初のコラボ企画「スタートアップ融資賛否」で扱う3つのニュース
この回は、YouTubeチャンネル「スタートアップ投資TV」の新企画「スタートアップ融資賛否」の収録です。ガゼルキャピタルの石橋さんが進行役となり、INQの若林さんにデットファイナンスのニュースへの見解を聞いていきます。
起業のデットファイナンスplus。この番組は、デットファイナンスをもっと身近にをテーマに、起業家と金融の架け橋となる番組です。ベンチャーデットのFlex Capitalと、デットファイナンス支援のINQがお送りいたします。
本日は、スタートアップ起業家向けのYouTubeチャンネル「スタートアップ投資TV」の新企画として、「スタートアップ融資賛否」でお話しした内容をお届けしています。
ガゼルキャピタルの石橋さんとですね、金利上昇局面で資金調達はどう変わるかなどを題材に、賛否トークをしております。ぜひお聞きください。それではどうぞ。
はい、皆さんこんにちは。スタートアップ融資相談室のガゼルキャピタルの石橋です。
今回はですね、融資相談室として初のって言うべきかわからないですけど、初の試みで「スタートアップ融資賛否」。
スタートアップ投資TVとしては、この賛否ネタ、結果的にとっつきやすいのか、多くの方に見てはいただけているので。融資について賛否するって、ちょっと難しいところもあるのかもしれないんですけど。
今回もINQの若林さんとお送りできればと思っております。僕の中のイメージで、若林さんはカジュアルに賛成反対をすごくフラットに言おうとする人だなと思ってるんで。
できるだけ踏み込んで、プロ目線からするとこう思うよっていうところを、ぜひ忌憚ないご意見でお話しいただければと思うので、くれぐれもよろしくお願いします。
できる限り切れ味です。
そうですね。切れ味、切れ味重視です。(この企画は)毎回多分、3ヶ月にいっぺんとか、2ヶ月にいっぺんとか、そのぐらいの頻度でちょこちょこやっていくことになるかなと思います。
まず1つ目、「長期金利上昇なら株式調達を厚めに」。キャディ社の加藤代表のコメントですね。日経さんの記事でこのようなタイトルが上がってましたのが1つ目。
2つ目、シンジケートローン27億。こちらはペイトナー社が資金調達をされたニュースですね。2026年1月に発表されているところではあります。
その延長線上になるかもわかりませんが、8月にリリースが出ておりました、金融庁のノンバンク、デットファンド等向けの規制緩和方針。大きくはこの3つのトピックスについて賛否していければなと。
キャディの大型調達、デットの割合はなぜ大きいのか
1つ目は、ユニコーン入りしたキャディの資金調達のニュースです。石橋さんは、その急成長ぶりに触れたうえで、若林さんに押さえるべきポイントを尋ねます。
(キャディさんは)X界隈というか、業界の中でも巨大なファイナンスかつ、しっかりユニコーン入りもされてらっしゃって。
コアラインベンチャーズの原さんとかがXで、キャディさんがすでに3桁億円のARRを超えてるみたいなコメントもされてらっしゃって、すごい急成長してるんだろうな。
今回もエクイティとデットで調達していて、素晴らしいスタートアップだなと思っています。あのニュースを拝見していて、若林さんとして押さえないといけないポイントってどの辺りだと整理されてらっしゃいます?
そうですね、かなりデットファイナンスの割合ってのを大きくされていらっしゃるなということですね。
去年の調達のリリースを見る限りだと、40億がエクイティの、51億かな、がデットとかっていう形で、デットが上回ってるような状態。で、さらに今年に入ってでいうと177億。
はいはい、まあ大きかったですね。
シリーズDなんですけど、日経の記事によると、今年入ってから融資は去年以上調達してるっていうのもあって、かなりデットの割合って大きくなってきてる。
ステージを重ねるごとに事業の不確実性も下がっていってるし、黒字化も見えてるか、もう既にしてるか状態なんで。デットの割合を大きくしてダイリューションせずにっていうファイナンスミックスが、まさにできてるんだろうなと。
なるほど、なるほど。キャディの加藤さんのコメントとして、日経の記事の中でも触れていたのが、長期の金利の上昇トレンドが続けば、エクイティを厚めに調達するような調達スタンスに変わる可能性もある、みたいなことで。
キャディさんのニュースだけを断片的に切り取ると、ダイリューションを下げてデットの比率を上げてる、まさにファイナンスミックスをうまくやってるよねって話だと思うんですけど。
他方で、この加藤さんのコメントって改めて何が言いたいんだっけ、みたいなところで、若林さん目線だと何かご解説ってあります?
