上流工程は本当に本で学べるのか
先日、二重請けや代理店仕事がメインの制作会社にいるという方から、上流部分の設計をもっとやってみたいけれど、勉強する方法や書籍でいいものはありますか、というご質問をいただきました。
正直に言うと、本で勉強できるのには限界があるんじゃないかなという気がしています。
ワイヤーの書き方だったら、『XD』や『Figma』の使い方も含めて、ディレクターの本を読めばちゃんと載ってると思うんですよ。いい本もいっぱいありますからね。
でも上流工程って言い出すと、その中にいろんな要素があるんですよね。ワイヤーの設計もあれば、コンバージョンの設定、要求要件の把握、ユーザー体験、アクセシビリティ、さらにはインフラやアプリケーションのアーキテクチャまで含まれてきます。
だから、画面設計より先の話は、OJTじゃないとなかなか難しいというのが正直なところなんです。
まずは言葉が通じる状態をつくる
じゃあ勉強できることは何もないのかというと、そんなことはありません。
少なくとも単語とか用語、そういったものは一通り全部ちゃんと意味がわかっているレベルにしておくべきだと思うんですよ。
いざその仕事が来たときに、「そこら辺は何を喋ってるのかすらわかりません」となってしまったら、もう全く話が通じないわけですから。
だから、インターネットってどういう仕組みで動いているのか、サーバーサイドのプログラムはどう動くのか、そういう本はいっぱいあるので、まずちゃんと読んでおいた方がいいと思います。
ディレクターっていろんな職域の翻訳係みたいなものだと思うんですね。知ってる方がエンジニアとも話ができるし、デザイナーとも、クライアントとも話ができる。いつその仕事が来ても大丈夫なように準備をしておく、そういうものだと思っています。
作り手の話より、商売の理解の方が大事
ここまでは全部、作り手の部分の話なんですよね。
でも実際には、上流工程って結局、ウェブサイトって何ですか、と言ったら、どこまで行っても商売の道具でしかないんですよ。乱暴な言い方かもしれませんけど。
そうなると、大事なのって、商売って何、お客さんの心はどこにある、お金をいただくのって何、みたいなところなんですよね。そこへの理解の方が、僕は重要だと思っているんです。
僕はディレクターをしていて、うちの会社は制作会社なんですけど、お客様の儲け、商売に寄与しないサイトは作るのやめましょうっていうのを、この20何年間ずっと言うようにしているんですね。
お客様が四苦八苦して稼いだお金を、制作会社として預かるわけですよ。だとしたら、おろそかなものを作るわけにはいかない。
だから、その商売にどう寄与するのかという目的がちゃんと立てられないサイトは、作るのをやめた方がいいと思うんですよね。
チャンスは、自分から見せて増やしていく
上流工程の設計って、一番最初からドカンとでかいものができる人ってそんなにいないんですよ。やっぱり。
なので、いつそんな話が振られても大丈夫って状態をまず作っていく。それでも1年経ってもチャンスがないなら、転職を考えるのでも別にいいんじゃないかなと思います。
今もしかすると、まだこいつはウェブの実装以外のところは理解や興味がなさそうだな、と周りに思われているのかもしれないんですよね。
だからこそ、ふとした話のところで、フロントの実装だけじゃないところ、デザインやインフラのことも話してみる。
自分の会社の中で、この商材ってこんな風にしたらいいよね、こうやれば売れるのにな、みたいな話を自分から発信できるようになると、こいつちょっと考えてるのかな、と思ってもらえて、少しずつチャンスが増えるんじゃないかなと思います。
まとめ
上流工程をやりたいという気持ちは、本当に大事だと思います。ただ、ツールや用語の勉強と同じくらい、いや、それ以上に、商売そのものへの興味を持ってほしいというのが、今の僕の考えです。作るものだけじゃなくて、世の中で事業がどうやって成り立っているのか、そこに興味を持てると、お客様と話しても通じるようになるんじゃないかなと思っています。
- 上流工程は要素が多く、画面設計より先はOJTで学ぶ部分が大きい
- 用語や仕組みを理解して、いつ仕事が来ても言葉が通じる状態をつくる
- 作り手の知識より、商売や事業への理解の方が上流では重要
- 自分から発信して周りに見せることで、少しずつチャンスは増えていく






