なぜ平日150回、一度も休まなかったのか
CEOセオさんの番組は、平日にニュースを深掘りして経営者マインドを身につけることをテーマにしています。今回はシルバーウィークで雨だったこともあり、普段は配信しない休日に、番外編として収録されました。
番組は始まってから150回を超え、平日の配信を一度も欠かしていないそうです。この半年の間にも、39度の熱が出たり海外出張に行ったりと、続けるのが難しい場面はあったと振り返っています。
なぜそんなに(配信に)コミットしてるんですかということもよく言われるんですが、やっぱりやると決めたらやるというのが結構重要なのかなと思ってですね、このポッドキャストを続けております。
CEOセオさんによると、聴いてくれる人は大きく増え、経営者からは「いつも勉強になっています」と声をかけられるようになったといいます。従業員も多く聴いており、CEOセオさんの考え方を学ぶ機会にもなっていると話しています。
今回はニュースを深掘りするのではなく、番組で一番多く語ってきたことは何だったのかを分解します。CEOセオさんは、さまざまなニュースを見ていても、毎回同じ問いに戻ってくると感じているそうです。
顧客を持つ側か、作る側か
CEOセオさんが中心の問いとして挙げるのは、技術を作る提供サイドと、顧客を抱えるデマンドサイドのどちらが強いのか、という議論です。以前の回で扱ったGo、Waymo、日本交通の話も、誰が需要を持っているのかという問いだったと振り返ります。
このケースでは、Goが基本的にユーザーを抱えています。ただ、ユーザーを抱えていても、サービスを提供するにはハードやソフトウェアが必要になります。
ただやっぱり顧客を持っていれば、今ってやっぱりいろんなものが買えますよね。
CEOセオさんは、ファッションのセレクトショップや、ビックカメラ、ヨドバシカメラのような小売を例に挙げます。こうした店は顧客と直接やりとりしますが、商品を卸すメーカーの側は顧客情報が手に入りません。
メーカーにはプロダクトが優秀であるといった強みがあります。それでも顧客との接点を失うと、ニーズが測りにくくなり、製品をより良くブラッシュアップしていくのが難しくなると、CEOセオさんは指摘します。
確かにSNSがあるから顧客の声も拾えるわけですけども、やっぱり自分の製品の顧客と世の中に流れてる声ってね、違うじゃないですか。
SNSに流れている声は一般論に近く、自社製品の顧客の声とは別物だというのがCEOセオさんの見方です。Uberのロボタクシーのニュースも、Uberが顧客を押さえているからこそロボタクシーに意味がある、という話だったと整理しています。
そのうえでCEOセオさんは、顧客を押さえながらメーカー機能も果たす会社こそが世界一の会社になると語ります。その例がAppleで、製品を作りながら、ビックカメラなどの販路もありつつ基本はダイレクトセールスで顧客を直接押さえているといいます。
プロダクトの優秀さが強み。卸すと顧客情報が手に入らず、ニーズを測りにくい
顧客と直接やりとりし、必要なものを外から調達できる
Appleのように両方を持つ会社もあります。自分たちの会社は顧客を持つ側なのか、作る側なのか、あるいは両方なのか。CEOセオさんは、その違いによって企業価値が変わってくると話し、作る側が悪いわけではないと付け加えています。
インフラで儲けるか、サービスで儲けるか
2つ目の問いは、儲ける場所をどこに持つのか、つまりインフラで儲けるのか、サービスで儲けるのかという点です。番組で取り上げるニュースは企業規模が大きいものが多く、特にAI関連では兆単位の話が増えているといいます。
CEOセオさんが例に挙げるのがキオクシア ── 旧東芝メモリを前身とする日本の半導体メーカー。NAND型フラッシュメモリなど、データを保存するストレージ向けの半導体を主力としていますです。AIデータセンターや半導体の分野では粗利率60%程度が普通で、キオクシアはとんでもない時価総額になり、利益率も70%ほどだと話しています。
