「もらった分以上の仕事をする」の落とし穴
ものづくりが好きな人ほど、対価を超えていいものを作ってあげたい、という感覚を持ちがちです。
たとえば30万もらってるけど、30万以上の稼働を使ってでもお客様にいいものを納品したい、という思いですね。
気持ちはすごくよくわかります。でも私は、それをあまり良しとしないタイプなんです。
私たちがやってるのは労働集約の仕事なので、いただいてるお金以上に稼働するというのは、単純にはタダ働きをしてるってことなんですよね。
「自分の判断でクオリティを上げてるだけ、誰にも迷惑かけてないじゃないか」と思う方もいるかもしれません。
でも私は、最終的にこれはあまり良くないと思ってるんです。
なぜなら、いただいてるお金以上のクオリティを出してしまうと、お客様が勘違いしてしまうから。
次に同じ30万でお願いされたとき、事情があって前ほど稼働を割けないと、「なんでこんなにクオリティ下がったの?」と言われてしまう。
そのとき「前回はサービスでいいものを作ってあげたのに」と一瞬でも思ったら、もうアウトなんです。
それはお客様に対して、私はすごく不誠実だと思うんですね。
給料の源泉を払っているのは誰か
お金をもらうこと自体に違和感を感じる、というのは突き詰めると、じゃあ自分の給料は上がらなくていいのか、という話にもなるんですよ。
ここはものすごく言葉を選んで言うつもりでいますが、私たちはみんな、給料をいただいて生活の糧を得ているわけですよね。
じゃあその源泉を誰が払ってるのか。私は代表をやっていますが、うちのメンバーの給料を払ってるのは、私じゃないんです。
お客さんなんです。
会社という箱や銀行口座を通り抜けてはいますけど、基本的にはお客様がみんなの給料を払ってるわけですね。
だからお客様からお金をいただくというのは、すごく大事なことなんです。
そのことを考えられない限り、極論、分かりやすく言うと給料は上がらないんですよ。
日本人ってお金の話をするのは意地汚い、みたいな感覚が蔓延してるところもあると思うんです。
でも私は、ウェブ制作をしている人こそ、ちゃんと商売人になってお金の稼ぎ方を考えてほしいと思っています。
私が大事にしている「適正収益の極大化」
私が持っているお金の稼ぎ方は、「適正収益の極大化」だと自分で思ってるんです。
ぼったくるわけじゃないですよ。1時間で済むものを100時間なんて見積もりは、絶対に書きません。
仮にお客さんが100時間かかると思ってたとしても、私はそれを書けないです。
逆に、本当に10時間かかるものは10時間かかる。お客さんが「5時間でできないの?」と言っても、これは10時間かかるんです、と伝える。
そこから、じゃあどうすればできるようになりますか、というすり合わせを始めるつもりです。
結果として値引きするかもしれないし、やることの内容を削るかもしれない。予算がないなら、そこは話し合う。
でも、ご依頼いただいた内容にはこれだけの金額と工数がかかるんです、ということを、どうやってお客様に理解いただくか。
そこにちゃんと向き合うべきだなと思っています。
クリエイターだった私と、経営者になった私
私ももともとクリエイター側だったので、いいものを作れるなら、一晩徹夜してでもと思っていました。それは今も思っています。
ただ、私は経営者なのでタイムカードで働いてるわけじゃない。自分が許容できる限り、どれだけ稼働をかけても誰も文句を言わないんですよね。
だから自分一人で動くものに関しては、正直どうでもいいやと思っています。
でもメンバーが動くものは違います。メンバーの価値をお客様に感じていただき、理解していただくのは、私がやらなきゃいけない大事な仕事なんです。
これだけの内容がかかりますよ、と説明して納得していただく。そこに時間も力も割くべきだと思っています。
ものづくりが好きな人ほど、お金の部分の感覚が弱いことがあるんですよね。
でも、そこと向き合わないまま40代、50代になると、だんだん辛くなってくると思うんです。
だから今そこにちゃんと向き合うのは、すごくいいことだなと思っています。
まとめ
ものづくりとお金は、どちらかを選ぶものではないと私は思っています。お客様に価値を理解してもらうことこそ、いいものを作り続けるための土台なんじゃないでしょうか。いまざわざわしている方は、しっかり考える機会が来た、と前向きに受け止めてもらえたらと思います。
- いただいたお金以上のクオリティを出すと、お客様が勘違いして次から辛くなる
- 自分やメンバーの給料の源泉を払っているのは、お客様である
- 目指すのは「適正収益の極大化」。安売りもぼったくりもせず、工数を理解してもらう
- お金と向き合わないままだと、年を重ねてから辛くなる





