薬局薬剤師のたいぞーさんが料理のたとえを持ち出した理由
たいぞーさんは薬局の薬剤師として、在宅医療や外来の患者対応に取り組んでいます。あわせて社内の新人育成や研修の企画、社内研修の講師も務めています。
たいぞーさんは、現場での経験や学びを共有するために、勉強会やセミナーを自ら開いたり、外部の講演会で話したりすることもあるそうです。この番組では「薬学で患者を語る」をテーマに、現場で感じたことや薬剤師の仕事の面白さを伝えています。
今回のエピソードでたいぞーさんは、番組のテーマである「薬学で患者を語る」を改めて取り上げます。説明の入り口として、聞き手に美味しい料理を作るときのことを想像してもらうところから話を始めます。
料理では、まず材料を集め、その材料を使って調理をします。とっておきの食材を揃えてうまく調理できれば、美味しい料理ができあがるという流れです。
でも、もしも材料が足りなかったり、材料の品質が悪かったら、あるいはせっかく美味しい材料が集まっても、調理の技術がなかったらどうでしょう。
たいぞーさんは、材料が足りない場合も、品質が悪い場合も、調理の技術がない場合も、美味しい料理を作るのは難しくなるのではないかと話します。そして、薬学で患者さんのことを語るときにも同じことが言えるのではないか、とつなげます。
材料を集め、その材料を調理の技術で仕上げて、美味しい料理にする
患者さんの情報を集め、薬学的な思考力で読み解いて、患者さんへの関わりに生かす
患者さんのどんな情報が「材料」になるのか
たいぞーさんによると、薬学的な視点で患者さんのことを考えるには、まず材料になる情報をしっかり集める必要があります。具体例として最初に挙げたのが、患者さんの症状の聞き取りです。
たとえば患者さんがお腹が痛いと話した場合、たいぞーさんは、お腹のどの辺りが痛いのか、いつ頃から痛いのかを確認することが大切だといいます。痛みがずっと続いているのか、途切れ途切れに出ているのかも、大切な情報になります。
服用している薬の有無も、たいぞーさんがとても大切だと強調する情報です。飲み薬だけでなく、湿布のような貼り薬や目薬も、症状に薬が影響している可能性の中に含まれるため、すべての薬剤を把握しておくことが大事だと話しています。
たいぞーさんはさらに、検査値 ── 血液検査などで得られる数値データのこと。患者さんの主観に左右されにくい客観的情報として、腎機能や肝機能などの状態把握に使われますなどの客観的情報や、症状がいつ頃から続いているのかという時間経過の情報も挙げます。こうした様々な情報が、患者さんのことを考えるために役立つという考え方です。
- 症状の部位・始まった時期・続き方
- 飲み薬だけでなく、貼り薬や目薬も含めたすべての薬剤
- 検査値などの客観的情報
- 症状の経過という時間の情報
材料か技術、どちらかが欠けると何が起きる?
たいぞーさんは、情報が十分に集まっていないと、どんなに知識があっても、なんとなくそれっぽいことを言うだけで終わってしまうと指摘します。料理でいえば、材料が足りない状態です。
一方でたいぞーさんは、情報が揃っていても、それをどう読み解いて生かすかという薬学的な思考力がなければ、せっかくの材料が宝の持ち腐れになるとも話します。この思考力が、料理でいう調理の技術にあたります。
情報がいっぱい聞き取れて、たくさんの大切な情報を聞いているのに、「へー、そうなんですね」というような感じで終わってしまうことも、技術がなければしばしばあるんではないかな。
たいぞーさんは、技術がないまま情報を聞くだけで終わると、患者さんにとってより良い治療の選択肢を見つけるところまでは、なかなか至らないのではないかと考えています。
情報が足りない
知識があっても、それっぽいことを言うだけで終わる
技術が足りない
大切な情報を聞いても「へー、そうなんですね」で終わる
結果
より良い治療の選択肢を見つけるところまで至りにくい
「薬学で患者を語る」の本質はシンプルなこと
たいぞーさんの結論は、患者さんにとって本当に意味のある関わりには、情報という材料をしっかり集めることと、薬学的な技術で調理することの2つが揃う必要がある、というものです。この2つが揃って初めて、薬学で患者を語る関わりができるのではないかと話しています。
たいぞーさんは、「薬学で患者を語る」という言葉は特別で難しいことのように聞こえるかもしれないと認めています。そのうえで、今回の放送が、薬学的視点で患者に関わるとはどういうことかを自分の中でイメージするヒントになれば嬉しいと締めくくっています。
まとめ
たいぞーさんは「薬学で患者を語る」ことを料理にたとえ、患者さんの情報という材料と、それを読み解く薬学的な思考力という調理技術の両方が欠かせないと語りました。
- 患者さんの症状の部位・時期・続き方、すべての使用薬剤、検査値、経過が「材料」になる
- 飲み薬だけでなく、湿布や目薬も薬が影響している可能性に含めて把握する
- 情報が足りないと、知識があってもそれっぽいことを言うだけで終わってしまう
- 情報が揃っていても、読み解く技術がなければ宝の持ち腐れになる
- 本質は、材料をしっかり集めて自分の知識や技術を生かすというシンプルなこと