今今のこの時点では、資本コストとか資本効率みたいな話でいうと、エクイティの方が資本コストが高くて、デットの方が資本コストが低い。
だから、デットでやれるんだったらデットでやった方が、お金の仕入れ値って言うんですかね、は低いよねっていうような見方。
なんだけど、この仕入れ値が上がってくるんだとすると、ちょっと考えなきゃいけないし、株式調達ってのをもっと早めに大きくやるっていう選択肢も出てくるんじゃないかなっていうことを、(加藤さんは)おっしゃってると見てます。
今今は、デットでいけるならいいよねっていうことでもあるかな。
「金利が6%台」メガバンク融資の現実と、資本コスト逆転の分水点
話題は、長期金利が上がったときに、どの水準でエクイティとデットの資本コストが逆転するのかに移ります。
これって、今なんか長期金利で3%突破とかいう話も出てきてますけど、どのぐらいを分水点にするとか。
当然これ金利なんで、創業期のスタートアップが借りるのと、シリーズが上がってきて、極端に言うと上場企業さんが借りられる金利も違うわけじゃないですか。
どのぐらいの水準になると、エクイティとデットの資本コストが逆転するっていうとあれかもしれないですけど、どういうふうに見立てておくのがいいんですかね。
そうですね。やっぱりスタートアップのフェーズが早いほど、融資する側からすれば当然。
ハイリスク。
ハイリスク。それはやっぱり、ベースとなる金利にスプレッドというかね、乗っけないといけない、この幅が大きくなりますよねと。
さすがに、(ベースの金利とスプレッドを)足して10%超えてくると、うってなると思うんですよ。当然に。
って言うと、長期金利が5%とかを超えてくるみたいなことにもしなると、そこに上乗せして10パーとか超えるっていうのは全然あり得る。
すでに割と、アーリーミドルに差し掛かるぐらいのスタートアップのメガバンクの融資の金利も、やっぱり6%台とか今平気である。
そうなんだ。ベンチャーデットじゃなくて普通に(銀行融資の)資金調達で、そんな金利になってんだ。
6パーか。それで数十億とか借りるっていうのも結構ですよね。
なかなかですよね。そのフェーズだとね、まだ1桁億かもしれないですけど、そうなってくると、もう大変な金利だけで1000万超えるとかになるわけなんで。
それでもエクイティよりかは低いよねっていうふうには見えるわけですけど、それってでも、リアライズしないと(エクイティの)資本コストってなかなか目に見えにくいですけど、金利って実際出てくるんで。
間違いない。間違いない。
そこのダメージというかね、っていうのも結構もう深刻に考えなきゃいけないっていうか。
公庫の低金利は「補助金みたいなもの」
創業間もない起業家は金利をどれぐらい意識すべきか。若林さんは、日本政策金融公庫や保証協会付き融資の優遇条件に慣れることの落とし穴を指摘します。
実際これ、足元で創業して間もない起業家の方々とかって、(金利を)どんぐらい意識しておいた方がいいもんなんですか?
