12行の国語ノートはどこに売っている?
たいぞーさんはある木曜日、仕事の終わり際に家族から連絡を受けました。娘が宿題と学校の準備をしている時に、国語のノートがなくなっていると気づいたそうです。
木曜日はいつもより早く業務が終わる日だったため、たいぞーさんが帰りにノートを買ってくることになりました。
国語のノートといってもマス目のノートではなく、縦にだけラインが引かれた「12行」のノートが必要だという指定でした。
たいぞーさんの勤める薬局は駅前にあり、店も多い場所です。スーパーや100円ショップに行けばすぐ買えるだろうと考えて、たいぞーさんは引き受けました。
6〜7軒を回って、最後に見つけた場所は
ところが実際に店を回ると、国語のノートはいろいろ売っているのに、12行のノートだけがどうしても見つかりません。近くの100円ショップにも、近所のスーパーにもありませんでした。
他の店を何軒回っても、15行のノートはあるのに、その隣にあるはずの12行の棚だけが空いていたといいます。店員さんに聞いても「店に出ているものだけです」と言われたそうです。
まあしゃあないからちょっと別のところに行くかと思って、まあ他の店も何軒か回ったんですけども。
4軒、5軒、6軒と回っても見つからず、たいぞーさんは諦めかけました。最後に家の近くの100円ショップに寄り、そこでようやく12行の国語ノートを見つけます。
たいぞーさんの娘は、そのノートのおかげで忘れ物をせずに学校へ行けました。
依頼
仕事の終わり際に、12行の国語ノートを買ってほしいと連絡が来る
駅前で探索
100円ショップやスーパーを回るが、12行だけが見つからない
何軒も巡回
15行はあっても12行の棚は空き。6〜7軒回る
発見
最後に家の近くの100円ショップで見つかる
たいぞーさんは、ノートがどこで買えるのかを知らなかったために、しらみつぶしに店を回って時間をかけることになったと振り返っています。
知らない情報を探すとき、薬剤師は何に苦労する?
たいぞーさんは、このノート探しが、薬剤師が患者さんのアセスメント ── 患者さんの状態や薬の効果・副作用などを情報から評価し、問題点を見立てること。医療職が判断の前に行う重要な過程ですをするために医療情報を集める場面とよく似ていると感じたそうです。
薬剤師には、知識として覚えている薬の情報と、覚えていない情報があります。全く知らない情報を探そうとすると、何をとっかかりにすればよいかがわかりません。
その結果、たいぞーさんが国語ノートを探したように、いろいろな情報源にアクセスして、必要な情報があるかないかを一つずつ確かめることになります。
たいぞーさんは、臨床現場で情報検索をしていても、このやり方には手間と労力がかかると感じることがあると話しています。
知識だけで判断するのはなぜ危険なのか
一方でたいぞーさんは、薬剤師が持っている知識だけをもとに判断することは非常に危険だと考えています。
たいぞーさんが挙げる理由は、医療情報は日々変化しアップデートされること、そして頭の中の記憶が必ずしも正しいとは限らないことです。うろ覚えのことや、覚え違えていることもあり得ます。
間違った情報に基づいて患者さんを評価すれば、間違った判断につながります。医療という仕事の特性上、その判断は患者さんに大きなデメリットを引き起こす可能性すらあるといいます。
うろ覚えや古い情報のまま判断し、患者さんに不利益を生む危険がある
知識で当たりをつけ、根拠となる情報に最短でアクセスして判断する
知識は情報への近道になる
たいぞーさんは、知識を情報にアクセスするための近道として使うのがよいと常日頃考えているそうです。
薬について知っていることがあれば、薬剤師は「この情報はこういうところにあるだろう」と当たりをつけて検索できます。根拠になる情報に最短ルートでたどり着き、時間と労力を抑えて患者さんを見立てられます。
たいぞーさんは、ノートの売り場を知っていれば最短で買って帰れたのと同じだと例えています。
さらにたいぞーさんは、知っているだけでは足りないとも話します。売り場を知っていても、実際に足を運ばなければノートは手に入りません。
薬の情報も同じで、知識を踏まえて行動を起こし、情報があるところまで足を運ぶことで、正しい情報を得られるとたいぞーさんは考えています。
たいぞーさんは、知識に頼りすぎず、知識を活用して情報源にアクセスし、間違いのない情報で患者さんを見立てることの大切さを、聴き手にも一緒に考えてほしいと語っています。
姫路の講演会で語られる、薬剤師のキャリアのジレンマとは
放送の最後に、たいぞーさんは2月14日に兵庫県姫路市で講演会を企画していると告知しました。
講演会では、臨床現場で「薬学で患者を語る」ことを実践すると、患者さんにどのような価値を届けられるのかを話す予定です。あわせて、薬剤師が専門性を極めるキャリアを選ぶために何を考え、どう行動すればよいかも扱うといいます。
たいぞーさんによると、薬局ではキャリアの選択がマネジメント職に就くことに偏りがちです。マネジメント職になると臨床現場から離れ、極めた専門性を生かす機会が減ってしまうというキャリアアップのジレンマを感じているそうです。
たいぞーさんは、患者さんに直接価値を届けることが薬剤師のキャリアの選択肢になるにはどうすればよいかを考え、講演会で伝えたいと話しています。内容はまだ定まっておらず、当日までに変わる可能性もあるとのことです。
まとめ
たいぞーさんは、12行の国語ノートを探して何軒も店を回った体験から、薬剤師の知識は判断そのものではなく、正しい情報へ早くたどり着くための手がかりとして使うべきだと語りました。
- 売り場を知らないと、しらみつぶしに探して時間と労力がかかる
- 医療情報は日々更新され、記憶もうろ覚えや覚え違いがあり得る
- 知識だけで判断すると、患者さんに不利益を生む危険がある
- 知識で当たりをつけ、実際に情報源へアクセスして見立てることが大切
- 2月14日、兵庫県姫路市で薬剤師のキャリアをテーマにした講演会が企画されている


