雨のち曇り、涼しさに休まる牛たち
配信は、聞き手の美琴さんによるオープニングから始まります。島根県出雲市の小さな牧場から、普段飲んでいる牛乳や酪農の魅力を届ける番組です。
この日は6月23日の月曜日。すでに梅雨に入っていて、天気は雨のち曇りでした。
最高気温は28度の予報ながら、牛舎の中は換気扇をフルで回して肌寒いくらい。少し涼しくなったことで、牛たちが楽そうにしているそうです。
牛さんはほんとハアハアずっと言ってます。かわいそうですね。
牛はもともと涼しい国が原産で、暑さがとても苦手な動物です。ここから、この日のメインテーマである「夏に残念な結果になってしまった牛の処理」の話につながっていきます。
なぜ牛は死んでしまうのか、寿命と出産のリスク
質問はSpoonというアプリから届いたものです。スプーンネーム「みずみずしい」さんからの問いかけでした。
死亡した牛の処理はどうされてますか?引き取って処理してくれる業者などあるのでしょうか?
川上さんは、この話題がセンシティブで、酪農家に聞いてもなかなか答えてもらえず、ネットで検索しても情報が出てこないと話します。だからこそ、消費者に伝えたいテーマなのだそうです。
Googleとか、AIに検索してもなかなか出てこない情報、それを消費者の方にお伝えできたらいいなと思ってるので。
まず前提として、牛にも寿命があります。乳牛の日本の平均は、だいたい6歳から7歳ぐらいだといいます。
一方で、愛玩動物として飼われた牛は30歳ぐらいまで生きることもあるそうです。乳牛はホルスタインという経済動物なので、生産性や繁殖性が落ちたときには、最後はお肉として出荷される。だから平均が6〜7歳になっている、という説明です。
ただ、これはあくまで平均。途中で熱中症や病気、怪我、事故で亡くなる牛もいます。
特にリスクが高いのが出産です。乳牛は1年に1回赤ちゃんを産まないと牛乳を絞り続けられないため、出産は避けられません。
出産を機に体調が悪くなってしまって、生産性が落ちてしまったりだとか、出産の時に難産で牛がダメになってしまうとか、そういうことがあったりしますね。
死亡した牛はどう処理される?法律と農協の仕組み
ここからが、質問への具体的な答えです。酪農家は「家畜の死体処理法」という法律に基づいて、適切な処理を行う義務を負っています。
では、実際にはどう進むのでしょうか。多くの場合、家畜共済(農協)に登録しているので、牛が死んでしまったら農協に報告し、引き取りをお願いする連絡をします。すると、あとの処理はほとんど農協がやってくれるそうです。
引き取りにあたるのは「産業動物処理業者」で、地域によって違いはあるものの、こうした業者が来て処理を行います。
処理方法は主に焼却です。埋却が行われるのは、口蹄疫のような家畜伝染病が出たときに限られます。
この業者は都道府県ごとに登録・管理されていて、感染症の拡大を防ぐためにも衛生的な処理を行う、という点がポイントです。
農協へ報告
牛が死んでしまったら、家畜共済(農協)に引き取りを連絡する
業者が引き取り
都道府県に登録された産業動物処理業者が引き取りに来る
焼却で処理
通常は焼却処理。伝染病の場合は埋却で処理される
処理費用は誰が払う?1頭あたりの実費
気になるのが費用の負担です。この処理費用は、農家が実費で支払います。
川上牧場のある出雲市では、牛が1頭死んでしまった場合、だいたい8万円ぐらいかかるそうです。
費用は家畜処理場までの距離や、地域の取り決めによって変わります。離島などでは1頭10万円以上、下手をすると15万円ほどかかる地域もあるとのことです。
ただし、それほど高額になる場合は、各都道府県の補助金などがあることもあると説明されています。
口蹄疫やBSEを疑ったら?検査と報告の流れ
