そもそも「成果につながるデザイン」って一つじゃない
「成果につながるデザイン」と聞いて、私が最初に思うのは、これって一つのものじゃないよなということなんです。
ビジュアルデザインもあれば、UIやユーザー体験の話もあります。UIまでいくと、インフォメーションアーキテクチャーやユーザーセンタードデザインの話ともかぶってきますよね。
なので、ビジュアルデザインの延長線上で「これが成果につながるデザインです」とは、なかなか言いづらいんです。
たとえば昔、リンクの青色ってどれが一番クリックされるんだ、という話がありました。ITテックベンダーごとに、同じ青の下線でも微妙に色が違っていて、淡い水色っぽい青もあれば紺色っぽい青もある。
これって大きな意味ではビジュアルデザインではないけれど、どの青がいいかを考えるのは、まぎれもなくデザインですよね。成果につながる要素は、いろんなものが複合しているというのが、まず前提にあると思っています。
最後はトライアンドエラーになる理由
もう一つ知っておいてほしいのが、結局のところ最後はトライアンドエラーも必要になる、ということです。
なぜかというと、商材によって求められる質がまるで違うからなんです。
私の会社は不動産業界に特化しているので、扱うのは不動産サイトです。まだまだ「この部屋空いてますか」「この家買いたいんですけど」というお問い合わせが中心なんですね。
一方でECサイトは、その場でお金がチャリンと落ちる世界です。求められる「成果」の中身がそもそも違うわけです。
先日、初めてTemuで買い物をしたんですが、あれはあれで純粋にすごいなと思いました。よくもここまでベタベタな方法でリピート購入をさせるかというくらい、仕組みが盛りだくさんなんです。
IT屋やウェブ屋から見ると「はいはい」と思っちゃうんですが、それでも成立しているわけで。お問い合わせを取るサイトと、その場で買ってもらうサイトでは、成果につながるデザインの質は違うんですよね。
だから、この業界をやったからこう、このサイトをやったからこう、という積み重ねになる。どのサイトでもこうやれば成果につながる、という万能の正解はないというのが、私の大前提です。
才能がないなりに、まず本で学んだこと
正直に言うと、私は自分にデザインの才能がないなと思っています。私のやってるデザインは、もうセオリーだけでやっているようなものなんです。
ゴリゴリPhotoshopをいじり続けてきたわけではなく、マークアップもしたし、システム側も開発したりしていたので、デザインにどっぷり浸かってきたタイプではないんですね。
だからこそ、まずは知識として入れました。人が綺麗だと思うもの、整っていると感じるものは何なのか、というのを前提として本で学んだんです。
定番ですが『ノンデザイナーズデザインブック』は大セオリーだと思います。あと私が楽しかったのは『なるほどデザイン』ですね。
他にも『デザインの基本ノート』や、『デザイン教室 入門特別講義』も良くて、ああデザインってそういうものか、と思えました。
実は私、デザインするときに余白が使えないタイプなんです。ギチギチに詰めないと気持ち悪いと思っちゃう。だからすがるように『結局余白』という本を読んだりもしました。
あとは色彩検定も受けました。なぜこの色なのか、感情に何を訴えるのか、というのをセオリーとして覚えるようにしていたんです。
こうした座学で学べるものをまず身につけた上で、その上に自分が何を積み重ねるか。土台はセオリー、その上に経験を積むという順番かなと思っています。
「一つを深めたい」という悩みへの、いまの私の答え
もう一人、2年目のディレクターの方から「一つの分野を深めたい気持ちが強いけど、このままでいいのか」という悩みもいただきました。
正直に言うと、私自身は成長の軸や学ぶ優先順位を、そんなにきれいに考えてこなかったんです。目の前にあって面白そうなものに、結構節操なく飛びついてきました。
ただこれは時代もあると思っていて。私が若い頃は、ディレクターもHTMLが書けて、Flashもやって、デザインもちょっと作って、簡単なCGIも書いて、というのが当たり前だったんですね。
一つの分野を深めたいというのは、全然いいと思うんです。それはそれでいい。
でも、正直に言うと、一つの分野を深めることにかけられる時間は、昔よりずっと短くなったんじゃないかと思うんです。
たとえば私が1年くらいかけてやっていたことを、今の人たちは半年くらいで「ここら辺でいいかな」というところまで持っていかないと、ちょっと厳しいんじゃないか、という気がしています。
一つの分野の学びを完全にやめることは、この仕事では多分できません。HTMLもデザインもシステムも、次々に新しいことが出てくるので。
だから問題は、一つに傾倒している時間をどれくらいまで自分がかけるか、というところなんじゃないかなと。
いろんなものを中途半端にやるくらいなら、一個をしっかり煮詰めていくのでいいと思います。そのとき大事なのは、自分が楽しいと思えるものを選ぶこと。興味が続かないと、そもそも知識が入っていかないですからね。
まとめ
才能がある人のようには語れませんが、才能がないと自覚したからこそ、セオリーを本で入れて、その上に経験を積むという順番で私はやってきました。成果につながるデザインに万能の正解はないので、いまも学び続けている途中です。
- 成果につながるデザインは、ビジュアル・UI・体験など複数の要素が複合している
- 商材によって求められる成果が違うので、最後はトライアンドエラーも必要になる
- 才能がないなら、まずセオリーを本で学び、その上に経験を積み重ねる
- 一つを深めるのはいいが、そこにかけられる時間は昔より短い。楽しいと思えるものを選ぶのが続けるコツ



