クリア当日に収録、なぜ泣いてしまったのか
第163回のテーマは『カリギュラ2』です。前々回に取り上げた前作『カリギュラOVERDOSE』の続編にあたります。
パーソナリティはこの日にゲームをクリアし、そのまま収録に入ったと話しています。今のところ今年のゲームオブザイヤー級に刺さった一本だといいます。
僕って、ゲームではほぼ泣かないんですよ。人生においてもほぼ泣いたことないんですけど、
その『カリギュラ2』の最後の方で泣いちゃいましたね。
ただし、感動的な出来事があって泣いたわけではないと断っています。その「泣いてしまった理由」をこの回で語りたい、というのが出発点です。
前作については、前々回の回で「ゲームとしては全く面白くない」とはっきり述べていました。キャラクターへの目線や表現が良いから全体としては好きになり、小説版まで読んだものの、ゲーム部分はつらかったというのが正直な評価でした。
『カリギュラ2』やって初めに感動したのが、面白いんですよ、ゲームとして。
前作から続く世界観、5年後のリドゥで何が起きているか
『カリギュラ2』は2021年発売の『カリギュラ』の続編です。PS4、Switch、PCで遊べます。開発はHISTORIA、パブリッシャーはフリューという体制です。
そもそもパーソナリティは、シリーズにかつて関わった里見忠さんに向き合いたくて『カリギュラ』を始めたといいます。『カリギュラ2』では里見さんは世界観協力にとどまり、前作でシナリオを共同で書いていた山中プロデューサーがシナリオを担当しています。
世界観は前作を引き継いでいます。前作は、不満を抱えた人々がμというボーカロイドのような存在にメビウスという仮想空間へ引きずり込まれ、理想の高校生活を過ごす話でした。
今回はその5年後が舞台です。メビウスはなくなって皆が解放されたあと、今度はバーチャロイドと呼ばれる別の存在が、後悔を抱える人をリドゥという世界へ取り込んでいきます。真実に気づいた主人公たちが現実へ帰ろうとする、という筋です。
構造として、話の構図として前回とほぼ一緒なんですね。
対立の構図も前作を踏襲しています。現実へ帰りたい「二代目帰宅部」と、リドゥの世界を維持したい「オブリガードの学士」たちの戦いになります。前作の「帰宅部」対「オスティナートの学士」とほぼ同じ形です。
ただし今回は登場人物の幅が広がっています。高校生活が中心なのは同じですが、社会人っぽい人物や中学生も加わっています。
世界の作り込みも変わったと指摘します。前作のμは人の気持ちがあまりわからず、願いの叶え方がガバガバだったのに対し、今回のリドゥを作るリグレットは、入った人の願いをかなりいい感じに叶えているといいます。
どこから遊べばいいか、前作は必須なのか
時系列は前作の5年後としてダイレクトに繋がり、世界観も地続きで、前作の話がバリバリ出てきます。そのため、前作をやって小説版まで読んだほうが『カリギュラ2』を確実に楽しめると述べています。
一方で、前作はかなり人を選び、ゲームとしてはつらいものがあると繰り返しています。結論として、いきなり『2』から遊んでしまっていいのではないか、という立場です。
もうツーから遊んじゃっていいんじゃないかなと思いますね。
半リアルタイムバトルの仕組みと、前作からの改善点
ゲームシステムは大枠は前作と同じで、最も特徴的なのが半リアルタイムのバトルシステムです。コマンドを選ぶと敵味方がリアルタイムで動き、攻撃には待機時間、行動時間、その後の硬直がそれぞれあります。
最大4人で戦い、敵の行動に応じた立ち回りが鍵になります。突撃系にはカウンター技、シューティング属性にはシューティングのカウンター、バリアには破壊できる攻撃、といった相性が用意されています。
相手を浮かせる技も重要です。空中に吹っ飛ばすと敵は無防備になり攻撃できなくなるうえ、空中限定の技も当たるようになります。これらをうまく繋いでコンボを狙う設計です。
前作にも「未来視」というシステムがありました。3回まで選んだ行動の結果を先に確認し、自分と仲間のタイムラインを調整してコンボを組む仕組みです。ただ、あまりに複雑で面倒なうえ、使わなくてもクリアできてしまったといいます。
(前作は)通常技連打、たまにカウンターやるみたいな感じでできた
『2』でまず感動したのが、このバトルが「ちゃんと楽しいもの」になっていた点だといいます。前作は1人のキャラが行動できるようになると3回までコマンドを選ばねばならず、次のキャラに進むと戻れないため、調整が非常に難しい作りでした。
