人面樹とはどんな妖怪なのか
小柳省三さんは、怪異譚シリーズの新作として、中国の妖怪「人面樹」を和紙に墨で描いています。昨日から描き始め、まずは骨描きと呼ばれる線描きから進めているところです。
人面樹は古代中国の妖怪で、日本にも伝わり、江戸中期の絵師・鳥山石燕が絵にしています。和漢三才図会にも入っていると小柳さんは話します。
ドラクエに出てくる人面樹は木の幹に顔がありますが、中国から伝わった人面樹は、木につく花が人間の顔をしているものです。
人間の顔をした花がつくという。別に悪いこと何もしません。妖怪といっても、何にもしません。
人面樹は笑いかけると笑い返してきますが、人間の言葉は理解しておらず、ただの反応だとされています。やりすぎると笑いすぎて枯れて落ちてしまうそうです。
害の少ない妖怪を好んで描く理由
小柳さんは、これまで描いてきた妖怪に害の少ないものが多いと話します。夜泣き石やヒダルガミのように害のあるものもあれば、森で砂をかけられる程度の砂かけ婆もいます。
おとろしという妖怪についても紹介しています。鳥山石燕が鳥居の上に描いたのは偶然で、描きやすかったからだろうと言われています。
ところが、それが定番になり、後年は鳥居をくぐる悪いものを締める存在として語られることもあるそうです。
墨をすって、背景に山水の山を描く
小柳さんは、人面樹は怖い妖怪ではなく夜に出るわけでもないため、暗い画面にしなくてよいと考えます。そこで、中国の妖怪らしく背景に山水風の山を入れることにしました。
墨は硯で、力を入れず撫でるように回してすります。濃い墨ができたら、お皿に取って水で薄めれば薄い墨も作れ、作業がしやすくなるといいます。
下描きは鉛筆でもしておらず、遠景もいきなり墨で描きます。山は桂林のような奇岩の風景をイメージしているそうです。
紙に滲み止めのドーサ ── 和紙に膠とミョウバンを混ぜた液を塗り、墨や絵の具の滲みを止める処理。弱いと紙の裏まで抜け、強すぎてもうまく描けませんが抜けていることにも気づきます。
ドーサが弱い
滲み止めにならず、紙の裏まで抜けることがある
ドーサが強すぎる
強すぎてもうまくいかない
ほどよく効いている
理想的な墨や絵の具の塗り方ができる
山水画の山は誇張ではなく写実だった
山水画は中国スタイルの墨絵で、奇怪な形の山がよく出てきます。小柳さんは、桂林のように本当にこうした景色がある場所があると語ります。
しかし小柳さんたちが若い頃は、実際に桂林へ行った人はほとんどおらず、テレビでもほぼ紹介されていませんでした。水墨画の山は誇張やデフォルメだと見られていたそうです。
転機は1980年ぐらいのサントリーのコマーシャルでした。桂林で撮影された映像が流れ、日本人が山水画の山の写実性に気づいたと小柳さんは振り返ります。
あれ、本当だったんだっていう。山水の世界って、あれ別にデフォルメでも何でもなく、本当に写実じゃんっていうのに、やっと日本人は気がついた。
こんな山があるわけない、誇張されたデフォルメだと思われていた
桂林の映像を見て、実在する写実的な風景だと知った
小柳さんは、桂林の山の成り立ちをグランドキャニオンと比べます。谷が削られたグランドキャニオンに対し、桂林は山がこの形になっていて、どちらも水や氷河の力で削られたのだろうと推測しています。
行きたい場所は若いうちに行くべきか
小柳さんは、今から桂林へ行くことはないだろうと話します。20代なら、休みを取れる仕事に就く、お金を貯めるなど計画して動けますが、今はお金や体力、そもそも行きたいかを考えると面倒に感じてしまうそうです。
行きたいところは若いうちに行っとかないと行けなくなるかもしれないなって思ってます。
桂林も、どうしても行きたいわけではなく、行ってみたいという程度だといいます。行けば来てよかったと思うでしょうが、頑張って行こうとはならないそうです。