CEOセオさんによると、キオクシアがこうしたビジネスをできるのは、インフラのようなポジションにいるからです。市場が成長すると、みんながそこから買わなければならない「周辺プレイヤー」になれるということです。
この伸びていく市場の中で、えー、自分たちはどこにポジショニングできるのか。
CEOセオさんは再びAppleの例に戻ります。Appleはメーカーでありながらユーザーも直接握っているため、自分たちで価格を決められる価格決定権を持っていると説明しています。
一方でキオクシアは、チップというよりデータをストレージするビジネスです。CEOセオさんは、ストレージはある程度確保できてしまうと、かつて流行したUSBのストレージのようにどんどん安くなることもあると指摘します。そのため、周辺プレイヤーの変化も市場を追いながら見ていく必要があるといいます。
値上げできる会社の条件とは
3つ目の問いは価格の決め方で、値上げできる会社とはどんな会社かという点です。番組では、ココイチの深夜帯の7%値上げや、はま寿司の深夜料金の導入などを取り上げてきました。牛丼チェーンもすでに値上げしているとCEOセオさんは触れています。
新幹線のシュプリームクラス ── 東海道新幹線に導入が予定されている、グリーン車より上位の個室型座席の呼称として報じられたものも例に挙げられました。新幹線の中のファーストクラスのような座席で、飛行機より高い値段で提供されるというニュースでした。
席が少ないということはプレミアムな価値があるので、そこに座ってみたいとか、逆にそこで仕事をすれば全く違う価値になる。
CEOセオさんの整理では、価格が高いか安いかよりも、そこで付加価値が得られるかどうかによって金額を上げていくことができます。
もう1つの例がマーラータンです。客が自分でトッピングする仕組みについて、CEOセオさんは「空腹は最大の調味料」という言葉を引き合いに出し、自分で入れろと言われるとどうしても入れてしまうと話します。その結果、客が値上げを自分でやってしまうことになるといいます。
| 事例 | 値上げの方法 | ポイント |
|---|---|---|
| ココイチ・はま寿司 | 深夜帯の料金を上げる | 夜でも払える価値をどう作るか |
| 新幹線シュプリームクラス | 少ない席を高価格で提供 | 希少性と、そこで得られる付加価値 |
| マーラータン | 客が自分でトッピングする | 客が自ら単価を上げてしまう |
ニュースの中で価格をどう作るか、値上げにはどうすればいいかを見ていくと、意外と発見になるとCEOセオさんは話しています。
数字は「質問の入り口」になる
4つ目は数字の読み方です。CEOセオさんは企業の数字を基本的に一次情報から取ってきており、AIのハルシネーション ── 生成AIが事実と異なる内容を、もっともらしく出力してしまう現象のことも起こりうるため、複数のAIモデルを使ってチェックもしているといいます。
ただね、やっぱ僕、これ別にアナウンサーでもないし、なのでちょっと噛んじゃったりとか、言い方間違えちゃったりとかする時あるんですよね。
CEOセオさんは、後で自分の配信を見て言い方を間違えたと気づくこともあり、申し訳ないと感じていると率直に話しています。そのうえで、基本的にはハルシネーションチェックをしながら数字を追っているそうです。
数字を扱う際には、日本国内か海外か、今年か去年かで意味が大きく変わります。株価は日々変わり、海外の会計基準では利益率の換算の仕方も違うことがあるため、CEOセオさんはそこに注意しながら話しているといいます。
それでもCEOセオさんが数字を挙げるのは、人は数字があると比較がしやすいからです。定性的な話だけでは、どれがどのくらいすごいのかイメージしにくいと説明しています。
実は質問の入り口みたいな感覚で数字を結構挙げています。
数字を並べる
A社とB社の会員規模や利益率を比べる
違いに気づく
規模や利益率がこれだけ違うとわかる
問いが生まれる
なぜこの会社はこの利益率を出せるのかと考える
深掘りする
「なぜ」を重ねて本質に迫る
