隣の芝生は、たぶん青く見えているだけ
まず思ったのが、フロントエンドの子たちの華やかな話って、たぶん隣の芝じゃないかなということです。
自分の中に出てこない単語が飛び交ってるから華やかに聞こえてるだけで、実際はそんなにキラキラしたものでもないんじゃないかと思うんですよ。
だってフロントの子たちも、どこかのタイミングで先輩にコテンパンにされると思うんですよね。
仕事になれば、それなりの品質が求められるようになります。
で、品質だけじゃなくて速度も求められるはずなんです。
お金をもらうということは、必ず納期という時間が設定されますからね。
たとえば1万円の仕事に20日間悩んでやっと仕上げましたとなったら、その人の時給はとんでもないことになっちゃう。
よく給料の3倍くらいの粗利を出さなきゃいけないなんて話がありますけど、そうなると時間がすごく大事になってきます。
バグを出さず、安定したものを、仕事として求められる速度で仕上げる。フロントエンドの子たちもきっと大変なんじゃないかなと思うんですよ。
新人にとっての価値は「学んでいること」そのもの
じゃあ、今やってるクラウドの設定やログのチェックが会社にとってどういう価値があるのか。ここが本題ですよね。
私は会社側の人間なので、その立場から正直に言いますね。
新卒で入った子の一番の価値は、早く即戦力になってもらうことなんです。
だから難しいことをいきなりやってもらおうなんて、そもそも思ってないんですよ。だって失敗できないですからね。
知識にないことをどう自分なりに調べて、結果を出せるようにするか。それを学ぶこと自体が今の時間の意味なんです。
つまり「これって何の価値があるんだろう」の答えは、学んでいること自体に価値がある、なんですよね。
だから腐ることもなく、「こんな簡単な作業、誰でもできるじゃん」と思うこともなく、目の前のことをコツコツこなしてほしいなと思います。
今の作業そのものにすごい価値を見出すのは、もっといろんなことができるようになってからで大丈夫です。
半年前より速くなったとか、ミスが減ったとか。それができてくれたら、会社としてはもう万々歳なんですよ。
アクセシビリティ対応は、どこまでを「空気」にするか
同じ日に、アクセシビリティ対応についてのおたよりもいただきました。クライアントに「とにかくやってほしい」と言われるけど、目指すレベルも目的も曖昧で毎回判断に迷う、という内容でした。
これ、本当に昔から難しいなと私も思ってるテーマなんです。
日本ではアクセシビリティの大家として、インフォアクシアの植木さんがいらっしゃって、私はだいぶ昔からお付き合いさせてもらってます。コロナ前までは一緒に自転車チームを組んでいて、植木さんは監督兼選手で、本当に速かったんですよ。
で、この対応でよく話に出るのが、追加予算をもらえるのかどうか、という点なんですよね。
私の考えとしては、一定の品質はフロントエンドが空気を吸うようにやるところに持っていかないとダメなんじゃないかと思ってます。
これはCSSレイアウトが広まり始めた頃を思い出すんです。当時はテーブルレイアウトなら安いけど、CSSレイアウトならお金くださいみたいな空気があったんですよ。
でも私はそれにずっと疑問があって。作り手の技術が足りないから、最新の技術でやるとお金をもらうって、それは違うんじゃないかと思ってたんですよね。
だったら自分のスキルを上げて、フルCSSで組めるようにすればいいじゃないかと。
アクセシビリティも同じで、しれっと対応できてるくらいがフロントエンドの矜持としていいんじゃないかなと思ってます。
予算と工期の話は「ビジネスに寄与するか」とセットで
もちろん、一定のラインを超える対応については、お客様としっかり握ります。
その時は、こちらから提案するようにしてるんですよ。
ディレクターとしてサービスの内容は理解してるので、ターゲットユーザーは誰で、その人たちが使ったときの満足度、言ってしまえばコンバージョンに寄与するアクセシビリティ対応はここじゃないですか、と。
同じレベルを取るにしても、全部やる必要がないケースもあると思うんです。「このレベルまで対応してます」とサイトで謳わないなら、なおさらですよね。
お客様はプロではないので、バズワードとして「アクセシビリティ対応」と言うことは昔から当たり前のことなんです。
だから、何を言ってるかわからないくせに、なんて目くじらを立てる必要もない。じゃあここまでやるのがいいですね、と提案すればいいだけなんですよね。
大事なのは、予算と工期の上振れを、コンバージョンやKPIへの寄与とセットで話すことです。
便利になるからお金が増えます、だけだと「なんで?」で終わっちゃいますからね。
ちゃんと商売に寄与するというビジネスロジックを作ってあげないと、お客様はやるかやらないかの判断すらできないんです。
だから、その対応で得られる効果や効能をきちんと話してあげることが、いちばん親切なんじゃないかなと思ってます。
まとめ
インフラの作業もアクセシビリティ対応も、一見「地味」だったり「余計なコスト」に見えたりするんですけど、その意味を自分で言葉にできるかどうかで、見え方がずいぶん変わってくると思うんです。いまの私は、目の前のことをコツコツこなす時間にも、ちゃんと価値があると考えています。
- フロントエンドの華やかさは、たぶん隣の芝生として青く見えているだけ
- 新人にとっての価値は、学んでいること自体にある。早くそつなくこなせるようになるのがいちばんの価値
- アクセシビリティは一定ラインまで「空気を吸うように」やり、それ以上は提案して握る
- 予算と工期の話は、コンバージョンやKPIへの寄与とセットで話さないと商売にならない