箕輪さんが語ったメキシコの苦行ツアー
小柳さんは、ポッドキャストで起業家の箕輪さんが話していた、メキシコの山奥の瞑想ツアーを紹介します。200万円ほどかかり、快適ではなく苦しいツアーだそうです。
ピザ窯のような狭く真っ暗な場所に閉じ込められ、事前に教わった呼吸法を守ってパニックを避けるといいます。小柳さんは、箕輪さんはお酒もスマホも取り上げられると話しています。
参加者は有名な富豪も多いそうですが、箕輪さんはやってよかったと話していたそうです。小柳さんは、その良さは体験しないとわからないだろうと受け止めています。
小柳さんはこの話を、先のことを考えるからパニックになる、今ここしかないという感覚を身につけるマインドフルネスに近いと考えます。
ただしマインドフルネスのセミナーは、催眠術のようなもので洗脳される可能性があり危ないと注意します。本来は危険なものではないので、本やYouTubeで自分でやればよいという考えです。
催眠術系やマッサージ系、一部のヨガ教室にも危ないところがあり、オウム真理教もマッサージの会から発展したと小柳さんは語ります。
人面樹の木肌と陰影をどう描くか
小柳さんは、背景がひと段落したので、人面樹の木をどう描くか考えます。つるんとした木のままにするか、木肌を描くか迷っていました。
クヌギほどガタガタにはせず、うろも描きたくなるのを抑えて、少しだけテクスチャーを加えることにしました。つるつるしながらも木の質感が出たと満足しています。
次の課題は、主題である人面樹の部分の強調です。コントラストを強くするか、色を入れるかを悩み、30分に一度の休憩に入ります。
日本の武士や蒙古軍のヘアスタイル談義
休憩中、小柳さんは昨日仕上げた夜泣き石を見せます。中国を意識したものの、子供の髪型が日本っぽいと話し、中国の昔の髪型から話が広がりました。
日本の武士の髪型にも触れ、元寇の蒙古軍はモンゴル人だけでなく、女真族、高句麗、南宋などとの連合軍だったと語ります。女真族は後ろだけ長く伸ばして三つ編みにする髪型でした。
公家の烏帽子の中や、武士がいつからちょんまげなのかも気になると言います。
公家から武士の世、そして現代へ
小柳さんは、武士の成り立ちを大まかにたどります。公家の下請けのような武士が平安期に出て、平安末期に源氏と平家が力を持ち、頼朝と義経兄弟が鎌倉幕府を開いたという流れです。
小柳さんは、本当に平民の世になったのは割と最近で、大正ぐらいからではないかと話します。現代の政治家にも、大久保利通の子孫など武士の子孫が多いそうです。
人面樹に色をつけ、金箔と灯りの話へ
小柳さんは作業に戻り、人面樹の穴に肌色っぽい色をつけることにします。岩絵の具は残っていましたが、膠が時間とともに硬化して水に溶けなくなるため、使えるかを確かめました。
紙の絵は水や汚れが心配で緊張すると小柳さんは話します。大名屋敷に金箔が多いのも、名古屋城本丸御殿の再現で見られるとおりで、金箔はコーティング力があるためお茶がかかっても拭けば助かると考えています。
昔の灯りにも話が及びます。ロウソクは高級品で大名屋敷などに限られ、庶民は菜種油すら高級で、臭いのするイワシ油を使っていたため、長時間は使えなかったといいます。
まとめ
人面樹を描く作業を軸に、山水画の山の実在、年齢による行動力の違い、箕輪さんの体験談、武士や昔の暮らしへと話が広がった配信です。
- 人面樹は、笑いかけると笑い返す害のない花の妖怪で、日本では鳥山石燕が絵にした
- 山水画の奇怪な山は誇張ではなく、桂林など実在の風景に基づく写実だった
- 小柳さんは、行きたい場所は若いうちに行くべきだと語った
- マインドフルネスは本やYouTubeで自分で行えばよく、セミナーには注意が必要という考えが示された





