頑張って勉強したことが一瞬で無になる業界
相談をくれた方は、アクセス解析やサイト改善の業務が増えたので、統計学やデータサイエンスを知識ゼロから約1年かけて勉強したそうです。
自分の学習用だけじゃなく、社内向けのノウハウ資料まで作った。
それを会社がまとめてAIのデータソースにして、資料自体をAIツール化する方向に動いた、と。
AI活用には大賛成だけど、自分の努力が一瞬で学習データとして取り込まれたことに、個人の感情としては少しモヤモヤする、という内容でした。
気持ちは本当によくわかります。わかりますよ。
でも私は、AIに食わせて便利になるなら、自分がやってきたものだろうがなんだろうが別にいいと思ってるタイプなんです。
なんでかというと、私はこの仕事が30年目で、すげえ頑張って勉強してきたことが一瞬で無になるみたいなことを、ずっと経験してきたからなんですよね。
一番わかりやすいのがFlashです。ActionScriptとか、結構頑張って勉強したのに、ある日「Flash終わります」って言われた。
マジかとは思ったけど、それまでも似たようなことがずっとあったので、まあそうか、じゃあ次次、って感じだったんですよ、私にとっては。
生成AIだって、たぶんあと10年くらいしたら次の便利ツールがまた出てきますよ。
Webの仕事をしている限り、今すごく頑張って学んだ知識やノウハウが一瞬で陳腐化するのは、諦めてやらないとダメかなという気がします。
会社で学んだことだけで、頭一つ出ることはできない
もう1つ、会社にそれを使われてしまった、というモヤモヤもあると思うんですよね。
この相談は、たぶん2つのモヤモヤが混ざっているので、一度切り離して考えたいと思います。
まず、業務外の時間で頑張って勉強したものを、会社がポンと使ってしまった、というところ。
でも私は、会社の中だけで学んだことで人より頭一つ出るのは、たぶん不可能だと思ってるんですよ。
そもそも会社という組織は、本質的には純粋な座学をする場ではないので。
自分の評価の源泉を作ろうと思ったら、残念ながら業務外の時間で何かをしないとダメなんじゃないかと思うんです。
だって、セミナーが土日にあるやつ、みんな行かないのかっていう話ですよね。
土日に開催されているのは、業務外の時間に人より先に立つために勉強しましょう、という前提がどこかにあるからなんですよ。
そして、その業務外で学んだ知識で自分の飯を食う。最終的にその結果を会社に提供する。
提供したものは会社の資産なので、会社が次のために使うこと自体は、普通に受け入れるべき話だと私は思っています。
他の人が書いた企画書を、次の企画書の参考にするのと同じですよね。会社のナレッジとして残っているんだから、「参考にさせてもらいます」「どうぞどうぞ」になるはずなんです。
「これは私のおかげでできた」を言わせるところまで持っていく
じゃあどうすればよかったのか、という話を最後にしたいと思います。
私が思うのは、「この生成AIが便利なのは、私の作った資料のおかげです」とアピールしておくべきだったということなんですよ。
判断をした部長さんなのか経営層なのかわからないけど、その人に「あなたのおかげでできたよ」と一言でも言わせるように持っていく。
もしくは、資料がAIツール化されるという話が出た瞬間に、自分で切り替えてしまう。
「じゃあ僕がこの資料を全部ぶち込んで、今まで自分がやってきたことを他の人ができるようにしておきますね」と言って、そのGPTを作るところに自分から関わる。
そうすると、「このツールがあるのはあの人のおかげだ」と、みんなが言ってくれると思うんですよね。
そこまで持っていかないと、自分がどれだけ苦労して勉強したかなんて、ほとんどの人にはわからないんです。
私も昔、アクセシビリティのことを社外で相当勉強して社内で説明したことがあるんですが、返ってくるのは「ありがとう、わかった」で以上ですよ。
もうちょっと感謝しろよ、これどんだけ勉強したと思ってんだ、って。でも、それは言っても伝わらないんですよね。
だからこそ、そのテーマは自分がやりますよ、と先導を切る。二番手じゃなくて一番手でやっていく。
そうすると、次に新しいテーマが出てきたときも「あれ、あの人ならできそうだよね」と声がかかる。二番手になっちゃダメなんです、こういうのって。
そういう「次々」を考えて動いていくほうが、たぶん今後も含めてストレスなくやりやすいんじゃないかなと思っています。
まとめ
せっかく愚痴ってもらったのに、こう考えたら、という話ばかりしてしまいました。留飲が下がったかどうかは正直わからないのですが、いまの私はこんなふうに考えています。
- この業界にいる限り、頑張って学んだ知識が一瞬で陳腐化するのは受け入れるしかない
- 会社の中だけで学んだことで頭一つ出るのは難しく、業務外の学びが自分の評価の源泉になる
- 提供した資料が会社の資産として使われること自体は、受け入れるべき話だと思う
- 「これは自分のおかげでできた」と言わせるところまで、一番手で持っていくのが得だと思う






