結婚相談所11年目の涼子さんは、何に迷っていたのか
この回は、厚利少売マスタークラスに参加する中村涼子さんが登場するリアルお悩み相談会です。涼子さんは結婚相談所を開業して11年目で、男性経営者層向けの「マリッジバンク」や、出会いの場「ルータスバー」の月1開催なども手がけています。
川原さんは、台本に寄せられた涼子さんの相談内容を、まず要約して紹介しました。
相談の要旨: これまで35歳以上の女性を対象にしつつ、20代から60代までの男女の会員がいる。厚利少売へ移行するにあたり、男性経営者層向けの新コースに注力したい。今までの客層も高単価にするのか、新しい客層と並行するのか、従来のサービスを止めて厚利少売なものだけにするのか、どうしたらいいか。
具体的な目標を問われた涼子さんは、結婚相談所のビジネスだけで1000万円の売上を立てたいと答えます。一方で、これまでの客層の値段を上げるイメージは持てず、新コースとの間で頭が整理しきれていない状態でした。
(従来の客層と新コースの)どちらに注力した方がいいのか、並行していいのかっていうのを、自分の中でもごちゃごちゃってなっちゃってるっていうのが現状です。
「誰を相手にするか」より先に問うべきこと
すがけんさんは、涼子さんの問いを「厚利少売をしたいから、どういうお客さんがいいか」という質問だと整理し、それ自体は正しい問いだと認めます。結婚相談所は数も多く、結婚したい人も多いため、この5年、10年ほどは上手にやれば伸びる分野だという見立てです。
ただ、すがけんさんが重視したのは、相手の選び方より先に、11年のキャリアを持つ涼子さん自身が「どこが得意なのか」という点でした。
すがけんさんは具体例を挙げて説明します。単価だけを見れば男性向けが有利に見えても、成婚率まで含めると、どちらが得意かの答えは変わり得るという話です。
単価は男性向けの3分の1でも、成婚率が3倍あるなら女性向けが得意分野になる
単価が高く、かつ成婚率もちゃんと高いなら男性向けが得意分野になる
お役に立たないと意味がないから、(自分が)お役に立てるのかしらとまず考えないといけないと思ってて。
涼子さんは、得意なのは35歳以上のキャリア女性だと答えます。男性経営者向けのマリッジバンクは、経営者との接点が多いことから去年作ったものの、注力できずに中ぶらりんで、実績はまだそれほど出ていないと率直に話しました。
「独自のルート」は差別化になるのか?
すがけんさんは、世の中に同じようなサービスはいっぱいあるため、自分なりの勝ちパターンを見つけないと頼む側にとって意味がないと指摘します。11年やっていれば、来る人のパターンや、他社と違う自分なりの持論があるはずだという問いかけです。
涼子さんは、業界の横のつながりや、自分しか持っていない人間関係の中から1on1で紹介できることを強みに挙げました。しかし、すがけんさんの反応は厳しいものでした。
多分ね、それ全員が言う言葉じゃないですか。独自のルートでとか、長くやってきたノウハウがとかは。
なんとなくそれでうまくいくんだったら相談に来てないと思うんだけど、相談をしてるってことは何かしら課題があるはずで。
涼子さんは、発信がブレるためターゲットを絞るべきか悩んでいたものの、自分の悩みはそこではないのかもしれないと感じ始めます。すがけんさんは「結論、絞った方がいい」と答えました。
すがけんさんの例では、「ハイキャリアの男性とバリキャリの女性」と決めれば、そうした相手と結婚したい人しか来ないため、誰を相手にするかで迷わなくなります。ただし、それが涼子さんの得意なのかを先に考えるべきだというのが、すがけんさんの意見です。
1000万円はただの算数?川原さんが示した考え方
「すがけんさんの壁打ちウォッチャー」を名乗る川原さんは、もう一つの見方を示します。婚活事業で1000万円を目指すなら、あとは何を何回やれば届くかという算数だという考え方です。
川原さんはさらに、あり方の選択にも触れます。今の仲人的なやり方は工数がかかり、手札が増えないと伸びません。ハイクラスの転職エージェント ── 求職者と企業の間に入り、個別に転職を支援するサービス。担当者が一人ひとりに付き、紹介や面接調整まで手厚く伴走するのが特徴ですの婚活版をやるのか、ビズリーチ ── 企業やヘッドハンターが登録者に直接スカウトを送る、ハイクラス向けの転職プラットフォーム的な状態を目指すのかで、登る道は全然違うといいます。
