日曜の雑談から始まる、初のKindle本の話
この回は、島根県出雲市にある川上牧場からの配信です。梅雨らしい曇り時々雨の日曜日で、川上さんは牛舎仕事のあいだにこの放送を届けています。
今日のテーマは、6月30日に出す川上牧場初のKindle本「酪農未経験者のために」の制作秘話です。まだ先行予約の段階で、少しでも興味を持ってもらえたら、という気持ちで話が進みます。
この時期は牛乳がだぶつきやすいそうですが、今年は暑くなるのが早く、例年より消費が伸びているとの報告があったと川上さんは話します。
猛暑の影響で牛乳のだぶつきが解消している。ありがたい。牛乳飲んでいただいてありがとうございます。
8月から牛乳が値上げするので、それまでにだぶつきが解消できれば乳業メーカーもやりやすいはず、と付け加えています。
AIがきっかけ。牛乳月間の最終日に合わせて
そもそもなぜKindle本を出すのか。きっかけはAIの進化でした。他の人のnoteで「簡単にKindle本が出せる」という話を見て、試してみたそうです。
実際にやってみると本当に作れたので、6月30日という節目に合わせて出すことにしたと話します。
6月30日はその牛乳月間の最終日にあたります。牛乳月間の締めくくりに、初めての本を出すという流れです。
6年続けたnoteを一冊に。書き始めた理由
Kindle本の中身は、6年前から続けているnoteの記事を再構成したものです。ではそのnoteは、そもそもなぜ始めたのでしょうか。
川上さんは小学生のころから酪農家を目指し、農業高校、農業大学校へ進み、酪農ヘルパーを経て、結婚をきっかけに川上牧場へ就農しました。
その過程で感じたのが、酪農業界の「当たり前」がわかりにくい、ということでした。代々家業として受け継ぐ人が多い世界で、認識のずれをたびたび感じたと言います。
何だろうな、当たり前がよくわかんなかったんですよね。これするのが当たり前だとか、これはわかってるもんだろうとか。
そうしたことをちゃんと書き残しておかないと、次に入ってくる人がやりにくい。その思いから始めたのがnoteでした。
だからnoteのトップには「酪農未経験者のために」という記事を固定しているそうです。これから入る人が「酪農業界とはこういうものだ」と事前に知れるようにするためです。
「休みがない」ばかり。ネガティブな情報を変えたい
今はネットで「酪農家になる方法」と検索すればいろいろ出てきます。ただ、その中身はネガティブなものが多い、と川上さんは指摘します。
- 365日休みがないと言われる
- 休みが全く取れないのが当たり前とされる
- 力仕事が多いと強調される
そういう記事ばかりを見てから入ると、それが当たり前だと思って働くことになります。結果として、その前提を受け入れられる人だけが残っていく、という流れができてしまいます。
もう、なんか固定概念みたいなのが確立してしまってて。それを何とか変えていきたいなと思って、noteを書いております。
この固定概念を変えたい、というのがnoteを書き続ける動機になっています。
記事の多くは、研修生や、農業大学校・高校から職場体験に来た未経験者とのやりとりから生まれています。業界に長くいると自分の頭も硬くなる、その視点を未経験者との会話が解きほぐしてくれると話します。
今回の中身は「牛群検定成績表」を読む力
今回のKindle本は、研修生とのやりとりの中で「牛群検定成績表」についてまとめたものが中心です。
牛群検定成績表と聞いても、初めての人にはピンとこないかもしれません。これは毎月行う、牛の健康診断のような取り組みから作られるデータです。
牛乳は血液からできているため、成分を調べると牛の健康状態がわかります。それを毎月集め、分析したものが牛群検定成績表です。
この一枚から、いろいろなことが読み取れると川上さんは説明します。
- 牛たちの毎月の乳量の推移や健康状態
- 授精の成功率や妊娠率、発情発見率
- 搾乳牛率や貫入牛率など経営の状況
つまり現在の状況を理解できれば、未来の牧場経営も見えてくる、ということです。
酪農未経験者の方は牛の知識とかがないので、牛群検定成績を見ることができると、即戦力というか、大体の牧場の状況みたいなのが見えてくる。
だからこそ、この成績表を読めることを「入り口」として届けたい、という狙いです。
制作の苦労と、迷う人への一冊
制作で苦労したところをAIが「言った方がいい」と勧めてきたそうですが、川上さんは正直あまり苦労がなかったと明かします。
これまで書いたnoteをそのままAIに入れ、手順通りにKindle本にしただけだからです。ただ、わかりにくい箇所はAIに「もっと簡単にして」と頼み、川上さんの話し言葉に近い、読みやすい形に整えたと言います。
この本を届けたい相手は、これから酪農を目指す人だけではありません。すでに働いていて、周りの声に悩んでいる人も含まれています。
教科書にはこうやって書いてあったり、SNSではこう言われてるのに、目の前の経営者はこう言ってくる。獣医さんはこう、餌屋さんはこう、先輩は、後輩はみたいな。
そんなとき、牛群検定成績表という一つのデータが読めるようになると、判断がやりやすくなるのではないか、と話します。
シリーズ第3弾まで構想。感想を届けてほしい
この本はいわば川上さんの「ベスト版」とも言える一冊で、シリーズとして第3弾まで出す構想があるそうです。
第2弾はすでに制作中で、第3弾は家畜人工授精師のテキストを、より現場に近い形でわかりやすくまとめる予定です。
ペースは未定ですが、1本目の反響や感想を踏まえて第2弾・第3弾に活かしたい、とのことです。だから読んだ人からの感想を待っています。
リスナーからは「前書きが読みたいので注文しました」というコメントも届いていました。川上さんは、これからInstagramやYouTubeのコミュニティ、Xで見出しや前書きを少しずつ紹介していくと話しています。
本は小学生のお小遣いでも買える値段に設定したそうで、入り口として気軽に手に取ってほしいという思いが込められています。
まとめ
この回は、川上牧場が初めてのKindle本「酪農未経験者のために」を出す理由を語った内容でした。ネガティブな情報ばかりが目立つ酪農の入り口を、少しでも変えたいという思いが根っこにあります。
- 6年続けたnoteを再構成し、6月30日の牛乳月間最終日に合わせてKindle本を出版
- 執筆の動機は、酪農業界の「休みがない」などのネガティブな固定概念を変えたいという思い
- 第1弾の中身は、牛の健康や経営状況が読み取れる「牛群検定成績表」の解説
- 未経験者にも周りの声に迷う現役の人にも、判断の入り口になる一冊を目指している
- シリーズは第3弾まで構想中で、読んだ人からの感想を次作に活かしたいと話している