なんか難しいなと思ってるのが、いわゆる公的な融資あるじゃないですか。日本政策金融公庫さんとか、保証協会付き融資とか。
本来一番リスクが高いはずの創業期のスタートアップに対して、低金利で、無担保無保証、かつ連帯保証なしみたいな感じで、すごい優遇された状態で借りれるんですよね。
それは本当に素晴らしいことで、神だと思うんですけど。
国としての産業育成とかも含んでるから、そういう金利だったりとか、そういう条件でやってくれてるってことですもんね。
そうなんですよね。公庫さんとかもデフォルト率が7%台とか。これってもちろん、下げようと思えば下げれるけど。
あえてリスクを取って、それだけのデフォルトが出てしまったとしても、積極的に融資をして開業率を高めようってことで、貢献していただいてるわけです。
公庫さんってデフォルト7パーなんですね。
らしいです。ディスクロージャー誌を見るとね。
っていうところを考えると、それ(公的融資の条件)に慣れちゃって、こんなもんかなってなっちゃうと、アーリーというかミドルぐらいに差し掛かった時に、金利いきなり6%、7パーとか言われると、おいちょっと待てよとなりますよね。
あれは普通に考えて、その違和感はめちゃめちゃギャップあります。
ありますよね。保証協会付き融資とか、公庫さんの国民生活事業の融資とかっていうのは、すごく制度によって(金利を)抑えてもらってるっていうところで。
逆に言うと、補助金みたいなもので、自己負担分が減ってるみたいな状態と捉えて、来るべき金利のある世界に備えていただくのがいいのかなと思いますね。
金利が上がると、エクイティの流れはどう変わるのか
石橋さんは、金利が上がればエクイティでの調達が増えるのかと問いかけます。若林さんは、急成長を目指すスタートアップではエクイティが先行する構図は変わらないと答えます。
(スタートアップの)資金調達からすると、金利が上がれば上がるほど、一面だけの話ではないんで。若林さんから見ても、エクイティがもっと増えるだろうみたいな見立てでもいらっしゃるんですか?
いや、どうですか。本当にエクイティファイナンスをしてる、それで急成長を短期間のうちに志向するっていう、どスタートアップに関しては。
やっぱりエクイティが先行しないと、デットってついてこない。これ引き続き変わらないと思うんですね。だから、エクイティが劣後するというか、それはないと思ってるんですよね。
ああ、なるほどなるほど。基本的にはエクイティが先行してってことなのか。
そのどスタートアップっていう意味ではですね。ただ、山の登り方いろいろあるんで。
最初はスモールビジネス的にやっていたとか、融資と自己資金と補助金でやれてて、あるタイミングからスタートアップしていくってこともあるんだと思うんですけど。
あるいは本当にディープテックスタートアップとかで、本当に長い時間をかけてやっていくとかだと、また違うアプローチがあるんだろうなと思ってますけどね。
石橋さんは、VCの立場から、金利上昇がファンドへの出資やリターン水準にも連動すると話します。
僕らの世界は僕らの世界で、当然金利が上がってくると、ファンドにお金を入れていただいてるお金の出し手の方々からしても、別にVCファンドに入れる必要ないよねというか。
Xとかで、金利3パーついてちゃんとそれで複利が効いていくんだったら、VCファンドは10年間程度の運用期間が一般的なので、10年回すと確か1.84倍って書いてた気がしますけど。
要は1.84倍になることが目に見えている中で、わざわざVCファンドに投資して、どのぐらいのリターンを期待するべきなんだっけ?その求めるリターンの水準って、金利がつけばつくほど相対的に上がってくる。
とはいえ、日本のVCファンドで平均値だけ見ると、あんまりリターン状況というのは芳しくないので。金利が上がると、VCファンドがお金を調達しにくくなって。
そうすると(エクイティを)供給する母数が減るんで、結局また、スタートアップにエクイティの還流量が減って。当然なんですけど、全部連動して回ってます。
そうなんですよね、連動してて。やはりそのエクイティの方が減っていくと、どスタートアップの資金還流っていうのが逆回転しちゃう。
若林さん目線で、どスタートアップって多いですか?