通常の焼却処理とは別に、家畜伝染病が疑われる場合の流れも紹介されました。
たとえば口蹄疫では、口や足にイボや水泡が出ることがあります。そうした症状で死んだ牛が出た場合、獣医に診てもらい、死亡診断を受けます。
口蹄疫の疑いがあると判断されたときは、検体を調べる必要があります。牛は家畜保健所へ運ばれ、そこで検査を受けて、死因が調べられます。
これは子牛の場合も同じです。足が3本生えていたり、首や関節の位置が違ったりといった奇形の子牛が生まれたときも、伝染病が原因ではないかと検査することがあります。
たとえば赤羽病という感染症で子牛が死んでいないか、といった調べ方をすることもあるそうです。
こうして専門業者で衛生的に処理し、報告された情報は各都道府県から国へと上がっていきます。ちゃんと報告されるような仕組みになっているという点が、消費者に伝えたい安心材料です。
レンタルヤギやアニマルカフェへの心配
最後に、川上さんが個人的に気にかけていることも語られました。口蹄疫やBSE自体はほとんど発生していないものの、別の心配があるといいます。
最近は草刈りの手間を減らすために、ヤギや羊を飼ったり、レンタルヤギ・レンタル羊を使う人が増えているそうです。都会ではアニマルカフェのような施設も増えています。
こうした動物は、届け出伝染病の管轄外になることがあり、そこが不安だと話します。
もしそこで病気が出てもですね、どうしようもないので、そういうところをもうちょっと気をつけていただきたいなと思ったりするところでもあったりします。
たとえば海外から来た人がアニマルカフェを訪れ、そこで動物が急に死に、調べたら口蹄疫だった、というような事態を心配しているそうです。国のチェックを、と要望を続けているものの、なかなか変わらないと話していました。
夏の牛乳はなぜあっさりする?脂肪分のひみつ
後半は、リスナーからのコメントへの返しです。天候の話題から、夏の牛乳の味の変化へと広がっていきます。
気温が上がって牛が水分をたくさん取ると、牛乳が薄まって甘みが減ることがあるそうです。それだけでなく、暑さで餌の量そのものが少なくなってしまいます。
牛乳パックに書かれている脂肪分は、牛が牧草を多く食べると増えます。ところが夏場は暑くて牧草をあまり食べないため、脂肪分が下がってしまうのです。
そのため、夏場は市販の牛乳パックにあっさりした牛乳が詰められている、というわけです。季節で味が変わるのには、こうした理由があるんですね。
さらに、ハッシュタグ「教えて川上牧場」に寄せられた「クロテッドクリームは楚(そ)ですか?」という質問にも、AIの力を借りて答えています。
脂肪分の高い牛乳や生クリームを低温で長時間加熱し、表面に固まった乳脂肪を集めたもの。イギリス南西部の伝統的な乳製品
牛乳を長時間煮詰めて水分を飛ばし固めたもの。古代の日本で滋養強壮を期待された超高級食材だったとされる
どちらも牛乳を使った製品ですが、作り方も文化もまったく違うものだと結ばれています。
まとめ
今回は、消費者からは見えにくい「死んでしまった牛の処理」について、法律・費用・検査体制まで具体的に語られた回でした。あわせて、夏の牛乳の味の変化という身近な話題も楽しめる内容です。
- 乳牛の平均寿命は6〜7歳。出産は事故のリスクが高く、途中で亡くなる牛もいる
- 酪農家は家畜の死体処理法に基づき処理する義務を負い、多くは農協経由で専門業者が引き取り、通常は焼却処理される
- 処理費用は農家の実費で、出雲市では1頭あたり約8万円。離島など高額な地域には補助金がある場合もある
- 口蹄疫やBSEなど伝染病が疑われると家畜保健所で検査され、都道府県から国へ報告される仕組みがある
- 夏は牛が牧草をあまり食べないため脂肪分が下がり、市販の牛乳はあっさりした味になる




