「忙しくて患者に向き合えない」は転職の理由になるのか
たいぞーさんは今回、「環境は自分の手で手に入れるもの」という話をしたいと切り出します。きっかけは、11月に入り、12月のボーナス月が近づいてきたことです。
たいぞーさんの認識では、ボーナス月は仕事の環境を変えようと決断し、転職を考える人が多くなる時期でもあります。
たいぞーさんは前職の会社で採用の仕事をしていたことがあり、この時期に多くの人が面接を受けに来ていたことを思い出すといいます。
面接に来た人の中には、仕事が忙しすぎて患者さんに向き合えない、自分の力を十分に活かした仕事ができている気がしない、という現場での課題感から転職を考える人も一定数いたそうです。
人員も少ない中で、毎日来られる患者さんに必死で対応しなくてはいけない、そういった環境の中で、なかなか自分自身の力を活かしきれないというようなことに陥っておられるのも十分理解できるなと思います。
たいぞーさんは、転職希望者のこうした悩みに理解を示しつつも、自身の働き方と照らし合わせて別の視点を持っていました。
理想を実践する人は、暇な職場にいるのか
たいぞーさん自身も、「薬学で患者を語る」ことを実践しようと、今も現場で薬剤師として働き続けています。では、たいぞーさんは特別な環境を与えられているのでしょうか。
(実践するための環境は)確かに与えられてはいるなと、会社にはすごく感謝している一方でですね、じゃあ暇かと言われると暇ではなくて。
たいぞーさんの職場も、日々ある程度慌ただしく、人員は多すぎも少なすぎもしない適度な配置だといいます。薬局を事業として継続するには配置基準が必要で、大きく余剰な人員を置くことは、どの職場に行ってもないだろうと話します。
そのうえでたいぞーさんが大事だと考えるのは、目の前の仕事を的確に、効率よくこなしていく力です。専門家としての仕事を全うしたいからこそ、スピーディーに終わらせられる業務は終わらせていくといいます。
たいぞーさんは、そうして実践のための時間や環境を自分で作っていく視点を持つことが非常に重要だと語ります。
環境を「待つ」から「作る」へ変えると何が起きる?
たいぞーさんによると、環境を自分で作るという意識で業務を見つめてみると、案外できることがたくさんあるそうです。自分の力で業務をコントローラブルに進められるようになると、実践する意欲もそこから湧いてくるのではないかと話します。
たいぞーさんが語る、環境づくりから実践が積み重なっていく流れは、次のように整理できます。
業務の効率化
終わらせられる仕事を効率よくスピーディーに終わらせる
時間と環境の確保
実践するための時間や環境を自分で作る
小さな実践
ゼロではなく、1でも2でもできることが生まれる
積み重ね
実践できる環境や能力が自分の中に蓄積し、意欲も湧く
周りが自分に環境を与えてくれるというふうに手をこまねいて待つのではなく、自分から能動的に動いて、その環境を作るために自分にできることは何なんだろうということを考えてみる。
たいぞーさんは、理想の医療を実践する時間が充実したものとして得られるかはさまざまだとしつつ、まったくのゼロにはならないと考えています。
たいぞーさんは、周りが与えてくれないと外に目を向けるのではなく、自分のできる範疇に目を向けてみることが大切だと改めて感じたといいます。リスナーには、自分の理想とする医療を思い浮かべながら、今の環境でできることを考えてほしいと呼びかけています。
行動の先をイメージするためのセミナーと姫路での講演会
番組の最後に、たいぞーさんは2つの告知をしています。1つ目は、12月8日19時30分から講師として登壇するウェブセミナーです。
このセミナーでは、薬学的アセスメント ── 患者の症状や検査値、服用中の薬などの情報を薬学の知識で分析し、薬物治療の問題点や対応を判断すること、つまりたいぞーさんが日頃話している「薬学で患者を語る」を実践する方法や、それによって患者さんにどんな関わりができるかを話す予定です。
行動を起こして手に入れた環境の先にですね、自分にできることというのがイメージできていないと、なかなかそういった自分からアクションを起こすというような選択を自らしていくのも難しいのかなというふうにも思います。
たいぞーさんは、今の仕事に憤りを感じている人や、薬剤師としてもっとできることはないかと考えている人に、前に進む原動力を届けたいと話しています。収録時点で30名近くの申し込みがあるそうです。
2つ目は、来年2月14日に兵庫県姫路市の姫路文学館で主催する講演会です。テーマは、薬剤師が一人ひとりの患者に向き合う仕事が、賃金という報酬やキャリアアップに結びつく道筋についてです。
たいぞーさんは、専門性を活かした臨床でやりがいは得られる一方、それが報酬に結びつく道筋は業界に乏しいと感じています。外的報酬を得ながら、内的報酬としてプロフェッショナルとして働けるキャリアや仕組みづくりについて、自身の模索を交えて話す予定です。
対象は、組織で専門性を極めた薬剤師を育てたい薬局経営者や、臨床での関わりを報酬に結びつけたい現場の薬剤師です。申し込みフォームは最終調整中のため、まずはスケジュールの確保を呼びかけています。
まとめ
たいぞーさんは、忙しさや人員の少なさを理由に環境が与えられるのを待つのではなく、業務の効率化で自ら時間と環境を生み出すことが、理想の医療を実践する一歩になると語りました。
- どの職場でも大きく余剰な人員が置かれることはなく、忙しさはある程度前提になる
- 終わらせられる業務を効率よく終わらせることで、実践の時間と環境を自分で作れる
- 環境を作る意識で業務を見ると、できることは案外多く、ゼロにはならない
- 1や2の小さな実践の積み重ねが、実践できる能力と意欲を育てる
- 行動を起こすには、その先で患者に貢献できる姿をイメージできていることも大切


