「やりたいこと」より「自分がやらねば」が頑張れる理由
この日のテーマは「自分がやらねば誰がやる、くらいの感覚を持つと頑張れる」という話です。
きっかけは、GOという会社の三浦さんとYouTubeを撮ったときのやり取りでした。
けんすうがインターネットの情報空間を良くしたいと話したところ、三浦さんから「それは自分がやらないと誰もやらないから頑張っているという感覚では」と指摘されたそうです。
やりたいことをやるみたいなのに、結構反対派なんです。なぜならやりたいことが見つかる人ってあんまりいないので。
一方で「これは自分がやらないと誰もやらない」というものを見つけると、結構頑張れると話します。
やりたいことだと、たとえばサッカーをやりたくても結果が出ないとやめてしまうことがあります。
けれど「自分がやらないと誰もやらない」という感覚があると、続けられるというわけです。
重要なのは、実際にそうかどうかは問うていない点だと言います。
「そんなことないでしょ、どんだけ自分のことすごいと思ってるの」と言われたとて、自分の中の感覚があると頑張れるんですね。
ナイジェリアやコムドットに見る「自分がやらねば」の感覚
この感覚を持つ人の例として、けんすうが投資しているアキムさんの話が挙げられます。
アキムさんはナイジェリアでサンダルを作っており、伸びる国なのに日本人が来ていないという課題感を語っているそうです。
なんで自分が頑張ってもっといろんな人を呼び込まないと、どんどん日本の国力落ちるじゃん、とよく言っていて。
こうした「自分がやらないと誰もやらない」という感覚が、パワーの源になっているとけんすうは見ています。
この感覚は、いわゆる「器」と呼ばれるものに近いのではないかとも話します。
もう一つの例として、コムドットのやまとさんとのポッドキャストでの話が紹介されます。
やまとさんは冷静に戦略を立てて数字を管理する一方で、強い感覚も持っていたと言います。
これ自分たちが頑張らないとYouTubeってすごいダサいものになってしまう、自分たちがトップを取らねばならない、という感覚をすごく持っていた。
こうした思い込みがあると、長期間頑張り続けられるとけんすうは考えています。
「感覚」とは何か、臨場感を上げる思い込み
ここでけんすうは「感覚」とは何かを説明します。
お湯を触ろうとしたときに「熱そうだ」と感じる、あの感覚に近いと言います。
小学1年生の算数ドリルを見て「これ解けそうだな」って感覚あると思うんですけど、あんな感じに近いです。
解けるかどうかは実際にやっていなくても、「解けるだろうな」という感覚があれば、人は躊躇せず取り組めます。
同じように「これは自分しかやらないだろう」「自分はできるだろう」という感覚を持つことが、臨場感を上げるとまとめています。
人脈の広げ方と、漫画持ち込みへのアドバイス
ここからはリスナーからの質問への回答です。
飲み会を捨てたとのことですが、今の人脈はどうやって広げたのですか。
けんすうは、飲み会以外でも人脈は広がると話します。
仲良くなりたいなと思ったら、ポッドキャストの対談相手に呼ぶとか。モーニングでもランチでもいいわけですしね。
仕事の相談に行く、会議の時間を使うなど、広げ方はいろいろあると言います。
漫画の原作ネームを大手少年漫画編集部に持ち込みます。事前にやっておくべきことはありますか。
けんすうは、褒められるために行くわけではないので、酷評されて問題点を潰す方がいいと話します。
大事なのは、編集者と良好な関係を作り、連載レベルまで改善していけそうだと思ってもらうことだと言います。
持ち込むところをゴールとするとバグりそうで。多分持ち込むところがスタートなんで、持ち込んだ後に何をやるべきかを整理した方がいい。
持ち込んだ後の時間を確保しておき、言われたレビューを速攻で直して、その日か次の日には提出できる状態にする。すると「アドバイスしたらすぐ返してくる人だ」と認識され、連載への信頼につながります。何を言われるかより、言われたことをどう訂正して出せるかが重要だと話しています。
AIツールを使わない組織へのモヤモヤと、メモの取り方
続いて、社内でAIツールが話題にならないという相談です。
社内のSlackで{要確認: FeiBo}を検索しても1件もヒットしません。役員も部長もエンジニアも話題にしていないようです。この組織はやばいでしょうか。
けんすうは、IT系でエンジニアも触っていないなら珍しいと話します。
これだけ新聞などで取り上げられている中で、役員陣が「うちもチェックしなきゃ」と思わないなら、疑問に感じると言います。
触ってないとしたら、その落差はあると思いますね、そういう会社と。
次はメモの取り方についての相談です。
上司の話や会議のメモがいつもぐちゃぐちゃになります。紙のノートでの取り方を知りたいです。
けんすうは、会議もリアルもAIで議事録を取らせた方がいいのではと提案します。
そのうえで、メモの本を数冊読んで実践する価値も話します。
5分や10分でわかるようなものにせずに、1時間かけてメモのやり方を学ぶだけで一生使えるなら、ちゃんと勉強した方がいい。
練習法としては、録音をAIに文字起こしさせ、要点だけをまとめる練習や、AIにまとめさせて注意点を聞く方法を挙げています。
なぜ争いは止まらないのか、正義と正義のぶつかり合い
戦争や争いをめぐる質問も複数寄せられました。