そうですね。ディープテックスタートアップって、やっぱり大きい補助金がつくとか、SBIRとか、国のお金が入ることによって、それでもなおエクイティの資金がどれぐらい必要なのかっていうところが、ちょっとわかってないというか。
まあそれは、相当必要なんだとは思うんで。いわゆるディープテックスタートアップ、もっと広く言うと(国が重点を置く)17分野のスタートアップっていうのは、やはり国のお金だけじゃ足りないので。
そこはやっぱり引き続きエクイティのお金がいるし、そういうスタートアップに関しては、やっぱりエクイティが先行してのデットの資金だと私は思うんで。
そこのエクイティの資金が滞留しちゃうと、やっぱデットもなかなかしにくくなると思いますけどね。
「デットやってません、シリーズAで」はもう聞かない
石橋さんは、黒字化やM&Aを視野に入れる起業家が増えている体感を共有します。若林さんも、デットの活用が当たり前になってきた変化を語ります。
僕らがどうしてもディープテックが少ないからなのかもわかんないですけど、投資先の資金調達具合を、別にデータに綺麗にしてるわけじゃないですけど、体感値ベースで見ると。
徐々にやっぱり、エクイティの難易度が上がってきている影響で、早い段階で黒字化させながら資金調達の交渉力も上げて、エクイティを焦らずじっくりやって、とか。
要は、お金がなくなってきたからやるのではなく、適切なタイミングから(エクイティ調達を)やるとか。
ないしは割と早い段階から黒字化させて、イグジットもIPOだけではなくて、M&Aというところも見定めながらやっていこう、みたいな起業家が増えてきてるというか、変化してきてるなとは思ったりもするんですけど。
INQさんの目線からすると、まさに金利が上がっていく側面の中で、調達ニーズとか、相対する人が変化してきてるなとか、思うことってあります?
今、石橋さんがおっしゃったような変化は、非常に強く感じていて。やっぱり、IPOっていう言葉を口にする起業家って、良くも悪くも減ってきたような印象はありますよ。デュアルトラックって。
INQさんの立場からすると、(その変化は)喜ばしいことなんですか?要は融資を求める人が増えるというか。
うーん、そうですね。やはりM&Aとか、あるいはゴーイングコンサーンでずっと長く経営したいっていう方は、エクイティの機会より、当然ね、デットの機会の方が多いと。当たり前ですけど。
そういう方が増えることは、我々にとってはチャンスが大きいってことは言えると思いますが、一方でね、そういう方々のデットのリテラシーもしっかり上がってきてますし。
間違いない。
AIもね、活用して、皆さん一旦AIで壁打ちしてからいらっしゃるんで、(相談内容が)ある程度整ってますよね。
はいはいはい。相談の粒度もだいぶ上がって。
上がってきてるなっていう感じです。
体感値的に、デットでの調達金額もやっぱ増えてきてるんですか?キャディほどの規模ではないにしても、もうちょっとコンパクトなところからも、デットでの比率っていうのはやっぱ上がってきてる実感ですか?
まず創業期でいうと、公庫さんとか保証協会の創業融資の統計値は、もう年々上がってきて。
そうなんだ。
はい、これはもう目に見えて出てきています。なので、創業期からデットを使っていくっていうか、創業融資やって当たり前っていう。
この感じは、もう確実に根付きつつあるんじゃないかなと思いますね。
そこからやはり、デットをやって当たり前というか、「デットやってきてません、シリーズAで」みたいな。
聞かないですね。
聞かなくなりましたね。
個人的に、何か問題があるのかなって思っちゃうレベルですね。トラブルでもない限り、普通は(デットを)やってますよね。
一方で、スタートアップに貸す金融機関の側では、積極的なところとそうでないところの差がはっきりしてきていると若林さんは話します。
なので、もうデットやるのは当たり前っていう空気感めちゃめちゃあるんで、これは私の肌感ですけど、当たり前に増えてきてる感じはありますと。
規模で言うと、金融機関さんの方も、例えばキャディさんとかにしても、しっかり出せる金融機関さんと、スタートアップに対しては全然出さない金融機関さんっていうところの白黒が、割とついてきてる印象はあります。
