社内政治は消せない、だから諦める
相談をくれたミッキーさんは、社内政治で上司に仕事を潰されたとのことでした。
「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」を地でいくような人だそうで、本気でやる気を失った、と。
気持ちはすごくわかります。でも僕は、ちょっと残酷なことを言うかもしれません。
社内政治って、絶対に生まれちゃうんですよ。人が3人以上いたら、もう政治が生まれます。
意見も、生まれた環境も、育ってきた環境も違う人が3人揃うんです。それが何も言わずに綺麗に揃うわけがないんですよね。
だから僕は、社内政治にイライラするのはそもそもナンセンスかなと思っているんです。
これ、「人は何で死ぬんですか、死ぬのは良くないですよね、納得できないんです」って言っているのと同じくらい、僕にとっては無意味なんですよ。
僕がこういうことを受け入れるためによく言っているのが「ポジティブに諦める」という言葉です。
ネガティブな言葉にずっと囚われるくらいなら、口に出して「しゃあねえか」って諦めて、前向きに「じゃあどうしよう」って進んだ方がいいと思うんですよね。
「潰された企画」は、本当にいい企画だったのか
そもそも社内政治をやめようとすると、今度は好きか嫌いかだけの、感情での判断になっちゃうんです。
もしくはゴマすりみたいな、別の形の政治になるだけなんですよね。だから諦めて、どう付き合うかを考えた方が健全なんです。
その上で、「潰しに来る」という部分なんですが。
上司は、ミッキーさんのやろうとした仕事が自分にとって不利益になる、損になると思ったから潰しに来たはずなんですよ。
これ、以前に企画術のセミナーをしたときにも話したんですけど、いい企画だから通るわけじゃないんです。通った企画のことを、いい企画と呼ぶんですよ。
企画は、それ単体で判断されるわけじゃなくて、受け取る人や他の企画と比較検討された中で「相対的にいいよね」と言われて採用されるんです。
だからいい企画なのに通らないことは、普通にあるんですよね。
つまり、あなたの感覚でいい仕事のはずではなくて、上司が採用してくれてはじめて、それはいい仕事、いい企画になるんです。
上司の仕事は、突き詰めると評価と決定だけ
ちょっと前にも上司の仕事の話をした気がしますが、上司って完璧な聖人でもなければ、全知全能の神でもないんですよ。
部下のモチベーションを上げるとかは、本質的には上司の仕事じゃないと僕は思っています。
そもそもモチベーションって自分で作るものですし、その有無が仕事の成否や品質に関係したら困るはずなんですよね。
「モチベーションがないから仕事しません」なんて、本来は通らないはずですから。
だからプレイングマネージャーは別として、純粋なマネージャーの仕事って、突き詰めたら評価と決定だけなんですよ。
上司がOKする形になっていない時点で、提示している状況はダメなんです。自分の独りよがりになっているのに、良いものを潰されたと思っちゃっている可能性があるんですよね。
仕事の善し悪しは、自分が決めるものじゃなくて、第三者が決めるものなんです。
だって自分が良いと思ったものが全部通るなら、世の中のコンペは100パーセントを出した人が通りますよね。落ちるつもりで出す人なんていないはずなんです。
独立しても、判断するのは自分じゃない
誤解しないでほしいのは、上司が部下を全く気遣わなくていい、とは僕は言っていません。
これはどっちが言うかの問題なんですよ。「お客様は神様」という言葉と同じです。
お客が「俺は神様なんだから敬意を払え」と言ったら、それはちゃうやん、という話ですよね。あれはお店側が自分を戒めるためのセリフなんです。
同じで、上司が部下を大事にしようと動くのは上司として正しいんですけど、部下の側から「上司なんだからそうしろ」と言ってしまうと、話は平行線になっちゃうんです。
そして、もしこの「評価者に合わせる」ということがどうしても嫌なら、たぶん最終的にどんな形でも仕事はできないと思うんですよね。
僕も独立していますけど、独立したって、今度は上司じゃなくてお客様が判断する立場になるだけなんです。
いい提案なのに採用してくれない、潰しに来る、理解しないのが気に入らない。そう言ったところで、仕事が来ないだけなんですよね。
評価者が何を求めているかを汲み取って、そこに合わせる観点を持たないと、そもそもいい仕事はできないんです。残念ながら。
ただ、部下が評価されて自分の立場がなくなるから潰す、とどう考えてもそうとしか思えないなら、辞めるか異動を言った方がいいですよ。
下の人間に立場を脅かされると保身に走る人がいるのは、古今東西ずっと続いていることですからね。そうでないなら、自分に足りなかった部分を探した方が健全かなと思います。
まとめ
たぶん、留飲は下がらなかったと思います。「名村さん、全然俺の味方してくれないじゃないか」と思われたかもしれません。でもここでおためごかしを言っても、たぶん何も変わらないので、あえて部下の側からできるアプローチとしてお話ししました。
- 社内政治は人が3人いれば必ず生まれる。消そうとせず「ポジティブに諦める」方が健全
- いい企画だから通るのではなく、通った企画がいい企画と呼ばれる
- 仕事の善し悪しは自己評価ではなく、評価者による他者評価で決まる
- 評価者が何を求めているかに合わせる観点がないと、独立してもお客様の前で同じ壁にぶつかる






