Amazonの新AIデバイスは何をするのか?
AmazonがAIデバイスを新たに発売するというニュースから、今回のエピソードは始まります。形はリストバンド型とスマホ装着型の2種類で、CEOセオさんは最近AIデバイスの発表が各社から相次いでいると話します。
CEOセオさんによれば、ウェアラブルの分野ではMetaのグラスが非常に強いものの、他の会社もかなりの数を出してきています。そのうえで、2027年は「AIデバイス元年」になりそうだという見立てを示しています。
来年になると、おそらく2027年はAIデバイス元年になりそうな気がしてまして、あらゆるところが予定をしてるんですが、その辺をちょっと整理をしながら、今後AIデバイスがどのようなシーンを作っていくのかを深掘りしていきたいなというふうに思います。
Amazonの新端末は、傘下のBleeというブランドから発表されました。手首やクリップで装着するBleeFrontierが1万1850円、スマホの背面にマグネットで付けるカード式が1万5800円とされています。
CEOセオさんは、日本での価格は為替によって変わるかもしれないとしつつ、おおむね1万円から2万円程度の価格帯だと説明します。
Amazonの新端末の基本機能は、会話の文字起こし、要約、ToDoの自動作成です。普段から端末を持ち歩き、日常の会話をログとして残してAIで分析し、生活全般をサポートする仕組みだといいます。
レコメンド、まあ「こういうもの足りてないんじゃないですか」とか、「こういったもの買った方がいいんじゃないですか」っていうようなことを、Amazonとしては展開をしていくということですね。
一方で、Amazonはプライバシーへの配慮も表明しています。音声は保存せず処理後に破棄し、文字起こしは端末側で行い、通話を録音するたびに相手の同意を促すとされています。
記録
普段から端末を持ち歩き、会話を文字起こしする
分析
要約やToDoをAIが自動で作成する
提案
足りないものや買うべきものをレコメンドする
Amazonにとってはウェアラブルの再挑戦
CEOセオさんによると、AmazonはBleeという会社を2025年7月に買収しており、今回の端末はその会社による展開です。
Amazonは過去にも、2023年に健康トラッカー「Halo ── Amazonが展開していたリストバンド型の健康管理デバイス。活動量や睡眠、声のトーンなどを記録する機能がありました」を終了しています。そのため今回の発表は、Amazonにとってウェアラブル分野への再挑戦にあたります。
ただし、Amazonの新端末の日本発売や日本語対応はまだ公表されていません。CEOセオさんは、日本で使えるようになるのはもう少し後になるかもしれないと見ています。
Meta一強のAIグラス、各社はどう追いかける?
CEOセオさんは、ここから各社のウェアラブル端末を一覧していきます。中でも存在感が大きいのが、Metaのカメラ付きメガネ「Ray-Ban Meta」です。画面はないもののカメラが付いており、価格は7万8908円と高めで、9月24日発売、世代はGeneration 3まで来ているといいます。
Metaはほかにも、カメラなしの「Ray-Ban Meta Audio」や、片目にディスプレイが付いた「Meta Ray-Ban Display」を展開しています。ディスプレイ付きのモデルは米国で発売済みで、今後ヨーロッパなどに広げる予定ですが、日本は未定です。
CEOセオさんがもう一つ注目するのが、Metaの「Muse」です。株価を大きく押し上げ、Appleでも搭載されるという話も出ているため、Metaがかなり大きなポジションを取り始めたと話します。
一回VRだって言ってやったんですけど、結構大ゴケして。最近(Metaは)Facebook、まあ広告メディアだよねというところから、AIのところでもかなりお金の投資をして、このMetaの、Ray-Banとか作ってきたんですけども。
CEOセオさんは、MuseをAIエージェントとして位置づけ、Metaのポジションが株価も含めて変わってきたと見ています。
Samsung、Google、Apple、Alibabaは何を出すのか
Meta以外の各社もAIデバイスを準備しています。SamsungはSamsung Galaxy Glassを2026年秋に発売するとしており、GoogleはWarby ParkerやGentle Monsterと組んだグラス、Keringと組んだGucciとのコラボAIグラスを出すと発表しています。
中国ではAlibabaがカメラ付きのメガネやイヤホンを出すと発表しています。Appleについても、カメラ付きのスマートグラス、カメラ付きのAirPods、AIペンダントなどが報道されていますが、CEOセオさんはいずれもApple自身は未発表だと念を押しています。
OpenAIも、画面なしでカメラ付きのスピーカーのような何かを出すとずっと言われてきました。2027年2月末ごろではないかとされていますが、明確な情報はまだ更新されていないといいます。
CEOセオさんは、2027年は春からMetaのグラスが日本も含めて出てくる見込みで、2月以降はOpenAIの初の端末、6月にはWWDC ── Appleが毎年開催する開発者向けの世界的なカンファレンス。新しいOSや製品の発表の場にもなっていますでAppleのスマートグラス発表がありうると整理します。
| 企業 | デバイス | 状況 |
|---|---|---|
| Amazon | リストバンド型・スマホ装着型 | 発表済み、日本対応は未公表 |
| Meta | Ray-Ban Metaなどのグラス | 米国などで発売済み |
| Samsung | Galaxy Glass | 2026年秋発売予定 |
| Warby Parker、Gucciなどとのグラス | 発表済み | |
| Apple | スマートグラス、カメラ付きAirPodsなど | 報道ベースで未発表 |
| OpenAI | 画面なしのカメラ付き端末 | 2027年2月末ごろと言われるが未確定 |
AIデバイスはどうやって稼ぐのか?