やる人は変わらずやってくれるけど、逆に金利がつきやすくなってきてるってなると、スタートアップにお金を貸すアロケートを下げるインセンティブの方が(働く)。
要は、安定してる会社に安定していっぱい貸した方が、金融機関さんは儲かるようになってきてるっていう理解でいいんですかね。
そうですね。メガバンクさんとかは、やはりメガバンクたるゆえんというか、大義があるところでしっかり出していくとか、産業を作っていくみたいなところ、やっぱり心意気がおありだと思うので、そういう意味では宇宙とか。
ディープテック全般に対してやってくぞっていうのはあると思うんですね。その中の1つとして、スタートアップ向けだったり、ベンチャーデットみたいなものも、メガさんはしっかり向き合ってる印象はありますね。
地銀さんとかですかね。地銀さんって結局、地域のスタートアップ育成なのか、あるいはすでに活躍されてる地域の中小企業さん、中堅企業さんをいかに盛り上げて、地域の経済を活性化していくかっていうのが彼らのミッションだと思うんですけど。
そういう意味においては、もうある程度しっかり、地元の企業さんに貸せるし、事業承継みたいな意味合いでのLBOローンとかって、スタートアップ融資に比べると儲かるんだと思うんですね。
まあそうっすよね。
っていう収益性の話だけでいうと、スタートアップに振り向けるっていうところを今からっていうのは。
振り向けにくいですよね。
ただ一方で、すでにスタートアップ投資を積極的にやってらっしゃる地域金融機関さんって、多分石橋さんの頭の中にもパッといくつか浮かぶと思うんですけど。
そういうところは、1つの手段として新たにベンチャーデットをやってみようとか、そういう取り組みをますます活発にやっていこうみたいな動きもあったりはするかなと。
つまり、ちょっと(金融機関の)二極化みたいなものは進むかもなという感じですかね。
ペイトナーの27億円シンジケートローン、デットに強い理由
2つ目のトピックは、ペイトナーがみずほ銀行をアレンジャーとするシンジケートローンで27億円を調達したニュースです。
今日2つ目のトピックスとして扱わせていただくのが、ペイトナーさんの年始の頃のリリースなので、少し前のネタなんですけれども、シンジケートローンで27億円の調達を無事融資(で行った)。
当然シンジケートローンなので、みずほ銀行さんがアレンジャーを務めながら、他にもふくおか生命さんとか商工中金、山梨中央銀行さん等々がお金を貸していらっしゃる、というリリースのニュースも出てきていまして。
前段のキャディさんとか、長期金利の変動のトピックスも絡むお話かもしれないんですけど、このリリースから、若林さんはどこに注目するべきかなとか、どんなご意見をお持ちでしょうか。
そうですね。今回の27億の調達っていうのが、(ペイトナーさんは)引き続きデットに強いなっていうのが、率直な感想としてあって。
確か創業期から若林さんは、代表の酒井さんともご縁が深いんですもんね。
そうですね、知り合いの会計士さんのご紹介で、本当に創業当初の酒井さんとお話させていただいてから、2022年ですかね、IBSの中で一緒に登壇させてもらったりとかっていうことでお世話になってます。
何よりこのStartupCityMeetにもね、酒井さんが出ていただいた。
確かに。久しぶりに出てもらいたいですね。
4年前にして、めちゃめちゃデットをやってらっしゃったので。
今って、(ペイトナーさんは)累計いくらぐらい集めてるんでしたっけ?
非公開があるんで、非公開を除いてなんですけど、リリースされてるだけで156.8億っていう、エクイティとデットの合算です。エクイティが36.3億らしいんですけど、デットが94億。
すごい。
約3倍ぐらい。
いやそうですね、全然デットの方が。
デットでやっていてっていうことらしいですと。まあこれね、リリースの集計が正しくはないかもしれない。
もし間違ってたらすいません。
エクイティも、事業会社とかVCとか銀行系とか、個人投資家さんとか入れて30先を超えているんですけど、デットってなかなかそんなにプレイヤーいない中で、もうすでに13先は少なくとも超えて。
取引先、デットですね。
ですね。
そういうペイトナーさんを考察していくと、このトピックスからこういうことが読み取れるとか、2026年、27年にこういう変化をしてくるんじゃないかみたいなところって、若林さん目線だとどうなんですか?
