自信なんて、僕もつい最近までなかった
相談をくれた方は、周りにベテランや優秀な制作者が多い少人数の会社に入って、できたことよりできないことが気になってしまうと書かれていました。
その気持ち、すごくわかるんです。というか、僕もずっとそうでしたよ。
22、3歳でこの仕事を始めて、「ああ、こういうことかな」ってやっと言えるようになったのは、本当にここしばらくなんです。もう49ですよ、僕。
いろんな失敗をして、それが自分の血肉になって、「こういうふうにやった方がいいのかな」って見えてきたのが、ほんと最近なんですよね。
だから、自分に自信が持てないという方に「こうすれば持てますよ」なんて簡単には言えないんです。そんな方法があったら、世の中みんな自信家になれてるはずですからね。
優秀な人に憧れて、勝手に引き上げてもらった
僕は2004年ごろにmixiを始めて、当時あった「WebSIG24/7」というWebのコミュニティで、自分の勤め先じゃない、業界の同世代の優秀な人たちにたくさん出会ったんです。
そのオフ会や懇親会で飲んで喋ると、自分の勉強や経験がまるで足りていないのを、痛いほど思い知らされました。
でもね、僕はその人たちに憧れちゃったんですよ。遠くから眺めるファンみたいな憧れじゃなくて、あの人たちと同じ仕事ができるようになりたいって思っちゃったんです。
彼らが見ている世界を自分も見られるようになりたい。それを29、30ぐらいのときに、すごく感じたんですよね。
だからやるしかなかったんです。アクセシビリティなら勉強する、CSSやHTMLなら仕様書を読む。当時はW3Cの仕様書とかも読んでいましたよ。
僕は歩みが遅いタイプなので、一個ずつやっていって、彼らの話がわかるようになる。肩を並べられそうになったと思ったら、彼らはもっと先に行っている。その繰り返しなんです。
目標にした人に追いつこう追いつこうとして、なんとなく引っ張ってもらって今に至る、という感じなんですよね。僕一人では絶対にここにはたどり着けなかったという自信だけはあります。
だからこそ、優秀な人がいる環境は喜んでいい
相談に戻ると、周りに優秀な方が多いこと自体は、何よりまず喜ぶべきだと思うんです。
想像してみてください。人数の少ない会社に入って、気づいたら自分がその職域で一番上になっていたら、結構地獄ですよ。学べる人が誰もいないわけですからね。
「ここで俺がてっぺん取ってやる」という鼻息の荒い人ならいいと思うんですが、今まず学びたいと思うなら、優秀な人がいること自体を、ただただ感謝すればいいんじゃないかと思うんです。
そして、ちょっと厳しい言い方になりますが、自信を持つ持たないを考える暇もないくらい、目の前の仕事に没頭した方がいいと思っています。
自分の作ったものを、最後にOKしてくれる人がいるわけですよね。その人がいいと言ってくれるなら、それでいいんですよ。
これは責任放棄という意味じゃなくて、今できることをがむしゃらにやるだけ、ということなんです。
スランプに気づく暇もない、という先輩の話
昔、芝居をしていたころ、大先輩に「スランプになったときどうしたんですか」と聞いたことがあるんです。
そうしたら、「私、自分が頑張ることしかできないから、いつスランプかわからないの」と言われて。当時60を超えていたその先輩に、僕は22、3ぐらいで、平謝りしたくなった記憶があります。
目の前の仕事を一歩一歩、評価してくれる人の基準に合うものを作れるかどうか。できなかったら「教えてください、助けてください」とちゃんと言う。
それをやっていって、1年経ってもこれっぽっちも自信が持てないなら、またそのとき考えればいいと思うんです。
前職を辞めてまだ半年ちょっとで、自信が持てないのは当たり前ですよ。むしろ今から自信がある、という方が危ないんじゃないかと思います。
自信を持てないことに悩むより、どうやればその人たちに「いいじゃん」と言ってもらえるかを軸に、ひたすら頑張ればいいんじゃないかなと。ものづくりって、いつまでたってもゴールのない仕事ですからね。
まとめ
いまの僕の実感としては、気後れするのは真面目に向き合っている証拠だと思っています。焦って自信を探すより、目の前の一歩に集中する。それを積み重ねた先で、いつか「肩を並べられそう」と思える瞬間が来るんじゃないでしょうか。
- 優秀な人に囲まれて自信が持てないのは、当たり前のことだと思う
- 学べる人が周りにいる環境は、それ自体を喜んでいい
- 自信を持つ持たないより、目の前の仕事に没頭する方が近道
- 評価してくれる人の基準に合うものを作れるか、を軸に一歩ずつ進めばいい