CEOセオさんは、各社のAIデバイスは稼ぎ方がバラバラだと指摘します。Amazonの場合は、あらゆるデータを取得し、本命のサブスクに加入してもらったうえで、会話に出てきた商品をレコメンドするモデルです。
CEOセオさんは、ここで昔からある「スマホに音声を聞かれているのではないか」という説に触れます。そうした行為は裁判などで議論になり、やってはいけないこととされてきました。
ところがAIの時代には、消費者自身が「AIにデータを多く与えた方が便利になる」と考えるようになっています。CEOセオさんは、自ら入れたデータは利用してよいことになるため、状況がオプトイン ── 利用者が事前に同意した場合に限り、データの利用やサービスの提供を行う方式。同意しない限り利用しないという考え方ですに変わっていると話します。
音声を勝手に拾ってレコメンドするのはダメとされてきた
ユーザーが自らAIに音声データを入れ、利用が前提になる
なぜMetaこそが「本丸」なのか
CEOセオさんは、AmazonやMetaのビジネスモデルを比べます。Amazonは会話から買い物へ送客し、Metaのエージェントは買い物の手数料を取るとしていますが、どちらもかなりの取引量がないと商売にならないだろうと見ています。
ただ、AIを常に身につけることで、その人がどんなものを好むかがわかるようになります。もともとFacebookは、実名で趣味嗜好や「今日はここに行った」といった行動履歴をユーザーに投稿してもらい、属性だけでなく特性や動きを広告に活かしてきました。
実はFacebookは、この手のやつは本丸なんですよ。もともとこういう、行動データとか、ユーザーの動きに応じた広告とかビジネスを作ってくるのが得意な会社なんですね。
CEOセオさんは、AIによってさらに細かい行動データがわかるようになり、Metaの本来のビジネスも強くなる可能性があると話します。Museの行方次第では再びトップに押し上がるかもしれないとしつつ、株の判断は個人に委ねるとしています。
Google、Apple、OpenAIの戦い方の違い
CEOセオさんによると、GoogleはOS提供型で、Androidをつなぎ込みながらSamsungやWarby Parkerなど多くの企業と連携し、iPhoneとのペアリングも含めてマスを取りに行く戦略です。これはAndroidと同じ戦略だと見ています。
一方でAppleは垂直統合型で、グラスやAirPodsなどを必ず自社製品として出し、データを取っていくだろうとCEOセオさんは予想します。プロダクト力があり、何より信頼があることがAppleの強みだといいます。
OpenAIは当初から、ノートPCやスマホに次ぐ端末を作ると言ってきました。全く新しい形を目指しているため時間がかかっていますが、元Appleのジョナサン・アイブ ── iPhoneやiMacなどのデザインを手がけたAppleの元最高デザイン責任者。独立後にデザイン会社を立ち上げていますと組んでいる点が期待されています。
OpenAIはOSを持たない会社ですが、AIのファウンデーションモデル ── 大量のデータで事前学習され、さまざまな用途に応用できる大規模なAIモデル。ChatGPTの基盤となるモデルなどが代表例ですを持っているため、強いプロダクトが出てくるのではないかとCEOセオさんは見ています。
OS提供型。多くのメーカーと連携してマスを取りに行く
垂直統合型。自社製品としてデバイスを出し、データを取る
作る会社は儲かり、売る会社は赤字という構図
CEOセオさんは、AIグラスのお金の流れに注目します。Metaのメガネは自社だけで作っているのではなく、Ray-Banの親会社であるEssilorLuxottica ── フランスとイタリアの企業が合併して生まれたメガネ・レンズの世界大手。Ray-Banなど多くのアイウェアブランドを傘下に持ちますと一緒に作っています。
EssilorLuxotticaは今かなり儲かっている一方、Metaはレンズなどの開発に投資しているため赤字です。CEOセオさんは、作る会社は儲かり、売る会社は儲かっていないのが現状だと整理します。