今のサービスを伸ばせば届く数字かと問われた涼子さんは「伸ばせばいけそうな気がします」と答えます。すがけんさんは「じゃあそっちがいいんじゃない」と返し、川原さんも勝ちパターンがあるならそれを加速させるのは一旦ありだと応じました。
「なぜ1000万円稼ぎたいの?」に答えられるか
ここで相談は思わぬ方向に進みます。すがけんさんは、話を聞いていると涼子さんには1000万円にしたい明確な理由がないのではないか、と切り出しました。
でもなんか周りを見て、そんぐらいかなと思って決めてる数字な気がしてて。それだとやっぱり自分がずっと納得してないんで。
すがけんさんによれば、借り物の目標では根源的にやりたいことに収斂されず、美味しそうなものが出るたびに流されてしまいます。だからこそ、なぜこの仕事をして、どれくらい人の役に立ちたいのかを決めてから目標を立てるべきだという主張です。
周りを見て決める
「そんぐらいかな」という感覚で数字を置く
納得していない
根源的にやりたいことに目標が収斂されない
流される
美味しそうなものが出るとそちらがいいと思ってしまう
全部がずれる
土台がないため、施策の選び方もずれていく
涼子さんは「したい理由」の違いを考え込みますが、すがけんさんは「そんな哲学考えなくていいから、あるかないかでいうとあるんですか」と迫ります。理由をすぐに語れない様子に、すがけんさんは「コントみたいになってるけど」と笑いを交えつつ、目標そのものが危ういと指摘しました。
すがけんさんは、お客さんは涼子さんのストーリーではなく、結婚したいという自分のストーリーをどうにかしてほしい人だと続けます。「49歳独身からすると」と自身を例に出し、川原さんが「ターゲット見つけた」と返す一幕もありました。
満たされているなら、頑張らなくていい
すがけんさんの結論は意外なものでした。涼子さんは今でも十分に豊かで幸せなのだから、みんながやっているからと無理に頑張る必要はないというのです。
だから涼子さん豊かなんですよ。安心してください。今でも幸せなんだから。そんなにやんなくても大丈夫です。
それは本当あるよ。なんか幸せそうだもん。いつ会っても楽しそうだもん。
川原さんも、目的は幸せであることなので、満たされているならそれがゴールでいいと話します。一方で、何かをしてみたい、できるようになった自分も楽しそうだと思うなら、目指すのもありだと付け加えました。
すがけんさんは、そうした欲であれば、事業より旅行や友達との会話で叶えたほうが幸福度ははるかに高いと考えています。そのうえで「まずはそこを決めて、またぜひいらしてください」と相談を締めくくりました。
しっかり人生楽しもうみたいな。おすそ分け的に役に立つビジネス持ってるもめっちゃいい生き方だと思う。
すがけんさん自身も、もうこれ以上上は目指さなくていいと決め、「ぼちぼちでいい」と考えているそうです。目指すのは、お金的にも時間的にもカツカツにならない状態だといいます。
「やんなきゃいけない症候群」は現代病
相談を終えた二人は、こうしたケースは結構多いと振り返ります。川原さんは、それ自体が現代の社会が豊かになった証拠だと話しました。
やっぱやんなきゃいけない症候群でね、SNSでみんな比較しちゃうしさ。(でも)別にそんな頑張んなくていいなら頑張んなくていいからね。
お知らせのコーナーで川原さんは、自著『人生は、捨て。自由に生きるための47の秘訣』を改めて薦めました。本当の自由や自分にとっての幸せは、捨てていかないとわからないという理由です。
川原さんは、自分サイズの幸せが何で、この人生で得たいことは何なのかの答えが見つかるはずだと話します。すがけんさんは、涼子さんは仕事では会員に対してそれをやっているはずなのに、自分のこととなると難しいのだと付け加えました。
まとめ
結婚相談所の高単価化をめぐる相談は、ターゲット選びから、自分の得意、そして目標の理由へと掘り下げられました。満たされているなら無理に頑張らなくていい、という結論は、多くのリスナーにも気づきを与える内容です。
- 「誰を相手にするか」より先に、自分がどこで役に立てるのかを考える
- 「独自のルート」「長年のノウハウ」は誰でも言える言葉で、違いにならない
- 1000万円の目標は、何を何件やれば届くかという算数で構造化できる
- 周りを見て決めた目標は迷いを生むため、自分なりの明確な理由を先に持つ
- 今が満たされているなら、自分サイズの幸せを定義し、頑張りすぎない選択もある