若林さんはまず、ファクタリングというペイトナーのビジネスモデルの特性から説明します。
そうですね。まずペイトナーさんのビジネスモデルの、ちょっと特異な部分っていうのを一回前置きをした方がいいかなと思っていて。ペイトナーさんってファクタリングのサービスをやってらっしゃるんですよね。
結局、ファクタリングするのにも、請求書を一回買い取るっていうところで、先にお金が出ていきますよね。
ペイトナー社からする(と)。
社から出てくる。つまり、売り上げを上げるために先にお金が必要ですよねという、調達する理由が強い。これは多分、タイミーさんも同じだったと。
確かに。タイミーさんも、八木さんに出ていただいた回とかで、お給料の前払いなんでしたっけ。今日働いた分を今日払うためには、事業者さんからそんなに早くお金をもらってないから。
運転資金として、100億強ぐらい、確かデットで調達されてました。
3桁億調達してましたね。
すげえな。
それがどうしてもあるので、先に資金が手元に必要ですということなんですよね。なので、言ったら仕入れみたいなものなんで、それこそ常に資金調達のニーズがある。
一方で、もうある程度、ファクタリングによって売り上げが立つってことがわかって。故に、もうテレビCMとかもね。
確かに、香取慎吾さん使ってましたね。
(テレビCMも)打たれて、順調におそらく伸びていらっしゃるのかなと。坂井さんのFacebookとかご覧になってるから。
いや、間違いないよな。毎月なんか、売上利益(の達成を)発表しますよね。
達成みたいなことをやってらっしゃるぐらい、すごい勢いで伸びてらっしゃるのかなっていう風に推察するところで言うと、ちゃんと貸したお金が成長とともに返ってくるっていうことが、各金融機関さん見れてるんですよね。
ペイトナーさんの、先にお金が必要だよっていう事業特性が前提としてある中で、金融機関さんも、貸したら返ってくるっていうのがちゃんとトラッキングできてるはず。
なので、13社から融資を受けてると思うんですけど、ほとんどのところが初めましてじゃないんじゃないかな。
おー。
少なくとも半分以上は。
追加追加で。
追加追加で一回貸して、さらに売り上げが伸びてるからさらに借りますというか、借り換えたりっていうような形で、おそらく実績を作っていらっしゃって。
これだけデット体力みたいなものが、ついてこられてるのかなというふうには思いますね。
石橋さんは、仕入れに近い資金を借りるビジネスにとって、金利上昇はクリティカルではないかと切り込みます。
とはいえ、今の若林さんのお話の中でも、要はある意味、仕入れに近いというか。でも、さっきのキャディさんのところのニュースでの、長期金利が高くなってるっていうところでいうと、ありとあらゆる業界で同じような話はあると思うんですけど。
それこそ不動産投資とかも、最近どのビジネスYouTubeを見ても、やばいみたいな話しか出てこない。
今まではもっと伸びるぞムーブだったのが、急に金利が上がってくると、こんなに手のひら返したように、みんなYouTubeのコンテンツのスピード変えるなと思ったりもするんですけど。
ペイトナーさんみたいに先に資金が必要なビジネスモデルの方々にとっても、この金利ってむちゃくちゃクリティカルな問題なのかなとも思ったりはするんですけど。
キャディさんのケースの考察を踏まえると、こういうペイトナーさんみたいな会社が、もう一回エクイティを大型調達する可能性すら出てくるっていう世界になってきてるんですか?
そうですね。実際ペイトナーさんは、直近シリーズDラウンドですかね、エクイティ調達されてらっしゃいますね。23億かな。
そこはやっぱり、テレビCMだとか、成長の方に踏む資金っていうところでは、エクイティが引き続き必要ってことだとは思いますと。
ただ一方で、仕入れみたいなところでいうと、確かに売値と仕入れ値の差が狭まってくるわけじゃないですか、ざっくり。それでいうと、まあきついでしょうね。
原価が増えるってことですもんね。
単純にそうすると、ファクタリングの手数料のところが上がってくるというところに転嫁されていくのかもしれないですけども。
少なくとも、ファクタリングの手数料に比べると、今ベンチャーデットとかであったとしても、それを上回ってちゃんと利ざやっていうんですかね、出てるような状態だから、どんどん借り入れができるんだと思うんですよね。
確かに。
もし(利ざやが)逆回転しちゃうことが、ないとは思うんですけど、出てくると、変わってくるでしょうね。
そうすると、こういう先出しモデル自体が成り立たなくなりますよね。
ですよね。
もしくは、調達コストがかからない謎のプレイヤーだけが、そういうことができるみたいな感じになり得るかもしれないですね。
石橋さんは、ペイトナーとは別の事例として、カード決済の債権買い取りを手がける事業者の大型融資のニュースにも触れます。
これ系だと、もちろんペイトナーさんがそうって言いたいわけでは全くなくて、ちょっと前のニュースで、全当診さんとかも。
ファクタリングって言うべきなのかな、債権買い取りっていう、クレジットカード決済の部分を飲食事業者さんとかから買い取って、資金繰りを良くするっていうサービスの方々も、やっぱり調達コストのために。
全当診さんの場合、ちょうど今朝NewsPicksのレポートの動画とかをぬるぬる見てたんですけど、むちゃくちゃな数の金融機関さんから、1000億円強とか融資で調達されていらっしゃって。
ペイトナーさんはおそらく健全にやってらっしゃるものの、ああいうことも起きる。さっきの逆回転の話じゃないですけど、難しい領域なんだろうなっていうのも、個人的には思うところではありますね。
全当診の場合は、聞くところによれば、メガ3行がしっかり引いてた(ことも)ありますけど。そういう意味では、ペイトナーさんはね、みずほ銀行さんがアレンジャーに入って。
確かに確かに。めちゃめちゃ健全なんだろうな。
そこはちゃんとDDやってらっしゃるなと思うし。
てか、タイミーもみずほさんでしたっけ?
