新潟の第59回日本薬剤師会学術大会へ、2回目の参加
薬剤師のたいぞーさんは、先週末に新潟県で開催された第59回日本薬剤師会学術大会 ── 日本薬剤師会が毎年開く全国規模の学術大会です。薬局や病院などで働く薬剤師が、日々の取り組みや研究成果を発表・共有する場になっていますに、ポスター発表の演題を持って参加しました。
たいぞーさんは毎年いずれかの学会に参加し、発表も継続してきました。ただ、日本薬剤師会学術大会への参加は今回が2回目で、前回はコロナ前に山口県で開催された大会だったといいます。
日本薬剤師会学術大会は遠方で開かれることが多く、都合がつかずに参加を見送る年も多かったそうです。
改めて参加してみて、たいぞーさんは、薬剤師の働き方や各地域での取り組みが幅広く集まる場だと感じたと話しています。
本当に薬剤師の働き方であるとか、各地域での取り組みというのは、幅広く可能性に満ちたものだなということを、改めて(この学術大会で)感じました。
なぜシンポジウムより一般演題を選んだのか
今回の学術大会には、著名な先生方のシンポジウムや分科会も多数用意されていました。それでもたいぞーさんは、現場で活動する薬剤師による一般演題の口頭発表やポスター発表を中心に見て回りました。
理由は、分科会の多くが後日オンデマンド配信されると事前に告知されていたことです。プログラムを見ながら、分科会は後でじっくり聞くほうが向いている内容かもしれないと感じたといいます。
その場でしか聞けない、リアルに参加したからこそ得られる情報を得に行くという意味でも、一般演題のところに足を運んで、お話をいろいろと聞かせていただきました。
一般演題では、各地の薬剤師が日々の活動で工夫している様子や、その結果が発表されていました。たいぞーさんはそうした内容を確認するなかで、自身の発表スタイルを見つめ直すことになります。
1症例の報告では伝えきれないものとは?
たいぞーさんがここ数年の学会で発表してきたのは、ほとんどが1症例の症例報告 ── 特定の1人の患者への対応や経過を詳しく記録し、考察して発表する形式です。具体的な気づきを共有しやすい一方、一般化には限界がありますです。
たいぞーさんにとっての症例発表とは、1人の患者にどう考えて関わったのか、うまくいったこと・いかなかったことは何だったのかを考察して伝えるものです。介入の良かった点と課題を見つめ直すことで、他の患者に関わるときの質を上げ、他の薬剤師の実践にも役立てばと考えて、毎年発表を続けてきました。
ただ、たいぞーさんは1症例から得られる気づきには再現性の面で怪しさがあると認めています。同じ方法をとれば同じ結果になるとは限らず、たまたまその対応で得られた結果かもしれないという部分は拭いきれないといいます。
(発表の)インパクトという言い方が適切なのかどうかはわからないですが、発表を見て得られるものとしても、少し小さくなってしまうというか、こじんまりとしたものになってしまうんだな(と感じました)。
一方で、さまざまなデータを解析した発表からは、別の種類の知見が得られると感じたそうです。客観的なデータに基づく結果であれば、聞き手が持ち帰って実践したときにも、再現性のある結果につながる可能性が高いと、たいぞーさんは考えています。
ここで語られた2つの発表スタイルの違いを整理すると、次のようになります。
1人の患者への関わりを深く考察できる。ただし再現性は怪しく、たまたまの結果かもしれず、得られるものは小さくなりがち
客観的なデータから知見を示せる。持ち帰って実践したときに、再現性のある結果を得られる可能性が高い
それでもたいぞーさんは、症例報告は症例報告として非常に大事なものだという考えはこれからも変わらないと述べています。どちらかを捨てるのではなく、両方の価値を見比べたうえでの気づきです。
一例一例と向き合いながら、データにまとめる見通しを持つ
学術大会を通じてたいぞーさんが大切だと感じたのは、一例一例としっかり向き合うことと並行して、自分の活動の意義や価値を客観的なデータとしてまとめるという視点でした。
先々の見通しみたいなものも持ちながらですね、学会発表に臨んだり、日々の業務を振り返ったりするという視点も非常に大切だなということを感じた学術大会でした。
学術大会は週末の2日間で終わりましたが、今月末から年末までオンデマンド配信が行われます。たいぞーさんは、気になっていた分科会の内容を合間の時間で少しずつ学び、参加した意義をさらに深めて、現場で質の高い業務につなげたいと話しています。
次の第60回大会は来年、福島で開催される予定です。たいぞーさんは、この1年の活動を通して何か届けられるものを用意して参加し、全国の薬剤師から学ぶ機会を大切にしたいと語りました。
専門性を極める薬剤師にキャリアの道はあるのか
放送の最後に、たいぞーさんは2月14日に兵庫県姫路市で自主開催する講演会を企画していると告知しました。テーマは、薬学で患者を語ることを通して、日々の業務で患者にどんな価値を届けられているかという話です。
講演では、薬剤師のキャリアについても触れる予定です。たいぞーさんは、薬剤師のキャリアアップはマネジメント職に就く側面が大きく、その道をたどらないと昇給など賃金に反映されにくい状況があると指摘します。
キャリアアップの主流で、昇給など賃金に反映されやすい
道筋はあるはずだと考えられるが、賃金に反映されたキャリアアップは難しい状況にある
専門性を極めることが仕事としてきちんと成立する道筋はないのか。それが、たいぞーさんが日々働きながら感じている課題の一つだといいます。
そういったもの(キャリアアップの道筋)がないと、やはり薬剤師として専門性を極めて患者さんに向き合っていこうと思う薬剤師というのは、なかなか育ちづらいというのもあるのではないかなということも思っています。
講演会では、この課題にどう向き合い、どんな解決策がありうるかについて、たいぞーさんが現場で模索し実践していることも伝えたいとしています。内容はまだ構想段階で変わる可能性があり、時間や場所は決まり次第案内されるとのことです。
まとめ
第59回日本薬剤師会学術大会で一般演題を中心に見て回ったたいぞーさんは、1症例の症例報告の大切さを認めつつ、客観的なデータにまとめる視点の価値に気づきました。その気づきは、来年の福島大会や、専門性を極める薬剤師のキャリアを考える姫路での講演会へとつながっています。
- 分科会はオンデマンド配信があるため、現地では一般演題を中心に見て回った
- 1症例の症例報告は深い考察ができる一方、再現性に限界がある
- データに基づく発表は、持ち帰って実践したときに再現性のある結果につながりやすい
- 一例一例と向き合いながら、活動の価値をデータにまとめる見通しを持つことが大切
- 2月14日の姫路の講演会では、専門性を極める薬剤師のキャリアの道筋も扱う予定


