「エンジニアに嫌われないデザイン」を気にしすぎなくていい
Figmaで作ったデザインを、エンジニアさんに「これ実装的にきついです」とほぼ毎回戻されてしまう。そんな悩みでした。
正直に言うと、私はこれを聞いてエンジニアの方がダメなんじゃないかと思っちゃったんですよね。
もちろん、物理的に無理な実装というのはあるかもしれません。でも「毎回」戻ってくるとなると、それは別の話かなと。
デザイナーさんが考えたUIって、そのサイトが最終的に提供するユーザー体験のために考えているものですよね。
それを「エンジニアに嫌われないから」で調整し始めると、サイトのターゲットがエンドユーザーじゃなくてエンジニアさんになっちゃう気がするんです。
だから私は、デザイナーさんは「エンジニアに嫌われないデザイン」なんて考えちゃダメなんじゃないかと思っています。
フロントをやっていた頃、「技術的にできない」をゼロにしたかった
これは自分がフロントエンドをやっていた頃の感覚が大きいのかもしれません。
私は、自分の知識が足りないことで実装ができないという状況は極限まで避けたいと思ってやっていました。
当時はまだXもFacebookもなくて、情報源といえばGoogleか本、あとはセミナーくらい。
特に最先端と呼ばれるものやFlashで作るような表現は、ウェブで探すよりセミナーの方が突っ込んだところを学べたので、毎週いろんなセミナーに通っていた気がします。
そんな感じで、「どんなデザインを持ってきても俺が絶対実装してやる」という気持ちでいたんですよね。
もちろん100%はできませんでした。当時のブラウザのバグの問題もありましたしね。
だからこそ、デザイナーさんには「エンジニア頑張れ」と言いたいというのが、正直な気持ちなんです。
「本当に無理」はあっていい。でも気にしすぎるな
とはいえ、さっき言ったみたいに「よっぽど無理」というのはどこかであるかもしれません。
「ここから先は難しいです」という線があっていいと思いますし、作れなくはないけど実装時間がものすごくかかってしまう、というケースもあります。
昔はエンドユーザーのマシンスペックの問題もありました。フロント側でレンダリングするとパソコンの性能を食うとか、IEだと重たいとかですね。
そういうところでのベストエフォートはあったんです。でも、実装をあんまり気にしないでガンガン「これを作ってほしいんです」と言っていいと思うんですよ。
デザイナー2年目だからちょっと気にされているのかもしれませんが、そんなに気にすんな、どんどん面白いもの作っていけと。
その方が最終的に自分も納得するし、お客さんも納得します。ちょっと無責任な言い方ですけど、そう思うんですよね。
クライアントの「生成AIで作ったワイヤー」も、根っこは同じ
似たような相談で、クライアントから「ChatGPTで作ったワイヤーがあるので、これを元に進められませんか」と言われることが増えた、というものもありました。
見るとIA的にもUX的にも穴だらけで、ゼロから整理し直した方が早いんだけど、素晴らしいですねと言うべきか、はっきり使えませんと言うべきか、というお悩みです。
私の答えは後者ですね。ダメだと思ったら「これは使えません」と言うと思います。
ただ、なぜダメなのかは全部説明します。ここがこうだからダメです、と。そうじゃないとお客さんは納得してくれないですからね。
ここで私がいつも大きな壁だと思っているのが、クライアントは自分の商売のことを隅々まで知っている、という点なんです。
でも初めて見るエンドユーザーはそんなこと知らないからサイトに来る訳ですよね。だから社内の人が作った「見やすい」「わかりやすい」は、私は絶対に嘘だと思っているんです。
生成AIに自分たちの知識を教え込むと、前知識のある人が見てわかりやすいと勘違いしているだけのものになりがちなんですよ。なんとなく小綺麗なんですけどね。
だから、これからの生成AI云々という場面では、なぜダメなのかを言語化する能力がものすごく求められるだろうなと思っています。
ちなみに私は、自分のこだわりやUIの好みを世の中に出したい訳ではないんです。お客様が望んでいる成果を達成できるかどうか、その範囲で判断しています。
まとめ
デザイナーさんもディレクターさんも、根っこは同じだなと思うんです。エンジニアに合わせにいくことでも、AIが出したものをそのまま通すことでもなく、そのサイトの向こうにいるエンドユーザーを見て判断できるか。いまの私はそう考えています。
- 「エンジニアに嫌われないデザイン」を意識しすぎると、ターゲットがエンドユーザーからエンジニアにすり替わってしまう
- フロントをやっていた頃、私は「知識不足で実装できない」をゼロにしたかった。だからデザイナーには「気にせず面白いものを作れ」と言いたい
- 生成AIで作ったワイヤーがダメなら、はっきりそう言う。ただし「なぜダメか」を言語化して説明する
- クライアントの「わかりやすい」は前知識ありきのことが多い。エンドユーザー視点で見直すのがディレクターの仕事



