ディレクターやエンジニアには「上流工程」がある
まず前提として、ディレクターやエンジニアには、キャリアを積んだ先に「上流工程」と呼ばれるものがなんとなくありますよね。
私はディレクターなので、そこから話してみます。
最初はチケットを書いて、進行を見て、ミーティングをして議事録を書く。
そのうち全体が見えるようになって、WBSを書いてガントチャートを引いて、進捗を管理したり、お金のことを考えるようになったりします。
もっといくと、ワイヤーを書いて企画を考えて、営業的に新しい仕事をゼロから取ってきて、見積もってプレゼンして、という話にもなっていく。
エンジニアも同じで、最初はゴリゴリコードを書いていたのが、だんだんコードレビューをするようになって、データベース設計や詳細設計に移っていきます。
コードを書かないけどエンジニアの仕事、というのがちゃんと存在する訳です。
デザイナーには、その明確な違いが見えにくい
ところがデザイナーさんは、その上流工程的なところの明確な違いが、あんまり見えない気がするんですよね。
そもそもデザイナーさんって、手を動かさなくなることをすごく積極的に考えているかというと、あまりそういう方ばかりでもない気がしていて。
そういう方は、スッとアートディレクター側に行くと思うんです。
でも、デザインしていることが何より好き、という方の方が多いイメージがあるんですよね。
だからステップと言われても、デザイン、デザイン、デザイン、とずっと続いていく感じで。
最初はバナーのデザインだったのが、ランディングページになり、下層テンプレートになり、トップページになり、グランドデザインを作って。
このあたりまで来ると、手は動かしているけどアートディレクションに近いところになってきます。
つまり、階段というより地続きなんですよね。
これからのデザイナーに効いてくるのは「3Dが描けるか」
ただ、これからのキャリアという話でいうと、私はちょっと別の切り口も持っています。
今日はずっとARの文脈で話してきましたが、AR的なところでいうと、2Dではなく3Dのデザインができるかどうかが、めちゃめちゃ肝になると思っているんです。
特にウェブのデザイナーさんは、ここが今後大きいんじゃないかと。
これはキャリアというより、2Dから3Dへ広げられるスキルの話かもしれません。
もう一つ、よく言われるのはマネジメント側に行くかどうかですが、これはデザイナーさんに限った話ではないですよね。
そもそもウェブのクリエイターって、マネジメント側に行きたいというより、ゴリゴリ手を動かしていたい人の方が、私も含めて多い気がしますし。
昔からデザイナーは、その時々で悩んできた
昔から、デザイナーさんはこう進んでいけばいずれこうなります、みたいな道があんまりない気がします。
だからこそ、その時々でみんな悩んでいるんじゃないかと思うんですよね。
私が一番最初に勤めた会社の制作部のマネージャーは、デザイナーの方でした。
ヒューマンマネジメントもリソースマネジメントもしていましたが、それでもご自身でデザインを作っていましたね。
ただ、本当に大事なデザインのところしかやっていなかった気がします。作業の時間的にも、現場の細かい仕事はできないんですよね。
一方で、アートディレクションに行くなら「何ができたらアートディレクターなのか」という別の話も出てきます。
現場のデザイナーが明日からアートディレクションをできるかというと、それはまた別で。
Photoshopで作ったものを「見てくれ」ではなく、「なぜこのデザインにしたのか」を説明できる言語化能力が要る。これはまた別の能力な気がします。
まとめ
結局、デザイナーのキャリアにきれいな階段がないのは、悪いことではなくて、そういうものなんだと思います。だからこそ、今の時点では、同じデザイナー同士で話せる場を持つことが一番の答えに近いんじゃないか、と私は考えています。
- ディレクターやエンジニアには「上流工程」という見えやすい先があるが、デザイナーはそこが地続きで見えにくい
- これからは2Dから3Dのデザインができるかどうかが、大きなスキルの差になってくると考えている
- マネジメントもアートディレクションも「別の能力」が要る道で、現場が好きな人が多いからこそ悩みやすい
- リアルなセミナーなどでデザイナーの友達を見つけて話してみるのが、案外近道かもしれない






