的にブランドを底上げする「補助魔法」と位置づけられている
- 音声がブランディングに効く理由は、親密さ・継続接触・語彙の固定の3つに整理される
- 本番組はあえてMCなしで運用する「実験室」で、今後はMC付きバージョンとの違いも体感できるようにしていく予定
- 始めるなら15〜20分・週1配信・月1で4本まとめ撮りが型。10話続かない番組が7〜8割という現実もある