少人数で戦争を止めるとしたら、けんすうさんならどんな方法を使いますか。
けんすうは、ダボス会議のような場で提言する方法や、非暴力で政治を変えた事例を調べることを挙げます。
日本が戦争を仕掛ける可能性は低いとしつつ、中国の台湾統一に巻き込まれる可能性が今のところ一番高いと分析します。
そのうえで、少人数で止めるのは相当難しいと率直に話しています。
なぜ人は争いを止めないのですか。
けんすうは「正義があるから」だと答えます。
本当に争おうと思って争ってる人はあんまりいなくて、自分の中に正義があって、その正義が守られてないのがよくないと思うので頑張る。
自分の正義を執行しようとすると争いになり、正義と正義がぶつかっている状態だと説明します。
ロシアとウクライナを例に、双方が「相手が悪い」と感じているために止まらないのではと語ります。ただしこの点は正確性が低いので参考程度にと付け加えています。
ウェブマーケター、地方の事務パートのAI時代のキャリア
AI時代のキャリアに関する相談が続きます。
WEBデザイナーからマーケターに転向しました。ウェブマーケティングを軸にするなら、どんなスキルを伸ばしますか。
けんすうは、ウェブマーケターはAIに取られやすい職種だと指摘します。
SNS系は若者に勝てなくなり、広告運用はAIでアップデートされていくため、知見が貯まりにくいと言います。
3年やったけど、Google広告やFacebook広告を出すコツって今あんまり使えないな、みたいなことが起こりやすいらしくて。
むしろ人間の心にどう刺すかや、デザイン出身ならコピーを含めたクリエイティブを軸にする方がいいと提案します。
次は地方の観光業で働く事務パートからの相談です。
40歳、学歴もキャリアも低いですが、AIで急速に業務改善を進めています。今後どう稼いでいけばよいでしょうか。
けんすうは、これは正しい方向だと話します。
やる人とやらない人の差が大きいため、社内のAI推進担当になったり、同じような企業のコンサルとしてフリーランスで働く道があると言います。
個人事業主に50万、100万払ってやってもらった方がいいよね、という判断を会社は結構しがちなので、チャンスはある。
まず今の会社でやり、副業やフリーランスで手伝いを広げるといいとまとめています。
時給交渉より個人事業主、税金と誹謗中傷をめぐる考え
田舎の複合施設で働く事務パートからの時給交渉の相談です。
AIで専用ポータルを自作し好評です。これを実績に時給1080円から1400円への交渉は妥当でしょうか。
けんすうは、給料は言わないと上がらないので交渉は正しいと話します。
ただし、一度の作業だけで恒常的に時給を上げるのは会社にとってリスクが高いと指摘します。
時給を1080円から1400円に上げるのはめちゃくちゃ大変だが、同じことを個人事業主でやって収入を倍にするのは超簡単そう。
人事部は給与を上げるインセンティブが弱い一方、現場の偉い人は業務効率が上がるメリットが大きい。だから他部署が個人事業主に10万、20万払って業務改善してもらう方が敷居が低く、時給交渉に頑張るより収入を増やしやすいと提案しています。
海外移住した有名人への誹謗中傷についての質問もありました。
けんすうは、本人が言っていないことを思い込みで叩くのは良くないと話します。
誹謗中傷してる人は、本当に配慮が必要な人しか出てこない、というのがいろんな人を訴えた経験からある。
高額納税者へのフリーライド批判についても、税金を納めているかどうかで人の偉さを測るのは上品ではないと語ります。
女性の社会進出と、自分を棚に上げて言うことの大切さ
権力を持った男性同士のホモソーシャルな関係についての質問がありました。
けんすうは、セクハラやパワハラを避けようとする良識のある男性ほど、女性と関わらないようにしてしまう構造を指摘します。
その結果、若い男性ばかりが引き上げられ、女性が機会をつかみにくい状況が再生産されていると懸念を語ります。
関連して、女性の社会進出を語る男性の配偶者がフルタイムで働いているか、という質問が寄せられました。
けんすうは、自身の妻は会社員的なフルタイムではなく違う働き方をしていると答えます。家事は自分の方が多くやり、家計も負担しているためエッジケースだと補足します。
そのうえで、自分を棚に上げて話すことを許容しないと社会は変わらないと強調します。
遅刻する上司が「遅刻するな」と言えないのはダメで、組織マネジメントとしては言わなきゃいけないものがある。これも同じ。
「できていないじゃないか」と言われても、女性の社会進出を進めた方がいいと言い続けた方が進むと考えています。
まとめ
この回は「自分がやらねば誰がやる」という感覚を原動力にする本編と、キャリアや人間関係、社会問題に関する幅広いリスナー相談への回答で構成されていました。
- やりたいことより「自分がやらないと誰もやらない」という感覚が、長く頑張れる原動力になる
- その感覚は実際にそうかどうかを問わない思い込みで、臨場感を上げるものだと語られた
- 漫画の持ち込みや時給交渉は、ゴールではなくスタートととらえ、その後の動き方が重要
- AI時代のキャリアは、取られやすい職種を避け、差が生まれる領域で先行することがチャンスになる
- 自分を棚に上げてでも言い続けることが、社会を変える一歩になると強調された

