記録的な猛暑と、牛乳生産への影響
この日は7月23日の水曜日。川上さんはまず、全国的な猛暑の話から配信を始めます。
今日も暑くなりそうです。北海道の方とか40度とかになってるそうで。ほんと牛乳の生産すごい落ちてると思います。
暑さで乳量が落ちるのは、牛にとっても人にとっても負担が大きいから。川上さんは、聞いている酪農家仲間にも無理をしないよう呼びかけます。
酪農家の皆さん、ほんと無理しないようにね。牛も人も無理しないようにぼちぼちやっていきましょう。天気に抗えないんでね。
この日の仕事は、繁殖検診を受けた牛の処置と、堆肥の運搬、そして年に2回しかない産業用プラスチックハイプラ ── 牧場で出る産業用プラスチックごみのこと。飼料の梱包材やサイレージ用フィルムなどが該当するの回収です。
都市近郊の牧場ではごみを敷地で焼いたり埋めたりできないため、適切な処理が欠かせません。川上さんは全国の酪農家にも、ごみは正しく処理するよう念を押しています。
「牛乳が売れるために消費者ができること」への回答
この回の中心は、スプーンネームよりこさんから届いた質問です。
牛乳がどんどん売れるために我々消費者がやることはありますか?
川上さんは、消費者からこういう問いが届くこと自体が励みになると話します。コロナ禍から問題は解決せず、酪農家は減り続けている、という現状認識も率直に語られました。
毎回毎回、牛乳飲んでください、乳製品食べてくださいって酪農家は言い続けてますけど、全然コロナ禍から問題は解決しないですし、酪農家はどんどん減っていきますし。
そこで川上さんは、AIと一緒に考えた「消費者ができること」を4つのポイントに整理して紹介していきます。
地元牛乳を選ぶだけで「ミルクヒーロー」に
1つ目は、スーパーでの牛乳の選び方です。遠い産地の牛乳は輸送距離がかかり、酪農家にとっても消費者にとっても無駄が多くなります。
だからこそ、地元産の牛乳を選ぶのが一番効率がよく、ロスも少ないと川上さんは言います。地元の方が地元の牛乳を飲むのが、無駄のない応援の形なんですね。
特に、昔ながらに頑張る中小の地元乳業の牛乳を買うと、県外から仕入れる必要が減り、陳列棚に地元の牛乳が増えていくという好循環が生まれます。
牛乳は農産物なので、野菜や果物と同じように鮮度がどんどん落ちていきます。だから鮮度の高い地元牛乳を選んでほしい、というのが川上さんの願いです。
そしてもう1つ、棚の奥から取らずに手前から取る「手前取り」も大事なポイント。賞味期限が近いものから買うことで、廃棄を減らせます。
SNSで広げる「ミルクチャレンジ」と、話して伝える応援
2つ目は、SNSでの発信です。飲んだ牛乳やアレンジレシピ、映える写真を気軽に投稿するだけで、それを見た人が牛乳を飲むきっかけになります。
川上牧場が6月の牛乳月間に行った「#牛乳で歌おう」も、こうした発信の一例です。消費者一人ひとりがインフルエンサーとして応援できれば、消費はもっと広がります。
牛乳を飲むだけじゃなくて、その宣伝をするほうにも回っていただけたら嬉しいかなというとこですね。
3つ目は、学校や職場で牛乳を「雑談の種」にすること。牛乳をめぐる誤解を、正しい情報にそっと置き換える役割です。
たとえば「牛乳は太るから飲んでいない」という人には太りにくいことを、「お腹がゴロゴロする」という人には乳糖が原因でエーツーミルク ── お腹がゴロゴロしにくいとされる牛乳。牛が持つ特定のたんぱく質の型に着目したものという選択肢があることを伝える、といった具合です。
飲むだけでなく話して伝えることも、立派な応援になるというわけですね。
地元カフェへのリクエストと、酪農家を直接応援する方法
4つ目は、地元のお店を巻き込む方法です。カフェやパン屋さんに地産牛乳フェアをリクエストしたり、気になるお店にDMで提案したりするのも有効だと川上さんは話します。
たとえば近所のジェラートショップが新フレーバーの意見を募集していたら、そこに地元牛乳を使った提案をする。消費者もお店も牧場も喜ぶ、まさに三方よしの形です。
さらに川上さんは、顔が見える酪農家の商品をECサイトで直接買う方法も勧めます。かつては流通が難しく複数の酪農家の牛乳を混ぜて売っていましたが、今は直接応援できる形が増えました。
メンバーシップ、YouTubeやInstagramの限定配信、そしてクラウドファンディングクラウドファンディング ── インターネットを通じて、事業や挑戦への資金を多くの人から少しずつ募る仕組み。近年は酪農家の挑戦にも活用が広がっているなど、酪農家とつながる選択肢はさまざまです。
そのうえで川上さんが強調したのは、無理なく続けることの大切さでした。
今日は飲んで、明日は飲まないじゃなくて、毎日コップ1杯200mlを飲む人が全国民になってくれると、今の生産量の3倍以上必要になってくる。
酪農業界そのものを変えるという、根本の話
AIの回答を紹介したあとで、川上さんは個人的な思いも語ります。それは、消費者の努力だけでなく、酪農業界自身が変わる必要があるということでした。
先日の参議院選で自民党が大敗したことにも触れながら、酪農業界にも昔から変わらない考え方の人が多く、その後継者も同じ考えを引き継いでいる現状を指摘します。
本当に、何で今のこの令和の2025年にこんな状況でやってるのかっていう、そういうところもいっぱいありますんで、そこら辺は酪農家ちゃんと自分で直していかないといけない。
川上さんは消費者にも、おかしいと感じた点には声を上げてほしいと呼びかけます。長い目で見れば、それは業界にとってありがたいことだからです。
そして若い世代へのメッセージも。牛を飼っていればなんとかなる、という考えではなく、組織や政治、団体を動かすことの必要性を訴えました。
リスナーから届いた、ユニークな応援アイデアたち
配信の終盤では、リスナーからのコメントも次々に紹介されました。牛乳を広めるためのユニークなアイデアが飛び交います。
なかでも川上さんが「いいアイデア」と反応したのが、BeReal ── 通知が来たタイミングで写真を撮って共有するSNS。飾らない日常の瞬間を投稿するのが特徴を使った案でした。
全酪農家でBeRealを始めて、ふとした牛さんのショットを上げまくり、若者の潜在意識に牛を刷り込みます。いいアイデアですね。
一方で、牛乳と酪農の話を熱心にしすぎて飲み会に誘われなくなった、という切実なコメントも。川上さんは、応援も度が過ぎると逆効果になる難しさに苦笑いします。
野菜の売り上げ日本一の八百屋さんも「入れて3日以内の野菜が美味しい」と言っていた、というコメントには、鮮度に勝るものはないと改めて共感していました。
まとめ
この回は、「消費者ができること」という問いを入り口に、身近な買い物からSNS発信、そして業界そのものの変革まで、幅広く語られた内容でした。無理なく、でも継続して。それがミルクの好循環をつくる第一歩なんですね。
- 地元産・中小乳業の牛乳を選び、手前取りで廃棄を減らすことが身近な応援になる
- SNS発信や日常の会話で牛乳の魅力や正しい情報を広めることも立派な応援
- ECサイトやメンバーシップ、クラウドファンディングで酪農家を直接応援する方法も増えている
- 大量に飲むより、毎日コップ1杯を継続することが生産の好循環につながる
- 消費者の応援と同時に、酪農業界自身が古い体質を変えていく必要があると川上さんは語る




