上流工程って、そもそもどこを指すんでしょう
まず引っかかったのが、「上流工程」と一言でいっても、デザイナーにとってそれがどこを指すのかは人によって違うということです。
ディレクターの代わりが全部できるようになることなのか、純粋なアートディレクションなのか、それともインフォメーションアーキテクト的な設計部分なのか。
どれを目指すかで、やることはだいぶ変わってくるんですよね。
ただ、今の流れでいうと、純粋にビジュアルデザインを作るところは、比較的下流工程に位置づけられているんじゃないかと思います。
結局いちばん大事なのは、お客さんの意図を汲み取る力
上流工程にはいくつかのレイヤーがあると思うんですが、結局のところ最後に大事になるのは、お客さんが求めているものを、どれだけ正確に、ブレなく汲み取れるかだと思うんですよ。
これはデザイナーもディレクターも同じです。
お客さんの中には、すごく解像度高く喋ってくれる人もいれば、逆に「ガッと来てグッとくるものを作ってほしい」みたいな、ものすごく抽象度の高いことを言ってくる人もいます。
お前は長嶋茂雄かって言いたくなるような(笑)。
でも私たちは、そういう相手にもアウトプットをちゃんとアジャストして、マッチするものを作っていかなきゃいけないわけです。
だからこそ、「この言い回しの中身は何なんだろう」「こういう言い方をしてくるのはなぜだろう」というのを、正確につかみ取る力がいるんですよね。
相談の方が「苦手」と書いていたコミュニケーションって、もしかしたらこの部分なんじゃないかと思いました。
だから、いろんなお客さんとたくさん喋ってみる
じゃあ何から手をつければいいか。私の答えはシンプルで、可能な限りお客さんと面と向かって、たくさん喋ることです。
ここで言う「たくさん」は、一つのプロジェクトのお客さんと何回も、という意味じゃないんです。
できれば、いろんなお客様との会話を経験してほしいんですよね。
なぜかというと、本当にいろんなパターンの人がいるからです。
解像度高く話す人、抽象度の高いことしか言わない人、いろんなケースにたくさん触れることで、相手の意図をつかむ力がついていくと思うんですよ。
そして、いきなり一人でやらなくてもいいと思います。まだ5年目でしょう。
会社にディレクターがいるなら、テレビ会議でもお客さん先への同行でもいいから、可能な限りついていって、その横で聞いているだけでもいいんです。
「ヒアリングって何を聞けばいいのかわからない」というところから、まず払拭していく。それが第一歩なんじゃないかなと思います。
セオリーは、説明の言葉が足りなくなってから学べばいい
たくさん話していくと、今度はお客さんに説明するための根拠が必要になってきます。
たとえばインフォメーションアーキテクチャのセオリーだったり、昔でいうFの法則やZの法則みたいな視線の動きの話だったり。
今も通用するのかはわからないですけど(笑)、そういう根拠があると「だからこういう設計にしています」と説明できるようになります。
マーケティングの知識もそうだし、色が人に何を伝えるのかという色彩のセオリーもそうです。
自分のボキャブラリーとして説明できないな、と感じたら、そのとき学べばいいと思うんですよ。
順番としては、まず相手の言うことを曲解も、自分のバイアスもかけずに汲み取る経験を増やす。知識はそのあとで足りない分を埋めていく、という流れが自然じゃないかなと思っています。
まとめ
上流工程って聞くと、設計やマーケの知識をまず身につけなきゃ、と思いがちですよね。でも私は、いまの時点では、それより先に「いろんな人と会って、たくさん喋る」ところから始めるのがいいんじゃないかと考えています。崖の前まで来た人の背中を押す気持ちで書いてみました。
- デザイナーにとっての上流工程がどこを指すかは人によって違う
- いちばん大事なのは、お客さんの意図を正確に汲み取る力
- いきなり一人でやらず、ディレクターに同行して聞くところから始める
- 設計や色彩などのセオリーは、説明の言葉が足りなくなってから学べばいい






