モロッコ出身の22歳に、会いに来てもらった話
今回行ってきたのは、AWEアジアというXR、つまりARやVR、MRをまるっとひっくるめたカンファレンスです。
2日間ずっと英語なので、耳はなかなか疲れましたね。私でも聞き取れたのは5割くらいじゃないかと思います。
ただ、イベントそのものより、そこで会えた人がすごく大きかったんです。
参加者を見られるアプリがあって、そこに自分の興味を登録しておくと、それに引っかかって連絡が来るんですよ。
で、本当に私に連絡してきた人がいて、びっくりしました。
会ってみたら、モロッコ出身で今シンガポールの大学に通っている22歳の大学生だったんです。
「日本に興味があるエンジニアを目指してます」と。卒業まであと1年半あるからインターン先を探しているんだ、という話をしていました。
いろんな国の人が来る場で、日本人の私に連絡を取ってきて、コーヒーブレイクの20分で「会いましょう」と会いに来る。あのバイタリティはすごいなと、終わった後に思いましたね。
興味があるんだったら日本に来いよ、と。私の会社は少し畑が違うかもしれないけど、どこか紹介するよ、なんて話までしてきました。
続く働き方への不安に、私も「無理ですよ」と答えた
お便りで、インフラエンジニアの方から相談をいただきました。夜間対応や障害対応が続く中で、この生活を10年後も続けられるのか、という悩みです。
正直に言うと、私も今の生活を10年後も続けられるとは、まったく思っていないんですよ。
無理ですよ。私は今年で51になりますけど、10年後も今の働き方をしていたら、さすがに倒れると思います。
でも、だからこそ、どういう働き方をするかを、自分の中でずっとトライアンドエラーしている感じなんですね。
この「経験をどう別の形に活かすか」という悩みは、実はインフラの人だけじゃないと思うんです。デザイナーもフロントもサーバーサイドも、ディレクターも、みんな同じことを悩んでいるんじゃないかと。
理由はシンプルで、生成AIくんが出てきたからですよね。
自分のスキルに、あまりこだわっていない理由
私は、自分のディレクターとしての知識に、実はあまりこだわっていないんです。
なんとかかんとか飯は食ってきましたけど、ものすごくスキルが高いとか、それが飯の種になっているとか、そういうふうに思ったことがあまりないんですよね。
だから、AIにディレクターの仕事が取って代わられるなら、まあしょうがねえかな、くらいに思っています。
そうなったら、全く未経験から始めるくらいのつもりで、別のスキルを身につけていく。その可能性は常に傍らに置いています。
冒頭でシンガポールの話をしましたけど、私はウェブがPCとスマホで見られる時代はもうすぐ終わると、ずっと思っているんです。
今使っているスマートグラスも精度がどんどん上がってきていて、そこでウェブを見る時代が来る。
だとすると、ARという空間にウェブを表現したとき、UIやUXはどうなるんだろう、と。そこに今までの経験が活きるなら活かせるかな、と考えているんですね。
「経験」を分解すると、活かせる先が見えてくる
相談への答えとして、私がいちばん言いたいのはここでした。インフラの経験を、ちゃんと分解してほしいんです。
たとえばサーバーのキッティングをして、ラックに突っ込んで、ケーブルを綺麗にして、という作業そのものなのか。クラウドで言えばAWSのEC2のこの設定をしたらこうなる、という知識なのか。
そういう「知っているか知らないか」の部分は、正直もう諦めた方がいいと思います。ググれば出てくるし、AIに聞けば答えてくれますから。
でも、経験ってそれだけじゃないですよね。
なぜそのインフラ構成にするのか、というところで自分のバリューが出せているなら、それは要件定義力とか設計力とか、全体を俯瞰して最適化を導き出せる力なんです。
そこがあなたの本当の経験だと思うんですよ。
だから一度、自分がやってきた経験のバリューは何だろう、と棚卸ししてみてほしいんです。そうすると、何に活かせるかが見えてくる。
極端に言えば、インフラの経験を持ったままディレクター側にジョブチェンジする、というのも全然ありだと思います。
もちろん「お客さんの前に立つのは苦手」「喋るのが下手」という人もいますよね。それで生き残れるならいいんです。私はどっちでもいい。
ただ、それが許されないなら、できるようにならないと取り残されていくだけなので、そこはマインドチェンジして、どうやったら自分がバリューを出せるかを考えた方がいいかな、と思います。
少し厳しい話になってしまいましたけど、ぜひ考えてみてほしいんです。
まとめ
AIが出てきて、知識そのものの価値は下がっていく。だからこそ、自分の経験を「作業」と「その奥にある力」に分けて棚卸しすることが、これからのキャリアの入り口になるんじゃないかと、今の私は考えています。
- AIの登場で、知識そのものが飯の種になる時代は変わってきている
- インフラでも他の職域でも、経験は「作業・知識」と「要件定義力・設計力・俯瞰力」に分解できる
- 自分のバリューを棚卸しすれば、ジョブチェンジも含めて活かし方が見えてくる
- 苦手なことを避けて生き残れないなら、マインドチェンジして動いた方がいい