今回は1回のコマンドで1行動だけを選ぶ形に変わりました。さらにオートにしておくと、予知の段階で他のキャラの技も自動で選んで結果まで見せてくれるため、考えることが大きく減ったといいます。
これをやりたかったんだと。これを楽しませたかったけど、前作はあまりにも煩雑でテンポが悪すぎて、ほとんどの人は楽しめないようなシステムになってたんだな
全キャラを手動で操作するとまだ面倒ではあるものの、不可能ではないといいます。雑魚戦は主人公以外をオート、ボス戦だけ手動という遊び方がちょうどいい複雑さで、ボスは考えないと危うくなる場面もあり、歯ごたえがあったと評価しています。
グラフィックとダンジョン、低予算感との折り合い
グラフィックも最初に見て感動した要素です。綺麗になり、レベルが上がっていると感じたといいます。
ただし他作品と並べると評価は控えめです。PS4でプレイしても、同時代のトリプルAや、4年前のペルソナ5と比べると微妙だと述べています。2017年のペルソナ5のほうが綺麗でかっこいい、というのが率直な見方です。
一方で、前作『カリギュラOVERDOSE』からの飛躍は大きいと強調します。一気に綺麗になり、キャラクターデザインも3Dモデル・デザインの両面でとっつきやすくなっているといいます。
ダンジョンも改善点として挙げています。前作は直角の道を延々と進むだけの迷路のようで苦痛だったのに対し、今回は構造や見た目、ギミックがある程度凝られていて、まあまあ楽しめる水準になったといいます。
それでも、全体として低予算感はどうしても残るとも認めています。
コミューとクエスト、キャラクターに向けられた視線
キャラクターごとのエピソードである「コミュー」も特徴です。戦っているうちに好感度が上がってストーリーが解放され、各キャラ最大9まで親交を深められます。途中で相手の抱える裏側に踏み込むかどうかの選択肢が出てくる作りです。
カリギュラシリーズの一番の魅力って、やっぱこのキャラクター造形なんですよね。
リドゥにいるモブたちにも名前と人間関係、クエストが用意されている点は前作から維持されています。ただ前作は一つ一つがコピペのようなものが500人ぶんほど並ぶだけで、やるのも面倒で見返りも薄かったといいます。
今回はグループクエストとしてストーリーが展開するものが複数用意され、クエスト自体もクリアしやすくなっています。やる楽しみもメリットもあり、ちゃんとゲームに関わってくるようになったと評価しています。
RPGとして当たり前のことが機能している点も挙げます。前作は同じ強さの装備しか手に入らず、技も強くならなかったのに対し、今回は進行に応じて強力な装備や技が手に入るようになりました。
未完成だった前作から、完成した続編へ
前作の時点では、このゲームは「ゲームとしても未完成」のように感じていたといいます。パーソナリティはその感覚を、以前この番組で語った『メタルマックス2 Reborn』になぞらえます。
『メタルマックス2 Reborn』は、新しさは間違いなくあるのに作りかけすぎて悲しくなるゲームだったといいます。同じ悲しさを『カリギュラ』にも感じていた、というわけです。
その未完成だったものが、続編でちゃんと面白いものになっていた。そこに強く感動し、嬉しくなったと語っています。かつて「ジェネリックペルソナ」「低予算ペルソナ」と呼ばれた立ち位置から、『2』は脱却していると評価します。
バトルは複雑で面倒、装備やクエストが進行と絡まず、ダンジョンは苦痛
1行動ずつのバトルで遊びやすく、進行に応じて装備・技が強化、クエストにストーリーとメリット
山中プロデューサーの「優しい視線」と誠実さ
もっともグッときたのは、キャラクターに向けられた制作者の視線だといいます。前作は里見忠志さんと山中拓也さんの共同シナリオでしたが、今回から山中プロデューサーがシナリオを担当しています。
以前この番組で語った「『ペルソナ3』以降で失われた、どうしようもない人や弱さを抱える人への優しい視線」が、本作ではちゃんと維持されていると評価します。
一方で前作のテキストはアクが強く、露悪的で、ラノベの合わない部分の味が出ていて自分には合わなかったといいます。そのエグみが抜けたことで、つらい選択を突きつけつつも優しさが前面に出る物語になったと述べています。
山中プロデューサーはもともと心理学をやっていて、精神科医などの道ではなくゲーム制作に進んだ経緯があるらしいと紹介します。その目線がとても優しいというのが、パーソナリティの見立てです。