A社とB社で会員規模や利益率がこれだけ違うと示されると、なぜこの会社はこの利益率を出せるのか、という問いが自然に出てきます。CEOセオさんは、数字から「なぜ」を重ねていくことで、より深掘りできると話しています。
IPとブランドはどうつくられるのか
5つ目の問いはIPとブランドです。CEOセオさんは現在、著作権を扱う音楽の会社である日本コロムビアグループにいることもあり、IPの深掘りをなるべくするようにしていると話します。世の中でも、IPを作らなければビジネスとして成功しないといわれているといいます。
ブランドについてCEOセオさんは、名前を聞いて誰でもわかることだと説明します。スターバックスやルイ・ヴィトンのように、誰でも知っている名前の会社がどうIPを作り、ブランドを築いているのかを見ているそうです。
番組ではスターバックスや公文、オニツカタイガーも取り上げてきました。オニツカタイガーは歴史を土台にブランドが作られ、日本発祥であることもあって海外の人に受けており、オリンピックでも使われていたとCEOセオさんは紹介しています。
信用ですからね、ブランドっていうのはね。
AI時代の人材と、ニュースをAIで探さない理由
6つ目の問いは、AI時代の人材や時間の考え方です。AIによるレイオフで働き方がどう変わるのか、GMOで在宅勤務が禁止になった件など、この種のニュースをCEOセオさんはよく拾っているといいます。
番組の裏側として、CEOセオさんはニュースを自分の目で探しており、AIは一切使っていないと明かしています。
やっぱ自分がニュースをパッと見て、あ、これちょっと見たいな、興味あるなっていうものをやっぱ探していかないと、やっぱAIだとそういうのがイマイチなんですよね。
やっぱどうしてもね、AIで探すとね、ニュースのなんかクオリティが低いなって感じがしてて。なのでやめてるんです。
CEOセオさんの番組ではコンビニのネタが多く、身近なものを企業分析すると面白いといいます。自分が興味のある企業や、利用しているサービスやプロダクトの会社の株を買おう、と以前から話していることにも触れています。
こうした理由から、CEOセオさんはなるべくメジャーな会社を取り上げるようにしているそうです。そのほうが聴く人も入りやすいからだと説明しています。
リスナーへのお願いと、これからの番組
番組の最後に、CEOセオさんはリスナーにコメントを呼びかけました。今後聴いてみたいネタや、良かった回を書いてもらえると嬉しいといいます。毎朝7時の配信を同じ時間に聴けない人も多いので、雨のシルバーウィークに過去の回を振り返ってほしいと話しています。
僕も大体15分ぐらいやってるんですけど、やっぱね、どういうネタにするかっていうのは迷う時はやっぱありますよね。
CEOセオさんによると、SpotifyやApple Podcastではコメントを書くことができ、書かれたものはきちんと見ているそうです。高評価やレビュー、ブックマークもしてもらえると、通知で見逃さずに聴けるうえ、番組をよりブラッシュアップしていく励みになるといいます。
今回はシルバーウィークに合わせ、普段とは少し違うテンションで話したとCEOセオさんは締めくくりました。ながら聴きでもいいので、こうした回も増やしていきたいとしています。
まとめ
CEOセオさんは平日150回の配信を振り返り、ニュースの裏で繰り返し戻ってくる問いを6つに整理しました。どの問いも、会社がどこで価値を生み、どう価格を決め、どう信用を築くかを考える視点になっています。
- 顧客を持つ側か作る側か、その両方を持つかで企業価値は変わり、その代表例がAppleだとしています
- インフラとして周辺プレイヤーになる儲け方もあるが、周辺の変化も見続ける必要があるといいます
- 値上げは、高いか安いかよりも、付加価値や希少性、客自身が選ぶ仕組みで実現できるとしています
- 数字は比較を通じて「なぜ」を生む、質問の入り口として使われています
- ニュースはAIを使わず自分の目で探し、身近でメジャーな企業を選んでいると明かしています