八木さんが赤い銀行出身っていうのもあって、結構赤い銀行さんがリードしてくれてたように記憶してます。
なるほどなるほど。じゃあ必ずしも、みずほさんだけが(スタートアップ向けに)積極的なわけではないって感じなんですね。
そうです。
ノンバンク社債法の規制緩和は、フィンテックにとってグッドニュースか
3つ目のトピックは、金融庁が進めるノンバンク向けの規制緩和方針です。若林さんが、ノンバンクが社債で貸付原資を調達する際の規制について解説します。
3つ目のトピックスも、ペイトナーさんの調達ってところに多少絡むかなとは思うんですけれども、改めて金融庁のノンバンク向けの規制緩和方針ですね。
これは多少解説も必要なのかと思うんですけど、何がどう変わって、どんな影響が考えられるみたいな、若林さん目線のご意見ってどんなところですか。
これはですね、ノンバンク社債法っていう法律を改正するかって話なんですね。
ノンバンク社債法。
これどういうことかっていうと、銀行でないノンバンクの方々が、事業者に対して融資するための原資を、社債を発行して調達してくると。
おおおおおおおお。
いうところに対して規制があったんですよね。
あ、元々ってことですか。
はい、一定の資本金をちゃんと持ってないと。
やっちゃダメだよみたいな。
そうですね、っていう規制がいくつかありましたと。いうところが参入障壁になっていたわけなんですけど。
その参入障壁を下げないと、いわゆるフィンテックスタートアップのようなところが参入してこれないねっていうところがあって、規制を緩和しようかっていう議論、検討が始まってるっていうお話なんですよね。
規制が緩和されてくると、利回り実績がしっかりしてれば、ペイトナーさんが社債を発行して、その原資を使って自分の事業の運転資金、種銭を用意するってことすらも考えられるってことですよね。
そうですね。それで貸し金をされるっていうことも、そのハードルが低くなるってことです。
へー。
例えば、この動画でもね、お話ししてるFivotさん、Flex CapitalさんとかYoiさんですとか、そういったフィンテックスタートアップの皆さんっていうのが。
すでにね、エクイティ調達ですとか、金融機関から借入をした原資で、あるいはファンドを作ったりとかっていうことで、デットファンドから資金を出していらっしゃるっていうことは、もう既に行われてるんですけど。
そこにさらに、社債で調達した場合の、それを貸し金にするっていうところの規制が緩和されるって話ですね。
だから、フィンテックのスタートアップとか、さっきのペイトナーさんみたいなモデルの会社さんからすると、完全にグッドニュースっていう理解でいいですか。
グッドニュースっていうことだと思いますし、おそらくフィンテック協会的なところとか、ロビーというんですかね、みたいな働きかけとかっていうのがあった結果なのかもしれないし、そうでないかもしれない。
石橋さんは、規制緩和の裏側にあるリスクとして、社債を買う側の判断の難しさを挙げます。
となると、ネガティブなところの予想としては、とはいえ社債発行は元々できるわけですけど、社債を買う側の人の個別判断の難易度というか。
要は、あまりよろしくない社債を買ってしまうリスクが、ぬるっと上がっていく可能性が、緩和なんで、リスクは上がっていくっていう感じになるってことですかね。
故に、おそらく特定投資家さん、プロ投資家さんに(買い手を)限定するとかっていうことが起こり得るんじゃないか。
はいはいはい。FUNDINNOさんとか、エクイティクラウドファンディングとかでも、なんかそんな感じですよね。
そういう議論があったと。
そうですよね。確か、規模のでかいファイナンスのFUNDINNOさんのサービス名だったら「FUNDINNO PLUS+」っていう名前だったと思いますけど。
