理念は会社だけのものか、個人にも効くのか
今回のテーマは、企業の経営で使われる「ミッション・ビジョン・バリュー」です。
たいぞーさんは、これを会社の経営理念や目指すビジョン、それに対する従業員の行動指針と説明します。多くの企業がこの3要素を掲げていると話します。
その上で、これは会社経営だけのものではない、と続けます。個人の行動においても定まっていると、道に迷ったときに進みやすくなると考えています。
たいぞーさん自身、薬剤師としてのミッション・ビジョン・バリューを持って日々活動しているといいます。今回はそれを紹介しながら、薬学で患者を語ることを整理していきます。
ミッションは「薬に責任を持つ」
たいぞーさんのミッションは、薬に責任を持つというシンプルな一言です。ここに全てが集約されていると話します。
薬剤師は薬を扱うプロフェッショナルです。ただ、現場では処方された薬をそのまま渡す仕事になりがちで、そこにジレンマがあるとも語ります。
そうなりがちな中でも、この薬は本当にこの患者さんに適切なのか、この使い方で続けて問題がないのか、効果が出て副作用なく続けられるのかを考えることが大切だといいます。
今この薬はちゃんと体で働いて、邪魔をせずに薬がちゃんといい仕事をしているのか。
患者さんが服用している薬を、安全に効果的に使っていけるよう経過を追いかけて見ていく。これこそが薬を扱うプロとしての責任だとまとめます。
ビジョンは「84000時間にやりがいと面白さを見つける」
次はビジョンです。たいぞーさんは、薬剤師という仕事は本当に天職だと感じているといいます。
その理由は、薬に責任を持つというミッションを実行することで、天職と思える場所にたどり着けているからだと語ります。
これを言葉にしたのが、薬剤師人生である84000時間にプロとしてのやりがいと面白さを見つけるというビジョンです。
84000時間は、1日8時間、週5日を40年間働いたときの時間です。膨大に思えるこの時間を、ただこなすだけで終わらせないことがポイントだといいます。
では、やりがいや面白さはどこにあるのか。たいぞーさんは、それが「薬学で語る」瞬間にあると話します。
目の前の患者さんに起きている現象を読み解き、専門知識を使って介入する。思った通りに患者さんが変わり、うまくいったときに「よし」と思う瞬間が来るといいます。
このよしと思う瞬間こそが、仕事に対する価値を実感し、面白いな、やりがいがあるなというふうに思える瞬間なのかなというふうに思います。
こうした瞬間を積み重ねていくことが、たいぞーさんの薬剤師としてのビジョンです。
バリューは3つ、鍵はそのバランス
最後はバリューです。たいぞーさんは3つを掲げています。
- 専門性を活かして患者の意思決定を支援する
- 対物業務も質高く、安全に効率よく行う
- それを仕事として継続して実践する
ここで大切なのは、3つのバランスだといいます。
対人業務だけで理想を語っても現場は回りません。逆に対物業務だけに偏ると、専門性を十分に発揮しきれなくなってしまいます。
だからこそ対物業務をしっかり回し、その上で対人業務で価値を出す。しかもそれを一時的にではなく、継続的な仕事として行える形にしていくことが必要だと話します。
この3つのバランスが整うことで、薬剤師は地域の中で患者さんに継続的に価値を届けられる存在になれると考えています。
問いを立てられると、業務の見え方が変わる
たいぞーさんは、3要素の役割を次のように整理します。ミッションは行動判断の基準、ビジョンは進むべき方向性、バリューは日々の行動を見つめ直す指針です。
この3つが揃うことで、日々の業務に意味が生まれ、見え方も変わっていくといいます。
たとえば、この対応はミッションに沿っているか、この行動はビジョンにつながっているか、このやり方は継続的に可能で専門性を活かせているか。こうした問いを自分に立てられるようになるのが変化の出発点です。
その結果として、仕事の質も納得感も変わってくるのではないかとまとめます。
漠然と目の前のことに必死になるのも大事な向き合い方だといいます。ただ、自分の仕事はどんな軸で行っているのかを一度言語化してみることを勧めます。
特に就職活動中の学生には、これが定まることで自分とマッチングする企業が見つかりやすくなり、働く環境をよりよく選ぶことにもつながると話します。
まとめ
たいぞーさんは、経営の理念であるミッション・ビジョン・バリューを自身の薬剤師人生に当てはめ、「薬に責任を持つ」という軸から仕事の面白さまでを一続きに整理しました。日々の業務に問いを立てる材料として、自分の軸を言語化することを提案しています。
- ミッションは「薬に責任を持つ」。処方薬を渡すだけになりがちな中でも、効果と安全を追いかける責任を軸にする
- ビジョンは、薬剤師人生84000時間にプロとしてのやりがいと面白さを見つけること
- バリューは3つ。患者の意思決定支援、対物業務の質、継続的な実践のバランスが鍵になる
- ミッションは判断基準、ビジョンは方向性、バリューは行動を見つめ直す指針として働く
- 自分の仕事の軸を言語化すると、業務の見え方や納得感が変わり、就活での企業選びにも役立つ