AIグラスの出荷台数は2026年上半期に前年比263%伸びており、画面なしのグラスではMetaのシェアが94%に達しています。CEOセオさんは、AIグラスは完全にMetaの一強だと話します。
Metaのグラス・VR部門であるReality Labs ── MetaでVRやAR、スマートグラスなどのハードウェアと関連技術を担う部門。長く大きな赤字が続いていますは、2026年第2四半期の売上が681億円に対し、営業損失が7300億円にのぼります。一方のEssilorLuxotticaは、2026年上半期の売上が2兆6200億円で、9.7%伸びています。
CEOセオさんは、Metaは独占契約でかなり大きなコミットメントをしているのではないかと推測します。ハードでは儲からなくても、AIで得た情報を広告、流通、販売手数料に変えて稼ぐのがMetaの狙いだといいます。
データを差し出すほど得をする時代とは?
AIデバイスが増えていくことで、CEOセオさんは「プライバシーもクソもあったもんじゃない」状況になると話します。Facebookなどにも情報は入力してきましたが、会話まで入ってくると、その人の人物像はほとんどわかってしまいます。
もうほとんどプライバシーはもうビッグテックにはほぼ全て預けていると言っても過言ではないでしょう。
CEOセオさんは、マイナンバーや免許証なども含め、データを入れれば入れるほどAIはよく機能すると話します。インターネットそのものも、プライバシーをなくした方が伸びる仕組みだったといいます。
その例として挙げられるのが中国です。中国は国内で制限を設けながらもデータを政府がすべて集めて利用し、インターネット産業を大きく伸ばしてきました。CEOセオさんは、AIはそこをさらに突き進んでいると見ています。
CEOセオさんは、データを入れた人はリターンを得る一方、入れない人は浦島太郎のように取り残されていくと話します。これは会社でも同じで、データを中途半端にしか入れなければAIは結局うまく機能しないといいます。
便利さの裏にあるサイバー攻撃のリスク
データを差し出すほど得をする一方で、CEOセオさんはAIによるサイバー攻撃の深刻化にも触れます。データを入れれば入れるほど、それがすべて持っていかれる可能性も高まります。
本当に銀行とかがどこかでも侵入されてお金がゼロになっちゃったみたいなことがあれば、果たしてどういうふうに防いでいけばいいのか。これは本当にもう全世界の全人類の問題になりかけていて。
CEOセオさんは、Anthropic ── AIアシスタント「Claude」を開発するアメリカのAI企業。AIの安全性研究を重視する姿勢で知られていますがこれから上場し売上も絶好調だとしつつ、AIのリスクを毎週のように発信していると指摘します。何かあっても「言ったじゃん」と言える、リスクヘッジの姿勢にも見えるといいます。
そのうえでCEOセオさんは、人間もAIが便利すぎて麻痺していると話し、一度冷静に立ち止まることも重要だと呼びかけてエピソードを締めくくっています。
まとめ
Amazonの新端末をきっかけに、2027年のAIデバイス競争と、データを差し出すほど便利になる時代のトレードオフが語られました。CEOセオさんは、便利さを享受しながらも、セキュリティのリスクに対して冷静に立ち止まる姿勢を求めています。
- Amazonは会話の文字起こしやレコメンドを行う1万〜2万円程度のAIデバイスを発表し、ウェアラブルに再挑戦する
- AIグラスはMetaの一強で、Meta、Google、Apple、OpenAIはそれぞれ異なる戦略で2027年に向けて動いている
- ハードを作るEssilorLuxotticaは儲かる一方、Metaは大赤字で、データを広告や手数料に変えて稼ぐ狙いがある
- AIはデータを差し出すほどリターンが大きくなり、中途半端な提供では恩恵を受けにくい
- データが集まるほどサイバー攻撃のリスクも高まり、冷静に立ち止まる視点が重要になる