確か、特定投資家さんだけが、一口単価のもうちょっと大きいものも売買できるっていうような要件でやってらっしゃった気がします。
確かに、緩和する代わりに、買い手側にとってのリスクヘッジのために、特定投資家、プロ投資家の方に限るってのは、それはそうですね。
うん、ありそうですよね。
確かになー。これ関連のご相談とかって、さすがに若林さんのところに増えてるとかってあんまないですか。
そうですね、私のところにはこういったご相談はないんですけど、ファンドのアドミンのアウトソースを受けている会計士さんとかのお話を伺うと、最近デットファンドのお話が増えてるみたいなことは聞いたりもするので。
今後起こり得ることですよね。
確かに。ちなみに、社債って簡単に発行できるものなんですか?これって。
割とこれは、少人数私募債という、私募の要件を満たすものは、当然公募に比べると。
楽天とかソフトバンクとかが数百億とかでやっている、そういう社債とかに比べれば、かなり簡易な手続きでできるというふうには言われてますよね。
「もうちょっと切れ味磨いていきたい」初回を終えて
初回の「スタートアップ融資賛否」を終えて、お二人が感想を語ります。
ありがとうございます。改めて若林さん的に、今回、融資のコンテンツ、初の賛否でしたけど、どうでした?
なんか新鮮でしたね。石橋さんとこんなにデットの話ができる。
ですね、ですね。ちょっと定期的に、雑談って言ったらあれですけど、賛否しながら若林さん目線でのお話もいろいろお伺いしていければなと思うので、改めてよろしくお願いします。
ちょっともうちょっと切れ味磨いていきたい。
是非。視聴者の方々もですね、是非コメント欄の方とか、概要欄のお便りフォームの方にご要望をいただけるような、ご準備がございます。
本編のスタートアップ投資TVは今、毎月1本ぐらい(賛否を)やっていて、多分皆さんからそんなにご意見来なくても、定期的にフレッシュなやつを話してるかなと思うんですけれども。
例えば今日だと、シンジケートローンの話って1月ぐらいにリリースされたトピックスでもありましたし、過去のものでも構いませんので、ぜひこれについて若林さんに意見聞きたいとか、賛否してほしいみたいなところは、ご意見ご要望いただければなと思っております。
ここまでお聞きいただきまして、ありがとうございました。ベンチャーデットのFlex Capitalと、デットファイナンス支援のINQがお送りいたします。
起業のデットファイナンスplus、毎週水曜日の朝8時に配信しています。ぜひフォローをお願いいたします。それでは本日はこの辺で。ごきげんよう。
まとめ
この回では、金利上昇、ペイトナーのシンジケートローン、ノンバンク社債の規制緩和という3つのニュースを通して、スタートアップのデットファイナンスの変化が語られました。若林さんは、デットの資本コストがエクイティより低い今の構図も、金利が上がれば見直しが必要になると話します。一方で、創業期からデットを使うことはすでに当たり前になりつつあり、金融機関側では二極化が進むかもしれないという見立ても示されました。
- 長期金利が上がると、アーリーミドルのメガバンク融資でも金利が6%台に達し、エクイティとの資本コスト比較が変わり得る
- 公庫や保証協会付き融資の低金利は「補助金のようなもの」と捉え、金利のある世界に備えるべき
- 急成長型のスタートアップでは、引き続きエクイティが先行してデットがついてくる
- ペイトナーのような先出しモデルは、貸したお金が返ってくる実績を積み重ねてデット体力を高めてきた
- ノンバンク社債の規制緩和はフィンテックにとってグッドニュースだが、買い手を特定投資家に限るなどの手当ても考えられる