(キャラクターたちの後悔や葛藤に)あまり土足で踏み入らないとか、もう本当になんか一緒にいるぞぐらいの感じなんですね。
セリフの「生っぽさ」も評価します。一人称が場面によってブレたり、キャラクター同士の呼び方が揺れたりする。わかりやすい記号にせず、あえてぶらすことで人間として立体的に描こうとしていると感じたといいます。
描き方の誠実さにも触れています。安易に「これで解決した」ことにして物語を進めないのが誠実で優しい、と述べます。帰宅部のキャラが抱えるものは、解決できないこともあれば、実はもう解決していることも、解決しようがしまいが変わらないこともあるといいます。
これ現実戻ってどうすんの?みたいな(キャラクターも仲間にいる)。
劇的な要素は前作より増え、物語全体に山ができ、しょうもなさは減っています。それでも分かりやすさに逃げないのに、ちゃんと見ているという感覚があり、そこに嘘がないと繰り返し語っています。
キイの成長と、物語の仕掛け
今回はリグレットが作るリドゥに閉じ込められますが、そこへ前作のμの娘を名乗るバーチャロイド、キイが世界を割って入ってきます。
キイは最初、人間のことが全く理解できません。それがストーリーの進行とともに人間を理解し、成長していく。その過程にもグッときたといいます。
物語の仕掛けにも触れています。中盤にどでかい仕掛けがあり、前作をやって小説版を読んでいると、そこがさらに刺さり、重くなる選択もあるといいます。ネタバレを避けるため詳細は語られていません。
最後の仕掛けにも意外性があり、最後まで楽しめたといいます。サブクエストもそれなりにやって25時間ほどでクリアでき、最近のRPGと比べればそこまで重くない分量だと述べています。
刺さる人・刺さらない人、そして編木ささら
手放しでおすすめと言えるようになったのがまず嬉しい、としつつ、細かい不便さは残ると認めます。ファストトラベルが不親切で、サブクエストの行き来が大変だといいます。それでも、それを覆して余りある物語だったとまとめています。
一方で、このストーリーが刺さるかどうかは人を選ぶとも言います。パーソナリティはこの番組で、『メタファー』の回などで「無意識に傲慢になっている作り手の目線」を感じると語ってきました。
そうした違和感が気にならない人には、この『カリギュラ』の物語はあまり刺さらないかもしれないといいます。逆に、そこに違和感を持つ人、「これは自分の話じゃない」と思ってしまう人には、『カリギュラ2』は強く刺さるのではないかと述べています。前作はきついが、『2』は刺さる、という見立てです。
山中プロデューサーのメタファーが見たいって僕は思ったんですよね。
キャラクターについては、今回はみんな良いと繰り返します。裏側の話も良く、みんな好きになってしまうといいます。その中で一人挙げるのが編木ささらです。3年生で背の高い黒髪のおっとりしたお姉さんで、戦闘では薙刀を持ち、庇う・防御を上げるといったタンク役を担います。
リドゥの姿と現実の姿が全然違うのはシリーズの大きなギミックの一つですが、編木ささらの現実の姿はその正体がわかるまで完全に頭から抜けていたといいます。JRPGのヒロインの盲点をつく作りで、ガツンとやられたと語っています。
他のキャラクターも一筋縄ではいきません。敵キャラがめちゃくちゃなことを言っても、必ず味方の誰かが共感し、「わかるな」と言う。言わなければ嘘になる言葉を、そのキャラがちゃんと言ってくれるといいます。
まとめ
『カリギュラ2』は、前作『カリギュラOVERDOSE』でつらかったゲーム部分が改善され、システムとキャラクター描写の両面で「ちゃんと面白い」続編になっている、というレビューでした。刺さるかどうかは人を選ぶものの、パーソナリティにとっては今年屈指の一本として語られています。
- 『カリギュラ2』は前作の5年後を描く続編で、対立の構図や世界観は前作を踏襲している
- バトルは1行動ずつの選択に変わり、装備・技・クエストが進行と噛み合い、RPGとして遊びやすくなった
- 山中プロデューサーによるシナリオは、弱さや後悔を安易に解決せず「一緒にいる」ような優しい視線で描く
- 低予算感やファストトラベルなどの不便さは残るが、それを覆すだけの物語があると評価している
- 作り手の目線に違和感を持つ人ほど刺さりやすく、前作をやっていなくても『2』から遊んでよいとされる






